- 売上高: 5,589.94億円
- 営業利益: 901.71億円
- 当期純利益: 696.65億円
- 1口当たり当期純利益 (EPU): 243.35円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 5,589.94億円 | 4,475.39億円 | +24.9% |
| 売上原価 | 4,033.04億円 | 3,373.65億円 | +19.5% |
| 売上総利益 | 1,556.90億円 | 1,101.75億円 | +41.3% |
| 販管費 | 655.19億円 | 550.34億円 | +19.1% |
| 営業利益 | 901.71億円 | 551.41億円 | +63.5% |
| 営業外収益 | 61.77億円 | 40.27億円 | +53.4% |
| 営業外費用 | 46.46億円 | 69.70億円 | -33.3% |
| 経常利益 | 917.01億円 | 521.97億円 | +75.7% |
| 税引前利益 | 922.86億円 | 446.90億円 | +106.5% |
| 法人税等 | 226.21億円 | 144.51億円 | +56.5% |
| 当期純利益 | 696.65億円 | 302.39億円 | +130.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 671.47億円 | 287.34億円 | +133.7% |
| 包括利益 | 792.78億円 | 204.79億円 | +287.1% |
| 減価償却費 | 115.56億円 | 107.75億円 | +7.2% |
| 支払利息 | 11.28億円 | 20.73億円 | -45.6% |
| 1口当たり当期純利益 (EPU) | 243.35円 | 104.17円 | +133.6% |
| 1口当たり分配金 (DPU) | 33.50円 | 33.50円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 5,770.56億円 | 5,613.43億円 | +157.13億円 |
| 現金預金 | 1,539.88億円 | 1,849.91億円 | -310.03億円 |
| 売掛金 | 2,329.35億円 | 2,035.20億円 | +294.15億円 |
| 棚卸資産 | 1,600.05億円 | 1,472.06億円 | +127.99億円 |
| 固定資産 | 2,775.01億円 | 2,689.64億円 | +85.37億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 131.25億円 | 320.64億円 | -189.39億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -295.73億円 | -160.00億円 | -135.73億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 12.0% |
| 粗利益率 | 27.9% |
| 流動比率 | 225.2% |
| 当座比率 | 162.7% |
| 負債資本倍率 | 0.73倍 |
| インタレストカバレッジ | 79.94倍 |
| EBITDAマージン | 18.2% |
| 実効税率 | 24.5% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +24.9% |
| 営業利益前年同期比 | +63.5% |
| 経常利益前年同期比 | +75.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +133.7% |
| 包括利益前年同期比 | +287.1% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済投資口数(自己投資口含む) | 295.86百万株 |
| 自己投資口数 | 19.93百万株 |
| 期中平均投資口数 | 275.92百万株 |
| 1口当たり純資産 (NAV) | 1,793.26円 |
| EBITDA | 1,017.27億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期分配金 | 33.50円 |
| 期末分配金 | 66.50円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| AutomotiveProductsBusinessDivision | 862.12億円 | 22.52億円 |
| ElectronicsBusinessDivision | 2.63億円 | 49.48億円 |
| PowerSystems | 3.33億円 | 75.01億円 |
