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44832026 第3四半期プライムIFRS

JMDC(4483) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益37%増

2026年度第3四半期の売上高は364.9億円(前年同期比+23.2%)、営業利益は77.7億円(同+37.1%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

情報通信・サービスその他/情報・通信業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥364.9億¥296.2億+23.2%
営業利益¥77.7億¥56.6億+37.1%
税引前利益¥73.1億¥55.3億+32.1%
純利益¥48.2億¥38.9億+23.8%
ROE5.8%5.0%-

Executive Summary

2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高364.9億円(前年比+68.7億円 +23.2%)、営業利益77.7億円(同+21.1億円 +37.1%)、経常利益72.9億円、純利益48.2億円(同+9.3億円 +23.8%)となった。主力のヘルスビッグデータセグメントが売上316.3億円(+26%)、EBITDA85.8億円(+32%)と高成長を牽引し、製薬企業向けセールス・マーケティング領域の取引額が+43%と急拡大した。第2四半期の減速から第3四半期は売上134.1億円(前期比+21%)、EBITDA41.6億円(同+32%)と力強く回復。営業利益率21.3%、純利益率13.2%と高収益性を維持し、営業CF55.98億円(営業CF/純利益1.16倍)と収益の現金化も良好だが、投資CF77.42億円流出でFCFは-21.44億円となった。

業績変動要因

【売上高】前年比+68.7億円(+23.2%)増収。セグメント別ではヘルスビッグデータが+26%と高成長し、インダストリー向けデータ活用+30%(製薬企業のセールス・マーケティング領域+43%)、医療提供者向け+32%、保険者・生活者向け+15%と全事業がバランス良く拡大。遠隔医療は+5%で安定成長を維持。第3四半期単体では前期比+21%と再加速し、本来の成長軌道に回帰した。

【損益】売上総利益200.0億円(粗利率54.8%)を確保し、販管費126.5億円を差し引いた営業利益は77.7億円(営業利益率21.3%)で前年比+37.1%と増収率を上回る利益成長を実現。営業レバレッジが効き、ヘルスビッグデータのEBITDAマージンは27%、遠隔医療は38%と高水準を維持。営業外損益で金融費用4.8億円等が発生し経常利益72.9億円、税引前利益73.1億円から税金等24.9億円を控除し純利益48.2億円(+23.8%)となった。経常利益と純利益の乖離は小さく、特別損益の影響は軽微である。増収増益の四半期となり、通期ガイダンス達成に向けて順調に推移している。

セグメント別分析

ヘルスビッグデータセグメント(売上316.3億円、EBITDA85.8億円、EBITDAマージン27%)が主力事業で、売上構成比86.7%、利益の大半を創出している。前年比で売上+26%、EBITDA+32%と増収増益を牽引。製薬企業向けセールス・マーケティング領域の取引額が+43%と急伸し、医療提供者向け+32%、保険者・生活者向け+15%と全分野が成長。第2四半期のメディカル領域・生命保険会社事業の軟調は回復傾向にあり、第3四半期は前期比+21%と力強く成長した。遠隔医療セグメント(売上48.6億円、EBITDA18.4億円、EBITDAマージン38%)は売上+5%、EBITDA+6%で安定的に高収益を維持。契約医療機関1,628施設、放射線診断専門医1,236名と業界シェア約30%を確保し、堅実な需要に支えられている。利益率は遠隔医療が38%と主力のヘルスビッグデータ27%を大きく上回り、高付加価値事業としてポジティブに寄与している。

主要財務指標

  • 収益性: ROE 5.8%(デュポン分解: 純利益率13.2%×総資産回転率0.23×財務レバレッジ1.89)、営業利益率21.3%、純利益率13.2%、EBITDAマージン27%(ヘルスビッグデータ)、粗利率54.8%
  • キャッシュ品質: 営業CF/純利益1.16倍、FCF-21.44億円
  • 投資効率: 総資産回転率0.23回、ROIC 4.1%
  • 財務健全性: 自己資本比率52.4%、負債資本倍率0.89倍、Debt/Capital比率34.1%、有利子負債426.4億円、現金及び現金同等物302.4億円、のれん634.4億円(総資産比40.6%)
  • 運転資本: 売掛金199.9億円(DSO約200日)、買掛金120.4億円、棚卸資産5.7億円

