- 売上高: 12,320.34億円
- 営業利益: 1,148.67億円
- 当期純利益: 849.01億円
- 1株当たり当期純利益: 182.64円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 12,320.34億円 | 11,900.11億円 | +3.5% |
| 売上原価 | 7,307.25億円 | - | - |
| 売上総利益 | 4,592.86億円 | - | - |
| 販管費 | 3,637.37億円 | - | - |
| 営業利益 | 1,148.67億円 | 1,010.55億円 | +13.7% |
| 持分法投資損益 | 27.57億円 | - | - |
| 税引前利益 | 1,194.12億円 | 1,040.16億円 | +14.8% |
| 法人税等 | 310.99億円 | - | - |
| 当期純利益 | 849.01億円 | 729.17億円 | +16.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 847.19億円 | 710.27億円 | +19.3% |
| 包括利益 | 737.29億円 | 861.62億円 | -14.4% |
| 減価償却費 | 664.27億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 182.64円 | 152.85円 | +19.5% |
| 1株当たり配当金 | 76.00円 | 76.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 8,502.59億円 | 9,140.25億円 | -637.66億円 |
| 売掛金 | 2,278.40億円 | 2,380.77億円 | -102.37億円 |
| 棚卸資産 | 2,956.79億円 | 2,746.28億円 | +210.51億円 |
| 固定資産 | 9,415.39億円 | 9,532.12億円 | -116.73億円 |
| 有形固定資産 | 4,264.06億円 | 4,232.51億円 | +31.55億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 1,319.06億円 | - | - |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -303.95億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -929.80億円 | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 2,858.80億円 | 3,577.13億円 | -718.33億円 |
| フリーキャッシュフロー | 1,015.11億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 2,245.81円 |
| 純利益率 | 6.9% |
| 粗利益率 | 37.3% |
| 負債資本倍率 | 0.69倍 |
| EBITDAマージン | 14.7% |
| 実効税率 | 26.0% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +3.5% |
| 営業利益前年同期比 | +13.7% |
| 税引前利益前年同期比 | +14.8% |
| 当期純利益前年同期比 | +16.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +19.3% |
| 包括利益前年同期比 | -14.4% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 465.90百万株 |
| 自己株式数 | 7.60百万株 |
| 期中平均株式数 | 463.85百万株 |
| 1株当たり純資産 | 2,307.41円 |
| EBITDA | 1,812.94億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 76.00円 |
| 期末配当 | 76.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 16,900.00億円 |
| 営業利益予想 | 1,650.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 1,210.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 262.31円 |
| 1株当たり配当金予想 | 77.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q3の花王は、売上成長と利益率改善の両立により堅調な四半期だったと評価します。売上高は12,320.34億円で前年比+3.5%、営業利益は1,148.67億円で+13.7%と増益率が売上成長を上回りました。営業利益率は9.32%(=1,148.67/12,320.34)と推計され、前年の約8.49%から約83bp改善しています。粗利率は37.3%(=4,592.86/12,320.34)で、原材料・為替などコスト環境の改善と価格・ミックスの効果が示唆されます。販管費率は29.53%(=3,637.37/12,320.34)で、売上成長下でも販管費の伸びを抑制できた可能性があります。純利益は847.19億円(+19.3%)で、実効税率は26.0%と安定、純利益率は6.9%でした。DuPont分解によるROEは8.0%(純利益率6.9%×総資産回転率0.688×財務レバレッジ1.69倍)で、資本コストを意識した水準に回復しています。営業キャッシュフローは1,319.06億円で純利益847.19億円の1.56倍と、利益のキャッシュ化は高品質です。フリーキャッシュフローは1,015.11億円と潤沢で、財務CFは-929.80億円(主に配当-696.25億円・自社株買い-28.38億円)と株主還元を実行しています。もっとも、FCFは設備投資(417.99億円)と配当(696.25億円)の合計1,114.24億円をやや下回っており、期中は手元資金で補完した可能性があります。負債資本倍率は0.69倍、自己資本比率57.4%と財務基盤は堅固で、流動性指標は未開示ながら短期的な支払能力に懸念は限定的とみます。商社のような持分法利益依存は低く(持分法投資利益27.57億円、利益貢献2.3%)、本業(オーガニック)収益性の改善が業績を牽引しています。ROICは8.0%と目標レンジ上限に到達しており、資本効率は改善局面です。今後は原材料価格の再上昇や為替の反転、主要地域(特に中国)の需要動向がマージンに与える下押しリスクとなり得ます。一方で、価格改定の定着、プレミアム/スキンケアのミックス改善、サプライチェーン効率化が続けば、中期的な営業利益率の底上げが見込めます。データにN/Aが多く営業外損益・利息費用などの詳細は不明ですが、四半期の利益とキャッシュの整合性は高く、利益の質は良好と判断します。配当性向は計算値83.6%と高めで、キャッシュ創出力が続くかが還元の持続性を左右します。総じて、利益率改善のトレンドは確認でき、キャッシュ創出も堅調である一方、外部環境次第でマージンの変動が大きい点に留意が必要です。
