- 売上高: 2,771.19億円
- 営業利益: 201.21億円
- 当期純利益: 191.76億円
- 1株当たり当期純利益: 70.90円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 2,771.19億円 | 2,896.88億円 | -4.3% |
| 売上原価 | 2,050.58億円 | 2,056.85億円 | -0.3% |
| 売上総利益 | 720.60億円 | 840.03億円 | -14.2% |
| 販管費 | 519.39億円 | 523.95億円 | -0.9% |
| 営業利益 | 201.21億円 | 316.07億円 | -36.3% |
| 営業外収益 | 42.39億円 | 38.47億円 | +10.2% |
| 営業外費用 | 39.88億円 | 47.08億円 | -15.3% |
| 経常利益 | 203.71億円 | 307.45億円 | -33.7% |
| 税引前利益 | 261.83億円 | 417.73億円 | -37.3% |
| 法人税等 | 70.06億円 | 91.92億円 | -23.8% |
| 当期純利益 | 191.76億円 | 325.81億円 | -41.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 188.02億円 | 320.53億円 | -41.3% |
| 包括利益 | 278.98億円 | 240.81億円 | +15.9% |
| 減価償却費 | 204.25億円 | 197.02億円 | +3.7% |
| 支払利息 | 15.47億円 | 7.99億円 | +93.6% |
| 1株当たり当期純利益 | 70.90円 | 116.18円 | -39.0% |
| 1株当たり配当金 | 30.00円 | 30.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 3,907.25億円 | 3,956.26億円 | -49.01億円 |
| 現金預金 | 646.84億円 | 651.42億円 | -4.58億円 |
| 売掛金 | 1,028.39億円 | 1,139.35億円 | -110.96億円 |
| 棚卸資産 | 1,859.65億円 | 1,778.79億円 | +80.86億円 |
| 固定資産 | 4,581.81億円 | 4,182.05億円 | +399.76億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 327.55億円 | 507.45億円 | -179.90億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -78.35億円 | -240.43億円 | +162.08億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 1,429.64円 |
| 純利益率 | 6.8% |
| 粗利益率 | 26.0% |
| 流動比率 | 196.5% |
| 当座比率 | 103.0% |
| 負債資本倍率 | 1.15倍 |
| インタレストカバレッジ | 13.01倍 |
| EBITDAマージン | 14.6% |
| 実効税率 | 26.8% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -4.3% |
| 営業利益前年同期比 | -36.3% |
| 経常利益前年同期比 | -33.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -41.3% |
| 包括利益前年同期比 | +15.8% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 266.94百万株 |
| 自己株式数 | 1.45百万株 |
| 期中平均株式数 | 265.21百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,484.80円 |
| EBITDA | 405.46億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 30.00円 |
| 期末配当 | 30.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 5,830.00億円 |