キャッシュフロー分析

営業CF55.98億円(純利益比1.16倍)で、純利益48.2億円を上回る現金創出を確認し、利益の現金裏付けは良好である。減価償却費18.4億円、のれん償却1.0億円等の非現金費用加算に加え、仕入債務の増加42.9億円が運転資本を改善させた一方、売上債権増加やその他運転資本の変動が資金吸収となった。投資CF-77.42億円の内訳は、子会社取得など企業結合63.1億円、無形固定資産取得10.5億円、有形固定資産取得4.1億円で、積極的なM&A・投資を実行。財務CFは配当支払10.5億円、短期借入金の増加12.0億円、長期借入金返済等が含まれる。FCF-21.44億円(営業CF55.98億円-設備投資4.1億円-無形固定資産取得10.5億円-M&A投資63.1億円)は成長投資局面にあることを示す。現金創出評価は営業CFベースでは強いが、投資負担を考慮すると要モニタリング局面にある。

収益の質

経常利益72.9億円と純利益48.2億円の乖離は税金等24.9億円が主因で、乖離率は-33.9%と税負担の範囲内である。特別損益の影響は軽微で一時的要因は限定的。営業外収益は金融収益等が含まれるが、売上高対比で大きくはなく(金融費用4.8億円等)、経常的な収益構造に依存している。営業CF55.98億円が純利益48.2億円を上回り(営業CF/純利益1.16倍)、アクルーアルの懸念は現時点で見られない。ただし売掛金回収日数DSO約200日と長期化しており、債権回収の効率化が今後の収益品質維持に重要である。収益の質は概ね経常的で健全と評価するが、売掛金長期化は運転資本と現金化効率の観点から継続監視が必要である。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高505.0億円、営業利益115.0億円、純利益75.0億円。第3四半期累計実績に対する進捗率は売上72.3%、営業利益67.6%、純利益64.3%(Q3標準進捗率75%と比較)。売上は標準を若干下回るが、営業利益と純利益の進捗率がやや遅れている。ただし第3四半期単体が前期比+21%(売上)、+32%(EBITDA)と再加速しており、経営陣は通期ガイダンス達成に向けて順調と評価している。上期に見られたメディカル領域の高齢者データ活用の進捗遅延や生命保険会社事業の軟調は受注増加で回復傾向にあり、製薬企業向けの引き合いも旺盛なことから、第4四半期の上積みが期待できる。進捗率の若干の遅れは上期の一時的減速を反映しており、第3四半期の回復モメンタムを踏まえると通期目標達成は可能性が高いと推察される。

株主還元

期末配当16.00円を予定しており、純利益48.2億円に対する配当支払10.5億円から計算した配当性向は約21.8%で、保守的な水準にある。配当持続性は営業CF55.98億円が配当10.5億円を大きく上回るため問題ない。ただしFCF-21.44億円がマイナスで、投資負担を含めると配当をフリーキャッシュフローで賄えていない(FCFカバレッジ-2.05倍)。現金及び現金同等物302.4億円と潤沢な現金を保有しており、短期的な配当支払余力は十分だが、中期的には投資からの回収とフリーキャッシュフローの改善が配当維持・増配の鍵となる。自社株買いに関する開示は確認できないため、配当のみの還元と判断し配当性向21.8%と記述する。

カタリスト

【短期】第4四半期の業績回復継続と通期ガイダンス達成(製薬企業向けセールス・マーケティング領域の引き合い旺盛、メディカル領域と生命保険会社事業の受注増加)、電子カルテ事業者との戦略的連携開始(医療機関由来データ基盤の拡大)、売掛金回収(DSO約200日)の改善状況確認。

