- 売上高: 13,183.78億円
- 営業利益: 1,905.79億円
- 当期純利益: 1,362.60億円
- 1株当たり当期純利益: 57.19円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 13,183.78億円 | 12,227.47億円 | +7.8% |
| 売上原価 | 7,320.27億円 | - | - |
| 売上総利益 | 4,907.20億円 | - | - |
| 販管費 | 3,570.58億円 | - | - |
| 営業利益 | 1,905.79億円 | 1,397.05億円 | +36.4% |
| 持分法投資損益 | 20.41億円 | - | - |
| 税引前利益 | 1,825.52億円 | 1,336.06億円 | +36.6% |
| 法人税等 | 358.20億円 | - | - |
| 当期純利益 | 1,362.60億円 | 977.86億円 | +39.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,343.36億円 | 969.02億円 | +38.6% |
| 包括利益 | 604.14億円 | 1,476.84億円 | -59.1% |
| 減価償却費 | 467.32億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 57.19円 | 41.26円 | +38.6% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 57.19円 | 41.26円 | +38.6% |
| 1株当たり配当金 | 7.00円 | 7.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 12,167.81億円 | 10,552.08億円 | +1,615.73億円 |
| 売掛金 | 4,782.62億円 | 3,769.76億円 | +1,012.86億円 |
| 棚卸資産 | 2,123.02億円 | 2,024.84億円 | +98.18億円 |
| 固定資産 | 25,773.72億円 | 20,133.74億円 | +5,639.98億円 |
| 有形固定資産 | 5,064.60億円 | 4,787.59億円 | +277.01億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 662.26億円 | - | - |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -812.47億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -212.99億円 | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 3,496.46億円 | 2,883.01億円 | +613.45億円 |
| フリーキャッシュフロー | -150.21億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 10.2% |
| 粗利益率 | 37.2% |
| 負債資本倍率 | 1.33倍 |
| EBITDAマージン | 18.0% |
| 実効税率 | 19.6% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +7.8% |
| 営業利益前年同期比 | +36.4% |
| 税引前利益前年同期比 | +36.6% |
| 当期純利益前年同期比 | +39.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +38.6% |
| 包括利益前年同期比 | -59.1% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 2.37十億株 |
| 自己株式数 | 21.70百万株 |
| 期中平均株式数 | 2.35十億株 |
| 1株当たり純資産 | 693.29円 |
| EBITDA | 2,373.11億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 7.00円 |
| 期末配当 | 8.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 18,200.00億円 |
| 営業利益予想 | 2,440.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 1,620.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 68.97円 |
| 1株当たり配当金予想 | 8.00円 |
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2025年度Q3の日本ペイントHDは、売上高+7.8%、営業利益+36.4%と大幅な増益で、利幅拡大が牽引した力強い四半期でした。売上高は13,183.78億円に達し、粗利は4,907.20億円、営業利益は1,905.79億円、当期純利益は1,343.36億円で前年比+38.6%を確保しています。営業利益率は14.5%(=1,905.79/13,183.78)まで改善し、前年の推計11.4%から約303bpの拡大とみられます。純利益率も10.2%と高水準で、前年の推計7.9%比で約226bp改善しています。粗利益率は37.2%と高止まりしており、原材料コストの沈静化や価格改定、ミックス改善の寄与が示唆されます。販管費は3,570.58億円で売上比27.1%と抑制が効いており、営業レバレッジが働いた構図です。持分法投資利益は20.41億円で全体利益に占める比率1.1%と小さく、本業の収益性が主役となりました。ROEは8.2%(純利益率10.2%×総資産回転率0.347×レバレッジ2.33倍)で、資本効率はROIC 9.4%と合わせて基準(7–8%)を上回る良好な水準です。一方、営業キャッシュフローは662.26億円と純利益に対して0.49倍にとどまり、利益の現金化には課題が残ります。フリーキャッシュフローは-150.21億円で、配当支払(-351.56億円)を十分に賄えていません。現金同等物は3,496.46億円と潤沢で短期の資金繰り余力はありますが、運転資本増加が続く場合はFCFの制約要因となり得ます。貸借対照表は総資産37,941.53億円、自己資本16,284.07億円で自己資本比率42.4%、負債資本倍率1.33倍とバランスは許容範囲です。のれんは15,238.84億円と資産の約40%を占め、外部環境悪化時の減損リスクには注意が必要です。営業外収支や利息費用の明細が未開示でインタレスト・カバレッジ評価はできませんが、税率19.6%と平常水準です。利益は質的に強いが、CF面の裏付けが弱いというミスマッチが本四半期の最大の留意点です。今後は原材料価格の安定と価格転嫁の定着で利幅維持が見込まれる一方、中国・建築需要や為替のボラティリティ、運転資本の膨張が下押し要因になり得ます。全体として、収益力は改善トレンドにあるものの、キャッシュ創出力の回復と運転資本効率の改善が次の焦点です。
