- 売上高: 884.05億円
- 営業利益: 74.21億円
- 当期純利益: 112.04億円
- 1口当たり当期純利益 (EPU): 319.10円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 884.05億円 | 880.90億円 | +0.4% |
| 売上原価 | 698.90億円 | 710.39億円 | -1.6% |
| 売上総利益 | 185.14億円 | 170.51億円 | +8.6% |
| 販管費 | 110.92億円 | 107.68億円 | +3.0% |
| 営業利益 | 74.21億円 | 62.82億円 | +18.1% |
| 営業外収益 | 10.22億円 | 6.75億円 | +51.4% |
| 営業外費用 | 4.37億円 | 4.18億円 | +4.5% |
| 経常利益 | 80.06億円 | 65.40億円 | +22.4% |
| 税引前利益 | 159.11億円 | 64.99億円 | +144.8% |
| 法人税等 | 47.06億円 | 18.66億円 | +152.2% |
| 当期純利益 | 112.04億円 | 46.32億円 | +141.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 107.46億円 | 41.63億円 | +158.1% |
| 包括利益 | 90.03億円 | 49.16億円 | +83.1% |
| 支払利息 | 1.89億円 | 1.72億円 | +9.9% |
| 1口当たり当期純利益 (EPU) | 319.10円 | 123.63円 | +158.1% |
| 1口当たり分配金 (DPU) | 45.00円 | 45.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 1,170.89億円 | 1,261.48億円 | -90.59億円 |
| 現金預金 | 101.04億円 | 83.23億円 | +17.81億円 |
| 売掛金 | 594.82億円 | 692.70億円 | -97.88億円 |
| 棚卸資産 | 180.65億円 | 183.45億円 | -2.80億円 |
| 固定資産 | 594.58億円 | 609.09億円 | -14.51億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 12.2% |
| 粗利益率 | 20.9% |
| 流動比率 | 254.9% |
| 当座比率 | 215.6% |
| 負債資本倍率 | 0.63倍 |
| インタレストカバレッジ | 39.26倍 |
| 実効税率 | 29.6% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +0.4% |
| 営業利益前年同期比 | +18.1% |
| 経常利益前年同期比 | +22.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +158.1% |
| 包括利益前年同期比 | +83.1% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済投資口数(自己投資口含む) | 36.46百万株 |
| 自己投資口数 | 2.78百万株 |
| 期中平均投資口数 | 33.68百万株 |
| 1口当たり純資産 (NAV) | 3,219.56円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期分配金 | 45.00円 |
| 期末分配金 | 60.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 1,800.00億円 |
| 営業利益予想 | 150.00億円 |
| 経常利益予想 | 150.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 155.00億円 |
| 1口当たり当期純利益予想 (EPU) | 460.24円 |
| 1口当たり分配金予想 (DPU) | 0.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の黒崎播磨は、売上が横ばいながらもコスト効率改善と一過性利益により利益面が大幅に伸長した四半期でした。売上高は884.05億円で前年比+0.4%と安定的、一方で営業利益は74.21億円で+18.1%と二桁増加を確保しました。営業利益率は8.4%に上昇し、前年同期の約7.1%から約126bpの改善と推計されます。粗利益率は20.9%で、原材料価格の安定化や販売ミックス改善が示唆されます。販管費は110.92億円で売上比12.6%と引き締まり、営業レバレッジが効きました。営業外収益は10.22億円・営業外費用4.37億円で、インタレストカバレッジ39.3倍と金利負担への耐性は高水準です。経常利益は80.06億円(+22.4%)と順調ですが、税引前利益は159.11億円と経常段階から大きく跳ねており、特別利益の計上が業績を押し上げました。当期純利益は107.46億円で+158.1%と大幅増、純利益率は12.2%まで上昇し、ROEは9.9%へ改善しています。総資産は1,765.48億円、純資産は1,084.23億円、負債資本倍率は0.63倍と保守的な資本構成を維持しています。流動性は流動比率255%、当座比率216%と厚く、短期支払能力に懸念は見当たりません。売上債権594.82億円・棚卸180.65億円と運転資本が厚く、キャッシュコンバージョンサイクルは相対的に長い構造です。ROICは4.2%と資本効率に課題が残り、品質アラート(<5%)の水準です。営業CF情報が未開示のため、純利益との整合性や一過性利益の現金化状況は検証できません。配当は開示不足ながら、計算上の配当性向は35.6%と保守的なレンジです。総じて、基礎的な収益力(営業段階)の改善は確認できる一方、当期のEPS・ROE押し上げには特別利益の寄与が大きく、来期以降の持続性は営業面の改善継続と資本効率(ROIC)引き上げがカギになります。
