| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥15107.0億 | ¥15047.0億 | +0.4% |
| 営業利益 | ¥284.0億 | ¥296.9億 | -4.3% |
| 税引前利益 | ¥157.1億 | ¥201.5億 | -22.0% |
| 純利益 | ¥87.7億 | ¥22.2億 | +295.5% |
| ROE | 1.3% | 0.4% | - |
2026年3月期通期決算は、売上高1兆5,107億円(前年比+60億円 +0.4%)、営業利益284億円(同-13億円 -4.3%)、経常利益196億円(同+66億円 +50.8%)、親会社株主帰属当期純利益81億円(同+61億円 +307%)と、微増収減益ながら経常利益・純利益は大幅増益。営業利益率は1.88%(前年1.97%から0.09pt低下)と薄利構造が継続するも、非営業段階の改善(金融収益増・持分法損益改善・税負担軽減)により純利益率は0.54%(前年0.13%から0.41pt改善)。包括利益は733億円(前年15億円)と、為替円安・有価証券評価益が自己資本押上げに大きく寄与。ROEは1.3%(前年0.3%)へ改善したものの、デュポン分解では純利益率0.54%×総資産回転率0.802×財務レバレッジ2.82倍の構成で、依然として資本効率は業界下位。金利負担係数0.55(EBIT68億円に対し金融費用169億円)と税負担係数0.52(実効税率約48%)が利益率を圧迫し、ROIC 3.0%はWACCを下回る状態が続く。営業CFは827億円(純利益の9.4倍)、フリーCFは591億円と潤沢で、配当(総額259億円・配当性向318%換算だが会社報告値12.9%)と投資を賄い現預金は1,156億円を確保。自己資本比率は35.3%(前年33.7%)へ改善し、財務安全性は漸進的に向上。2027年3月期計画は売上1兆6,000億円(+5.9%)、営業利益375億円(+32%)、純利益120億円(+36.8%)と、営業利益率2.34%への改善(+0.46pt)を前提とする意欲的な目標だが、構造的な低収益体質の是正と資本効率改善が評価の焦点となる。
【売上高】 売上高は1兆5,107億円(前年比+0.4%)と横ばい。セグメント別では、ウォーターテクノロジー事業8,088億円(外部顧客向け、前年比+0.8%)、ハウジングテクノロジー事業5,184億円(同-0.5%)、リビング事業1,834億円(同+1.3%)と、ウォーターとリビングが微増、ハウジングが微減。国内の住宅着工・リフォーム需要は横ばい圏で推移し、価格改定の浸透が一部で見られる一方、数量拡大は限定的。為替の円安進行は海外事業の円換算売上を押上げたものの、数量面での成長加速には至らず、全体として微増収にとどまった。売上総利益は5,152億円(売上総利益率34.1%、前年33.1%から1.0pt改善)と、原価率の低下が確認でき、価格転嫁やミックス改善の進展を示唆。
【損益】 営業利益は284億円(前年比-4.3%)と減益。売上総利益は515億円増加(前年4,981億円→5,152億円)したものの、販売費及び一般管理費が4,767億円(前年4,668億円)へ99億円増加し、営業利益を圧迫。販管費の伸び率は売上成長を上回り、営業レバレッジは効かず。セグメント利益(事業利益)は、ウォーター454億円(前年369億円、+23%)、ハウジング267億円(同260億円、+2.7%)、リビング78億円(同72億円、+8.3%)と各セグメントは増益だが、全社費用(主に管理部門)の増加により連結営業利益は減益に転じた。経常利益は196億円(前年比+50.8%)と大幅増益。金融収益44億円(前年40億円)、金融費用169億円(同139億円)と金利負担は増えたものの、持分法損益が前年+3億円から当期-2億円と小幅悪化にとどまり、持分法適用に伴う再測定益17億円が計上されたことで経常段階では改善。税引前利益は157億円(前年202億円、-22%)と減少したが、法人所得税費用が69億円(前年179億円)へ大幅減少し、実効税率は約44%(前年約89%)へ低下。税負担軽減により親会社株主帰属当期純利益は81億円(前年20億円、+307%)と大幅増益。包括利益733億円には、為替換算差額+561億円、確定給付再測定+37億円、有価証券評価+33億円など、その他の包括利益645億円が含まれ、純利益との大きな乖離は評価損益・為替のOCI寄与による。特別損益の大規模項目は明示されておらず、経常ベースの税・金融損益の変動が純利益増加の主因。結論として、微増収減益(営業)ながら、非営業・税効果改善により大幅増益。
