- 売上高: 734.95億円
- 営業利益: 85.15億円
- 当期純利益: 84.53億円
- 1株当たり当期純利益: 169.50円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 734.95億円 | 716.45億円 | +2.6% |
| 売上原価 | 431.47億円 | 420.01億円 | +2.7% |
| 売上総利益 | 303.47億円 | 296.43億円 | +2.4% |
| 販管費 | 218.32億円 | 202.72億円 | +7.7% |
| 営業利益 | 85.15億円 | 93.71億円 | -9.1% |
| 営業外収益 | 8.59億円 | 6.30億円 | +36.3% |
| 営業外費用 | 85百万円 | 2.77億円 | -69.3% |
| 経常利益 | 92.88億円 | 97.23億円 | -4.5% |
| 税引前利益 | 97.94億円 | 101.70億円 | -3.7% |
| 法人税等 | 28.73億円 | 29.68億円 | -3.2% |
| 当期純利益 | 84.53億円 | 80.03億円 | +5.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 69.21億円 | 72.01億円 | -3.9% |
| 包括利益 | 89.09億円 | 58.46億円 | +52.4% |
| 減価償却費 | 42.26億円 | 40.38億円 | +4.7% |
| 支払利息 | 22百万円 | 24百万円 | -8.3% |
| 1株当たり当期純利益 | 169.50円 | 175.04円 | -3.2% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 168.63円 | 174.27円 | -3.2% |
| 1株当たり配当金 | 74.00円 | 31.00円 | +138.7% |
| 年間配当総額 | 28.79億円 | 28.79億円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 749.97億円 | 722.41億円 | +27.56億円 |
| 現金預金 | 348.54億円 | 273.96億円 | +74.58億円 |
| 売掛金 | 176.51億円 | 176.53億円 | -2百万円 |
| 棚卸資産 | 87.50億円 | 80.53億円 | +6.97億円 |
| 固定資産 | 721.54億円 | 722.62億円 | -1.08億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 112.47億円 | 139.47億円 | -27.00億円 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -69.14億円 | -93.86億円 | +24.72億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -54.89億円 | -26.99億円 | -27.90億円 |
| フリーキャッシュフロー | 43.33億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 営業利益率 | 11.6% |
| 総資産経常利益率 | 6.4% |
| 配当性向 | 40.0% |
| 純資産配当率(DOE) | 2.4% |
| 1株当たり純資産 | 3,038.39円 |
| 純利益率 | 9.4% |
| 粗利益率 | 41.3% |
| 流動比率 | 513.3% |
| 当座比率 | 453.4% |
| 負債資本倍率 | 0.19倍 |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +2.6% |
| 営業利益前年同期比 | -9.1% |
| 経常利益前年同期比 | -4.5% |
| 当期純利益前年同期比 | +5.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -3.9% |
| 包括利益前年同期比 | +52.4% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 42.71百万株 |
| 自己株式数 | 2.26百万株 |
| 期中平均株式数 | 40.84百万株 |
| 1株当たり純資産 | 3,048.85円 |
| EBITDA | 127.41億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 31.00円 |
