- 売上高: 403.67億円
- 営業利益: 9.29億円
- 当期純利益: 7.36億円
- 1株当たり当期純利益: 36.53円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 403.67億円 | 393.27億円 | +2.6% |
| 売上原価 | 315.68億円 | - | - |
| 売上総利益 | 77.59億円 | - | - |
| 販管費 | 74.45億円 | - | - |
| 営業利益 | 9.29億円 | 3.13億円 | +196.8% |
| 営業外収益 | 4.27億円 | - | - |
| 営業外費用 | 4.27億円 | - | - |
| 経常利益 | 6.39億円 | 3.13億円 | +104.2% |
| 法人税等 | 8.30億円 | - | - |
| 当期純利益 | 7.36億円 | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.24億円 | 16.34億円 | -55.7% |
| 包括利益 | -49百万円 | 21.81億円 | -102.2% |
| 減価償却費 | 27.09億円 | - | - |
| 支払利息 | 1.89億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 36.53円 | 82.41円 | -55.7% |
| 1株当たり配当金 | 24.00円 | 24.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 622.64億円 | - | - |
| 現金預金 | 94.31億円 | - | - |
| 売掛金 | 258.84億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 126.19億円 | - | - |
| 固定資産 | 585.00億円 | - | - |
| 有形固定資産 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 33.98億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -32.64億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 1.8% |
| 粗利益率 | 19.2% |
| 流動比率 | 165.6% |
| 当座比率 | 132.0% |
| 負債資本倍率 | 1.15倍 |
| インタレストカバレッジ | 4.92倍 |
| EBITDAマージン | 9.0% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +2.6% |
| 営業利益前年同期比 | +2.0% |
| 経常利益前年同期比 | +1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -55.7% |
| 包括利益前年同期比 | +3.2% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 20.65百万株 |
| 自己株式数 | 814千株 |
| 期中平均株式数 | 19.84百万株 |
| 1株当たり純資産 | 2,857.64円 |
| EBITDA | 36.38億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 24.00円 |
| 期末配当 | 25.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 850.00億円 |
| 営業利益予想 | 28.00億円 |
| 経常利益予想 | 24.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 18.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 90.73円 |
| 1株当たり配当金予想 | 25.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
荒川化学工業(4968)の2026年度第2四半期(上期)連結決算は、売上高403.7億円(前年同期比+2.6%)、営業利益9.29億円(同+196.0%)と、緩やかな売上成長に対し大幅な利益改善を示しました。粗利率は19.2%で、コストコントロールと価格転嫁の進捗がうかがえます。営業利益率は2.30%(前年推定約0.8%)へ約1.5pt改善し、固定費の吸収による営業レバレッジが強く作用しました。一方で、経常利益は6.39億円と営業利益を下回り、金利負担(支払利息1.89億円)や非営業損益の逆風が示唆されます。当期純利益は7.24億円(同-55.7%)と大幅減益で、前年に一過性の特別利益があった可能性、または今期も特別要因が絡む可能性が高いです(税金等8.30億円が経常段階を上回る一方、純利益は黒字であるため、特別損益・非支配株主損益などの詳細開示が不足しています)。ROEは1.28%(デュポン分解:純利益率1.79%、総資産回転率0.333回、財務レバレッジ2.14倍)で、利益率と回転率の低さが自己資本効率の抑制要因です。営業CFは33.98億円と純利益の約4.7倍に達し、利益のキャッシュ化は良好です。流動比率165.6%、当座比率132.0%と短期流動性は健全で、インタレストカバレッジ(EBIT/支払利息)4.9倍も最低限の安全域を確保しています。貸借対照表は総資産1,212.6億円、純資産566.9億円で、当社試算の自己資本比率は約46.8%とみられ、過度なレバレッジは確認されません。棚卸資産は126.2億円で運転資本2,465.6億円の約51%を占め、需要鈍化局面では在庫循環のリスク管理が重要です。キャッシュフロー面では投資CFの開示が限定的で、名目上のフリーCF算定ができない点は評価の不確実性を高めます。配当は年0円・配当性向0%で、現時点では内部資金充当(在庫・運転資金・負債削減)を優先している可能性があります。原材料価格(ロジン系、石油化学系)とエネルギーコストの動向、価格改定の継続性、紙・包装やエレクトロニクス向け需要のトレンドが今後の収益性を左右します。総じて、営業段階の改善は明確でキャッシュ創出は堅調ですが、純利益のボラティリティ(特別要因や非営業損益)、投資CFの不透明感、在庫の厚みが引き続き注視点です。データはJGAAPベースで、一部指標に不記載項目があり、そこから生じる前提置きを伴う点に留意が必要です。