【長期】生成AI普及に伴うデータ需要拡大と高付加価値コンサルティング展開、電子カルテ連携による医療機関由来データの圧倒的基盤構築と来期以降の収益化、M&A投資からのシナジー実現とのれんROIC改善、ヘルステック領域の再編による戦略的パートナーシップ強化、保険者向け高齢者データ活用の進捗と再成長の確認。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 収益性: ROE 5.8%(IT・通信業種中央値8.2%、IQR 3.5-13.3%、n=99、2025-Q3)を下回る。営業利益率21.3%は業種中央値8.0%(IQR 3.4-17.4%)を大きく上回り、業種内上位に位置。純利益率13.2%も業種中央値5.6%(IQR 2.2-12.0%)を大幅に超え、高収益性を示す。 効率性: 総資産回転率0.23回は業種中央値0.68回(IQR 0.52-0.95、n=99)を大きく下回り、資産効率は低い。売掛金回転日数約200日は業種中央値60.5日(IQR 46.0-79.9、n=89)を大幅に上回り、債権回収に課題。 健全性: 自己資本比率52.4%は業種中央値59.5%(IQR 43.7-72.8%、n=99)をやや下回るが、健全な範囲内。財務レバレッジ1.89倍は業種中央値1.66倍(IQR 1.36-2.14)と同水準で適正。 成長性: 売上高成長率23.2%は業種中央値10.5%(IQR -1.6-20.5%、n=97)を上回り、業種内上位の成長率を達成。 投資効率: ROIC 4.1%は業種中央値16%(IQR 5-30%、n=83換算)を下回り、資本効率に改善余地。 ※業種: IT・通信業(99社)、比較対象: 2025-Q3、出所: 当社集計

リスク要因

売掛金回収長期化リスク(DSO約200日、業種中央値60.5日を大幅超過)。売掛金199.9億円は売上高の54.8%に相当し、回収遅延は運転資本を圧迫し短期流動性を悪化させる。短期借入金55.9億円、短期負債比率13.1%と現金302.4億円/短期負債の指標低下が指摘されており、債権回収の改善が急務である。

のれん減損リスク(のれん634.4億円、総資産比40.6%)。過去のM&Aによるのれんが高水準で、投資先の業績悪化や統合遅延により減損が発生した場合、純利益の大幅減少と自己資本毀損につながる。電子カルテ連携など新規投資も進行中であり、投資回収の検証とのれんROICの改善状況(現状ROIC 4.1%)が重要である。

資本効率低迷リスク(ROIC 4.1%、業種中央値推計16%を大幅下回る、総資産回転率0.23回と資産効率低下)。積極的なM&A・設備投資により総資産1,561.8億円まで増加したが、資産効率が低くROEも5.8%と業種中央値8.2%を下回る。投資からのシナジー実現が遅れた場合、株主資本コストを下回るリターンが継続し企業価値向上が困難となる。

決算上の注目ポイント

決算上の注目ポイントは以下2点である。第一に、高収益性と営業レバレッジの持続性である。営業利益率21.3%、純利益率13.2%、粗利率54.8%と業種内上位の収益力を誇り、主力のヘルスビッグデータセグメントがEBITDAマージン27%、遠隔医療が38%と高付加価値事業として機能している。第3四半期単体で前期比+32%のEBITDA成長を達成し、営業レバレッジが効いた利益成長が確認された。製薬企業向けセールス・マーケティング領域の取引額+43%と強い需要を背景に、生成AI普及に伴うデータ活用ニーズの拡大が今後も成長を下支えする構図にある。

