- 売上高: 274.13億円
- 営業利益: 80.08億円
- 当期純利益: 25.95億円
- 1株当たり当期純利益: 117.85円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 274.13億円 | 214.68億円 | +27.7% |
| 売上原価 | 21.40億円 | - | - |
| 売上総利益 | 193.27億円 | - | - |
| 販管費 | 158.69億円 | - | - |
| 営業利益 | 80.08億円 | 34.57億円 | +131.6% |
| 営業外収益 | 2.13億円 | - | - |
| 営業外費用 | 53百万円 | - | - |
| 経常利益 | 79.21億円 | 36.18億円 | +118.9% |
| 税引前利益 | 36.16億円 | - | - |
| 法人税等 | 10.20億円 | - | - |
| 当期純利益 | 25.95億円 | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 54.48億円 | 25.95億円 | +109.9% |
| 包括利益 | 58.48億円 | 30.33億円 | +92.8% |
| 支払利息 | 0円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 117.85円 | 54.51円 | +116.2% |
| 1株当たり配当金 | 0.00円 | 0.00円 | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 164.41億円 | 119.33億円 | +45.08億円 |
| 現金預金 | 92.81億円 | 55.89億円 | +36.92億円 |
| 売掛金 | 48.30億円 | 42.12億円 | +6.18億円 |
| 棚卸資産 | 5百万円 | - | - |
| 固定資産 | 105.36億円 | 91.54億円 | +13.82億円 |
|
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 19.9% |
| 粗利益率 | 70.5% |
| 流動比率 | 156.4% |
| 当座比率 | 156.4% |
| 負債資本倍率 | 0.66倍 |
| 実効税率 | 28.2% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +27.7% |
| 営業利益前年同期比 | +131.6% |
| 経常利益前年同期比 | +118.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +109.9% |
| 包括利益前年同期比 | +92.8% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 52.76百万株 |
| 自己株式数 | 6.51百万株 |
| 期中平均株式数 | 46.23百万株 |
| 1株当たり純資産 | 351.53円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 30.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 372.02億円 |
| 営業利益予想 | 90.51億円 |
| 経常利益予想 | 90.32億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 62.80億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 135.82円 |
