- 売上高: 587.31億円
- 営業利益: 13.63億円
- 当期純利益: 14.94億円
- 1株当たり当期純利益: 26.01円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 587.31億円 | 551.39億円 | +6.5% |
| 売上原価 | 338.35億円 | 315.75億円 | +7.2% |
| 売上総利益 | 248.96億円 | 235.64億円 | +5.7% |
| 販管費 | 235.32億円 | 220.15億円 | +6.9% |
| 営業利益 | 13.63億円 | 15.49億円 | -12.0% |
| 営業外収益 | 4.02億円 | 5.71億円 | -29.6% |
| 営業外費用 | 1.84億円 | 69百万円 | +166.7% |
| 経常利益 | 15.82億円 | 20.50億円 | -22.8% |
| 税引前利益 | 20.29億円 | 18.69億円 | +8.6% |
| 法人税等 | 5.35億円 | 6.13億円 | -12.7% |
| 当期純利益 | 14.94億円 | 12.55億円 | +19.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14.94億円 | 12.55億円 | +19.0% |
| 包括利益 | 23.08億円 | 11.52億円 | +100.3% |
| 減価償却費 | 22.78億円 | 23.07億円 | -1.3% |
| 支払利息 | 1.25億円 | 54百万円 | +131.5% |
| 1株当たり当期純利益 | 26.01円 | 21.86円 | +19.0% |
| 1株当たり配当金 | 20.00円 | 20.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 1,303.33億円 | 1,361.34億円 | -58.01億円 |
| 現金預金 | 130.42億円 | 150.21億円 | -19.79億円 |
| 売掛金 | 378.16億円 | 475.83億円 | -97.67億円 |
| 棚卸資産 | 254.23億円 | 225.58億円 | +28.65億円 |
| 固定資産 | 556.79億円 | 574.83億円 | -18.04億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 61.88億円 | 33.79億円 | +28.09億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -76.12億円 | 19.87億円 | -95.99億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 2.5% |
| 粗利益率 | 42.4% |
| 流動比率 | 469.6% |
| 当座比率 | 378.0% |
| 負債資本倍率 | 0.36倍 |
| インタレストカバレッジ | 10.90倍 |
| EBITDAマージン | 6.2% |
| 実効税率 | 26.4% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +6.5% |
| 営業利益前年同期比 | -12.0% |
| 経常利益前年同期比 | -22.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +19.0% |
| 包括利益前年同期比 | +100.3% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 59.95百万株 |
| 自己株式数 | 2.49百万株 |
| 期中平均株式数 | 57.45百万株 |
| 1株当たり純資産 | 2,375.01円 |
| EBITDA | 36.41億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 20.00円 |
| 期末配当 | 37.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 1,270.00億円 |
| 営業利益予想 | 61.00億円 |
| 経常利益予想 | 63.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 48.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 83.55円 |
| 1株当たり配当金予想 | 37.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の杏林製薬は、増収ながら営業減益・経常大幅減益、最終増益というミックスな決算で、収益構造の脆さとキャッシュフローの強さが同居する内容でした。売上高は587.31億円で前年同期比+6.5%と堅調に伸長しました。営業利益は13.63億円で同-12.0%と減益、販管費の増勢が粗利の増加を相殺しました。営業利益率は2.32%となり、前年の2.81%から約-49bp低下しました。経常利益は15.82億円で同-22.8%、経常利益率は2.69%となり前年の3.72%から約-103bp低下しました。一方、当期純利益は14.94億円で同+19.0%、純利益率は2.54%に改善し、前年の2.28%から約+26bp上昇しました。粗利益は248.96億円で粗利率42.4%、売上総利益の増加にもかかわらず販管費は235.32億円と重く、営業レバレッジは弱含みです。営業外収益は4.02億円(うち受取配当2.65億円)、営業外費用は1.84億円で、非業務要因の寄与が損益を一定程度下支えしました。営業外収入比率は26.9%と、最終利益に対する非業務項目の影響が相対的に大きい構図です。営業キャッシュフローは61.88億円と純利益の4.14倍で、利益のキャッシュ化は良好でした。インタレストカバレッジは10.90倍と健全で、短期借入21億円に対し現金預金130.42億円と流動性に余裕があります。総資産1,860.13億円、自己資本1,364.48億円で財務レバレッジは1.36倍と低め、負債資本倍率0.36倍と保守的です。一方でROICは0.7%と資本効率が著しく低く、資本コストを大きく下回る水準が継続している点は構造的課題です。配当性向の計算値は228.7%とベンチマーク(<60%)を大きく上回り、持続可能性に懸念が残ります(ただし配当金総額の未記載により精緻評価は限定的)。全体として、トップラインは伸びたものの販管費の吸収不足と非業務寄与への依存が残り、資本効率の改善が急務です。短期的にはキャッシュ創出力と流動性がリスクバッファとなる一方、中期的には営業利益率・ROICの底上げ、研究開発投資の回収、薬価改定・特許リスクへの対応が鍵となります。
