クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥41.2億 | ¥30.9億 | +33.5% |
| 営業利益 | ¥2.0億 | ¥1.1億 | +83.7% |
| 経常利益 | ¥2.0億 | ¥0.9億 | +126.8% |
| 純利益 | ¥3.6億 | ¥0.5億 | +687.9% |
| ROE | 16.0% | 2.7% | - |
Executive Summary
2026年度第3四半期累計決算は、売上高41.2億円(前年同期比+10.3億円 +33.5%)、営業利益2.0億円(同+0.9億円 +83.7%)、経常利益2.0億円(同+1.1億円 +126.8%)、純利益3.6億円(同+3.1億円 +687.9%)となった。売上は両主力セグメントの成長と子会社連結効果により大幅増収、営業段階では販管費抑制により利益率が改善し増益を実現。純利益は投資有価証券売却益3.9億円の特別利益計上により経常利益を大きく上回る着地となった。総資産は74.0億円(前年比+18.0億円)、純資産は22.6億円(同+5.3億円)へ拡大し、ROEは16.0%を記録した。
業績変動要因
【売上高】前年比+33.5%の大幅増収は、ITツール事業が売上高23.1億円(前年17.3億円から+33.1%増)、ITサービス事業が18.5億円(前年13.7億円から+35.0%増)と両セグメントの成長が牽引した。セグメント注記によれば、前年度に連結化したイチアール株式会社(ITサービス事業)が通期寄与したことに加え、当期中に連結化した株式会社フーバー・クロステクノロジーズ(ITツール事業)がのれん10.5百万円計上とともに売上に寄与した。投資事業は新たに報告セグメント化され、売上高は微少ながら有価証券売却収入を営業収入に含める会計処理方針の変更により、調整後売上高では45.4億円(投資事業含む)へ拡大する。【損益】売上原価率は71.9%(29.7億円/41.2億円)、粗利率は28.1%と前年並みで推移。販管費は9.6億円(販管費率23.3%)に抑制され、前年の販管費率20.1%から若干上昇したものの、売上成長に対して費用増加が相対的に抑制された結果、営業利益率は4.8%(前年3.5%から+1.3pt改善)を達成した。営業外収益は0.2億円、営業外費用は0.1億円(うち支払利息0.1億円)で、営業外純損益は+0.1億円と小幅。経常段階では営業利益とほぼ同水準の2.0億円を計上した。特別利益3.9億円(投資有価証券売却益)の一時的要因により税引前利益は5.9億円へ急増し、法人税等2.3億円(実効税率約38.6%)控除後の純利益は3.6億円となった。経常利益2.0億円に対し純利益3.6億円と1.6億円の乖離は、特別利益が主因である。投資売却による一時的利益押上げは収益の質に関する注意点であり、営業ベースでの持続的な利益創出力が今後の鍵となる。結論として、増収増益を達成したが、純利益の大幅増は特別利益に依存した構造である。
セグメント別分析
ITツール事業は売上高23.1億円(全社の56.0%)、営業利益2.1億円(利益率9.3%)で利益貢献が大きい主力事業である。ITサービス事業は売上高18.5億円(同44.9%)、営業利益2.2億円(利益率12.1%)で、利益率はITサービス事業がより高い。投資事業は売上高0.1億円、営業損失0.0億円(利益率マイナス42.4%)と赤字だが、規模は僅少である。全社費用2.4億円(のれん償却0.1億円、M&A関連費用0.2億円、配賦不能全社費用2.1億円)を控除後の連結営業利益は2.0億円となった。ITサービス事業は前年に連結化したイチアール株式会社の通期寄与により利益が拡大し、ITツール事業も当期連結化した株式会社フーバー・クロステクノロジーズの寄与により増収増益を実現した。セグメント間では利益率に2.8pt(12.1%-9.3%)の差があり、ITサービス事業の高収益構造が確認できる。
主要財務指標