| 1株当たり配当金予想 | 40.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q3のサイボウズは、売上・利益ともに大幅な増収増益で、収益性が大きく改善した四半期でした。売上高は274.13億円で前年同期比+27.7%と高い伸びを確保し、営業利益は80.08億円で+131.6%と売上成長を大きく上回るペースで拡大しました。経常利益は79.21億円で+118.9%、当期純利益は54.48億円で+109.9%と二桁台後半の伸びを示しています。粗利益率は70.5%と高水準で、ソフトウェア(SaaS)モデルらしい高い限界利益構造が確認できます。営業利益率は29.2%(=80.08/274.13)と非常に高く、前年の推定約16.1%から約1,310bpの大幅な拡大が推測されます(営業利益の+131.6%、売上の+27.7%から逆算)。純利益率も19.9%と、前年の推定約12.1%から約780bp改善したと見込まれます。総資産回転率は1.016倍、財務レバレッジは1.66倍で、デュポン分解上のROEは33.5%と非常に高収益でした。流動比率は156.4%、負債資本倍率0.66倍と、流動性・レバレッジともに健全なバランスです。一方で、損益計算書の内訳にはいくつかの不整合が見られます(例:売上総利益と販管費、営業利益の勘定連関の不一致、経常利益と税引前利益の関係など)。これらはXBRLの区分・再分類や一過性損益の影響の可能性があり、詳細注記の確認が必要です。キャッシュフロー計算書が未開示のため、営業CF対純利益やフリーCFの水準は評価不能で、利益の質(現金裏付け)に関する不確実性は残ります。税率は実効税率28.2%と標準的ですが、税引前利益の開示値と純利益の整合性に疑義があるため、特別損益の影響を含む再確認が望まれます。財務ポジションは潤沢な現金(92.81億円)と低有利子負債(長期借入金0.27億円)で保守的です。配当性向は計算値で29.1%と無理のない水準ですが、配当総額やFCFとの整合が不明なため持続可能性の最終判断は留保します。総じて、トップラインの力強さと営業レバレッジの発現により利益率が大幅に改善、ROEも高水準で、短期的な業績モメンタムは強いと評価します。今後は、営業CFの裏付け、費用の恒常構造(広告・人件費・クラウド運用費)と一過性要因の切り分け、ならびに特別損益の有無の確認が重要です。SaaSモデルの特性から、解約率・アップセル動向・価格改定の受容度が今後の持続的な利益率に直結します。データ不整合の存在を踏まえ、最終的な結論には注記情報の精査が前提となります。
【デュポン分解】ROE(33.5%) = 純利益率(19.9%) × 総資産回転率(1.016) × 財務レバレッジ(1.66)。今回のROE上昇の主因は純利益率の大幅改善(前年推定約12.1%→19.9%)で、営業レバレッジが強く効いたとみられます。売上成長(+27.7%)に対し、営業利益が+131.6%と急伸しており、固定費の希薄化や単価・構成改善、クラウド運用費の効率化などが背景にある可能性が高いです。総資産回転率は1.016倍と前年からの大幅な構造変化は想定しづらく、ROE変動への寄与は限定的と推定します。財務レバレッジは1.66倍と保守的で、ROEに与える増幅効果は中程度にとどまります。販管費率は売上対比で57.9%(=158.69/274.13)と計算されますが、売上総利益(193.27)-販管費(158.69)=34.58であり、営業利益(80.08)と整合しないため、勘定再分類や一過性要因の計上が示唆されます。粗利率は70.5%と引き続き高水準で、価格・ミックスまたはスケールメリットの寄与が示唆されます。営業利益率は29.2%で、前年推定16.1%比+1,310bpの改善。一方、経常から税前へのブリッジにギャップがあり、特別損益の存在が利益率評価を歪めている可能性があります。持続性評価としては、SaaSの解約率が安定、チャーンを上回るネットリテンション、継続的なアップセル・価格改定浸透が前提であれば、一定のマージン改善は維持可能ですが、広告投資再加速や人員増強局面では逆風もあり得ます。警戒点として、(1)販管費成長率が四半期ベースで再加速した場合の営業レバレッジの反転、(2)一過性費用・収益の振れ、(3)サーバーコストや外部クラウド費のインフレを挙げます。
売上は+27.7%と力強い伸びで、顧客基盤拡大、単価・ミックス改善、及びクロスセルの寄与が示唆されます。営業利益+131.6%は、固定費の希薄化および高粗利のサブスクリプション比率上昇の可能性を示しています。営業外収益は2.13億円(受取配当0.15、受取利息0.05を含む)と小さく、成長は本業主導です。売上総利益率70.5%は、価格競争の熾烈化が限定的であるか、付加価値機能の浸透が進んでいる兆候と解釈できます。販売費および一般管理費は158.69億円と大きいものの、売上拡大が上回り営業レバレッジが顕在化しました。もっとも、損益勘定間の整合性に不一致があるため、一過性費用・収益の影響度を注記で要確認です。中期見通しでは、(1)価格改定の継続性、(2)新機能によるARPU上昇、(3)直販・パートナー経由の新規獲得効率、(4)解約率の安定化が持続成長の鍵です。海外展開やエンタープライズ案件の拡大が続けば、平均契約単価と継続率の押し上げが期待されますが、競合環境(国産SaaS/海外SaaS)次第で成長率の変動も想定されます。
