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40422026 第3四半期プライムJGAAP

東ソー(4042) 2026年度第3四半期決算 減収・営業益6%減

2026年度第3四半期の売上高は7,561億円(前年同期比-5.0%)、営業利益は698.9億円(同-6.3%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

東ソー株式会社

素材・化学/化学


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥7560.8億¥7957.0億−5.0%
営業利益¥698.9億¥746.0億−6.3%
経常利益¥769.8億¥825.5億−6.7%
純利益¥346.9億¥563.2億−38.4%
ROE3.9%6.2%-

Executive Summary

2025年度第3四半期累計は、化学品市況の悪化と定期修繕差の影響により減収減益となり、加えて減損損失計上で最終利益が大幅に落ち込んだ点が最大の特徴である。売上高は7,560.8億円(前年比△5.0%、△396.2億円)、営業利益は698.9億円(同△6.3%、△47.1億円)、経常利益は769.8億円(同△6.7%、△55.7億円)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は246.3億円(同△49.2%)で、2Qに計上したトーソー・SMD, Inc.の減損損失192.1億円が主因である。減収の背景には主要製品の海外市況下落と南陽事業所の定修規模差があり、原燃料価格下落による交易条件改善効果を、在庫受払差の悪化と固定費増が相殺した。

業績変動要因

【売上高】売上高は前年比5.0%減の7,560.8億円。石油化学・クロル・アルカリ両事業でナフサ由来製品の海外市況下落と南陽定修差による出荷減が主因で、機能商品もほぼ横ばいにとどまった。一方、エンジニアリング事業は台湾・米国の先端半導体関連大型案件の進捗により増収を確保し、全社減収を部分的に緩和した。

【損益】営業利益は前年比6.3%減の698.9億円で、減収率5.0%を上回る減益率となり、固定費吸収力の低下が示唆される。原燃料価格下落が販売価格下落を上回る交易条件改善はあったものの、在庫受払差の悪化と固定費増がこれを相殺した。経常利益は為替差益40.6億円の押し上げを受けつつも同6.7%減の769.8億円。特別損失204.5億円(うち減損損失192.1億円)の計上により、親会社株主帰属純利益は同49.2%減の246.3億円と、経常利益の減益率を大きく上回る乖離が生じた。結論として減収減益である。

セグメント別分析

売上高構成比が最大の主力事業はクロル・アルカリ(2,872.2億円、全体の約38%)だが、営業利益は1.0億円(利益率0.04%)とほぼ収益に寄与していない。苛性ソーダ・VCM・塩ビ樹脂の南陽定修差による出荷減と海外市況下落、原燃料下落による交易条件改善効果の相殺が要因である。

利益面での稼ぎ頭はSpecialty(機能商品、営業利益311.3億円、利益率14.2%)とEngineering(同278.0億円、利益率19.1%)で、両セグメント合計で全社営業利益の約84%を占める。特にEngineeringは台湾・米国の先端半導体関連大型案件と水処理案件の進捗により増収増益となり、業績全体の下支え役となった。Petrochemical(石油化学)は営業利益81.0億円・利益率3.6%と相対的に低収益で、市況悪化の影響を最も強く受けたセグメントである。セグメント間の利益率差は大きく、収益構造はエンジニアリング・機能商品への依存度が高まっている。

主要財務指標

収益性: ROE 3.9%、営業利益率9.2%。営業利益段階では業種内で相対的に健全な水準にあるが、特別損失計上により最終利益段階のROEは抑制されている。

キャッシュ品質: 営業CFは親会社株主帰属純利益の3.21倍(789.6億円/246.3億円)で、非現金費用である減損損失を含むため会計利益を大幅に上回る。FCFは209.6億円。

投資効率: 設備投資(非流動資産取得572.3億円)/減価償却(359.0億円)は1.59倍で、成長投資局面にある。

財務健全性: 自己資本比率65.7%、流動比率223.2%。いずれも高水準で財務基盤は保守的である。

キャッシュフロー分析

営業CFは789.6億円で、減損損失192.1億円という非現金費用の加算もあり会計利益を大きく上回る水準を確保した。棚卸資産の増加が166.2億円のキャッシュ流出要因となった一方、仕入債務の増加70.5億円が下支えした。

投資CFは△580.0億円で、設備投資572.3億円が主因である。財務CFは△247.6億円で、自社株買い187.7億円と配当支払いが中心。FCFは営業CF789.6億円から設備投資等を差し引いた209.6億円の黒字である。

現金創出評価: 標準。営業CFの絶対額は厚いが、在庫増加が現金転換を抑制しており、在庫水準の正常化が今後のFCF拡大の鍵となる。

収益の質

経常利益769.8億円と親会社株主帰属純利益246.3億円の乖離は523.5億円と極めて大きく、主因は特別損失204.5億円(うち減損損失192.1億円)である。この減損は臨時的要因であり、経常的な収益力とは区別して評価する必要がある。

