- 売上高: 2,584.34億円
- 営業利益: 148.78億円
- 当期純利益: 128.02億円
- 1株当たり当期純利益: 194.92円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 2,584.34億円 | 2,601.87億円 | -0.7% |
| 売上原価 | 2,043.12億円 | - | - |
| 売上総利益 | 558.74億円 | - | - |
| 販管費 | 400.77億円 | - | - |
| 営業利益 | 148.78億円 | 157.97億円 | -5.8% |
| 営業外収益 | 29.51億円 | - | - |
| 営業外費用 | 37.84億円 | - | - |
| 経常利益 | 144.54億円 | 149.64億円 | -3.4% |
| 税引前利益 | 166.49億円 | - | - |
| 法人税等 | 38.46億円 | - | - |
| 当期純利益 | 128.02億円 | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 96.65億円 | 126.22億円 | -23.4% |
| 包括利益 | 45.44億円 | 175.81億円 | -74.2% |
| 支払利息 | 19.64億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 194.92円 | 238.27円 | -18.2% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 194.88円 | 238.18円 | -18.2% |
| 1株当たり配当金 | 50.00円 | 50.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 2,169.59億円 | 2,452.82億円 | -283.23億円 |
| 現金預金 | 408.96億円 | 628.55億円 | -219.59億円 |
| 売掛金 | 1,041.81億円 | 1,094.12億円 | -52.31億円 |
| 棚卸資産 | 392.23億円 | 390.04億円 | +2.19億円 |
| 固定資産 | 2,282.85億円 | 2,275.04億円 | +7.81億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 3.7% |
| 粗利益率 | 21.6% |
| 流動比率 | 210.0% |
| 当座比率 | 172.1% |
| 負債資本倍率 | 0.67倍 |
| インタレストカバレッジ | 7.58倍 |
| 実効税率 | 23.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -0.7% |
| 営業利益前年同期比 | -5.8% |
| 経常利益前年同期比 | -3.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -23.4% |
| 包括利益前年同期比 | -74.2% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 50.29百万株 |
| 自己株式数 | 1.90百万株 |
| 期中平均株式数 | 49.59百万株 |
| 1株当たり純資産 | 5,496.59円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 50.00円 |
| 期末配当 | 50.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| ColorantsAndFunctionalMaterialsRelated | 15.76億円 | 13.99億円 |
| PackagingMaterialsRelated | 5.53億円 | 38.75億円 |
| PolymersAndCoatingsRelated | 2.07億円 | 59.31億円 |
| PrintingAndInformationRelated | 21百万円 | 32.23億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 3,550.00億円 |
| 営業利益予想 | 190.00億円 |
