- 売上高: 3,616.78億円
- 営業利益: 251.45億円
- 当期純利益: -242.75億円
- 1株当たり当期純利益: -143.48円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 3,616.78億円 | 3,881.30億円 | -6.8% |
| 売上原価 | 2,808.65億円 | 2,987.29億円 | -6.0% |
| 売上総利益 | 808.13億円 | 894.00億円 | -9.6% |
| 販管費 | 556.68億円 | 556.48億円 | +0.0% |
| 営業利益 | 251.45億円 | 337.52億円 | -25.5% |
| 営業外収益 | 95.76億円 | 94.03億円 | +1.8% |
| 営業外費用 | 32.41億円 | 57.11億円 | -43.2% |
| 経常利益 | 314.80億円 | 374.44億円 | -15.9% |
| 税引前利益 | -141.27億円 | 368.84億円 | -138.3% |
| 法人税等 | 101.47億円 | 85.64億円 | +18.5% |
| 当期純利益 | -242.75億円 | 283.20億円 | -185.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -279.39億円 | 247.24億円 | -213.0% |
| 包括利益 | -208.98億円 | 299.94億円 | -169.7% |
| 減価償却費 | 185.72億円 | 168.51億円 | +10.2% |
| 支払利息 | 11.92億円 | 14.27億円 | -16.5% |
| 1株当たり当期純利益 | -143.48円 | 123.47円 | -216.2% |
| 1株当たり配当金 | 45.00円 | 45.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 4,365.31億円 | 4,602.68億円 | -237.37億円 |
| 現金預金 | 607.78億円 | 682.46億円 | -74.68億円 |
| 売掛金 | 1,441.99億円 | 1,578.53億円 | -136.54億円 |
| 棚卸資産 | 1,154.46億円 | 1,198.14億円 | -43.68億円 |
| 固定資産 | 6,388.91億円 | 6,594.19億円 | -205.28億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 298.50億円 | 355.89億円 | -57.39億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | 32.14億円 | 86.91億円 | -54.77億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | -7.7% |
| 粗利益率 | 22.3% |
| 流動比率 | 176.8% |
| 当座比率 | 130.0% |
| 負債資本倍率 | 0.62倍 |
| インタレストカバレッジ | 21.09倍 |
| EBITDAマージン | 12.1% |
| 実効税率 | -71.8% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -6.8% |
| 営業利益前年同期比 | -25.5% |
| 経常利益前年同期比 | -15.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -20.8% |
| 包括利益前年同期比 | -48.5% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 211.69百万株 |
| 自己株式数 | 16.94百万株 |
| 期中平均株式数 | 194.72百万株 |
| 1株当たり純資産 | 3,417.50円 |
| EBITDA | 437.17億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 45.00円 |
| 期末配当 | 50.00円 |
| セグメント | 売上高 |
|---|
| GreenEnergyAndChemicalsBusinessSector | 49.56億円 |
| SpecialtyChemicalsBusinessSector | 1.73億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 7,300.00億円 |
| 営業利益予想 | 440.00億円 |
| 経常利益予想 | 500.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | -170.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | -87.30円 |