【収益性】ROE 16.0%(前年は純利益0.5億円と小規模で比較困難だが、当期は投資有価証券売却益を含む純利益3.6億円により大幅改善)、営業利益率4.8%(前年3.5%から+1.3pt)、純利益率8.8%(純利益3.6億円/売上41.2億円)。【キャッシュ品質】現金同等物17.3億円、短期負債26.0億円に対し現金カバレッジ0.67倍で短期的には流動性確保。流動資産38.9億円で流動比率149.8%、短期借入金1.0億円に対する現金比率は17.3倍と十分な余力。【投資効率】総資産回転率0.56回転(売上41.2億円/総資産74.0億円、年換算では0.74回転相当)、総資産利益率(ROA)は純利益ベースで4.9%(3.6億円/74.0億円)。【財務健全性】自己資本比率30.6%(純資産22.6億円/総資産74.0億円)、負債資本倍率2.27倍(負債51.3億円/純資産22.6億円)で業種中央値と比較してレバレッジは高め。固定負債25.4億円のうち長期借入金は2.1億円と有利子負債は限定的で、負債の主体は前受金(流動負債17.3億円)等の営業債務である。
キャッシュフロー分析
キャッシュフロー計算書データは未開示だが、貸借対照表の推移から資金動向を推察する。現金預金は17.3億円で前年比+4.8億円増加し、資金積み上がりが確認できる。流動資産は38.9億円(前年比+10.6億円)、流動負債は26.0億円(同+10.8億円)と双方が増加しているが、現金の増加と売掛金等の営業債権拡大(売掛金・契約資産4.6億円へ増加)が寄与した。固定資産は35.1億円で前年比+7.4億円増加し、投資有価証券が11.3億円(前年1.4億円から+9.9億円)へ急拡大した点が特徴である。有価証券売却益3.9億円計上後も残高増加しており、投資ポジションの積極化が確認できる。有形固定資産も1.4億円(前年0.3億円から+1.1億円)へ増加し、設備投資やM&Aに伴う資産計上が進んだ。負債面では前受金17.3億円(前年8.8億円から+8.5億円)が大幅増加し、受注前受による資金調達効果が寄与した。短期借入金1.0億円は新規計上だが金額は限定的である。純資産は利益剰余金が4.8億円積み増され7.0億円へ拡大し、内部留保の蓄積が進んだ。短期負債カバレッジは現金/流動負債=0.67倍で、前受金を含む営業債務への依存が高い構造だが、短期借入金に対する現金比率は17.3倍と余力は十分である。
収益の質
経常利益2.0億円に対し純利益3.6億円で、差分1.6億円のうち特別利益3.9億円(投資有価証券売却益)が主因であり、税負担2.3億円が差引かれた構造である。営業外収益は0.2億円と小幅で、受取利息等の金融収益や為替差益は僅少である。営業外費用は0.1億円で支払利息が主体であり、有利子負債(短期借入金1.0億円、長期借入金2.1億円)に対する利払い負担は限定的である。特別利益の投資有価証券売却益3.9億円は非反復的項目であり、この水準の純利益は持続的とは言えない。営業ベースの利益創出力は営業利益2.0億円(営業利益率4.8%)で評価すべきであり、純利益の大幅増は一時的要因に依存する。運転資本面では前受金17.3億円の存在が資金調達の一助となっており、受注進捗が資金繰りに影響する構造である。営業キャッシュフローの詳細は未開示だが、利益と現金預金増加の整合性は一定程度確認できる。収益の質は営業段階では改善しているが、最終利益の質は投資売却益に左右される構造である。
業績予想・ガイダンス
通期予想は売上高56.0億円(前年比+28.1%)、営業利益2.5億円(同+36.1%)、経常利益2.5億円(同+50.6%)、純利益4.0億円(前年1.8億円から+120.0%)である。第3四半期累計の進捗率は売上高73.6%(41.2億円/56.0億円)、営業利益79.2%(2.0億円/2.5億円)、経常利益80.0%(2.0億円/2.5億円)、純利益90.0%(3.6億円/4.0億円)となった。売上高の進捗率は標準的な75%(Q3想定)にやや届かないが、営業利益と経常利益は計画を上回るペースである。純利益は90%到達で第3四半期時点で予想に近づいており、特別利益3.9億円の寄与が大きい。第4四半期は売上高14.8億円(残り26.4%)、営業利益0.5億円(残り20.8%)の積上げが必要であり、季節要因やM&A効果の継続が前提となる。予想修正は開示されておらず、会社は期初予想を維持している。投資有価証券売却益を除いた営業ベースでは、第4四半期に利益積上げが必要な局面であり、受注動向と費用管理が焦点となる。
