- 売上高: 647.34億円
- 営業利益: 68.29億円
- 当期純利益: 64.73億円
- 1株当たり当期純利益: 50.50円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 647.34億円 | 627.33億円 | +3.2% |
| 売上原価 | 429.36億円 | 417.02億円 | +3.0% |
| 売上総利益 | 217.97億円 | 210.30億円 | +3.6% |
| 販管費 | 149.67億円 | 138.93億円 | +7.7% |
| 営業利益 | 68.29億円 | 71.37億円 | -4.3% |
| 営業外収益 | 25.47億円 | 22.50億円 | +13.2% |
| 営業外費用 | 5.33億円 | 4.80億円 | +11.0% |
| 経常利益 | 88.42億円 | 89.07億円 | -0.7% |
| 税引前利益 | 92.59億円 | 89.72億円 | +3.2% |
| 法人税等 | 27.86億円 | 21.52億円 | +29.5% |
| 当期純利益 | 64.73億円 | 68.19億円 | -5.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 56.61億円 | 58.94億円 | -4.0% |
| 包括利益 | 47.35億円 | 109.86億円 | -56.9% |
| 支払利息 | 8百万円 | 14百万円 | -42.9% |
| 1株当たり当期純利益 | 50.50円 | 50.17円 | +0.7% |
| 1株当たり配当金 | 25.00円 | 25.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 1,257.83億円 | 1,378.68億円 | -120.85億円 |
| 現金預金 | 690.68億円 | 778.08億円 | -87.40億円 |
| 売掛金 | 422.48億円 | 445.25億円 | -22.77億円 |
| 棚卸資産 | 36.21億円 | 40.08億円 | -3.87億円 |
| 固定資産 | 1,356.85億円 | 1,293.81億円 | +63.04億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 1,740.20円 |
| 純利益率 | 8.7% |
| 粗利益率 | 33.7% |
| 流動比率 | 410.4% |
| 当座比率 | 398.6% |
| 負債資本倍率 | 0.20倍 |
| インタレストカバレッジ | 853.62倍 |
| 実効税率 | 30.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +3.2% |
| 営業利益前年同期比 | -4.3% |
| 経常利益前年同期比 | -0.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -4.0% |
| 包括利益前年同期比 | -56.9% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 132.60百万株 |
| 自己株式数 | 23.51百万株 |
| 期中平均株式数 | 112.11百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,991.75円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 25.00円 |
| 期末配当 | 25.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| Chemical | 6.06億円 | 44.93億円 |
| Equipment | 2.95億円 | 3.72億円 |
| Processing | 34百万円 | 26.31億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 1,310.00億円 |
| 営業利益予想 | 140.00億円 |
| 経常利益予想 | 185.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 120.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 110.90円 |
| 1株当たり配当金予想 | 25.00円 |
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2026年度Q2の日本パーカライジングは、売上成長を確保しつつもマージン圧力により営業利益と純利益が減益となった、慎重評価の決算である。売上高は647.34億円で前年同期比+3.2%を確保した一方、営業利益は68.29億円で同-4.3%、経常利益は88.42億円で同-0.7%、当期純利益は56.61億円で同-4.0%と後退した。営業利益率は10.6%(68.29/647.34)で、前年同期の推計11.4%から約82bp縮小した。純利益率は8.8%で、前年同期推計9.4%から約65bp縮小した。粗利益率は33.7%と一定の改善余地を残すが、販管費率は推計23.1%(149.67/647.34)と高止まりし、営業レバレッジが効きにくい構造が示唆される。非営業損益は収益25.47億円に対し費用5.33億円で純+20.14億円と大きく、経常段階への寄与が厚い(営業外収入比率45.0%)。受取利息4.30億円・受取配当金4.46億円など、潤沢な現金・投資有価証券残高(現金預金690.68億円、投資有価証券397.72億円)に伴う金融収益が利益を下支えした。財務体質は極めて健全で、流動比率410%・当座比率399%、負債資本倍率0.20倍、インタレストカバレッジ853倍と保守的な資本構成を維持している。もっとも、ROICは3.2%と目標水準(7–8%)を大きく下回り、資本効率の課題が鮮明である(品質アラート)。デュポン分解ではROE2.6%が純利益率8.8%×総資産回転率0.248×レバレッジ1.20倍の積で説明され、低い総資産回転率と保守的レバレッジが主因である。