- 売上高: 33.69億円
- 営業利益: -2.61億円
- 当期純利益: -2.67億円
- 1株当たり当期純利益: -101.72円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 33.69億円 | 25.91億円 | +30.0% |
| 売上原価 | 16.75億円 | 15.05億円 | +11.3% |
| 売上総利益 | 16.95億円 | 10.86億円 | +56.0% |
| 販管費 | 19.56億円 | 9.00億円 | +117.4% |
| 営業利益 | -2.61億円 | 1.85億円 | -241.1% |
| 営業外収益 | 7百万円 | 2百万円 | +367.9% |
| 営業外費用 | 73百万円 | 6百万円 | +1051.1% |
| 経常利益 | -3.27億円 | 1.81億円 | -280.7% |
| 税引前利益 | -3.12億円 | 1.44億円 | -317.5% |
| 当期純利益 | -2.67億円 | 23百万円 | -1286.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -2.69億円 | 23百万円 | -1269.6% |
| 包括利益 | -2.26億円 | 22百万円 | -1127.3% |
| 減価償却費 | 1.06億円 | 33百万円 | +222.7% |
| 支払利息 | 15百万円 | 96万円 | +1488.9% |
| 1株当たり当期純利益 | -101.72円 | 8.76円 | -1261.2% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 8.73円 | 8.73円 | +0.0% |
| 1株当たり配当金 | 0.00円 | 0.00円 | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 46.94億円 | 49.76億円 | -2.82億円 |
| 現金預金 | 34.21億円 | 35.76億円 | -1.56億円 |
| 売掛金 | 7.59億円 | 9.21億円 | -1.61億円 |
| 固定資産 | 32.73億円 | 33.45億円 | -72百万円 |
| 有形固定資産 | 1.49億円 | 75百万円 | +75百万円 |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 2.77億円 | -33百万円 | +3.11億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -3.27億円 | -2.21億円 | -1.06億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | -8.0% |
| 粗利益率 | 50.3% |
| 流動比率 | 232.3% |
| 当座比率 | 232.3% |
| 負債資本倍率 | 1.12倍 |
| インタレストカバレッジ | -17.02倍 |
| EBITDAマージン | -4.6% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +30.0% |
| 営業利益前年同期比 | -19.6% |
| 経常利益前年同期比 | -22.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -82.8% |
| 包括利益前年同期比 | -82.0% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 2.75百万株 |
| 自己株式数 | 78千株 |
| 期中平均株式数 | 2.65百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,406.72円 |
| EBITDA | -1.55億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 40.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 83.00億円 |
| 営業利益予想 | 3.90億円 |
| 経常利益予想 | 3.40億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 2.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 75.15円 |