| 1株当たり配当金予想 | 50.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の三菱瓦斯化学は、売上高のマイナス成長と特別損失の計上により最終赤字に転落し、収益性・資本効率の両面で厳しい決算となった。売上高は3,616.78億円で前年比-6.8%、営業利益は251.45億円で同-25.5%、経常利益は314.80億円で同-15.9%と上期は全般に減益である。営業利益率は6.95%(=251.45/3,616.78)と推定され、前年同期の約8.69%(逆算)から約174bp低下した。経常利益率は8.70%と推定され、前年同期の約9.64%(逆算)から約94bp低下した。粗利益率は22.3%で、売上減少下でのミックス悪化または販売価格・コストスプレッド縮小が示唆される。営業外収益は95.76億円(うち受取配当30.72億円、受取利息7.03億円)で一定の下支えとなったが、特別損失が大きく、経常利益314.80億円から税引前損失-141.27億円へ約456億円の大幅なマイナス転換が発生した。これにより当期純利益は-279.39億円となり、実効税率は-71.8%と歪みが大きく、繰延税金や評価性引当等の影響が推測される。営業キャッシュフローは298.50億円と黒字を確保し、P/Lの赤字と対照的で、在庫・売掛金の圧縮など運転資本の解放が寄与した可能性が高い。営業CF/純利益は-1.07倍で、機械的には品質警告の閾値を下回るが、これは非現金性の特損計上により純利益が大きく押し下げられたことが主因とみられる。財務安全性は流動比率176.8%、当座比率130.0%、負債資本倍率0.62倍、インタレストカバレッジ21.09倍と総じて堅固で、短期の資金繰りリスクは限定的である。総資産10,754.22億円に対し投資有価証券2,380.91億円、現金607.78億円を有し、バランスシートの緩衝力は残る。もっとも、ROEは-4.2%、ROICは3.3%と資本効率は低下しており、特にROICは警戒水準(<5%)を下回る。営業レベルの採算悪化に加え、特損の発生が最終損益・自己資本効率を大きく毀損した点が今期の最大の論点である。将来に向けては、特損が一過性であれば最終損益は回復余地がある一方、粗利率・営業利益率のテコ入れ(価格転嫁、コスト抑制、製品ミックス改善)がROICの底上げに不可欠となる。運転資本の更なる適正化により営業CFの安定性を確保しつつ、投資配分の見直しによる資本生産性の改善が鍵となる。資源・為替の外部環境と半導体・電子材料のサイクル動向が来四半期以降の回復速度を左右する見通しである。
デュポン分解:ROE(-4.2%)= 純利益率(-7.7%)× 総資産回転率(0.336)× 財務レバレッジ(1.62倍)。このうち最もROE悪化に寄与したのは純利益率の悪化で、経常段階から税引前で-456億円規模の特損が発生し、最終赤字(-279.39億円)となったことが決定的である。営業面では、売上減少(-6.8%)に対し営業利益が-25.5%と減益幅が拡大し、営業利益率は約174bp低下(8.69%→6.95%)した。要因は、(1)販売価格と変動費のスプレッド縮小による粗利率圧迫、(2)固定費の吸収不足、(3)ミックス悪化のいずれか/複合の可能性が高い。総資産回転率0.336は化学専業としてはやや低めで、在庫・投資有価証券比率の高さが回転の重石となっている。財務レバレッジは1.62倍と穏当で、レバレッジによるROE押し上げ効果は限定的。特損に起因する純利益率の急落は一時的要因である可能性が高い一方、営業利益率の低下は売上減下の固定費吸収悪化に起因する構造的側面も含むため、完全な反転には価格政策・コスト改善が必要と評価する。懸念すべきトレンドとして、売上成長率(-6.8%)に対して販管費の伸びは不明だが、営業レバレッジの負に働いた形跡(営業減益率が売上減少率を大きく上回る)が確認できる。持分法投資利益は未記載で、営業外収益の主因は配当・利息で安定性はあるが、規模は経常段階全体を左右するほどではない。以上を踏まえると、ROEの改善は(i)特損の沈静化による純利益率の正常化、(ii)在庫効率・資産回転の改善、(iii)固定費最適化と価格転嫁による営業利益率の回復、の三点がカギとなる。
売上は3,616.78億円で前年比-6.8%と縮小し、需要軟化または価格下落の影響がうかがえる。営業利益は-25.5%と減益幅が大きく、数量/価格/コストのいずれかで逆風が強まった。営業外収益は95.76億円と安定的だが、最終損益は特損で大きく押し下げられ、事業基盤の成長寄与は現時点で限定的。EBITDAは437.17億円、EBITDAマージン12.1%と一定のキャッシュ創出力は維持。短期的な成長持続性は、(1)電子材料・半導体関連のサイクル回復、(2)主力製品の市況・為替、(3)製品ミックスの改善に依存。利益の質は、営業段階の採算悪化と特損の大きさを踏まえると低下しているが、営業CF黒字は運転資本の改善余地を示す。今後は在庫最適化・価格精緻化を通じた粗利率の回復が主シナリオ。ガイダンスや特損の内訳開示が得られれば見通し精度は向上するが、現時点では保守的な業績回復パス(粗利率の段階的改善、固定費コントロール)を前提とするのが妥当である。