第二に、資本効率と流動性の改善が今後の鍵である。ROIC 4.1%、総資産回転率0.23回、ROE 5.8%と業種平均を下回る資本効率、売掛金回収日数約200日の長期化、FCF-21.44億円と投資負担による現金流出が観察される。のれん634.4億円(総資産比40.6%)の減損リスクと相まって、積極投資局面における投資回収の進捗が今後の決算データで確認すべき最重要ポイントとなる。電子カルテ連携による医療機関由来データ基盤の構築と来期以降の収益化、売掛金回収の効率化、M&Aシナジーの実現がデータで示されれば、資本効率の改善と持続的成長の両立が期待できる。


本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度Q3累計は、売上高が前年同期比23.2%増の364.88億円、営業利益が37.1%増の77.67億円となり、増収を上回る営業増益を達成した。親会社所有者帰属利益は24.6%増の48.11億円であり、EPSは73.58円へ伸長した。営業利益率は前年同期の19.1%から21.3%へ217bp拡大し、売上成長に対する営業レバレッジが確認できる。純利益率も13.0%から13.2%へ約15bp上昇し、高い利益水準を維持した。一方、粗利益率は56.7%から54.8%へ189bp低下しており、売上原価の伸びが売上高を上回った。販管費は13.5%増の126.52億円にとどまり、売上高の23.2%成長を下回ったことが営業利益率改善の主因である。営業CFは55.98億円で、純利益48.11億円に対する倍率は1.16倍と、利益の現金裏付けは確保されている。アクルーアル比率もマイナス0.5%であり、利益の発生主義上の過度な膨張は見られない。ただし、営業CFは前年同期の107.41億円から47.9%減少しており、純利益の増益とは対照的である。営業CFの減少には、法人税等支払額が41.39億円へ増加したこと、契約資産の増加が38.59億円の資金流出となったことが影響した。仕入債務の増加37.92億円は営業CFを押し上げており、運転資本面では買掛金依存度の上昇を継続監視する必要がある。投資CFは77.42億円の流出で、そのうち子会社取得が63.13億円を占め、売上高比17.3%の積極的なM&A投資である。M&Aを反映してのれんは634.42億円、純資産の77.0%に達し、投下資本の回収と将来の減損リスクが最重要のバランスシート論点となる。通期予想に対するQ3累計の進捗率は売上高72.3%、営業利益67.5%、親会社帰属利益65.0%である。売上高進捗は標準的な75%を2.7pt下回る程度だが、営業利益は7.5pt、親会社帰属利益は10.0pt下回る。通期計画達成にはQ4に売上高140.12億円、営業利益37.33億円、親会社帰属利益25.89億円が必要であり、Q4の営業利益率は26.6%とQ3累計の21.3%を上回る必要がある。したがって、成長持続性の評価では、買収事業の統合・収益化、粗利益率の底入れ、運転資本を含むキャッシュ転換の改善が焦点となる。

収益性分析

年換算ROEは7.8%であり、純利益率13.2%×総資産回転率0.311回×財務レバレッジ1.89倍に分解される。ROEが8%未満にとどまる主因は、M&Aで積み上がったのれんを含む大きな資産基盤に対し、総資産回転率が0.311回と低いことである。純利益率13.2%およびEBITマージン21.3%は高水準で、収益性自体は良好である。前年同期比で最も明確な収益性変化は営業利益率の217bp改善であり、販管費率が概ね横ばいのまま売上成長が販管費増加を上回ったことによる。販管費率は前年同期37.6%から当期34.7%へ約294bp低下しており、固定費吸収による営業レバレッジが働いた。一方、粗利益率は189bp低下しており、営業増益が売上総利益率の改善ではなく、主として販管費効率化・規模拡大に依存している点には留意を要する。税負担係数は0.658であり、実効税率34.1%は利益成長を一部抑制した。金利負担係数は0.941と0.90超を維持し、金融費用控除後も営業利益の大半を税引前利益として確保している。もっとも、金融費用は前年同期1.46億円から5.13億円へ増加しており、借入・リース債務を伴うM&A拡大局面では金利負担の上昇余地を監視すべきである。IFRS適用企業のため、のれんは定期償却されず減損テストの対象となる。したがって、EBITDA101.00億円、EBITDAマージン27.7%という収益力と、のれん回収可能価額の整合性が、将来の利益持続性を評価するうえで重要となる。