| 経常利益予想 | 180.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 155.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 314.49円 |
| 1株当たり配当金予想 | 50.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q3のartience(4634)は、売上微減の中で営業・最終利益が減益となり、収益性と資本効率の課題が浮き彫りになった四半期だったと評価する。売上高は2,584.34億円で前年比-0.7%、営業利益は148.78億円で-5.8%、経常利益は144.54億円で-3.4%、当期純利益は96.65億円で-23.4%と、下流に行くほど減益幅が拡大した。粗利益率は21.6%と一定の水準を維持した一方、営業利益率は5.76%(148.78/2,584.34)で前年の約6.07%から約31bp低下したと推計される。純利益率は3.7%と、前年約4.85%から約111bpの縮小が推計され、税前から最終利得にかけての悪化が大きい。営業外収入29.51億円に対し営業外費用37.84億円で、ネットで約8.33億円のマイナスが経常段階を圧迫した。支払利息は19.64億円と小さくないが、インタレストカバレッジは7.58倍と健全域を維持している。販管費は400.77億円で売上比約15.5%と高止まりし、給料・手当102.01億円、賞与19.63億円が主要ドライバーとなった。ROEは3.6%、ROICは4.2%と資本効率は目標水準(7–8%)に届かず、品質アラートの通り5%を下回る警戒レンジに近い。総資産回転率は0.580倍と効率性に伸び悩み、投資有価証券566.17億円を含む資産構成のリターン最適化余地がうかがえる。流動比率210%、当座比率172.1%と流動性は十分で、短期借入金138.00億円に対し現金408.96億円で短期の支払能力は高い。包括利益は45.44億円と当期純利益96.65億円を大きく下回り、その他包括損益のマイナス(評価差額や為替換算など)が純資産形成を抑制した。配当性向は52.0%と保守的レンジ内だが、キャッシュフロー開示が未記載のためFCFカバレッジの検証はできていない。営業CF/純利益の比率は不明であり、利益のキャッシュ化の確からしさに対する評価は留保が必要。将来に向けては、販管費の抑制と売価転嫁による営業利益率の底上げ、資産ポートフォリオの見直しによるROIC改善、営業外費用(とくに利払等)の抑制が鍵となる。資本効率改善に向けた不採算・低回転資産の整理や、選択的成長投資の実行が重要。グローバル需要や為替、原材料市況の変動に対する感応度管理も収益の安定化に寄与する。短期的にはコストコントロールと価格政策でマージン下支え、中期的には事業ポートフォリオ最適化とROIC改善が主要テーマになるだろう。
デュポン分解では、ROE 3.6% = 純利益率3.7% × 総資産回転率0.580 × 財務レバレッジ1.67倍と整理できる。低下の寄与が最も大きいのは純利益率で、売上横ばいの中で営業外負担と税後段階での落ち込みが効いた。営業段階では営業利益率が約31bp悪化と限定的だが、純利益率は約111bp低下と大きく、非営業損益(営業外費用>営業外収益)と包括損失要因の存在が示唆される。事業面では販管費比率の高止まりと売上微減に伴う営業レバレッジの逆回転が背景にあり、価格転嫁やミックス改善の効果が十分に出きらなかった可能性がある。この純利益率の低下は、利払い・評価性損益・為替影響などマクロ要因の影響が混在しており、短期的には一部一時的要素も含むが、販管費効率と価格政策は構造課題で持続性があると評価する。懸念すべきトレンドとして、売上成長率(-0.7%)に対し販管費が実質的に硬直的で、費用伸長が売上を上回ると営業レバレッジが逆風となる点を指摘する。さらに総資産回転率0.580倍は業界比較で必ずしも高くなく、投資有価証券や低回転資産の圧縮余地がROE改善のレバーになる。
売上は-0.7%と小幅減、外部需要の鈍さや製品ミックス変化の影響が示唆される。粗利率21.6%は一定の防御を示すが、営業利益は-5.8%と売上以上に落ち、価格転嫁やコスト抑制の遅れが見られる。営業外収入比率は30.5%と、収益の一部が非営業に依存しており、持続可能性の観点でコア収益の底上げが必要。当期純利益-23.4%は非営業・税効果・少数株主持分等の影響が大きく、ボラティリティが高い。先行きは、原材料価格の落ち着きと価格政策の継続で営業利益率の回復余地はある一方、為替や金利環境、海外需要の変動がリスク。中期的には、資産効率の改善(低回転資産の圧縮、余剰資産の売却)、選択的R&D・設備投資による高付加価値領域の拡大でROICの引き上げが課題。生産性向上と販管費の柔軟化(変動費化)も成長の質を高めるレバーとなる。