【デュポン分解】ROE 8.2% = 純利益率10.2% × 総資産回転率0.347 × 財務レバレッジ2.33倍。最も変化が大きい要素は純利益率で、営業利益率が前年推計11.4%→14.5%へ約303bp改善、純利益率も約226bp改善した点がROE押し上げの主因です。ビジネス要因としては、原材料コストの沈静化、価格改定の浸透、製品・地域ミックスの改善、および販管費率の抑制が寄与したと考えられます。一方で総資産回転率0.347は、売上伸長にもかかわらず運転資本(売掛金・棚卸資産)への投下が重く、改善は限定的と推察されます。これらの変化の持続性は、原材料環境と価格政策の継続可否に依存し、短中期的には持続可能性がある一方、需要軟化局面ではミックス効果の剥落に留意が必要です。懸念トレンドとして、売上成長(+7.8%)に対し営業CFが伸び悩み(営業CF/純利益=0.49)、キャッシュベースの資産回転が劣後している点を指摘します。
売上成長は+7.8%と堅調で、値上げ定着と一部需要回復が背景とみられます。営業利益は+36.4%と売上を大幅に上回り、マージン拡大が成長のドライバーです。粗利率37.2%は高水準で価格/コストスプレッドが改善。持分法寄与は1.1%と限定的で、成長は本業中心の質の高い構成です。一方、運転資本の増勢が示唆され、売上の伸びに対しキャッシュ創出が遅行しています。ROIC 9.4%は資本コスト上回りで価値創造を示唆。今後は原材料価格の安定、価格統制の継続、プレミアム製品シフトで利幅維持が期待されますが、中国住宅市場や為替のボラティリティがボリューム面の下押しリスク。短期的には高い利益率の維持、中期的には運転資本効率化(DSO/DIO短縮)によるキャッシュ創出改善が成長持続の鍵です。
自己資本比率42.4%、負債資本倍率1.33倍で資本構成は中庸からやや保守的。総資産37,941.53億円に対し純資産16,284.07億円、財務レバレッジは2.33倍。現金同等物は3,496.46億円と厚く、短期の流動性は良好。流動比率・当座比率は未開示で完全な評価不可。短期・長期借入の内訳や利払い負担は未開示のため、インタレストカバレッジ評価は不能。満期ミスマッチは、売掛金4,782.62億円と棚卸2,123.02億円を背景に一定の運転資本需要があるが、短期負債明細が不明で定量評価不可。のれん15,238.84億円(総資産の約40%)は減損リスクの潜在が大きく、環境悪化時の自己資本毀損に留意が必要。オフバランス債務(リース、保証等)は資料から把握不可。
営業CFは662.26億円で純利益1,343.36億円に対し0.49倍と品質面で警戒シグナル(基準<0.8)。要因として、売掛金・棚卸資産の積み上がり等の運転資本増加が示唆されます。減価償却費467.32億円を踏まえると、EBITDA2,373.11億円に比しキャッシュ創出が弱く、運転資本の吸収が顕著。投資CFは-812.47億円で、うち設備投資-357.85億円は堅実な水準だが、その他投資(M&A等)の可能性は未開示。FCFは-150.21億円で、配当-351.56億円をカバーできず、期内は現金残高や財務CFで補填。運転資本操作の兆候として、売上増加局面でのDSO/DIOの伸びが疑われ、今後の四半期での逆回転(キャッシュイン)有無が重要。営業CF/純利益の改善が確認できない場合、収益の現金化に構造的課題がある可能性に留意。
配当性向は26.5%と利益ベースでは十分に保守的で持続可能域。ただしFCFカバレッジは-0.42倍で、2025年度Q3時点ではキャッシュフローが配当を賄えていません。現金同等物3,496.46億円の蓄えと負債余力(負債資本倍率1.33倍)から短期の継続性は高いものの、中期的な持続性は営業CFの回復と運転資本効率改善に依存します。投資配分(有形投資・M&A)の強度次第では、総還元の機動調整が必要となる可能性。基準としては、営業CF/純利益>1.0、FCF>配当+維持投資が望ましい水準です。
ビジネスリスク:
- 原材料価格(溶剤・樹脂等)の再上昇による粗利圧迫
- 中国・アジア住宅・建築需要の変動によるボリュームリスク
- 価格転嫁の遅延・競争激化によるマージン縮小
- M&A後統合作業の遅延やシナジー未達
- ブランド/高付加価値製品のミックス悪化
財務リスク:
- 営業CF/純利益0.49倍と低位で、運転資本の恒常的吸収リスク
- のれん15,238.84億円の減損リスク(景気後退・金利上昇局面)
- 流動負債明細・利払い負担未開示による資金繰り評価不確実性
- FCFが配当・投資を下回る期間の継続によるレバレッジ上昇リスク
- 為替変動による換算差損益・自己資本の変動
主な懸念事項:
- キャッシュフロー品質の悪化(営業CF/純利益<0.8)
- 総資産に占めるのれん比率の高さ(約40%)
- 運転資本効率の低下による総資産回転率の伸び悩み
- 営業外収支・利息のディスクロージャー不足によるカバレッジ評価不能
重要ポイント:
- 売上+7.8%、営業利益+36.4%で営業レバレッジが強く、営業利益率は約303bp拡大
- 純利益率10.2%、ROE8.2%、ROIC9.4%と収益性・資本効率は良好
- 営業CF/純利益0.49倍、FCF-150億円で現金化は弱く、配当は期内FCF未カバー
- 自己資本比率42.4%、負債資本倍率1.33倍でバランスシートは健全だが、のれん比率が高い
- 持分法利益は小さく、本業の稼ぐ力が収益を牽引
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益の改善(目安>1.0)
- 運転資本日数(DSO/DIO/DPO)の推移
- 原材料コストと販売価格のスプレッド、粗利率の持続性
- 設備投資・M&A支出とFCFのバランス
- のれん減損テストの前提(成長率/WACC)の変化
セクター内ポジション:
グローバル塗料大手の中でも利幅・ROICは上位レンジに改善しており競争力は強化。一方、キャッシュ創出力と運転資本効率は同業トップ層に比べ見劣り、キャッシュ面での実効性が評価の分水嶺。
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