ステップ1: ROEを純利益率×総資産回転率×財務レバレッジに分解すると、ROE=12.2%×0.501×1.63≈9.9%です。ステップ2: 今期の改善寄与が最も大きいのは純利益率(特別利益計上により純利益が膨らんだこと)で、営業利益率の改善(約+126bp)も寄与しています。ステップ3: ビジネス上の理由として、(a) 原材料価格と販売価格のスプレッド改善およびミックス改善で粗利率が堅調、(b) 販管費が売上横ばいの中で伸びを抑制し営業レバレッジが発現、(c) 特別利益の計上で税引前利益が経常段階から大きく増加、が挙げられます。ステップ4: 粗利率・販管費効率の改善はある程度持続可能性がある一方、特別利益に依存した純利益率の高止まりは一時的要素が強いと評価します。ステップ5: 懸念トレンドとして、売上+0.4%に対し営業利益+18.1%と利益伸長が売上成長を大きく上回るため、短期的なスプレッド改善・費用抑制の反動リスク、ならびに特別利益剥落時の増益率鈍化を指摘します。
売上は+0.4%と横ばいで、数量・価格要因ともに大幅な伸長は見られません。利益面の伸びは主にマージン改善と特別利益に依存しており、トップライン主導の拡大ではない点に留意が必要です。粗利益率20.9%・営業利益率8.4%への改善は、原料・エネルギーコストの落ち着きや価格転嫁進捗の可能性を示唆します。営業外・特別要因の寄与が大きいことから、来期以降の持続的成長には、(1) 高付加価値耐火物の販売構成比上昇、(2) サービス・エンジニアリングの収益化、(3) 海外事業の安定稼働が鍵となります。売上債権・棚卸の厚さから、受注から売上計上までのリードタイムや在庫回転の更なる改善余地があります。ROIC4.2%は投下資本に対する稼ぐ力が弱く、案件選別・資産入替(低収益資産の圧縮)による資本効率の底上げが課題です。見通しとしては、資源・原燃料価格と主要顧客(鉄鋼・非鉄・セメント等)の稼働度合いが外部ドライバーになります。
流動性は流動比率254.9%、当座比率215.6%と非常に良好で、短期支払い能力に懸念はありません。負債資本倍率0.63倍、長短借入計253.28億円に対し現金101.04億円でネット有利子負債は約152億円と見積もられ、レバレッジは抑制的です。インタレストカバレッジ39.26倍と金利耐性は十分です。満期ミスマッチについては、短期借入金96.64億円に対し現金・当座資産(現金101.04億円+売上債権594.82億円)が潤沢で、流動負債459.28億円を賄える水準です。オフバランス債務についての開示はなく、判断は保留します。自己資本比率は未記載ながら、総資産1,765.48億円・純資産1,084.23億円から約61%と推計され、財務の健全性は高いと評価します。警告条件(流動比率<1.0、D/E>2.0)には該当しません。
営業CF、投資CF、FCFの開示がないため、営業CF/純利益比率やFCF水準を評価できません。税引前利益が経常から大きく跳ねた点から、当期純利益には特別利益の寄与が大きく、現金創出力との乖離が生じている可能性があります。売上債権と棚卸資産の絶対額が大きいため、期中の運転資本増減がキャッシュに与える影響は大きい構造です。営業CF/純利益<0.8の品質リスク判定はデータ不足で不可ながら、次四半期以降は運転資本の回収進捗(売上債権回転、在庫回転)と特別利益のキャッシュ化有無を重点確認すべきです。設備投資額・配当支出の不明確さから、FCFでの株主還元カバー率も算定不能です。
年間配当・配当総額の開示はなく、配当性向のみ35.6%と提示されています。一般論として配当性向<60%は持続可能レンジにありますが、当期は特別利益寄与でEPSが膨らんでいる可能性が高く、実力ベースの配当余力は営業CF次第です。FCFカバレッジは算出不能のため、持続可能性評価は限定的です。純資産水準が厚く、レバレッジが低いことは下支え要因です。今後は(1) 営業CFの安定性、(2) 設備投資計画と減価償却の乖離、(3) ネットデットの推移を確認し、実力ベースの余剰キャッシュが配当を十分に賄えるかを点検する必要があります。
ビジネスリスク:
- 主要顧客(鉄鋼・非鉄・セメント等)の稼働変動による需要ボラティリティ
- 原材料・エネルギー価格の上昇によるマージン圧迫
- 価格転嫁遅延・競争激化によるスプレッド縮小
- 大型案件の採算ブレ(据付・エンジニアリングでのコスト超過)
- 海外拠点の操業リスク(品質・労務・規制)
財務リスク:
- 特別利益依存による純利益の変動拡大と翌期の反動減
- 運転資本の膨張によるキャッシュ創出の遅延
- 金利上昇局面での借入コスト上昇(短期借入96.64億円)
- ROIC低位(4.2%)による資本効率の低下と資本コスト乖離
主な懸念事項:
- 税引前利益>>経常利益の構図から、一過性の特別利益寄与が大きい点
- 営業CF未開示で利益の質検証が不能な点
- 売上伸長が限定的な中、マージン改善の持続性に不確実性
- 売上債権・棚卸の厚さによるキャッシュ回収リスク
重要ポイント:
- 売上横ばいでも粗利改善と費用抑制で営業利益は+18.1%、営業利益率は約+126bp改善
- 税引前利益は特別利益計上で経常を大幅上回り、純利益+158.1%・ROE9.9%まで上昇
- 資本構成は保守的(D/E0.63倍、カバレッジ39倍、流動比率255%)
- 一方でROIC4.2%と資本効率に課題、成長投資の選別と資産入替が必要
- 営業CF・FCF未開示につき利益の質・配当持続性の評価は限定的
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益比率(>1.0が望ましい)
- 特別損益の内訳・再発可能性
- 売上総利益率と価格転嫁進捗
- 売上債権・棚卸の回転日数
- ROIC(>7-8%への改善トレンド)
- 主要エンドマーケット(粗鋼生産・非鉄・セメント)の稼働指標
セクター内ポジション:
財務安全性は同業内でも堅牢だが、ROICは同業優良水準を下回る。今期の収益拡大は一部一過性要因に依存しており、コア収益力(営業CFと営業利益率)の継続改善が相対的評価の鍵。
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