| RealEstate | 55.55億円 | 24.95億円 |
| TelecommunicationSystems | 87百万円 | 738.35億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 11,090.00億円 |
| 営業利益予想 | 1,790.00億円 |
| 経常利益予想 | 1,840.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 1,320.00億円 |
| 1口当たり当期純利益予想 (EPU) | 478.40円 |
| 1口当たり分配金予想 (DPU) | 95.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2のフジクラは、売上・利益ともに大幅増で過去最高水準の収益性を示しつつ、営業キャッシュフローの弱さが際立つ内容でした。売上高は5,589.94億円で前年比+24.9%、営業利益は901.71億円で+63.5%と、売上成長を大きく上回る利益成長を確保しました。粗利益率は27.9%と高水準で、販管費率は11.7%に抑制され、営業利益率は16.1%となりました。営業利益の伸びが売上の伸びを大きく上回ったため、推計ベースで営業利益率は前年から約+381bp拡大したとみられます(OP成長63.5% vs 売上成長24.9%の比から逆算)。経常利益は917.01億円(+75.7%)と営業外収益の寄与もあり増益、当期純利益は671.47億円で+133.7%と大幅増益です。実効税率は24.5%と適正レンジに収まり、EPSは243.35円まで上昇しました。ROEは13.6%と2桁を維持し、ROICも14.8%と資本コストを大幅に上回る優良水準です。インタレストカバレッジは79.94倍と極めて強固で、財務耐性は高いと評価できます。一方で営業CFは131.25億円にとどまり、営業CF/純利益は0.20倍と品質警告水準です。売上急拡大に伴う売上債権・棚卸資産の積み上がり(流動資産5,770.56億円、うち売掛金2,329.35億円・在庫1,600.05億円)が主因と推測され、運転資本の吸収が資金創出を圧迫した可能性があります。流動比率225%・当座比率163%と短期流動性は十分で、負債資本倍率0.73倍とレバレッジも抑制的です。現金1,539.88億円に対し短期借入金781.95億円で、短期償還リスクは限定的です。非営業収入比率は9.2%と一定の比率を占めるものの、利益構成の中心はあくまで本業の高い収益性です。商社型の持分法投資利益の開示はなく、同社は製造業である点に留意が必要です。今後の焦点は、拡大した売上・利益に見合う運転資本の最適化と、営業CFの正常化(少なくとも純利益近傍)です。ROICが高水準である一方、FCFや配当原資のキャッシュ面の検証には投資CF・配当額の開示不足が制約となっています。総じて、利益成長の質を高めるためのキャッシュ創出力回復が最大の改善テーマであり、この点が確認できれば高収益の持続性評価は一段と高まります。
デュポン分析(ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ)に基づくと、ROE13.6%は、純利益率12.0%×総資産回転率0.654×レバレッジ1.73の積で説明されます。今期の伸長を牽引したのは純利益率の改善で、売上成長(+24.9%)を上回る営業利益成長(+63.5%)から、営業利益率は推計で前年から約+381bp拡大しています。総資産回転率0.654は高成長局面の運転資本増を反映しやや抑制気味ですが、粗利の拡大と販管費のスケールメリットが利益率押し上げに寄与しました。営業外収益の寄与(営業外収入比率9.2%)と実効税率の適正化(24.5%)も純利益率の底上げ要因です。ビジネス上の要因としては、価格改定・製品ミックス改善(高付加価値領域)とスケールメリットによる販管費率低下が主因と考えられます。こうした利益率改善は、需給の逼迫や高付加価値製品比率の上昇が続く限り一定の持続性が見込めますが、短期的には在庫調整や受注循環により変動可能性があります。また、売上拡大に伴う運転資本の増加が総資産回転率の足かせとなっており、ここが改善すればROEの更なる押し上げ余地があります。懸念点としては、売上成長率が販管費の伸びを下回る局面では営業レバレッジが逆回転する点と、非営業収益依存の拡大はROEの質を毀損しうる点です。現時点では営業利益が主導する健全な構図ですが、営業CFの弱さが収益のキャッシュ裏付けに課題を残しています。
