- 売上高: 4,000.13億円
- 営業利益: 344.18億円
- 当期純利益: 258.70億円
- 1株当たり当期純利益: 87.37円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 4,000.13億円 | 3,850.23億円 | +3.9% |
| 売上原価 | 881.24億円 | - | - |
| 売上総利益 | 3,118.89億円 | - | - |
| 販管費 | 2,040.27億円 | - | - |
| 営業利益 | 344.18億円 | 278.37億円 | +23.6% |
| 税引前利益 | 369.36億円 | 315.35億円 | +17.1% |
| 法人税等 | 110.66億円 | - | - |
| 当期純利益 | 258.70億円 | 230.65億円 | +12.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 246.30億円 | 216.93億円 | +13.5% |
| 包括利益 | 373.41億円 | -20.53億円 | +1918.9% |
| 減価償却費 | 195.06億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 87.37円 | 76.13円 | +14.8% |
| 1株当たり配当金 | 80.00円 | 80.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 7,906.96億円 | - | - |
| 売掛金 | 2,240.56億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 2,364.61億円 | - | - |
| 固定資産 | 6,473.02億円 | - | - |
| 有形固定資産 | 1,544.28億円 | - | - |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 222.73億円 | - | - |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -128.39億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | 199.15億円 | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 3,016.46億円 | - | - |
| フリーキャッシュフロー | 94.34億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 3,031.07円 |
| 純利益率 | 6.2% |
| 粗利益率 | 78.0% |
| 負債資本倍率 | 0.63倍 |
| EBITDAマージン | 13.5% |
| 実効税率 | 30.0% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +3.9% |
| 営業利益前年同期比 | +23.6% |
| 税引前利益前年同期比 | +17.1% |
| 当期純利益前年同期比 | +12.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +13.5% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 291.65百万株 |
| 自己株式数 | 9.53百万株 |
| 期中平均株式数 | 281.89百万株 |
| 1株当たり純資産 | 3,118.48円 |
| EBITDA | 539.24億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 80.00円 |
| 期末配当 | 80.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 7,900.00億円 |
| 営業利益予想 | 545.00億円 |
| 当期純利益予想 | 435.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 415.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 147.20円 |
| 1株当たり配当金予想 | 80.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
エーザイ株式会社の2026年度Q2は、売上高4,000.13億円(前年比+3.9%)、営業利益344.18億円(+23.6%)、当期純利益246.30億円(+13.5%)と、緩やかな売上成長に対し利益成長が大きく上回る決算となった。粗利益率は78.0%と高水準を維持し、売上総利益は3,118.89億円、販管費2,040.27億円を吸収して営業利益率は8.6%(=344.18/4,000.13)へ改善した。デュポン分解では純利益率6.2%、総資産回転率0.278、財務レバレッジ1.63倍の積でROEは2.8%(報告値と一致)となり、収益性改善にもかかわらずROEは依然としてシングル・ミッド台にとどまる。EBITDAは539.24億円、EBITDAマージンは13.5%で、減価償却費195.06億円を十分に賄っている。税引前利益369.36億円に対する法人税等110.66億円から実効税率は30.0%で安定的。営業キャッシュフロー(OCF)は222.73億円で、純利益に対するOCF/純利益は0.90倍と、利益のキャッシュ化は概ね良好だが若干の運転資本負担が示唆される。投資CFは-128.39億円で、うち設備投資は約70億円にとどまり、結果としてフリーキャッシュフロー(FCF)は94.34億円のプラス。財務CFは+199.15億円で、配当金支払-225.69億円を上回る調達が実施された(自社株買いは軽微)。貸借対照表は総資産14,379.98億円、純資産8,797.70億円で自己資本比率59.4%と堅健、負債資本倍率0.63倍に加え、短期借入金1,019.12億円・長期借入金1,347.53億円に対し現金同等物3,016.46億円を保有し、ネットキャッシュ約649.8億円と実質無借金の体質。