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52082026 第3四半期プライムJGAAP

有沢製作所(5208) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益8%増

2026年度第3四半期の売上高は412.6億円(前年同期比+9.2%)、営業利益は41.1億円(同+8.0%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

素材・化学/化学


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥412.6億¥377.8億+9.2%
営業利益¥41.1億¥38.1億+8.0%
経常利益¥39.9億¥40.9億−2.5%
純利益¥29.8億¥30.0億−0.9%
ROE(年換算)8.2%8.2%-

Executive Summary

2026年度第3四半期累計は増収増益となったが、利益率は粗利低下と為替差損により前年をやや下回った。売上高は412.6億円(前年比+9.2%)、営業利益は41.1億円(同+8.0%)と本業は拡大した一方、経常利益は39.9億円(同-2.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は29.8億円(同-0.9%)といずれも減益となった。主因は粗利率の約0.7pt低下と、前年の為替差益1.8億円から当期の為替差損1.7億円への反転であり、営業段階の増益が営業外損益の悪化で相殺された。

業績変動要因

【売上高】売上高は412.6億円で前年比+9.2%増収した。セグメント別では主力のElectronicMaterialsが267.1億円(構成比64.7%、利益率10.0%)、IndustrialApplicationStructuralMaterialsが96.5億円(構成比23.4%、利益率21.1%)と高採算を維持し、DisplayMaterials(27.5億円、利益率18.5%)、ElectricInsulationMaterials(19.1億円、利益率9.6%)が続く。IndustrialApplicationStructuralMaterialsの利益率21.1%は全社平均10.0%を大きく上回り、収益性の柱となっている。

【損益】営業利益は41.1億円(同+8.0%)で営業利益率は10.0%と前年の10.1%からわずかに低下した。売上原価が10.1%増と売上成長を上回った一方、販管費は4.6%増に抑制され、原価上昇の一部を相殺した。営業外では為替差損1.7億円の発生により経常利益は39.9億円(同-2.5%)に減益し、純利益も29.8億円(同-0.9%)となった。投資有価証券売却益1.1億円を含む特別損益(純益0.9億円)が純利益を補完している。総じて増収増益(営業段階)だが、経常・純利益は為替影響により減益に転じており、増収減益の側面も併存する。

セグメント別分析

ElectronicMaterialsは売上267.1億円・営業利益26.8億円(利益率10.0%)で全社売上の64.7%を占める主力事業。IndustrialApplicationStructuralMaterialsは売上96.5億円・営業利益20.3億円(利益率21.1%)と最も高い採算性を示し、全社営業利益への貢献度も大きい。DisplayMaterials(利益率18.5%)も相対的に高収益で、ElectricInsulationMaterials(利益率9.6%)は他事業より低位にある。事業ポートフォリオ全体では、構造材料・ディスプレイ材料の高採算事業が電子材料事業の規模を補完する構図となっている。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は10.0%で前年10.1%からほぼ横ばい、粗利率は22.9%と前年23.6%から約0.7pt低下し、原価上昇が販管費率改善(13.0%、前年13.6%)で一部相殺された構図である。純利益率は7.2%で前年8.0%から低下し、為替差損の影響が反映されている。【キャッシュ品質】売掛金は209.6億円で前年比+25.7%と売上成長(+9.2%)を大幅に上回り、回収サイクルの長期化がうかがえる。棚卸資産は55.6億円で原材料・仕掛品・製品のバランスは前年と大きな変化はない。【投資効率】年換算ROEは8.2%で、資本効率としては中位的な水準にある。総資産は770.0億円(前年717.4億円)へ拡大し、有形固定資産は234.7億円へ+25.1%増加している。【財務健全性】自己資本比率は63.0%で前年67.7%からやや低下したものの高水準を維持する。一方、短期借入金は91.7億円へ前年比+86.1%増加し、現金及び預金は118.2億円へ-29.9%減少した。短期資金への依存度上昇と現金減少の同時進行は、資金構造の変化として留意される。