| 期末配当 | 39.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| ASIA | 1.94億円 | 48.92億円 |
| JAPAN | 27.65億円 | 37.89億円 |
| USA | 1.30億円 | -2.86億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 765.00億円 |
| 営業利益予想 | 94.30億円 |
| 経常利益予想 | 100.50億円 |
| 当期純利益予想 | 38.50億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 73.20億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 180.97円 |
| 1株当たり配当金予想 | 50.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q4の長谷川香料は、売上成長を確保した一方で利益率が低下し、営業利益・純利益は減益となったが、キャッシュフローと財務基盤は極めて健全だった。売上高は734.95億円で前年比+2.6%と増収、営業利益は85.15億円で同-9.1%、経常利益は92.88億円で同-4.5%、当期純利益は69.21億円で同-3.9%となった。営業利益率は11.6%(=85.15/734.95)で、前年の約13.1%から約150bp低下したと推定される。純利益率は9.4%で、前年の約10.0%から約60bp低下した計算となる。粗利率は41.3%で、高水準を維持しているが、販管費218.32億円(構成要素のうち、給料及び手当85.02億円が開示)を背景に営業レバレッジが悪化した。営業外収益は8.59億円(うち受取利息3.64億円、受取配当2.49億円)で、営業外収入比率は12.4%と利益の下支え要因となった。ROEは5.6%(デュポン分解:純利益率9.4%、総資産回転率0.499、財務レバレッジ1.19倍)と、利益率の低下と低レバレッジ構造を反映し控えめ。ROICは6.8%で、一般的な目標レンジ7–8%にわずかに届かない。営業キャッシュフローは112.47億円で、純利益69.21億円に対するカバーは1.63倍と高品質、フリーキャッシュフローも43.33億円とプラスを確保した。投資CFは-69.14億円(設備投資-29.32億円)で、成長投資を継続しつつも資金繰りは良好。財務CFは-54.89億円で、自社株買い-22.38億円等の株主還元を実施したとみられる。流動比率513%・当座比率453%と潤沢な流動性、負債資本倍率0.19倍、インタレストカバレッジ387倍と財務安全性は非常に高い。営業CF/純利益が1.63倍であり、利益の質は総じて良好と評価できる一方、営業利益率の約150bp低下はコスト上昇や販管費の伸び、価格転嫁のタイムラグを示唆する。将来に向けては、価格改定の進捗、原材料・エネルギーコストの動向、賃金上昇の吸収、海外展開による総資産回転率の改善が利益率・ROIC回復の鍵となる。なお、配当実額は未開示だが、配当性向(計算値)43.2%とFCFカバレッジ1.45倍から、現状の株主還元は無理のない範囲とみられる。XBRLの一部指標(例:営業利益率0.1%など)はデータ仕様による数値乖離の可能性があり、本分析では計算値を重視した。持分法投資利益の開示はなく、同社は総合商社ではないため商社特有の評価指標の適用は限定的である。総じて、堅固なバランスシートと高品質キャッシュフローを背景に下方耐性は高いが、短期的なマージンプレッシャーがROE/ROICを抑制している。
ステップ1(ROE分解):ROE 5.6% = 純利益率9.4% × 総資産回転率0.499 × 財務レバレッジ1.19倍。ステップ2(変化の大きい要素):売上+2.6%に対し営業利益-9.1%、純利益-3.9%であり、主要な変化は利益率低下(営業利益率約-150bp、純利益率約-60bp)。総資産回転率やレバレッジは大きく変化した兆候は乏しく、ROE低下の主因はマージンの圧縮と推定。ステップ3(ビジネス上の理由):販管費(人件費中心)の増勢、原材料・エネルギー価格や物流費の上昇、価格転嫁のタイムラグが営業レバレッジを悪化させた可能性が高い。また無形資産・のれん(無形固定資産235.17億円、のれん73.06億円)の増加は償却・減価費用の負担を通じて営業利益率に重石となり得る。ステップ4(持続性評価):コスト高は一部循環的だが、人件費の上昇は構造的。価格改定と製品ミックス改善が進めば改善余地はあるものの、短期的にはマージン回復は段階的となる公算。ステップ5(懸念トレンド):販管費の伸びが売上の伸びを上回っている兆し(営業利益の減益が示唆)。また営業外収益への依存(営業外収入比率12.4%)が純利益平準化に寄与しており、コア利益の伸び悩みは課題。