流動比率156.4%、当座比率156.4%と流動性は十分で、短期債務返済能力は高いです。総資産269.77億円に対し、現金預金92.81億円、売掛金48.30億円と流動資産の質も比較的良好です。負債合計107.21億円のうち流動負債105.11億円と短期偏重ですが、流動資産164.41億円で十分にカバーされ、満期ミスマッチのリスクは低いと判断します。固定負債は2.09億円、長期借入金0.27億円と有利子負債は極小で、資本構成は保守的です。負債資本倍率0.66倍は健全レンジ内です。オフバランスのコミットメント(リース、SaaSに関するクラウド利用契約の将来支払等)は未把握で、注記確認が必要です。自己資本比率は未記載ですが、純資産162.56億円/総資産269.77億円から約60%台と推計され、財務健全性は高いとみられます。
営業CF、投資CF、フリーCFの開示がなく、営業CF/純利益やFCFの観点から利益の現金裏付けを直接検証できません。SaaS特性上、前受収益・契約資産/負債の変動が営業CFを大きく左右するため、運転資本の動き(特に前受金、売掛金回収)を確認するまで利益の質評価は保留とします。設備投資額や資本化開発費の水準も未記載で、FCF負担の把握ができません。配当と投資の合計に対するFCFカバレッジも算出不能です。現金92.81億円と低借入の構造から短期的な資金余力はあるものの、CF不明確はリスクファクターです。四半期別での売掛金増減や前受金の推移に運転資本操作の兆候がないか、今後の開示で確認が必要です。
年間配当は未記載ですが、配当性向(計算値)29.1%は一般に持続可能な水準です。もっとも、営業CF・FCFの不開示により、配当の現金カバレッジ(FCFカバレッジ)は判定不能です。純利益水準と財務余力(現金多、借入少)から短期的な支払い能力は十分と推測されますが、中期的な配当方針の安定性は、成長投資(人員・開発・海外展開)との配分方針に依存します。自社株買いの有無・規模も未記載のため、総還元性の判断は留保します。今後は、(1)DPS実績、(2)FCF推移、(3)ネットキャッシュ維持方針、(4)ストックオプション希薄化影響を注視したいです。
ビジネスリスク:
- 解約率上昇・ネットリテンション低下に伴う成長失速リスク
- 競合激化(国内外SaaSとの価格・機能競争)による単価・粗利圧迫
- 価格改定の顧客受容低下によるアップセル鈍化
- 大型案件の集中による四半期業績の振れ
- セキュリティ・可用性インシデントによるブランド毀損と解約増
財務リスク:
- キャッシュフロー開示不足による利益の質評価不確実性
- 短期負債比率が高い構造(ただし流動資産で十分カバー)
- 特別損益の振れによる税前・純利益のボラティリティ
- 株式報酬や希薄化(未記載)の潜在的影響
主な懸念事項:
- 損益勘定間の整合性不一致(販管費・営業利益、経常利益・税前利益のギャップ)
- 営業CF・FCF未開示に伴う利益の現金裏付け不明確
- 一過性損益(投資有価証券関連・特損等)の影響度未確認
- クラウドインフラコストや為替(外部サービス支払い)上昇リスク
重要ポイント:
- 売上+27.7%、営業利益+131.6%で営業レバレッジが強く発現
- 営業利益率29.2%、純利益率19.9%へと大幅に改善しROE33.5%を実現
- 流動性・レバレッジは保守的で短期の財務耐性は高い
- CF未開示とPL内訳の不整合により利益の質評価に不確実性
- 今後は解約率、ARPU、価格改定の進捗と運転資本の動向を重視
注視すべき指標:
- 解約率(チャーン)とネットリテンション
- ARPUとアップセル/クロスセル比率
- 営業CF/純利益、FCF、前受金・売掛金の推移
- 販管費率(特に人件費・広告費・クラウド運用費)
- 特別損益の再発性と税前・純利益のブリッジ
セクター内ポジション:
国内SaaS同業内では、当四半期の利益率・ROEはトップクラスだが、CF開示不足と勘定不整合が評価の上値を抑えうる。財務体質は優良で、成長投資と収益性の両立が進めば相対的優位性は維持可能。
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