デュポン分析(ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ):ROE 8.0% = 6.9% × 0.688 × 1.69。最も変化が大きい要素は利益率で、営業利益が+13.7%と売上+3.5%を大きく上回り、営業利益率は約83bp改善したと推計されます。ビジネス上の背景としては、価格改定・製品ミックスの改善、原材料(油脂・石化系)や物流コストの沈静化、サプライチェーン効率化などによる粗利改善と販管費コントロールの寄与が考えられます。こうした改善は、価格の定着とプレミアムシフトが続く限り一定の持続性が見込めますが、原材料や為替の反転はマージン縮小のリスクです。総資産回転率は0.688と消費財企業としては標準的で、売上成長率が資産成長率を上回れば漸進的な改善余地があります。財務レバレッジは1.69倍と保守的で、レバレッジ拡大によるROE押し上げ余地は限定的です。懸念されるトレンドとして、今後の成長投資や広告宣伝の再加速局面で販管費成長率が売上成長率を上回ると、営業レバレッジが逆回転し得る点に注意が必要です。
売上は+3.5%と堅調で、価格とミックスの寄与が示唆される一方、数量面は地域・カテゴリーで濃淡がある可能性があります。営業利益は+13.7%と、原価改善と運営効率化の効果で高い伸びを確保。EBITDAは1,812.94億円、EBITDAマージン14.7%と回復基調です。持分法投資利益の寄与は2.3%と限定的で、成長は基本的に本業ドリブンです。ROIC 8.0%は資本効率の改善を示し、今後の投資配分の規律が維持されれば持続性は高いと見ます。もっとも、外部環境(原材料、為替、中国需要)の向き次第で売上・マージンともにボラティリティがあり得ます。短期的には価格の定着とコスト改善の残余効果、中期的にはプレミアムスキンケアやヘルスケアのミックス改善、製造/物流効率化が成長ドライバーです。
自己資本比率57.4%、負債資本倍率0.69倍と保守的で、資本構成は堅健です。流動比率・当座比率は未開示のため定量評価は不可ですが、現金同等物2,858.80億円、営業CF1,319.06億円の創出力を勘案すると短期支払能力は良好とみられます。流動負債の内訳が不明なため満期ミスマッチの厳密評価はできませんが、売掛金2,278.40億円・棚卸2,956.79億円・買掛金2,427.36億円の水準から、運転資本は概ね適正レンジにあります。有利子負債や金利費用の詳細開示がなくインタレストカバレッジは算出不可ですが、総じて財務リスクは低位と評価します。オフバランス債務については情報不足で評価不可です。
営業CF/純利益は1.56倍と高水準で、利益のキャッシュ化は良好です。FCFは1,015.11億円と潤沢で、配当金支払額696.25億円を1.43倍で十分にカバーしています。一方、FCFは設備投資417.99億円と配当696.25億円の合計1,114.24億円をやや下回り、期中は既存の手元資金も活用した可能性があります。運転資本は売掛・棚卸から買掛を差し引いたネットで約2,807.83億円と推計され、期内の大幅な運転資本膨張を示す証拠はありません。営業CFと純利益に乖離はなく、運転資本操作の強い兆候は見られませんが、四半期の季節性や販路在庫の影響は引き続き留意点です。
配当性向は計算値で83.6%と高めで、ベンチマーク(<60%)を上回るため、利益ボラティリティ局面では負担感が増す可能性があります。FCFカバレッジは1.43倍で配当の現金ベースの持続性は良好ですが、成長投資や景気変動を踏まえると余裕度は中程度と評価します。財務CFは-929.80億円で、自社株買い-28.38億円も実施しており、総還元はFCFの範囲をほぼ使い切る水準です。今後はROIC目標や成長投資とのバランス、原材料や為替の逆風時の安全余裕を考慮した配当方針の柔軟性が重要です。
ビジネスリスク:
- 原材料価格(油脂・パーム油・石化系)上昇による粗利圧迫
- 為替変動(円高/円安)による輸入コスト・海外利益の目減り
- 中国や欧州の需要減速による数量鈍化
- 競争激化(プライベートブランド、グローバルブランド)による価格圧力
- 新製品の上市遅延・広告投資の効率低下
財務リスク:
- 高めの配当性向(83.6%)による景気逆風時の還元持続性低下
- 設備投資・M&A実行時のFCF圧迫とレバレッジ上昇リスク
- 金利上昇環境での資金調達コスト上昇(利息データ未開示で定量化不可)
主な懸念事項:
- 外部環境(コモディティ・為替)に対するマージンの感応度
- 販管費再加速時の営業レバレッジ逆回転
- 一部地域の在庫調整・チャネル在庫の可視性不足
- N/A項目の多さに伴う営業外損益・有利子負債構造の不確実性
重要ポイント:
- 売上+3.5%、営業利益+13.7%で営業利益率は約83bp改善と収益性が回復
- 営業CF/純利益1.56倍、FCF1,015億円でキャッシュ創出は堅調
- ROE8.0%、ROIC8.0%と資本効率は目標レンジに到達
- 配当性向83.6%は高めで、外部逆風時の柔軟性が課題
- 商社型の持分法依存は低く、コア事業の改善が業績を牽引
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率(価格・ミックス・原価の継続性)
- 運転資本回転(特に棚卸・売掛の推移)
- 原材料バスケット価格(パーム油・石化系)と為替(USD/JPY)
- 広告宣伝費や販管費の伸びと売上成長のバランス
- FCFと総還元(配当+自社株買い)のカバレッジ
セクター内ポジション:
家庭・パーソナルケアの国内大手として財務健全性とブランド力に強みがあり、2025年度Q3はマージン回復と高品質キャッシュフローを示した。外部環境への感応度は残るものの、ROIC/ROEは同業内で競争力ある水準に回復。還元性向の高さは魅力だが柔軟性確保が求められる。
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