デュポン分析(ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ)に基づくと、ROEは1.1%(=2.5%×0.316×1.36)で、最も制約しているのは総資産回転率0.316と純利益率2.5%の低さです。前年からの変化では、営業減益・経常減益を背景に営業利益率と経常利益率が縮小(それぞれ-49bp、-103bp)し、営業段階の脆弱性がROEの下押し要因でした。一方で最終利益率は+26bp改善しており、営業外・特別要因の寄与(受取配当等)や税率の平常化が寄与したとみられます。ビジネス上の理由としては、売上成長(+6.5%)に対し販管費が高止まりし、プロモーション、開発、間接費の負担が営業レバレッジを削いだことが主因です。また、資産規模が大きい割に売上高が相対的に小さく、在庫・売掛金等の運転資本が資産効率を圧迫している可能性があります。これらの変化の持続性については、販管費の逓減余地や製品ミックス改善が実現すれば営業利益率は回復可能ですが、薬価改定やジェネリック競争など構造要因は逆風で、一時的な反発に留まるリスクがあります。懸念トレンドとして、現時点の情報では販管費伸び率が売上伸び率を上回っているサイン(営業減益)が出ており、コストコントロールの重要性が高いです。
売上は+6.5%と堅調で、既存製品の伸長または新製品寄与が示唆されますが、営業利益が-12.0%と逆行しており、コスト吸収不足が顕著です。営業利益率は2.32%に低下し、粗利率42.4%の改善余地を販管費が食い尽くす構図です。最終利益の増加は非業務項目の下支えの色合いが濃く、持続的成長の観点では営業段階の立て直しが不可欠です。研究開発費が未記載のため、パイプラインの先行投資負担と将来の売上寄与の見通しが測れない点は制約です。今後は製品ミックスの高付加価値化、薬価改定影響の最小化、費用効率化(販促最適化・間接費削減)、並びに在庫・売掛金の適正化による総資産回転率の改善が成長の質を高める鍵です。
流動比率469.6%、当座比率378.0%と流動性は非常に厚く、短期支払能力に懸念はありません。負債資本倍率0.36倍、財務レバレッジ1.36倍と保守的な資本構成で、D/E>2.0の警告水準には程遠いです。短期借入金21.00億円に対して現金預金130.42億円、売掛金378.16億円、棚卸資産254.23億円があり、満期ミスマッチリスクは低いと評価します。長期借入金201.35億円の返済能力も、インタレストカバレッジ10.90倍と十分なバッファがあります。オフバランス債務については開示情報がなく評価不能です。
営業CFは61.88億円で純利益14.94億円の4.14倍、利益のキャッシュ化は高品質と評価できます。EBITDA36.41億円を上回る営業CFは、運転資本の改善(売掛回収・在庫圧縮)が発現した可能性を示唆します。投資CFは未記載ですが、設備投資額-18.76億円が示されており、営業CFからCAPEXを差し引いた簡便FCFは約+43.1億円と推定されます(前提:大口の無形投資やM&A等がない場合)。この水準であれば、配当と通常の投資を賄える可能性は高い一方、実際の投資CF明細が不明なため確度は中程度です。営業CF/純利益が0.8未満となる品質問題の兆候は現状見られません。運転資本操作の兆候については、具体科目内訳がないため判断は限定的ですが、営業CFがEBITDAを上回った点は一時的な回収イベントである可能性も念頭に置くべきです。
配当金総額未記載のため詳細検証は困難ですが、提示の配当性向(計算値)228.7%はベンチマーク<60%を大幅に上回り、足元の利益水準に対しては非持続的である可能性が高いです。簡便FCF(営業CF-設備投資)約+43.1億円からみるとキャッシュ面の余力はあるものの、ROIC0.7%と資本効率が低い中での高配当は投資余力や将来成長投資の抑制リスクを伴います。配当方針の見通しは、利益連動より安定配当を優先している可能性がありますが、利益改善が遅れる場合は配当性向の見直しが必要となる公算があります。
ビジネスリスク:
- 薬価改定による価格下落圧力と収益性低下リスク
- 特許切れ(パテントクリフ)およびジェネリック参入による売上減少
- 研究開発の不確実性(開発失敗・承認遅延)
- 販管費の高止まりによる営業レバレッジの低下
- 製品ミックス悪化による粗利率・利益率の低下
財務リスク:
- ROIC0.7%と資本コストを大幅に下回る資本効率の低さ
- 非業務項目(受取配当等)への利益依存度上昇
- 高配当性向(計算値)による内部留保・投資余力の制約
- 運転資本膨張時のキャッシュフロー悪化リスク
- 長期借入金201.35億円のリファイナンス・金利上昇影響(現状はカバレッジ十分)
主な懸念事項:
- 営業利益率の縮小(-49bp)と販管費の吸収不足
- 経常利益率の縮小(-103bp)でコア収益力が低下
- 最終利益の増益が一過性要因(非業務・特別項目)に依存している可能性
- 研究開発費の未記載によりパイプラインの収益化見通しが不透明
- ROICの構造的低水準が継続している点
重要ポイント:
- 増収ながら営業・経常は減益、最終は増益という非連続な利益構造
- 営業外の寄与(受取配当等)が損益を下支えする一方で持続性は限定的
- 営業CFは純利益の4.14倍と高品質、流動性は盤石
- ROIC0.7%と資本効率の低さが最大の課題
- 配当性向(計算値)228.7%は持続可能性に懸念
注視すべき指標:
- 営業利益率の回復度合い(費用効率化、販管費対売上比)
- 研究開発費水準と開発パイプラインの進捗
- 薬価改定の年次影響(価格・数量の弾力性)
- 運転資本回転日数(売掛・在庫の推移)と総資産回転率
- 非業務損益(受取配当、評価損益、特別損益)の寄与度
- CAPEX計画とFCFのトレンド
- ROICとWACCのギャップ(価値創造の有無)
セクター内ポジション:
財務安全性・流動性は同業内でも上位だが、利益率・ROICは下位水準。コア事業の収益性改善と資産効率の引き上げが進むかが相対的評価の分水嶺。
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