売上は+2.6%と堅調だが、価格改定・数量動向・地域別ミックスの詳細は未開示で、成長の質評価には制約がある。粗利率41.3%は製品の付加価値の高さを示す一方、販管費増で営業レバレッジが効いていない。R&D費用は未開示だが、香料業は新製品導入と顧客案件獲得が成長ドライバーであり、開発パイプラインの厚みが中期的な売上持続性を左右する。営業外で受取利息・配当が増益を補完しており、資産運用収益の寄与が継続する可能性。為替や原材料(バニラ、柑橘、合成香料中間体など)の価格変動はトップライン・粗利率に影響しうる。無形資産・のれんの厚みはM&Aや海外展開の成果を反映する一方で、償却・減損リスクも伴う。来期の見通しとしては、価格転嫁の浸透、コストディスインフレ、供給制約の緩和が進めば営業利益率の緩やかな回復余地。総資産回転率0.499は効率改善余地があり、在庫と売掛の回転改善が成長とROICの両立に寄与。データ制約(事業別・地域別内訳、価格/数量分解未開示)に留意。
流動比率513.3%、当座比率453.4%と非常に強固で、流動比率<1.0の警告には該当しない。負債資本倍率0.19倍でD/E>2.0の警告にも該当しない。総資産1,471.51億円に対し負債合計238.26億円、自己資本比率は未開示だが実質的に高水準と推定。現金預金348.54億円、流動資産749.97億円に対し流動負債146.11億円で満期ミスマッチリスクは極めて低い。買掛金58.12億円に対し売掛金176.51億円・棚卸87.50億円で運転資本に余裕。金利負担は軽微でインタレストカバレッジ387倍。オフバランス債務(リース、保証等)の開示はなく、評価には限界があるが、全体として支払能力は極めて高い。
営業CF112.47億円は純利益69.21億円の1.63倍で品質良好(ベンチマーク>1.0)。営業CFはEBITDA127.41億円に概ね整合し、運転資本の大幅な引き締め/拡大を示唆する兆候は限定的。投資CF-69.14億円(設備投資-29.32億円)は成長投資を吸収しつつも、FCF43.33億円を確保。財務CF-54.89億円は自社株買い-22.38億円等の株主還元実施を示唆。営業CF/純利益<0.8の品質懸念には該当せず、運転資本操作の兆候も限定的。今後は在庫回転・売掛回転の改善がさらなるCF創出に寄与しうる。
配当金実額は未開示だが、配当性向(計算値)43.2%はベンチマーク<60%の範囲で持続可能性は高い。FCFカバレッジ1.45倍とFCFでの配当賄い能力は良好。自社株買い-22.38億円を含む総還元でも、強固なネットキャッシュと高い営業CFが下支え。今後の配当方針は、利益成長と投資需要(無形・有形)とのバランスの下で安定配当+機動的自己株取得の継続が想定される。データ制約として、年間配当額・配当方針の定量開示がなく、精緻評価には限界がある。
ビジネスリスク:
- 原材料価格変動(バニラ、柑橘、石油系中間体等)による粗利率圧迫
- 価格転嫁のタイムラグに伴うマージン変動
- 主要顧客(食品・飲料・日化向け)需要減速や案件切替リスク
- 新製品開発・規制対応(食品安全・香料規制)遅延リスク
- 為替変動による売上・仕入・資産評価への影響
財務リスク:
- 無形資産・のれんの厚み(無形235.17億円、のれん73.06億円)に伴う減損リスク
- 金利上昇局面での資産運用収益変動(営業外収益の一部変動性)
- 在庫評価損の顕在化リスク(原材料価格下落時)
主な懸念事項:
- 営業利益率の約150bp縮小にみられるコスト上昇圧力と販管費増
- ROIC 6.8%と資本コスト対比での改善余地
- 営業外収益(12.4%)への依存度上昇がコア利益の伸び悩みを覆い隠す可能性
- 事業別・地域別、価格/数量分解、配当実額など開示不足による評価不確実性
重要ポイント:
- 増収もマージン縮小で減益、営業利益率は約11.6%へ低下(約-150bp)
- ROE 5.6%、ROIC 6.8%と資本効率は中立〜やや弱含み
- 営業CF/純利益1.63倍、FCF43.33億円でキャッシュ創出は堅調
- 超健全なバランスシート(流動比率513%、負債資本倍率0.19倍)で下方耐性が高い
- 自社株買い実施など株主還元余力は十分だが、コア利益成長が中期課題
注視すべき指標:
- 価格改定の進捗と粗利率の回復度合い
- 販管費(特に人件費)伸び率と売上成長率のギャップ
- 在庫・売掛の回転改善(総資産回転率0.499の引き上げ)
- ROICの7–8%超回復の道筋
- 営業外収益依存度の推移(コア収益の伸長)
セクター内ポジション:
同業国内香料大手の中で、財務健全性とキャッシュ創出力は最上位水準だが、当期はマージン面で伸び悩み、資本効率(ROE/ROIC)は中位。価格転嫁とコストコントロールの進捗が相対的な競争力を左右する局面。
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