株主還元
年間配当予想は15.00円で、前年実績13.00円から+2.00円増配予定である。第2四半期末および当四半期末の中間配当は0円で、期末一括配当方針と推察される。予想配当性向は20.0%(配当総額約0.80億円/純利益予想4.0億円)と健全な水準である。配当総額は発行済株式数5,604千株から自己株式260千株を控除した5,344千株に対し年間15円で約0.80億円となる。純利益予想4.0億円に対する配当性向20.0%は業種内で適正な範囲であり、配当の持続性は現金預金17.3億円と営業キャッシュフローの創出力を考慮すると実現可能と評価できる。自社株買いの記載はなく、株主還元は配当のみで構成される。配当予想の前提となる純利益4.0億円は特別利益を含む水準であり、営業ベースの利益創出が配当継続の鍵となる。
リスク要因
投資有価証券評価リスクとして、投資有価証券残高11.3億円(総資産比15.2%)は前年比約8倍に急増しており、保有有価証券の評価損や売却益の変動が業績に大きく影響する。特別利益3.9億円計上後も残高が増加しており、時価変動や投資先の業績悪化が評価損を生む可能性がある。M&A統合およびのれん減損リスクとして、のれん及び無形資産合計約10.1億円(のれん2.6億円、ソフトウェア等7.5億円)が計上されており、取得原価配分が暫定段階の案件もある。期待されるシナジーが実現しない場合、減損損失計上により利益が圧迫されるリスクがある。財務レバレッジおよび資金調達リスクとして、負債資本倍率2.27倍は業種内で高めの水準であり、前受金17.3億円への依存が高い構造である。受注環境の悪化や取引条件変化により前受金が減少した場合、運転資金の圧迫や追加借入の必要性が生じる可能性がある。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)IT・通信業種(2025年Q3、104社集計)との比較では、収益性においてROE 16.0%は業種中央値8.3%(IQR 3.6%-13.1%)を上回り、業種内で上位に位置する。ただし当社ROEは投資有価証券売却益を含む純利益に依存しており、営業ベースの収益性では営業利益率4.8%が業種中央値8.2%(IQR 3.6%-18.0%)を下回る水準である。純利益率8.8%は業種中央値6.0%(IQR 2.2%-12.7%)を上回るが、前述の通り特別利益の影響が大きい。健全性では自己資本比率30.6%が業種中央値59.2%(IQR 42.5%-72.7%)を大きく下回り、財務レバレッジ3.27倍も業種中央値1.66倍(IQR 1.36-2.32)を上回る高レバレッジ構造である。流動比率149.8%は業種中央値215%(IQR 157%-362%)に比べ低めで、流動性余力は業種内では下位である。効率性では総資産回転率0.56回転(年換算0.74回転相当)は業種中央値0.67回転にやや劣る。成長性では売上高成長率+33.5%が業種中央値10.4%(IQR -1.2%-19.6%)を大幅に上回り、M&Aを含む積極的な拡大戦略が数値に表れている。ルール・オブ・40は38.3%(成長率33.5%+営業利益率4.8%)で業種中央値20%(IQR 5%-34%)を上回り、成長と収益性のバランスは相対的に良好である。業種内では成長性とROEで優位だが、営業利益率と財務健全性で改善余地がある位置づけである。(業種: IT・通信、比較対象: 2025年Q3、出所: 当社集計)
決算上の注目ポイント