成長性評価

売上高は前年同期比23.2%増、営業利益は37.1%増であり、現時点では利益成長が売上成長を上回る。売上原価は28.6%増と売上成長率を上回っているため、粗利益率低下が続く場合には、販管費効率だけでの利益率拡大には限界がある。子会社取得63.13億円は成長投資の中心であり、オーガニック成長と買収寄与を分けた検証が重要である。のれんは前年同期比50.28億円、8.6%増の634.42億円となり、買収対価の回収は将来の成長・収益計画に依存する。通期売上高予想505.00億円に対して残るQ4売上高は140.12億円、通期営業利益予想115.00億円に対して残るQ4営業利益は37.33億円である。Q4に必要な営業利益率26.6%はQ3累計の21.3%を5.3pt上回るため、季節性、買収事業の利益寄与、コスト抑制の進展が計画達成の判断材料となる。通期親会社帰属利益予想74.00億円に対してQ3累計進捗は65.0%であり、営業利益進捗67.5%より低い。金融費用と税負担の動向が、営業段階の増益を最終利益へ転換する際の制約となりうる。

財務健全性

流動資産577.37億円に対し、流動負債は負債合計737.63億円から固定負債490.21億円を控除した247.42億円であり、流動比率は233.4%である。現金及び現金同等物302.39億円は流動負債を上回り、短期的な満期ミスマッチは限定的である。現金は短期借入金55.90億円の5.4倍でもあり、短期借入金の返済余力は確保されている。負債資本倍率は0.89倍、Debt/Capitalは34.1%であり、資本構成は直ちに過度な負債依存とは評価しにくい。自己資本比率は52.4%で、前年同期の54.6%から2.2pt低下した。これは総資産が前年同期比131.64億円増加するなか、負債が73.18億円増えて純資産の増加39.46億円を上回ったことを反映する。有利子負債は426.42億円、Debt/EBITDAは4.22倍であり、4.0倍超の高レバレッジ警戒水準にある。さらに、IFRSではリース負債99.96億円がオンバランスで認識されており、有利子負債と合算した債務性負債は526.38億円、EBITDA比では約5.21倍となる。もっとも、EBIT77.67億円に対する金融費用5.13億円から算出されるインタレストカバレッジは15.1倍であり、現時点の利払い負担には余力がある。買掛金は55.4%増の120.36億円となり、営業CFに寄与する一方、仕入・外注支払条件や買収後の取引構造の変化を確認すべきである。有形固定資産は33.4%増の185.77億円、短期借入金は27.2%増の55.90億円であり、事業規模拡大に伴う資産・資金需要の増加が示される。棚卸資産は57.9%増の5.67億円だが、総資産比0.4%と小さく、在庫リスクの絶対額は限定的である。最大の財務健全性上の論点は、総資産の40.6%を占めるのれんであり、純資産の77.0%を占める構成はM&A価値の維持に強く依存する。

B/S変動のポイント

のれん: +50.28億円(+8.6%)- 子会社取得63.13億円を伴うM&A投資を反映。のれんは純資産の77.0%、総資産の40.6%を占め、減損耐性と取得事業の収益化を継続監視する必要がある。買掛金: +42.92億円(+55.4%)- 仕入・外注等の事業規模拡大、または支払条件の変化を反映する可能性がある。営業CFでは37.92億円の流入寄与であり、運転資本の持続性を確認すべきである。有形固定資産: +46.51億円(+33.4%)- 事業基盤への投資または買収に伴う資産取得を示す。設備投資4.06億円との比較では、取得・企業結合等を含む増加要因の収益寄与が注目点となる。短期借入金: +11.95億円(+27.2%)- 資金需要の増加を示すが、現金302.39億円は短期借入金55.90億円を大幅に上回る。短期の流動性リスクは限定的である。棚卸資産: +2.08億円(+57.9%)- 増加率は大きいが、残高は5.67億円、総資産比0.4%であり、絶対額ベースの在庫リスクは限定的である。