| 営業利益予想 | 465.00億円 |
| 経常利益予想 | 475.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 500.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 188.33円 |
| 1株当たり配当金予想 | 30.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2のダイセルは、売上減とマージン悪化により営業利益が大幅減益となり、全体として弱含みの決算でした。売上高は2,771.19億円で前年同期比-4.3%と減収、営業利益は201.21億円で-36.3%の大幅減益でした。粗利益率は26.0%と一定水準を維持したものの、販管費が18.7%(519.39億円/売上)まで上昇し、営業利益率は7.3%(約726bp)に低下しました。前年の営業利益率は約10.9%と推計されるため、約360bpのマージン縮小です。経常利益は203.71億円(-33.7%)と減益ですが、税引前利益は261.83億円まで上振れし、特別損益で約58億円の一時益が発生したとみられます。当期純利益は188.02億円(-41.3%)で、純利益率は6.8%に低下しています。営業外収益は42.39億円(受取配当11.68億円、受取利息4.22億円など)と営業外費用39.88億円がほぼ拮抗し、実質的に本業の弱さを補う効果は限定的でした。包括利益は278.98億円と純利益を大きく上回り、為替換算差額や投資有価証券評価差額などのOCIの寄与が大きかった可能性があります。ROEは4.8%に低下し、資本効率の面でも見劣りしています。ROICは2.9%と目標水準(7-8%)を大幅に下回っており、投下資本に対する収益性に警戒感が必要です。一方、営業CFは327.55億円と純利益188.02億円の1.74倍で、利益の現金化は堅調でした。もっとも、設備投資が354.29億円と営業CFを上回り、フリーCFは概算ベースで小幅マイナスと推定されます。流動比率196.5%、当座比率103.0%と短期流動性は良好で、インタレストカバレッジ13.0倍、負債資本倍率1.15倍と信用面の耐性も保たれています。総じて、足元は数量・価格(スプレッド)またはミックス悪化を背景に営業レバレッジが逆回転しており、利益率のリビルドが重要な課題です。特別損益やOCIが利益・純資産の見栄えを押し上げている反面、コアの収益力は鈍化している点には留意が必要です。今後は価格転嫁の進捗、エネルギー・原材料価格、在庫水準の適正化、為替の方向性が利益回復の鍵になります。ROICの早期回復(最低でも5%超)と、営業CFが設備投資と配当を継続的にカバーできるFCF体質への転換が、評価正常化の前提となるでしょう。
ROEは4.8%で、純利益率6.8%×総資産回転率0.326×財務レバレッジ2.15倍の積に整合しています。3要素のうち最も毀損が大きいのは純利益率で、営業利益率が前年約10.9%から7.3%へ約-360bp悪化したことが主因です。売上減(-4.3%)に対し販管費の相対的な負担が増し、固定費の吸収が効きにくくなったことが営業レバレッジ悪化につながりました。総資産回転率0.326は低位で、在庫水準(1,859.65億円)が高く運転資本が厚い構造が効率性を圧迫しています。財務レバレッジ2.15倍は中庸で、ROEを押し上げる効果は限定的です。営業外収入比率22.5%と、非コアの寄与が見られる一方、税前利益の上振れは特別利益の影響が大きく持続性に乏しい可能性があります。短期的なマージン悪化は原材料・エネルギーコスト、販売価格・ミックスの逆風、量のブレが複合したものと考えられます。持続性の評価としては、コスト環境と価格転嫁の改善が進めば一部は巻き戻せますが、在庫・稼働率・製品ミックスの正常化に時間を要する可能性があります。懸念されるトレンドとして、売上成長率(-4.3%)に対し販管費比率が上昇しており、固定費圧力が利益率を下押ししています。
売上は-4.3%と減収で、数量・価格・ミックスのいずれか、または複合的な逆風が示唆されます。営業利益は-36.3%と大幅減で、スプレッド縮小と固定費負担増が主因です。営業外および特別損益が税前利益を押し上げているため、成長の質はコア寄与が弱い構図です。EBITDAは405.46億円(マージン14.6%)とキャッシュ創出力は一定水準を維持していますが、前年水準比の改善余地が大きいと見ます。短期見通しは、在庫是正と価格転嫁の進捗、エネルギー・原材料価格の落ち着き、為替のサポートが整えば下期にかけてマージン回復の可能性があります。中期では、ROICを資本コスト超に引き上げる投資選別(撤退・縮小含む)と、運転資本効率の改善が持続成長の鍵です。