ウォーターテクノロジー事業は売上収益8,088億円(外部顧客、前年8,026億円、+0.8%)、セグメント利益454億円(前年369億円、+23.0%)と増収増益。利益率は5.6%(前年4.6%から1.0pt改善)。衛生設備・水栓・バスルーム等の主力製品で、価格改定浸透と原価低減努力が収益性を押上げ。減価償却費481億円、減損40億円、資本的支出389億円と、設備更新と減損処理を継続実施。ハウジングテクノロジー事業は売上収益5,184億円(外部顧客、前年5,210億円、-0.5%)、セグメント利益267億円(前年260億円、+2.7%)と微減収微増益。利益率は5.1%(前年4.9%から0.2pt改善)。サッシ・ドア・シャッター等の建材および住宅ソリューションは需要横ばいながら、コスト管理の進展で利益率を維持。減価償却費283億円、減損4億円、資本的支出166億円。リビング事業は売上収益1,834億円(外部顧客、前年1,811億円、+1.3%)、セグメント利益78億円(前年72億円、+8.3%)と増収増益。利益率は4.3%(前年4.0%から0.3pt改善)。システムキッチン・洗面化粧台・内装建材の統合により、製造プロセス・ビジネスモデルの類似性を活かしたシナジー創出が進む。減価償却費63億円、減損21億円、資本的支出54億円。全社費用は415億円(前年388億円)と増加し、各事業の利益改善を一部相殺。
【収益性】営業利益率は1.88%(前年1.97%から0.09pt低下)と薄利構造が継続。売上総利益率は34.1%(前年33.1%から1.0pt改善)と原価率の低下は確認できるが、販管費率31.6%(前年31.0%)の上昇が営業利益率を圧迫。ROEは1.3%(前年0.3%)へ改善したものの業種中央値6.3%を大きく下回り、資本効率は低位。デュポン分解では純利益率0.54%(前年0.13%)、総資産回転率0.802(前年0.822)、財務レバレッジ2.82倍(前年2.95倍)で、純利益率の改善がROE向上の主因だが、回転率・レバレッジは低下傾向。ROA(経常利益ベース)は0.8%(前年1.1%)と悪化。税負担係数0.52(実効税率約44%、前年約89%から大幅改善)、金利負担係数0.55(EBIT 68億円に対し金融費用169億円)は依然として高負担で、収益を圧迫。ROIC 3.0%は推定WACCを下回る水準にあり、資本コスト未達が継続。
【キャッシュ品質】営業CF 827億円は親会社株主帰属当期純利益81億円の10.2倍と、キャッシュ創出力は非常に強固。営業CF/純利益の高さは運転資本の改善(営業債権回収+52億円、棚卸資産増加-37億円、営業債務減少-140億円)や非現金項目(減価償却費831億円、減損65億円)の寄与が大きく、アクルーアル比率は-4.0%と負の値を示し、現金裏付けの質の高い利益構造。フリーCFは591億円(営業CF 827億円 - 投資CF支出236億円)で、FCFカバレッジは2.28倍(営業CF 827億円 ÷ 配当総額259億円)と、株主還元を現金創出で賄い余力十分。現金及び現金同等物は1,156億円(前年1,235億円から79億円減少)を確保し、財務安全性は高い。
【投資効率】総資産回転率は0.802回転(前年0.822回転)とやや低下。棚卸資産回転率は3.85回転(売上原価9,956億円÷平均棚卸資産2,527億円)、DIO(在庫日数)は95日と、製造業としては標準的だが改善余地あり。営業債権回転率は5.25回転(売上高1兆5,107億円÷平均営業債権2,866億円)、DSO(債権回収日数)は69日と良好。営業債務回転率は4.11回転(売上原価9,956億円÷平均営業債務2,458億円)、DPO(支払日数)は89日で、運転資本サイクルは75日(DIO 95日 + DSO 69日 - DPO 89日)と、キャッシュ効率は適正水準。
【財務健全性】自己資本比率は35.3%(前年33.7%から1.6pt改善)と安定域で、財務体質は漸進的に向上。有利子負債(社債及び借入金)は5,799億円(短期1,632億円、長期4,167億円)、ネット有利子負債は4,643億円(有利子負債5,799億円 - 現預金1,156億円)、ネットD/Eレシオは0.70倍(ネット有利子負債4,643億円÷純資産6,684億円)と過度なレバレッジではないが、金利負担の重さ(金融費用169億円、EBITの2.5倍)が収益を圧迫。インタレストカバレッジは4.90倍(営業CF 827億円÷支払利息169億円、支払利息は金融費用で代用)と、短期返済能力は確保も、EBIT/金利では0.40倍と低位。流動比率は128%(流動資産7,189億円÷流動負債5,605億円)、当座比率は81%(当座資産4,554億円÷流動負債5,605億円)と、短期流動性は健全。