キャッシュフローは未開示項目が多く、営業CF/純利益やFCFの把握ができないため、利益の現金化や投資余力の定量確認に制約がある。配当は開示が不足する一方、計算上の配当性向は117.1%と示され、利益ベースではやや重たく見える。総論として、ネットキャッシュを背景に安定性は高いが、コア収益力の伸び悩みと資本効率の低さが株主価値創出の制約となっており、販管費効率化・アセットライト化・余剰資本の最適配分が今後の鍵となる。短期的には非営業収益が下支えする一方、中期的な評価改善にはコア営業利益率と総資産回転率の引き上げが不可欠である。マージンのbp悪化と非営業依存度の高さは、外部環境(為替・金利・市場変動)による業績変動リスクの増幅要因となる。なお、本社は総合商社ではなく化学・表面処理材メーカーであり、商社特有の持分法利益比率の議論は該当性が限定的である。データ制約(CF・減価償却・R&D等未開示)が分析の厳密度を下げている点は留意されたい。今後はコア事業の値上げ・ミックス改善と、遊休資産・投資有価証券の見直しによるROIC改善が示唆される。
ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジのデュポン分解では、ROE2.6%=8.8%×0.248×1.20で説明される。3要素のうち、総資産回転率0.248が最も低位で、資産規模に対する売上の伸びの鈍さがROEを抑制している。営業利益率は10.6%で、前年推計11.4%から約82bp縮小しており、販管費率の高止まりやコスト上昇(原材料・人件費)を十分に転嫁しきれていない可能性がある。非営業収益比率が45%と高く、金融収益の寄与が経常段階を下支えする一方で、コア営業力の伸びは限定的である。ビジネス上の背景として、グローバル自動車・電機向けの需要の伸び鈍化や価格転嫁のラグ、ならびに高水準の現金・投資有価証券保有に伴う金融収益増が想定される。非営業寄与の高さは金利・株式市場次第で変動する一時性が強く、持続性は限定的と評価する。懸念トレンドとして、売上成長率(+3.2%)に対し営業利益成長率(-4.3%)が下回る「負の営業レバレッジ」、および販管費率の粘着性が挙げられる。
売上は+3.2%と増収を確保したが、営業減益で質は中立〜弱め。営業外の金融収益(受取利息・配当)が利益を補完しており、コアの成長持続性には不透明感が残る。営業利益率が約82bp悪化しており、価格転嫁・製品ミックス・稼働率のいずれかに逆風があったとみられる。総資産回転率0.248は在庫・有価証券・現金の厚みを示唆し、資産効率の改善余地が大きい。中期的な見通しは、- コア事業の価格・ミックス改善、- 生産性向上と販管費効率化、- 非事業資産の圧縮によるROIC改善、の実行度に依存する。短期ではネットキャッシュと金融収益がクッションとなるが、外部金利・市場の変動に伴うボラティリティには注意。
流動比率410.4%・当座比率398.6%と高水準で、短期支払能力は極めて良好。負債資本倍率0.20倍、短期借入金2.04億円・長期借入金2.50億円に対し現金690.68億円と実質ネットキャッシュ。D/E>2.0や流動比率<1.0の警告条件には該当せず、警戒シグナルはない。満期ミスマッチも、流動資産1,257.83億円に対し流動負債306.50億円で余裕が大きい。オフバランス債務は開示情報からは確認できず、リースや保証等の潜在債務は不明。資本は株主資本1,898.40億円、自己資本比率(計算不可とされるが)実質的に高位と推定される。
営業CF、投資CF、財務CFが未開示で、営業CF/純利益やFCFを評価できない。よって利益の現金化度(営業CF/純利益<0.8なら品質懸念)の判定は保留。運転資本の内訳は売掛金422.48億円・棚卸36.21億円と開示されるが、期首比較がなく回転日数の評価は困難。非営業収益の寄与が大きく、営業外起因の現金創出は市場・金利の影響を受けやすい点に留意。設備投資・減価償却の未開示により、維持投資水準とFCFの持続性評価にも制約がある。
年間配当は未開示だが、計算上の配当性向117.1%は利益ベースで重い水準であり、単年度の利益成長や特別要因がなければ持続性に注意を要する。FCFカバレッジが不明なため確証はないが、ネットキャッシュの厚みが短期的な配当原資を補完し得る。中期的な持続可能性は、(1) コア営業CFの増加、(2) 設備投資と成長投資のバランス、(3) 余剰資本の還元ポリシー(自己株含む)に依存。営業CF/純利益>1.0の回復とROICの改善が確認できれば、配当方針の安定性は高まる。
ビジネスリスク:
- 原材料価格・エネルギーコスト上昇による粗利圧迫
- 主要顧客業界(自動車・電機・機械)需要減速
- 海外事業の為替変動リスク(円高局面での円換算減収)
- 製品ミックス悪化・値上げ遅れによるマージン縮小
財務リスク:
- ROIC3.2%と資本コスト未満の資本効率低下
- 非営業収益(利息・配当等)への依存度上昇による利益変動
- 投資有価証券397.72億円の評価変動リスク
- 配当性向が高水準(117.1%)で利益伸長が伴わない場合の還元持続性低下
主な懸念事項:
- 営業利益率の縮小(約-82bp)と負の営業レバレッジ
- 総資産回転率0.248と過大な資産サイド(現金・有価証券)によるROE低迷
- キャッシュフロー未開示に伴う利益の質・FCFの不確実性
- 営業外収入比率45%とコア収益依存度の相対的低さ
重要ポイント:
- 増収ながら営業減益、営業利益率は約82bp悪化
- 非営業収益が経常段階を下支え(営業外収入比率45%)
- 極めて健全なバランスシート(ネットキャッシュ、流動比率410%)
- ROIC3.2%・ROE2.6%と資本効率が低位、資産効率改善余地大
- 配当性向は117.1%と利益ベースでは重く、持続性はコアCF次第
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益(>1.0の回復)
- 販管費率と単価ミックス(値上げ進捗)
- 総資産回転率・在庫/売掛回転日数
- ROIC(7–8%目標へのギャップ低減)
- 非営業収益依存度(営業外/経常の比率)
セクター内ポジション:
同業の機能化学・表面処理材企業と比べ、財務安全性は上位だが、資本効率(ROIC・ROE)とコア収益成長の質で見劣り。余剰資産の活用・事業ポートフォリオの磨き上げにより改善余地がある。
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