キャッシュフロー分析

キャッシュフロー計算書の詳細開示はないが、バランスシートの変化から資金動向を読み取ると、現金及び預金は118.2億円で前年比-29.9%減少し、有形固定資産は+47.1億円増加、売掛金は+42.8億円増加した。これに対し短期借入金は+42.4億円増加し、設備投資や運転資本の積み増しを短期借入で補う形になっている。売掛金増加が回収遅延を伴うものであれば、営業活動によるキャッシュ創出力は売上成長の割に弱まっている可能性があり、フリーキャッシュフローの余力を圧迫する構造とみられる。

収益の質

営業利益41.1億円から経常利益39.9億円への乖離は、営業外収益2.1億円(受取配当0.3億円等)に対し営業外費用3.4億円(支払利息1.3億円、為替差損1.7億円)が上回ったことによる。前年同期は為替差益1.8億円を含む営業外純益2.8億円であったため、当期の営業外純損失1.3億円への反転は、経常利益減益の主因である。特別損益は純益0.9億円(投資有価証券売却益1.1億円が主体)で、純利益29.8億円の約3.3%を占める。この特別利益は再現性の低い一時的要因であり、本業の持続的な収益力を評価する際には除外して考える必要がある。包括利益は31.0億円で純利益29.8億円との差は小さく、その他有価証券評価差額金等の変動要因も限定的である。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想に対する進捗は、売上高が74.6%(予想553.0億円)、営業利益が74.8%(予想55.0億円)であり、第3四半期の標準進捗率75%とほぼ整合的である。経常利益の進捗率は72.5%(予想55.0億円)で標準進捗をやや下回るが、これは為替差損の発生による一時的な要因が主因であり、本業の進捗遅延を示すものではない。純利益は通期予想40.0億円に対し進捗率74.4%となっている。第4四半期における為替影響の抑制と粗利率の安定が、通期計画達成の鍵となる。

株主還元

第2四半期配当は1株44.00円で、通期予想配当は97.00円(前年42円から増額)であり、計画通りであれば期末配当は53.00円となる。累計純利益29.8億円に対する配当性向は、中間配当ベースで49.7%程度である。通期予想EPS120.32円に対する予想配当97.00円から算出される予想配当性向は約80.6%となり、株主還元姿勢は積極的である。ただし配当のみの性向であり自社株買いを含む総還元性向のデータはない。利益計画の達成が、この高水準の配当性向の持続性を左右する前提となる。

リスク要因

  1. 運転資本の滞留: 売掛金が前年比+25.7%の209.6億円へ増加し、売上成長率(+9.2%)を大きく上回っている。回収サイクルの長期化が続けば、売上成長がキャッシュ創出に結びつきにくくなる可能性がある。

  2. 為替感応度: 当期は為替差損1.7億円を計上し、前年同期の為替差益1.8億円から大きく反転した。外貨建て取引・資産負債に起因する為替変動が、営業利益の増益を経常・純利益段階で相殺する構図が生じている。

  3. 短期資金依存の高まり: 短期借入金が前年比+86.1%の91.7億円へ増加し、現金及び預金は-29.9%の118.2億円へ減少した。資金調達の短期化が進んでおり、借換条件や金利環境の変化に対する感応度が高まっている。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率10.0%8.6% (4.3%–12.7%)+1.4pt
純利益率7.2%6.4% (2.8%–10.3%)+0.8pt

自社の収益性は営業利益率・純利益率いずれも業種中央値を上回る水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)9.2%3.3% (-2.1%–8.9%)+5.9pt

売上高成長率は業種中央値を大きく上回り、業種内でも高い成長を示している。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 売上高・営業利益は通期会社計画に対して概ね標準進捗(74~75%)にあり、本業の計画達成可能性は現時点で維持されている。

  2. 営業利益は増益だが、粗利率低下と為替差損の発生により経常利益・純利益は減益となっており、営業段階と最終利益段階で業績の方向性が異なる点が決算上の特徴である。

  3. 売掛金の増加率(+25.7%)が売上成長率(+9.2%)を上回り、これと並行して短期借入金の増加(+86.1%)と現金の減少(-29.9%)が生じている。資金構造の変化として、今後の運転資本管理の動向が注目される。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,392円
base(基準)1,422円
bull(強気)1,446円
算出前提
1株純資産(BPS)1,457円
調整後予想EPS129.3円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向80.6%
予想EPSの信頼度調整×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.98倍 / 11.0倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,385円〜1,461円、ω±0.1で 1,421円〜1,423円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。