| 1株当たり配当金予想 | 40.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の株式会社イノベーションは、売上成長は力強い一方で赤字継続と資本効率の低下が目立つミックスの決算でした。売上高は33.69億円で前年同期比+30.0%と高成長を確保。粗利益は16.95億円、粗利率は50.3%と高水準を維持しましたが、販管費19.56億円がかさみ営業損失は-2.61億円(前年同期比-19.6%)となりました。営業利益率は-7.75%で、前年同期の推計-8.41%から約+66bp改善したものの、依然として赤字領域です。営業外収益0.07億円に対し営業外費用0.73億円(うち支払利息0.15億円)で、経常損失は-3.27億円、当期純損失は-2.69億円(前年同期比-82.8%)と悪化しました。EPS(基本)は-101.72円で、希薄化後EPSが8.73円と正値となっている点は、赤字期特有の潜在株式調整の影響で実態的な指標性に乏しい状況です。資産は79.67億円、純資産37.56億円、負債42.12億円で負債資本倍率は1.12倍と過度なレバレッジではありません。流動比率は232.3%と流動性は厚く、現金預金34.21億円が長短借入合計18.94億円を上回る実質ネットキャッシュ体質です。一方、インタレストカバレッジは-17.02倍と、損益ベースの利払い余力は弱含みです。営業CFは2.77億円と黒字化している一方、純損失-2.69億円との乖離により営業CF/純利益は-1.03倍で、利益の質に関する警告シグナルが点灯しています。のれん13.66億円、無形固定資産27.90億円と無形資産比率が高く、将来的なのれん減損・無形償却が損益やROICに与える影響は注視が必要です。ROICは-8.2%と目標水準(7–8%)を大きく下回り、資本効率の改善余地が大きいです。営業レベルでは売上成長が先行する段階で、規模化に伴う販管費の逓減と単位経済の改善が今後の黒字化の鍵となります。短期的にはネットキャッシュと高流動性が資金面の安心材料ですが、中期的には赤字継続・金利負担・無形資産の償却/減損リスクが重石です。売上総利益率が50%台を維持する中、販促・人件費の効率化と価格政策の最適化が営業損失縮小の主因となり得ます。簡易FCF(営業CF−設備投資)は概算で+1.99億円ですが、投資CFの全体像(M&A等)が未開示のため持続性評価には限界があります。総じて、強いトップラインと厚い流動性を確保しつつも、利益の質・資本効率・利払い余力に課題が残る決算であり、費用最適化と収益モデルの磨き込みが将来の改善の鍵です。
DuPont分解: ROE(-7.2%) = 純利益率(-8.0%) × 総資産回転率(0.423) × 財務レバレッジ(2.12倍)。最もROEに悪影響を与えた要素は純利益率で、粗利率50.3%に対し販管費比率が高水準で営業赤字を拡大させたことが主要因です。営業利益率は-7.75%と赤字ながら、前年同期推計-8.41%から約+66bp改善しており、売上規模の拡大に伴う一部固定費の希薄化や価格/ミックス改善が示唆されます。総資産回転率0.423は、現金34.21億円や無形資産27.90億円(のれん13.66億円)を含む資産構成が回転を抑制している構図です。財務レバレッジ2.12倍は過度ではないものの、損益が赤字の局面ではレバレッジがROEの下押し圧力として作用しています。営業外費用0.73億円(支払利息0.15億円含む)が経常段階の赤字拡大にも寄与。ビジネス上の背景としては、成長投資(人件費・販売促進費)の先行計上と、無形資産の償却負担が営業段階の利益率を圧迫している可能性が高いです。これらの費用増は売上成長が継続する限り中期的に逓減余地がある一方、金利負担や無形償却は短期的に回避しにくく、改善は段階的になる見込みです。懸念点として、販管費の絶対額19.56億円の伸びが売上伸長(+30%)に見合う効率改善を十分に示せていない可能性があり、今後は販管費成長率が売上成長率を上回らないかの監視が必要です。
売上高は+30.0%と強い成長で、単価/数量効果あるいは新規顧客獲得が寄与した公算が大きい一方、詳細なセグメント別内訳・ARR/ARPU等は未開示です。粗利率50.3%を維持しており、価格競争の激化や原価上昇の顕著な影響は現時点で限定的と評価できます。営業損失は-2.61億円ながら、営業利益率は前年から約+66bp改善し、スケールメリットの芽が見え始めています。営業外費用の増加(0.73億円)により経常赤字が拡大しており、成長投資の資金コストや借入金利の上昇が成長の果実を一部相殺しています。無形資産27.90億円の償却・減損リスクが成長の平準性に影響する可能性があり、M&Aドリブンか内製開発中心かで持続性が異なります。短期見通しでは、販促効率化や人員生産性の改善により営業損失の縮小が期待される一方、金利費用と無形償却が利益段階の黒字化タイミングを後ろ倒しにするリスクがあります。中期では、既存顧客のアップセル/クロスセル、チャーン低減、価格改定余地の有無が売上の持続性を規定します。現金34.21億円のバッファは成長投資の継続を可能にし、守りの面での安心感を提供しますが、ROICが-8.2%と低下しているため、投下資本の回収可能性とプロジェクトのハードルレート適合性が重要です。