営業外収益107.3億円は売上高の1.4%にとどまり、営業利益評価を大きく歪める規模ではないが、為替差益40.6億円が経常利益を下支えした点は一時的な市場変動要因として留意される。

包括利益361.3億円のうち親会社株主分は263.7億円で、親会社株主帰属純利益246.3億円との乖離は17.4億円と比較的小さく、その他有価証券評価差額金の増加が寄与した。

業績予想・ガイダンス

通期予想(売上高10,100億円、営業利益900億円、経常利益940億円)に対するQ3累計進捗率は、売上高74.9%、営業利益77.7%、経常利益81.9%であり、いずれも標準進捗率75%を上回るか概ね一致する水準にある。同社は前回予想から通期営業利益を1,030億円→900億円、純利益を380億円→300億円へ下方修正しており、石油化学・クロル・アルカリ・機能商品の市況悪化と半導体関連需要回復の遅れが背景にある。

一方でエンジニアリング事業は電子産業向けの高水準な受注残高を有し、水処理案件を中心に増益基調が継続する見込みである。減損計上済みであることから第4四半期以降の利益比較は容易になるが、在庫調整の長期化が回復ペースに影響しうる。

株主還元

通期配当予想は年間100円(中間50円・期末50円)で据え置かれている。発行済株式数から自己株式を控除した実質株式数(約3.10億株)を基に算定すると、通期利益予想300.0億円に対する配当性向は約103.5%となり、当期利益を上回る配当水準である。

自社株買いを187.7億円実施しており、配当と合計した総還元額は約498.1億円、通期利益予想に対する総還元性向は約166%となる。会社は総還元性向50%を基本方針としつつ、3ヶ年で500億円の追加自社株買いを計画しており、単年度の還元性向の高さは中期的な還元方針の一部として捉える必要がある。

カタリスト

【短期】第4四半期における主要製品(PVC、VCM、MDI等)の市況動向と在庫調整の進捗、南陽事業所の定修差影響の解消状況。

【長期】エンジニアリング事業における台湾・米国の先端半導体関連案件の受注残高と工事進捗、機能商品事業における半導体関連需要の回復時期。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率9.2%8.6% (4.3%–12.7%)+0.7pt
純利益率4.6%6.4% (2.8%–10.3%)−1.8pt
営業利益率は業種中央値を上回るが、純利益率は減損等の影響で業種中央値を下回る。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)−5.0%3.3% (-2.1%–8.9%)−8.3pt
売上高成長率は業種中央値を大きく下回り、IQR下限をも下回る水準にある。

※出所: 当社集計

リスク要因

  1. 市況・需要変動リスク: 石油化学・クロル・アルカリ両事業で海外市況下落と需要減少が続いており、PVC・VCM・MDI等の価格低迷が営業利益率9.2%をさらに圧迫する可能性がある。

  2. 在庫・運転資本リスク: 棚卸資産は1,555.2億円で当期は在庫増加が営業CFを166.2億円押し下げた。需要回復が遅れた場合、在庫評価損や値引き販売のリスクがある。

  3. 一時的損失の再発リスク: トーソー・SMD, Inc.の減損損失192.1億円は親会社株主帰属純利益の約78%に相当する規模であり、対象事業の収益回復状況によっては追加的な減損の可能性が残る。

決算上の注目ポイント

  1. 減収率5.0%に対し営業利益減益率6.3%と、営業レバレッジがやや逆風に働いている点は、固定費構造と市況感応度を示す観察事項である。

  2. 経常利益と親会社株主帰属純利益の乖離が523.5億円と大きいのは特別損失(主に減損損失192.1億円)によるもので、経常的収益力と一時的要因を分けて捉える必要がある。

  3. 通期配当予想100円に対する配当性向は約103.5%、自社株買いを含む総還元性向は約166%であり、会社が掲げる総還元性向50%を基本とする中期方針との整合性は、今後の利益回復動向を含めて確認する材料となる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)2,399円
base(基準)2,422円
bull(強気)2,441円
算出前提
1株純資産(BPS)2,847円
調整後予想EPS102.0円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向100.0%
予想EPSの信頼度調整×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.85倍 / 23.7倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 2,359円〜2,489円、ω±0.1で 2,409円〜2,431円。

注記:

  • 税負担・買収関連費用・少数株主持分等により、営業利益に対して純利益が大きく圧縮されています(純利益÷営業利益 33%)。本値はその圧縮を額面どおり反映しており、要因が一時的であれば実力値はこれより高い可能性があります。
  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。