流動比率176.8%、当座比率130.0%と短期流動性は健全域にあり、明示的な警告(<1.0)には該当しない。負債資本倍率0.62倍、インタレストカバレッジ21.09倍と支払能力は良好で、D/E > 2.0の警告にも該当しない。短期借入金874.56億円に対し現金607.78億円、加えて運転資本(1,895.77億円)のバッファがあり、満期ミスマッチリスクは管理可能。固定負債1,629.33億円のうち長期借入金711.83億円で、長短バランスは概ね適正。投資有価証券2,380.91億円は市況変動に晒されるため評価損リスクを内包するが、同時に流動化可能な資産として財務柔軟性を提供。のれん145.30億円・無形244.08億円の水準は総資産対比で高くはない。オフバランス債務は開示なし(未記載)だが、リースや保証等の潜在債務の有無は確認余地がある。総じて短中期の財務健全性は高いが、評価性資産のボラティリティが自己資本の変動要因となる点は留意。
営業CFは298.50億円と黒字で、P/L赤字局面でもキャッシュ創出は維持。営業CF/純利益は-1.07倍で、形式上は品質警告(<0.8)に該当するが、これは特損や税効果の影響で純利益が大きくマイナスとなったためで、キャッシュ面の実態は相対的に良好と解釈できる。フリーCFは投資CF未記載のため算出不可だが、EBITDA437.17億円と運転資本の取り崩し余地を踏まえると、過度な投資を行わない限りFCFは確保可能とみられる。運転資本では売掛金1,441.99億円・棚卸1,154.46億円の絶対水準が高く、売上減少局面では在庫圧縮・回収強化によりキャッシュ創出余地がある。支払利息11.92億円に対し営業CFは十分で、利払い余力は大きい。投資CF・設備投資の未記載により資本的支出の継続性評価には限界があるが、ROIC低迷を踏まえ、投資の厳選と回収重視の方針が望まれる。運転資本操作の明示的な兆候は数値上断定できないものの、売上減少下での営業CF黒字は在庫・債権の解放寄与が示唆され、短期的にはプラスに作用している。
配当情報は未記載で、配当金総額・FCFカバレッジも算出不可。計算上の配当性向は-72.0%と参考性が低く、当期純損失下では実効的な配当性向評価は困難。営業CFは黒字であり、仮に安定配当方針が継続される場合もキャッシュ面では一定の支払い余力はあるが、ROIC3.3%と資本効率の低迷、特損発生を勘案すると、内部留保による財務柔軟性確保・投資効率改善を優先する可能性がある。持続可能性判断には、(1)今後のFCF(投資CF/設備投資の開示)、(2)一時的損失の規模と再発可能性、(3)自己株式活用や資産売却の方針、の追加情報が必要である。
ビジネスリスク:
- 製品価格と原材料価格(ナフサ・メタノール等)のスプレッド縮小による粗利率悪化リスク
- 半導体・電子材料サイクルの変動に伴う数量・ミックス悪化リスク
- 為替変動(主にUSD/JPY)による採算・評価影響
- 特別損失(減損、投資有価証券評価損等)の再発リスク
- 競合環境の激化による価格下落圧力
財務リスク:
- 投資有価証券2,380.91億円の評価変動に伴う包括利益・自己資本のボラティリティ
- ROIC 3.3%の低迷による資本生産性低下と資本配分の非効率化リスク
- 税効果会計(評価性引当)に起因する実効税率の大幅なブレ
- 短期借入金874.56億円のリファイナンス・金利上昇リスク(現状はインタレストカバレッジ高水準で許容範囲)
主な懸念事項:
- 経常黒字から税前損失への急転(約-456億円相当)をもたらした特損の中身と一過性の有無
- 営業利益率の174bp悪化が構造要因か一時要因かの判別
- ROICが警戒水準を下回る中での投資継続妥当性と回収見込み
- 運転資本の規模(売掛・在庫)とさらなる圧縮余地、キャッシュ創出の持続性
重要ポイント:
- 売上-6.8%、営業利益-25.5%で営業段階の採算が悪化、営業利益率は約174bp低下
- 経常利益は314.80億円を確保も、特損約-456億円で税前・最終赤字へ転落
- 営業CFは298.50億円と堅調、P/L赤字は主に非現金性要因の可能性
- 流動性・レバレッジは健全だが、ROE-4.2%、ROIC3.3%と資本効率は低迷
- 投資有価証券の評価変動が自己資本・包括利益のボラティリティ要因
注視すべき指標:
- 特別損失の内訳と再発可能性(減損・投資評価損・一過性費用)
- 粗利益率と営業利益率の回復度合い(価格転嫁・コスト削減の進捗)
- 在庫回転日数・売掛金回転日数の改善
- ROIC(>5%回復のタイミング)とセグメント別資本効率
- FCF(投資CF・設備投資の実績と計画)
- 為替と主要原料価格(メタノール等)のスプレッド
セクター内ポジション:
財務安全性は同業内でも堅実な部類だが、2026年度Q2は特損の影響で最終損失・ROIC低迷が目立ち、収益性・資本効率面では同業上位には位置しにくい。短期は在庫圧縮と価格政策による回復待ち、中期は選択的投資と資産回転の改善が相対的ポジショニングの鍵。
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