営業活動によるキャッシュフローは827億円(前年1,000億円、-17.3%)と前年比では減少したが、親会社株主帰属当期純利益81億円の10.2倍と現金創出の質は非常に高い。減価償却費831億円、減損65億円など非現金費用の加算に加え、営業債権の回収+52億円、営業債務の減少-140億円、棚卸資産の増加-37億円と運転資本は全体で増加要因となったものの、税還付等の効果で営業CFは潤沢に確保された。投資活動によるキャッシュフローは-236億円(前年-281億円)で、有形固定資産取得-321億円、無形資産取得-107億円と設備・IT投資を継続する一方、投資の売却・償還+2,508億円、取得-2,361億円と有価証券の入替が活発に行われた。持分法適用に伴う再測定益17億円の計上は、子会社持分取得に伴う支配獲得時の評価益と推察され、M&A活動の痕跡を示す。フリーキャッシュフローは591億円(営業CF 827億円 - 投資CF支出236億円)と安定的に創出され、財務活動によるキャッシュフローは-724億円(配当支払259億円、短期借入返済361億円、長期借入調達977億円、長期借入返済606億円、社債償還250億円、リース返済231億円)と、借入の長期シフトと配当を実施。現金及び現金同等物は1,156億円(期首1,235億円から79億円減少)へ減少したが、為替換算+55億円の効果を含み、実質的な現金ポジションは安定。FCFカバレッジ2.28倍(営業CF 827億円 ÷ 配当総額259億円)は配当の持続性を裏付け、投資余力も十分。
経常的収益と一時的要因を区別すると、営業段階では減益(-4.3%)と本業の収益性は悪化したが、経常利益は+50.8%と非営業段階で大幅改善。非営業の改善要因は金融収益44億円(前年40億円)の微増、金融費用169億円(前年139億円)の増加にもかかわらず、持分法適用に伴う再測定益17億円が計上され、持分法損益が前年+3億円から当期-2億円へ小幅悪化にとどまったこと。税引前利益は157億円(前年202億円、-22%)と減少したが、法人所得税費用が69億円(前年179億円)へ大幅減少し、実効税率は約44%(前年約89%)へ低下。この税負担軽減が親会社株主帰属当期純利益81億円(前年20億円、+307%)の大幅増益をもたらした。包括利益733億円には、為替換算差額+561億円、確定給付再測定+37億円、有価証券評価+33億円など、その他の包括利益645億円が含まれ、当期純利益88億円との大きな乖離は評価損益・為替のOCI寄与による。営業CFが純利益の10.2倍と大幅に上回り、アクルーアル比率-4.0%(非現金利益が負)は、減価償却費や運転資本改善による現金創出の質の高さを示す。経常利益と純利益の乖離は税負担係数0.52(実効税率約44%)が主因で、営業外収益の突出した計上は確認されず、利益の質は一時要因に大きく依存せず現金裏付けが強い構造。
2027年3月期通期計画は、売上高1兆6,000億円(前年比+5.9%)、営業利益375億円(同+32.0%)、親会社株主帰属当期純利益120億円(同+47.4%)、EPS 41.75円、配当45円。計画上の営業利益率は2.34%(当期1.88%から+0.46pt改善)と、マージン改善を前提とする意欲的な目標。売上成長+5.9%に対し営業利益+32%と、営業レバレッジの発現を見込み、原価率・販管費率のコントロールと価格・ミックス改善が鍵。現時点で当期実績は売上1兆5,107億円(計画比94.4%)、営業利益284億円(同75.7%)と、標準進捗率(通期ベース)に照らして売上は順調も利益率はやや遅れ。計画達成には、原材料・物流コストの安定、価格転嫁の継続、固定費吸収の加速が必要。配当計画45円は当期実績90円(中間45円+期末45円)に対し保守的で、フリーCFカバレッジ2.28倍の潤沢な現金創出力を考慮すれば、配当維持・増配の余地は十分にある。業績予想の進捗は、次四半期以降の営業利益率トレンドのモニタリングが評価のポイント。
年間配当は90円(中間45円、期末45円)で、親会社株主帰属当期純利益81億円に対する配当総額259億円から、計算上の配当性向は318%と一見高水準だが、会社報告値は12.9%と記載されており、発行済株式ベースと平均株式数ベースの差異、または連結ベースと親会社ベースの差異が影響していると推察される。フリーCFカバレッジは2.28倍(営業CF 827億円 ÷ 配当総額259億円)と、配当は営業CFで十分に賄われ、持続可能性は高い。配当性向(会社報告値12.9%)は保守的な水準で、配当余力は十分。自社株買いに関する開示は確認できず、株主還元は配当中心。2027年3月期の配当計画は45円で、当期実績90円に対し保守的だが、計画純利益120億円(当期81億円から+48%)を前提とすれば、配当性向は計画ベースで約30%程度と推定され、現金創出力を踏まえて増配余地は残る。総還元性向は配当のみで計算されるため、現時点では配当性向と同義。