流動比率232.3%、当座比率232.3%と短期流動性は良好で、明確な警戒シグナル(<1.0)はありません。総負債42.12億円、純資産37.56億円で負債資本倍率1.12倍と資本構成は中立的。短期借入0.46億円に対し現金34.21億円で短期の満期ミスマッチは低く、長期借入18.48億円も現金で十分カバー可能です。インタレストカバレッジは-17.02倍と損益ベースの利払い余力は脆弱で、金利上昇またはEBITDAの悪化が続くと経常赤字が長期化するリスクがあります。無形資産27.90億円(のれん13.66億円)と無形比率が高く、減損発生時は自己資本の毀損を通じてD/Eの上振れリスクがあります。オフバランス債務は開示がなく把握困難ですが、リース等の実質債務は存在し得るため注記確認が必要です。
営業CF2.77億円に対し純損失-2.69億円で営業CF/純利益は-1.03倍と閾値0.8を下回り、利益の質に関する注意が必要です。乖離の一因として、減価償却費1.06億円や(開示はないが)無形償却・運転資本の改善が営業CFを押し上げた可能性があります。投資CFは未開示のため総合的なFCFは評価不能ですが、簡易FCF(営業CF−設備投資)は+1.99億円と推計され、短期的な自己資金創出は良好に見えます。もっとも、M&A・投資有価証券の売買等が不明で持続性の判断には限界があります。運転資本は26.74億円と潤沢で、売掛金7.59億円の回収状況や前受収益/前受金の動向(未開示)がCF変動要因になり得ます。運転資本の積み増しによる一時的なCFブーストや期末調整の可能性も排除できず、四半期推移での検証が必要です。
配当関連の定量開示はなく、当期は純損失のため理論上の配当余力は限定的です。配当性向(計算値)は-40.9%と参考性に乏しく、方針判断は困難です。営業CFは黒字、簡易FCFもプラスで短期的な原資はあるものの、赤字継続とROICマイナス、インタレストカバレッジの弱さを踏まえると内部留保優先(成長投資/財務安定化)バイアスが合理的と考えられます。今後の配当実施/増配の持続可能性を評価するには、通期での営業黒字化、投資CFの全体像、負債償還計画の開示が必要です。
ビジネスリスク:
- 販管費の高止まりによる営業赤字長期化リスク(営業利益率-7.75%)
- 無形資産・のれんの償却/減損による利益変動・自己資本毀損リスク(無形27.90億円、のれん13.66億円)
- 価格競争・顧客獲得コスト上昇による粗利圧迫(粗利率50.3%維持の継続性)
- 需要サイクルや広告市況変動による新規受注・更新の変動(SaaS/デジタルマーケ領域想定)
- 人材獲得難・人件費上昇による固定費増大
財務リスク:
- インタレストカバレッジ-17.02倍で利払い余力が脆弱、金利上昇耐性の低さ
- 経常赤字による債務償還能力の低下(経常損失-3.27億円)
- 資本効率の低下(ROIC-8.2%、ROE-7.2%)に伴う資本調達コスト上昇
- 運転資本の変動に左右されやすいキャッシュ創出(営業CFと純利益の乖離-1.03倍)
主な懸念事項:
- 赤字継続と営業外費用(0.73億円)による損失拡大
- のれん・無形の高さに伴う減損リスクと自己資本の毀損可能性
- 投資CF未開示のためFCF持続性の判断が困難
- 希薄化後EPSが正値となる特殊事情により1株指標の解釈が難しい
重要ポイント:
- 売上は+30%と強い一方、営業赤字-2.61億円で収益化は途上
- 営業利益率は前年から約+66bp改善し固定費希薄化の兆し
- ネットキャッシュ約+15億円相当で流動性は厚いが、利払い余力は弱い(IC -17倍)
- ROIC-8.2%と資本効率は低位、投資案件の選別と回収が課題
- 無形資産・のれんが大きく、将来の減損が重要リスク
注視すべき指標:
- 営業利益率と販管費率の四半期推移
- 営業CFと純利益の乖離(>1.0倍への回帰)
- ARR/ARPU、チャーン率、顧客獲得コスト(CAC)とLTV
- 金利費用の推移とインタレストカバレッジ改善
- 無形資産の償却額・減損テストの結果
- 新規受注/更新率、案件単価の動向
- のれんを含むROICの分解(NOPAT、投下資本回転)
セクター内ポジション:
国内の成長ソフトウエア/デジタルマーケ同業と比べると、売上成長率は堅調な一方、利益率とROICは劣後。バランスシートの流動性は上位だが、損益ベースの利払い余力は下位。収益化のトランジション局面に位置付けられる。
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