流動比率196.5%、当座比率103.0%と短期の支払能力は良好です。流動負債1,988.54億円に対し、現金預金646.84億円と売掛金1,028.39億円で当座資産は概ねカバーできており、満期ミスマッチリスクは限定的ですが、在庫依存が高く景気反転時の資金回収リスクには注意が必要です。総負債4,546.96億円、株主資本3,795.63億円で負債資本倍率1.15倍と保守的な範囲です。有利子負債は短期223.07億円、長期1,588.64億円の合計約1,811.71億円で、Debt/EBITDAは4.47倍と許容範囲内です。インタレストカバレッジ13.01倍と金利耐性は十分です。オフバランス債務の情報開示はなく、特段の示唆は得られません。
営業CFは327.55億円で純利益188.02億円の1.74倍と品質は良好です。減価償却費204.25億円の寄与が大きく、非現金費用が営業CFを下支えしました。一方、設備投資が354.29億円と営業CFを上回っており、概算のフリーCF(営業CF−設備投資)は約-26.7億円と小幅マイナスです。投資CFの詳細は未開示のため、M&Aや資産売却等の影響は不明です。運転資本は1,918.71億円と厚く、在庫1,859.65億円の水準が高いため、在庫圧縮が進めばキャッシュ創出の余地がある一方、需要減速局面ではキャッシュ消費のリスクにもなり得ます。営業CF/純利益が1.0を大きく超えている点は利益の現金化の健全性を示す一方、継続的な高水準の投資を自己資金で賄うには不足しており、FCFの持続性には課題が残ります。
配当性向(計算値)は85.2%と高水準で、利益ボラティリティが高い局面では持続性に注意が必要です。配当金総額および年間配当は未開示のため正確なCFカバレッジは算出不能ですが、概算のFCFが小幅マイナスである点を踏まえると、現状の配当は運転資本の解放、資産売却、または追加の負債・手元流動性で賄う必要が生じる可能性があります。財務体質は健全で短期的な配当継続余力はありますが、中期の持続性はROICの回復と投資規模の最適化、FCFの安定化に依存します。今後は配当方針(利益連動か安定配当か)とキャッシュアロケーションの優先順位(成長投資 vs 株主還元)の明確化が重要です。
ビジネスリスク:
- 製品スプレッドの悪化(原燃料コスト上昇や販売価格下落)によるマージン圧迫
- 需要軟化や在庫調整による数量減少と稼働率低下
- 在庫水準高止まりに伴う評価損・キャッシュ消費リスク
- 価格転嫁の遅れによる採算悪化
財務リスク:
- ROIC 2.9%と資本コスト未達に伴う資本効率の劣化と減損リスク
- FCFが設備投資に届かない局面の継続による外部資金依存度上昇
- 金利上昇局面での支払利息増加(有利子負債約1.8千億円)
- 為替変動による利益・包括利益の振れ幅拡大
主な懸念事項:
- 営業利益率の約-360bp縮小が示すコア収益力の低下
- 税前利益を押し上げた特別利益の一時性(持続性の乏しさ)
- 高い配当性向(85.2%)とマイナスFCFの組み合わせが示す還元の持続可能性リスク
- 在庫依存度の高さに起因する景気局面変化時のCF変動
重要ポイント:
- 減収・大幅減益で営業利益率が約7.3%へ低下、約-360bpのマージン悪化
- 営業CFは堅調(NI比1.74倍)だが、設備投資超過で概算FCFは小幅マイナス
- ROE 4.8%、ROIC 2.9%と資本効率が低位、改善余地が大きい
- 流動性と金利耐性は良好(当座比率103%、ICR 13倍、D/E 1.15倍)
- 税前利益の上振れは特別利益寄与の可能性が高く、持続性は限定的
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率(価格転嫁・スプレッドの進捗)
- 在庫回転と運転資本回転日数
- ROICのトレンド(最低5%超への回復)
- 営業CF−設備投資(FCF)の黒字転換と持続性
- Debt/EBITDAおよびインタレストカバレッジの推移
- 特別損益・OCI依存度(利益の質)
- 為替感応度(円安/円高の影響)
セクター内ポジション:
同業大手と比べ、財務安全性は良好だが、ROICと営業利益率の低下が目立ち、資本効率・収益性の面で相対的に見劣り。価格転嫁と在庫是正が進めばギャップ縮小余地はあるが、短期は慎重な再評価局面。
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