構造的低収益リスク: 営業利益率1.88%(業種中央値7.8%に対し-5.9pt)、ROIC 3.0%と資本コスト未達が継続。金利負担係数0.55(EBIT 68億円に対し金融費用169億円)と、EBITの半分超が金利で相殺される構造。販管費率31.6%(前年31.0%)の上昇傾向と、売上総利益率34.1%(前年33.1%)の改善幅1.0ptを販管費増が相殺し、営業レバレッジが効かない。価格転嫁・ミックス改善の遅れ、固定費の肥大化が続けば、計画営業利益率2.34%達成は困難となり、ROE・ROICの改善は遠のく。
運転資本・在庫管理リスク: 棚卸資産は2,614億円(前年2,439億円、+7.2%)と売上成長+0.4%を大幅に上回る増加。DIO(在庫日数)95日と製造業標準的水準だが、需要停滞時には在庫積み上がりが営業CFを圧迫するリスク。営業債務は2,448億円(前年2,468億円、-0.8%)と微減し、DPO 89日の短縮傾向がみられる。運転資本サイクル75日(DIO 95日 + DSO 69日 - DPO 89日)は適正だが、在庫回転の鈍化や債権回収の遅延が発生すれば、フリーCF創出力が低下し、財務柔軟性を損なう。
金利・為替リスク: 有利子負債5,799億円(ネットD/E 0.70倍)に対し、金融費用169億円(前年139億円、+21.6%)と金利負担は増加傾向。インタレストカバレッジ4.90倍(営業CF/支払利息)は短期返済能力を示すが、EBIT/金利は0.40倍と低位で、金利上昇局面では利益圧迫が顕在化。為替は包括利益で+561億円の換算差額を計上し、円安メリットを享受するも、為替反転時には評価損・競争力低下リスクが顕在化し、OCI変動が自己資本を揺さぶる。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 自己資本利益率 | 1.3% | 6.3% (3.3%–9.9%) | -5.0pt |
| 営業利益率 | 1.9% | 7.8% (4.6%–12.3%) | -5.9pt |
| 純利益率 | 0.6% | 5.2% (2.3%–8.2%) | -4.6pt |
収益性は業種中央値を大幅に下回り、製造業内で下位レンジに位置。構造的な低マージン体質が資本効率を抑制。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 0.4% | 3.7% (-0.4%–9.3%) | -3.3pt |
売上成長率は業種中央値を下回り、トップライン拡大力は限定的。需要横ばい環境と価格転嫁の遅れが背景。
※出所: 当社集計
営業利益率改善の実行力が最大の焦点。2027年3月期計画は営業利益率2.34%(当期1.88%から+0.46pt改善)を前提とするが、当期は販管費率31.6%(前年31.0%)と上昇し、売上総利益率の改善1.0ptを相殺。価格転嫁・製品ミックス改善の浸透、固定費コントロールの実効性が試される。計画達成には、原材料・物流コストの安定、販管費伸び率の抑制(営業レバレッジ発現)が必須で、次四半期以降の利益率トレンドが評価のポイント。
キャッシュ創出力の強さは評価材料。営業CF 827億円(純利益の10.2倍)、フリーCF 591億円と潤沢で、配当総額259億円を現金創出で賄い余力十分(FCFカバレッジ2.28倍)。運転資本の改善(営業債権回収+52億円)とアクルーアル比率-4.0%の現金裏付けの強さは、財務安全性を支える。自己資本比率35.3%(前年33.7%)への改善と現預金1,156億円の確保により、投資余力と株主還元の両立が可能で、配当維持・増配余地は十分。
ROE・ROIC改善の道筋が問われる。ROE 1.3%(業種中央値6.3%に対し-5.0pt)、ROIC 3.0%(WACC未達)と、資本効率は業界下位レンジ。デュポン分解では純利益率0.54%、総資産回転率0.802、財務レバレッジ2.82倍で、純利益率の改善が主因だが、回転率・レバレッジは低下傾向。金利負担係数0.55(EBIT 68億円に対し金融費用169億円)と、収益の半分超が金利で相殺される構造を是正しなければ、資本効率の抜本改善は難しい。デレバレッジ、資産効率化、営業利益率の持続的向上がROE・ROIC改善の前提条件となる。
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