流動比率210.0%、当座比率172.1%と流動性は厚く、流動比率<1.0の警告要件は該当しない。負債資本倍率0.67倍、総負債1,792.87億円に対し純資産2,659.58億円で資本構成は保守的で、D/E>2.0の警告にも該当しない。短期負債1,032.96億円に対し流動資産2,169.59億円で満期ミスマッチリスクは低い。短期借入金138.00億円は現金408.96億円で十分にカバー可能。長期借入金342.99億円はあるが、インタレストカバレッジ7.58倍で債務返済能力は良好。オフバランス債務の開示は本データでは不明で、リースや保証等の潜在債務は評価留保。包括利益が純利益を大きく下回っており、純資産の評価変動(有価証券評価差額、為替換算差額)のボラティリティには注意が必要。
営業CF、投資CF、フリーCFは未記載で、営業CF/純利益の評価は実施不可。したがって、利益のキャッシュ化(営業CF/純利益<0.8の警告判定)の有無は判断留保となる。設備投資額も不明のため、配当+設備投資に対するFCFの持続可能性は検証できない。運転資本は1,136.63億円と厚く、売掛金1,041.81億円・棚卸資産392.23億円が資金を拘束しているため、回転日数の短縮はCF改善余地になりうる。短期借入と買掛金(637.51億円)のバランスからみて、運転資本管理の巧拙が四半期CFの振れを左右する可能性が高い。今後は営業CF、在庫回転、DSO/DPOの開示動向を注視したい。
配当性向(計算値)は52.0%で、一般的な持続可能レンジ(<60%)に収まる。一方で、FCFカバレッジは未記載により検証不可であり、キャッシュ創出力に基づく配当の安全度評価は限定的となる。インタレストカバレッジ7.58倍、流動性の厚さから短期的な配当支払い余力は十分とみられるが、中期的にはROIC 4.2%の低さが自己資本成長と株主還元の両立に制約となりうる。包括損益のマイナスが続く場合、純資産の評価変動がDOEの安定性に影響する可能性もある。安定配当方針を維持するには、コア営業CFの拡大と投資規律の徹底が前提条件。
ビジネスリスク:
- 原材料価格(石化系、溶剤、顔料等)の上昇・スプレッド縮小による粗利圧迫
- 販売数量・製品ミックス悪化に伴う営業レバレッジ逆回転
- 価格転嫁遅延や競争激化による営業利益率の低下
- 海外需要・為替変動による売上・評価損益のボラティリティ
- 高水準の販管費比率(売上比約15.5%)の硬直性
財務リスク:
- 非営業損益のマイナス(営業外費用>営業外収益)継続による純利益率低下
- 有価証券評価や為替換算差額の悪化に伴う包括利益の目減り
- ROIC 4.2%と低水準の資本効率による自己資本成長率の低迷
- 運転資本の肥大(売掛金・在庫)によるキャッシュコンバージョン遅延
- 金利上昇局面での支払利息負担増加リスク
主な懸念事項:
- 当期純利益が-23.4%と大幅減で、純利益率が約111bp悪化している点
- 営業外費用が営業外収入を上回り、経常利益を圧迫している点
- 包括利益が当期純利益を大きく下回り、純資産形成が鈍化している点
- ROICが警戒レンジ(<5%)近傍で資本効率改善が喫緊の課題である点
- キャッシュフロー未開示により利益の質・FCFカバレッジ評価に不確実性がある点
重要ポイント:
- 売上微減下で営業利益率は約31bp悪化、純利益率は約111bp悪化と下流での収益毀損が大きい
- 非営業損益のマイナスが経常・最終段階の減益を拡大
- ROIC 4.2%、ROE 3.6%、総資産回転率0.580倍と資本効率に改善余地
- 流動性・支払能力は強固(流動比率210%、当座比率172%、ICR 7.6x)
- 包括利益が低位で評価差額のボラティリティが純資産形成を抑制
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率(四半期ベースのbp動向)
- 非営業損益(支払利息、為替・有価証券関連損益)
- 営業CF/純利益比率とフリーCF、在庫・売掛金回転日数
- ROIC(NOPATと投下資本の両面)、総資産回転率
- 販管費比率(固定費化の進捗)と価格転嫁率
セクター内ポジション:
財務基盤・流動性は同業内で堅調だが、資本効率(ROIC, ROE)と非営業損益のボラティリティが相対的な弱み。中期的な評価は、コア利益率回復と資産効率改善の実行度に依存する。
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