キャッシュフロー品質

営業CFは55.98億円で、親会社所有者帰属利益48.11億円に対して1.16倍となり、営業CF/純利益が0.8倍を下回る場合の利益品質懸念には該当しない。アクルーアル比率はマイナス0.5%であり、利益の現金化に関する発生主義上の懸念は小さい。一方で、現金転換率(営業CF/EBITDA)は0.55倍で、0.7倍未満の品質警告水準にある。営業CFは前年同期比47.9%減であるのに対し、純利益は24.6%増であり、当期のキャッシュ創出力は利益成長に追随していない。要因として、法人税等支払額41.39億円、契約資産増加38.59億円、リース料支払9.35億円、利息支払3.16億円がキャッシュを押し下げた。売上債権は前年差0.80億円の減少である一方、年換算DSOは150日と警告水準にあり、売上増加局面での回収期間管理は重要である。仕入債務は42.92億円増加し、営業CFでは37.92億円の流入寄与となったため、営業CFの一部は支払サイトの変動に支えられている。設備投資4.06億円は減価償却費23.33億円の0.17倍にとどまり、0.7倍未満の投資不足警告に該当する。IT・ヘルスケアデータ事業では有形設備投資が低くなりうるものの、PPE・無形資産の将来の更新投資や、買収依存の成長を補う自律投資の水準を確認する必要がある。設備投資控除後の営業キャッシュ余力は51.92億円で、配当支払10.45億円を4.97倍カバーする。ただし、子会社取得63.13億円を含む投資CF77.42億円を反映した提示フリーキャッシュフローはマイナス21.44億円であり、M&Aを含む資本配分は内部創出資金だけでは賄えていない。

配当持続性

配当支払額は10.45億円で、親会社所有者帰属利益48.11億円に対する配当性向は21.7%である。自社株買いは確認されないため、配当性向と総還元性向の差はない。配当支払額は営業CF55.98億円の18.7%、設備投資控除後の営業キャッシュ余力51.92億円の20.1%であり、通常投資を前提とする配当のキャッシュカバレッジは高い。利益剰余金は284.64億円で、配当支払いに対するバランスシート上の余力もある。一方、M&Aを含む提示フリーキャッシュフローはマイナス21.44億円であるため、大型買収を継続する局面では配当拡大よりもレバレッジ管理と買収後のキャッシュ創出が優先されやすい。通期利益予想74.00億円に対して、Q3累計の配当支払額を基準にした配当負担は依然低水準である。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度・高影響: のれんは634.42億円で純資産の77.0%、総資産の40.6%を占める。IFRSでは定期償却がないため、買収先の業績未達、割引率上昇、成長率低下が生じた場合に減損損失が一時的かつ大きく顕在化しうる。、高優先度・中高影響: 子会社取得63.13億円はQ3累計売上高の17.3%であり、買収後の顧客・人材・システム統合、シナジー実現、取得対価回収に関する実行リスクがある。、中優先度・中影響: 粗利益率は前年同期比189bp低下している。データヘルスケア・ITサービスにおける人材費、外注費、データ調達コストの上昇、競争激化が継続すれば、販管費効率化による利益率改善を相殺しうる。、中優先度・中影響: 年換算DSO150日は60日超の警告水準であり、医療機関、保険者、企業顧客などの請求・検収・回収サイクルが長期化した場合、成長に伴う運転資金負担が増加する。、中優先度・高影響: 情報・通信・医療データ事業固有のリスクとして、個人情報・医療情報の漏えい、サイバー攻撃、データ利用規制の変更は、信用毀損、顧客離反、追加セキュリティ投資につながりうる。が挙げられます。