ROE分解(デュポン): 純利益率1.79% × 総資産回転率0.333回 × 財務レバレッジ2.14倍 = ROE 1.28%。純利益率: 売上総利益率19.2%に対し、営業利益率2.30%(929百万円/40,367百万円)と粗利から販管費・償却の吸収に改善が見られる一方、経常段階では支払利息1.89億円や非営業損益で伸びが抑制。純利益率は特別要因の影響が残存の可能性。営業レバレッジ: 売上+2.6%に対し営業利益+196%と高い弾性。前年の営業利益は約31.4億円と推定され、営業利益率は約0.8%→2.3%へ改善。EBITDA: 36.38億円、EBITDAマージン9.0%と再投資余力の回復が示唆。インタレストカバレッジ4.9倍は許容範囲だが、金利上昇・借換条件次第ではマージンを圧迫し得る。総資産回転率0.333回は資産効率の課題を示し、在庫・設備の回転改善余地が大きい。
売上の持続可能性: 上期+2.6%と小幅成長。紙・包装・接着・エレクトロニクス向けの樹脂・ロジン誘導体の価格改定継続と数量維持が前提。原材料の軟化が一巡し需要が戻ると、数量寄与余地。利益の質: 営業段階は大幅改善(マージン+約1.5pt)。ただし純利益は-55.7%で一過性要因の影響が大きく、平常化すれば純利益率は営業段階に収斂。見通し: 価格改定の粘着性、原材料(ガムロジン、トール油、ナフサ系)とエネルギーのボラティリティ、アジア需要の回復度合いが鍵。構造的には高付加価値製品ミックスと工程改善が続けば、営業利益率3%台への定常化が射程(前提: 粗利率20%前後、販管費率・償却の効率化)。
流動性: 流動比率165.6%、当座比率132.0%で短期支払能力は良好。運転資本2,465.6億円のうち在庫1,261.9億円が厚く、在庫循環の管理が鍵。支払能力: インタレストカバレッジ(EBIT/利息)4.9倍に加え、営業CF/利息は約18.0倍(3,398百万円/189百万円)でキャッシュベース耐性は高い。資本構成: 総資産1,212.6億円、純資産566.9億円より、当社試算の自己資本比率は約46.8%、負債資本倍率1.15倍と中庸。財務CFは-32.64億円で、有利子負債返済やリース支払等によるデレバレッジの可能性。
利益の質: 営業CF/純利益4.69倍と高く、損益に対するキャッシュ創出は良好。減価償却費27.09億円がEBITDAの大半を占め、非現金費用の寄与が安定。FCF分析: 投資CFの開示が0円(不記載)で、名目のフリーCFは算出不可。営業CF33.98億円に対し、維持更新CAPEX(仮に売上の3–5%: 12–20億円程度)を前提すると、実力ベースFCFはプラスと推定。運転資本: 在庫12,619百万円が運転資金の約51%を占め、在庫圧縮はOCFの更なる押上げ余地。債権回収・債務条件の最適化もCF改善余地。
現状配当は年0円・配当性向0%で、内部留保優先の方針。名目のFCFカバレッジは0.00倍(投資CF不記載のため評価不能)。営業CFの厚みと資本構成(当社試算自己資本比率約46.8%)を踏まえると、配当再開余地は将来的にあり得るが、当面は在庫最適化・有利子負債の圧縮・選択的投資に資金を振り向ける局面とみる。安定配当の前提は、営業利益率の3%台定着と投資CFの可視化、ならびに継続的な正のFCFの確認。
ビジネスリスク:
- 原材料価格(ガムロジン、トール油、石油化学系)の高騰・変動
- エネルギーコスト上昇による製造コスト押し上げ
- 紙・包装・エレクトロニクス向け需要の景気連動性
- 価格転嫁の遅れ・顧客交渉力の制約
- 製品ミックス悪化(汎用品比率上昇)によるマージン希薄化
- 海外(中国・東南アジア)需要・サプライチェーンの不確実性
- 環境規制・化学物質規制強化への対応コスト
- 工場稼働トラブル・品質不具合・事故リスク
財務リスク:
- 金利上昇局面での利払い負担増(インタレストカバレッジ4.9倍の低下リスク)
- 在庫積み上がりに伴う運転資金負担増・評価損リスク
- 為替変動による原材料調達コスト・外貨売上の変動
- 特別損益のボラティリティによる純利益の不安定化
- 投資CF不開示に伴うFCFの不確実性
主な懸念事項:
- 純利益の大幅減益(-55.7%)と非営業・特別要因の影響度合い
- 投資CF未開示によりFCF・資本配分の見通しが立てにくい点
- 在庫比率の高さと需要鈍化局面での回転低下リスク
重要ポイント:
- 営業段階の収益性は明確に改善(営業利益+196%、営業利益率2.30%)。
- 営業CFは純利益の約4.7倍とキャッシュ創出は強い。
- ROEは1.28%と低位で、利益率と資産回転率の改善が必要。
- 短期流動性は良好(流動比率165.6%、当座比率132.0%)。
- 金利負担と非営業損益が経常・最終利益の伸びを抑制。
- 投資CF不開示によりFCF評価の不確実性が残る。
注視すべき指標:
- 粗利率・営業利益率(価格改定の粘着性と原材料反映の速度)
- 在庫回転日数・棚卸資産水準
- 営業CFとCAPEX(維持・成長別の内訳)
- インタレストカバレッジと有利子負債残高
- 製品ミックス(高付加価値比率)と地域別需要動向
- 特別損益・非支配損益の影響度合い
セクター内ポジション:
国内中堅の機能性化学・樹脂メーカー群の中で、2026年度上期は営業改善の度合いが比較的強い一方、最終利益のボラティリティと資産回転率の低さが同業上位の高収益企業(高ROE・高回転型)に対する相対的な弱点。中期的にはミックス高度化と運転資本効率化が進めば、同業中位レンジへの回帰・改善余地はある。
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