売掛金2,240.56億円・棚卸資産2,364.61億円・買掛金807.29億円の水準から、運転資本の絶対額は大きく、キャッシュ創出の弾力性はある一方で期中の変動管理が重要。配当性向は189.5%と利益水準に対して過大で、FCFカバレッジ0.20倍は配当のキャッシュフロー耐性が低いことを示す(短期的には潤沢な手元資金で補填可能)。営業利益成長が売上成長を大きく上回っており、販売管理費の効率化や費用時期の平準化が寄与した可能性があるが、研究開発費の未記載により持続性判断には留意が必要。ROEは2.8%と資本効率はまだ抑制的で、今後の利益率の構造的改善または資本政策の最適化が課題。インタレストカバレッジは未算出だがネットキャッシュで金利負担は限定的と推定され、金利感応度は低い。包括利益は373.41億円と当期純利益を上回り、その他包括損益がプラス寄与した可能性がある。全体として、収益性の改善と強固なバランスシートが確認できる一方、配当の持続可能性はキャッシュ創出力とのギャップ解消が前提となる。データ面では経常利益やR&Dの未記載が多く、利益の質・成長持続性の評価に不確実性が残る。
・ROE(デュポン分解): ROE 2.8% = 純利益率6.2% × 総資産回転率0.278 × 財務レバレッジ1.63倍。純利益率は製薬としては許容水準だが、総資産回転率の低さとレバレッジ抑制がROEを圧迫。
・利益率の質: 粗利益率78.0%と高水準。営業利益率は8.6%で前年から改善(営業利益+23.6% vs 売上+3.9%)。EBITDAマージン13.5%と減価償却負担は適切(D&A/売上=4.9%程度)。実効税率30.0%は安定的。
・営業レバレッジ: 売上成長3.9%に対し営業利益成長23.6%で、短期的な営業レバレッジは約6.1倍と高い。ただしR&D費未記載により恒常性は不明で、四半期・半期の費用計上のタイミング要因が含まれる可能性に留意。
・売上の持続可能性: 売上+3.9%は緩やか。AR(売掛金)2,240.56億円・棚卸2,364.61億円の増減情報が不足し、需要の強さの裏付け定量性は限定的。
・利益の質: OCF/純利益0.90倍は概ね良好だが1倍をやや下回り、運転資本の吸収が示唆される。営業利益率改善は確認できるが、R&D未記載のため構造的改善か一時要因かの識別は難しい。
・見通し: 高粗利モデルとネットキャッシュが下支え。中期の利益拡大には販管費の更なる効率化とR&D投資の成果顕在化が鍵。ROE押し上げには資本効率改善(利益率・回転率の双方の改善)が必要。
・流動性: 現金同等物3,016.46億円を保有。流動比率・当座比率は未算出だが、手元流動性は厚い。
・支払能力: 短期借入1,019.12億円・長期借入1,347.53億円に対しネットキャッシュ約649.8億円(=3,016.46-2,366.65)で、実質的に利払い負担は軽微。インタレストカバレッジは未算出ながら、安全性は高いとみられる。
・資本構成: 自己資本比率59.4%、負債資本倍率0.63倍と健全。総資産14,379.98億円、純資産8,797.70億円で財務クッションは十分。
・利益の質: OCF/純利益0.90倍は良好レンジだが、100%を下回る点は運転資本の増加や一時要因の影響があった可能性。
・FCF分析: OCF222.73億円、設備投資約70億円でFCF94.34億円とプラス維持。投資CF-128.39億円は有形以外の投資(無形/金融投資等)も一定発生した公算。
・運転資本: 売掛金2,240.56億円・棚卸2,364.61億円・買掛807.29億円の絶対水準は大きく、CC(キャッシュコンバージョン)管理がキャッシュ創出の鍵。回転日数の算出には平均残高や期首残高が不足しており精緻評価は不可。
・配当性向: 計算値189.5%と利益超過で、収益ベースの持続可能性は低い。
・FCFカバレッジ: 0.20倍と、キャッシュフロー面でも配当は実力を上回る(短期は手元現金で補填可能だが、継続には収益・FCF拡大が前提)。
・配当方針見通し: ネットキャッシュと高自己資本が当面の安定性を支える一方、利益成長とFCFの改善がなければ将来の増配余地は限定的となり得る。収益性の改善や投資配分の最適化が重要。
ビジネスリスク:
- 研究開発の不確実性(R&D費未記載により投資負担・成功確率の可視性が低い)
- 薬価・価格圧力や償還環境の変化によるマージン圧迫
- 製品ミックスの変化に伴う粗利率の変動
- 海外売上やサプライチェーンに起因する為替・物流リスク
- 在庫積み増し・需要変動による運転資本の変動拡大
財務リスク:
- 配当性向189.5%およびFCFカバレッジ0.20倍による株主還元のキャッシュフロー耐性の低さ
- 配当支払い超過を埋めるための外部調達依存度上昇リスク(当期は財務CF+199.15億円)
- 運転資本膨張によるOCFのボラティリティ
- 金利上昇局面での借入リファイナンスコスト上昇(現状はネットキャッシュで影響軽微)
主な懸念事項:
- ROE2.8%と資本効率が低位にとどまる点
- R&D費未記載により利益の持続性評価が難しい点
- 配当の実力超過(利益・FCFの双方でカバレッジ不足)
重要ポイント:
- 売上+3.9%に対し営業利益+23.6%で収益性は改善
- 粗利益率78.0%、営業利益率8.6%、EBITDAマージン13.5%とコスト吸収力は良好
- ROE2.8%と資本効率は依然低位で改善余地
- ネットキャッシュ約650億円・自己資本比率59.4%の強固な財務体質
- OCF/純利益0.90倍・FCF94億円とキャッシュ創出はプラスだが、配当カバレッジは不足(0.20倍)
注視すべき指標:
- 販管費率と営業利益率のトレンド
- OCF/純利益倍率および運転資本回転(売掛・棚卸・買掛の推移)
- R&D費の水準・タイミングとパイプライン進捗の可視化
- 配当総額とFCFの乖離、財務CF依存度
- ネットキャッシュ水準と借入構成(短期/長期)
セクター内ポジション:
国内大手製薬の中で、粗利益率は高水準だが営業利益率とROEは中位~やや低位。財務健全性はネットキャッシュで上位水準。今後の相対的評価は、R&D成果の顕在化とキャッシュ創出力の改善度合いに左右される。
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