財務リスクとしては、高優先度・中高影響: Debt/EBITDAは4.22倍で4.0倍超の警戒水準にある。リース負債99.96億円も含む債務性負債は約526.38億円であり、買収継続や金利上昇時には財務柔軟性が低下しうる。、中優先度・中影響: 金融費用は前年同期比で大幅に増加している。現時点のインタレストカバレッジは15.1倍と良好だが、変動金利借入の比率や借換条件次第で税引前利益への負担が増える可能性がある。、中優先度・中影響: 営業CF/純利益は1.16倍と良好だが、営業CFは前年同期比47.9%減、OCF/EBITDAは0.55倍である。契約資産・税金支払い・リース支払いの資金負担が続けば、M&A資金を借入に依存する度合いが高まる。、低優先度・中影響: 自己資本比率は52.4%と健全圏にあるものの、前年同期から2.2pt低下した。負債増加が資本増加を上回る傾向が継続しないかを確認する必要がある。が挙げられます。

主な懸念事項としては、品質アラートの現金転換効率0.55倍は、EBITDA101.00億円に対する営業CF55.98億円の低さを示す。利益の計上自体は営業CF/純利益1.16倍で裏付けられるが、M&Aと債務返済を内製資金で進める能力の評価では改善が必要である。、設備投資/減価償却0.17倍は投資不足警告水準である。有形投資の少ない事業モデルという文脈を踏まえても、成長投資が買収偏重となる場合、将来の自律成長力と更新投資の十分性を検証すべきである。、のれん/純資産77.0%は50%超の警告水準であり、M&Aプレミアムと減損耐性が投資リスクプロファイルを規定する。のれん/EBITDAは6.28倍で10倍未満だが、健全目安の5倍は上回り、回収には中長期を要する。、売掛金は前年同期比でほぼ横ばいの199.85億円だが、年換算DSO150日の品質警告は回収サイトの長さを示す。売上拡大に伴う債権増加を抑制できるか、契約資産から売掛金への転換が円滑かが重要である。、品質アラート上の現金/短期負債0.00倍は不記載項目を用いた算定値として扱わず、開示数値から評価する。現金302.39億円は流動負債247.42億円および短期借入金55.90億円を上回っており、足元の流動性ストレスは限定的である。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、営業利益率21.3%、純利益率13.2%、EBITDAマージン27.7%と、収益性はベンチマーク上で優良な水準にある。、売上高23.2%増に対し営業利益37.1%増で、販管費効率の改善を伴う営業レバレッジが確認できる。、年換算ROE7.8%は要注意境界付近であり、高収益率を低い資産回転率が相殺している。M&A資産の収益化がROE改善の鍵となる。、M&A投資は子会社取得63.13億円、のれん634.42億円という形で資本配分の中心を占める。統合効果の実現と減損回避が中長期価値に対する最大の検証事項である。、配当性向21.7%は低く、通常の営業キャッシュフローからの配当持続性は高い。一方、M&Aを含む提示フリーキャッシュフローはマイナスであり、資本配分全体では債務規律が重要である。が挙げられます。

注視すべき指標は、通期予想に対するQ4営業利益率の必要水準26.6%と、営業利益進捗率67.5%、年換算DSO150日、契約資産の増減、仕入債務増加の持続性、営業CF/EBITDA 0.55倍、営業CFの前年同期比推移、法人税等支払額、Debt/EBITDA 4.22倍、金融費用、借入金およびリース負債を含む債務性負債の推移、のれん/純資産77.0%、のれん/EBITDA 6.28倍、買収先の収益・統合進捗、粗利益率54.8%の推移と、販管費率の改善継続性、設備投資/減価償却0.17倍と、買収以外の有機的成長投資の水準です。

セクター内ポジションについては、利益率は情報・通信・データサービス企業として高水準で、営業レバレッジも良好である。他方、ROEは年換算7.8%にとどまり、Debt/EBITDA4.22倍、のれん/純資産77.0%、OCF/EBITDA0.55倍という組合せから、収益性の高さに対して資本効率、買収後のキャッシュ化、のれん耐性の改善余地が大きいポジションにある。