売上は+24.9%と高成長で、需要拡大と製品ミックス改善が寄与した可能性が高い一方、運転資本の増分が大きく、成長のキャッシュ負担は重い構図です。営業利益は+63.5%と売上の伸びを大きく上回り、営業レバレッジが有効に作用しました。経常利益+75.7%は営業外収益の上振れも寄与していますが、営業外の持続性は不確実なため、来期の成長評価では本業の利益拡大が継続するかが鍵です。ROIC14.8%は非常に高く、資本効率面の成長の質は優れています。今後の見通しとしては、受注残・価格改定の継続、サプライチェーンの正常化、在庫水準の適正化が売上の持続性を左右します。中期的には高付加価値製品(データセンター・5G・自動車向けワイヤーハーネス等)へのシフトが成長ドライバーとなり得ますが、景気循環や顧客投資サイクルに左右されやすい点は留意が必要です。営業CFの正常化(運転資本回収)と選択的な成長投資のバランスが、成長の質を担保する前提条件です。
流動比率225.2%、当座比率162.7%と短期流動性は健全で、明示的な警告水準(流動比率<1.0、D/E>2.0)には該当しません。負債資本倍率0.73倍とレバレッジも保守的で、債務耐性は高いです。短期借入金781.95億円に対し現金1,539.88億円、売掛金2,329.35億円と、短期債務の手元流動資産によるカバーは十分です。満期ミスマッチの観点でも、流動負債2,562.95億円に対し流動資産5,770.56億円で安全域があります。長期借入金402.50億円を含む固定負債1,034.45億円も自己資本4,656.03億円の範囲で十分吸収可能です。オフバランス債務の開示はなく不明ですが、一般的なリースや保証等の潜在債務がある可能性は否定できません。インタレストカバレッジ79.94倍と利払い負担は軽微です。
営業CFは131.25億円にとどまり、純利益671.47億円に対する営業CF/純利益は0.20倍と品質警告水準です(>1.0倍が望ましい)。主因は売上急拡大に伴う運転資本の吸収(売掛金・棚卸資産の増加)とみられ、利益の会計計上に対してキャッシュ創出が追随していません。減価償却費115.56億円を考慮しても、運転資本増の影響が勝っています。投資CF・設備投資額・配当支払の開示がなく、厳密なFCFは算出不能です。財務CFは-295.73億円で、配当や借入返済、自己株式対応等の資金流出が推測されますが内訳は不明です。短期的には運転資本の回収(DSO・DIOの改善)による営業CFの正常化が喫緊の課題です。運転資本の操作(期末在庫積み増しによる利益率維持等)を疑う積極的証拠はありませんが、売上急増局面の一般的リスクとして注視が必要です。
配当性向は計算値で44.1%と利益面では持続可能レンジにありますが、営業CF/純利益が0.20倍と低く、キャッシュ面の裏付けが不足しています。配当総額と投資CF(設備投資含む)の未開示により、FCFベースの配当カバレッジは評価不能です。今後の配当持続性は、運転資本の回収による営業CFの改善と、成長投資(CAPEX/M&A)との資金配分バランスに依存します。ネットキャッシュに近い流動性と低レバレッジを踏まえると短期の配当実行リスクは限定的ですが、キャッシュ創出が改善しない場合、中期的な増配余地の評価は抑制的になり得ます。
ビジネスリスク:
- 需要循環リスク(データセンター・5G・自動車等の投資サイクル次第で受注変動)
- 原材料価格の変動(銅・樹脂・エネルギー)によるマージン圧迫
- 為替変動(米ドル等)による収益・評価差損益の変動
- 大口プロジェクト(海底ケーブル等)の工期・コスト超過リスク
- サプライチェーン逼迫による納期・コスト上昇
財務リスク:
- 営業CF/純利益0.20倍とキャッシュ創出の不足
- 売掛金・在庫の増加による運転資本負担と回収リスク
- 営業外収益への一定の依存(非反復要因の可能性)
- 金利上昇局面での資金調達コスト増(現状は耐性高い)
主な懸念事項:
- 営業CFの弱さが利益の質に影を落としている点
- 在庫・売掛金の高水準化によるキャッシュの滞留
- 投資CF・配当支払の未開示によりFCFの持続性評価に不確実性
- 非営業収益9.2%の寄与の持続性
重要ポイント:
- 高成長と大幅なマージン拡大でROE13.6%、ROIC14.8%の高資本効率を実現
- 営業CF/純利益0.20倍と利益のキャッシュ裏付けが弱く、質への懸念が残る
- 流動性・レバレッジは健全で短期の財務リスクは限定的
- 非営業収益の寄与はあるが、利益の中心は本業で構図は健全
- 在庫・売掛金の適正化がFCF回復の鍵
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益および運転資本回転日数(DSO・DIO・DPO)
- 営業利益率と価格改定・ミックス改善の継続性
- 受注残・プロジェクト採算(海底/光ファイバ関連)
- 原材料(銅)価格と為替感応度
- ROICの推移と成長投資の回収見通し
- 配当総額・自己株買い・CAPEXのキャッシュカバレッジ
セクター内ポジション:
国内同業(住友電工、古河電工等)と比較して、現時点の営業利益率・ROICは上位水準で、レバレッジも低位に抑制。もっとも、営業CFの弱さは相対的な弱点で、運転資本効率の改善度合いが同業比較のカタリストとなる。
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