決算上の注目ポイントとして、第一に投資有価証券売却益3.9億円による純利益押上げ効果であり、営業ベースの利益創出力との乖離を評価する必要がある。営業利益2.0億円に対し純利益3.6億円という構造は持続性の観点から要注視である。第二にM&Aによる成長加速と資産構造変化であり、のれん及び無形資産10.1億円、投資有価証券11.3億円の計上により総資産は前年比+32.1%拡大した。今後の減損リスクとシナジー実現度合いが業績を左右する。第三に前受金17.3億円の大幅増加(前年比+96.6%)は受注進捗の好調を示す一方、営業サイクルへの依存が高まっており、受注動向と前受金管理が資金繰りに直結する構造である。営業利益率4.8%は業種中央値を下回るため、販管費効率化と粗利率改善による収益性向上が中長期の成長持続に不可欠である。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
AI財務分析
総括
2026年度Q3累計は、ITツール・ITサービスの増収を主因に、売上高41.24億円(前年同期比33.5%増)、営業利益1.97億円(同83.7%増)と、営業段階では大幅な増益となった。売上高は前年同期の30.90億円から10.34億円増加した。売上総利益は11.57億円となり、粗利益率は28.1%である。営業利益率は4.8%となり、前年同期の3.5%から130bp拡大した。販管費は9.59億円と前年同期比13.2%増にとどまり、売上成長率33.5%を下回ったため、営業レバレッジが発現した。経常利益は2.01億円で同126.8%増となり、営業増益に加えて営業外損益の改善も寄与した。親会社株主に帰属する四半期純利益は3.33億円で同265.4%増、EPSは62.41円となった。もっとも、税引前利益5.90億円には投資有価証券売却益3.86億円を中心とする特別利益3.89億円が含まれる。したがって、純利益の増加の大半は事業収益ではなく、投資有価証券の売却による一時的な利益である。特別利益を控除した税引前の経常的利益水準は約2.01億円であり、法定営業利益1.97億円との整合性は高い。包括利益は10.24億円と純利益を大きく上回り、その他有価証券評価差額金6.61億円の増加が純資産を押し上げた。ROEは年換算19.6%と高水準だが、純利益率8.1%には有価証券売却益の影響が含まれるため、恒常的な収益力としては営業利益率4.8%を重視すべきである。投資有価証券は11.27億円へ前年同期比729.8%増加しており、利益・包括利益・純資産が市場価格および投資回収のタイミングに左右される度合いが高まった。通期会社計画に対するQ3累計の進捗率は、売上高73.7%、営業利益77.5%、経常利益80.4%、親会社株主に帰属する当期純利益83.3%である。営業利益の進捗は標準的な75%を小幅に上回る一方、純利益の高進捗は主に有価証券売却益による。今後は、ITツールおよびITサービスの利益成長が、投資事業の売却益に依存せず、全社費用・M&A関連費用を吸収して法定営業利益率を引き上げられるかが焦点となる。
収益性分析
デュポン分析では、年換算ROE19.6%は、純利益率8.1%×総資産回転率0.743倍×財務レバレッジ3.27倍で構成される。ROEを押し上げる最大の要因は、資産回転率よりも3.27倍の財務レバレッジと、投資有価証券売却益を含む純利益率である。法定営業利益率は4.8%で前年同期比130bp改善した一方、IT・通信企業の収益性ベンチマークである5%をわずかに下回る。粗利益率28.1%に対し営業利益率が4.8%にとどまることは、販管費・全社費用の負担がなお大きいことを示す。ただし、販管費の伸びは13.2%増で売上高の33.5%増を大幅に下回っており、当期は営業レバレッジが利益率改善に寄与した。セグメント別では、ITツール事業の外部売上高は23.07億円で前年同期比33.1%増、セグメント利益は2.15億円で同26.3%増、セグメント利益率は9.3%である。ITサービス事業の外部売上高は18.18億円で同34.0%増、セグメント利益は2.23億円で同17.1%増、セグメント利益率は12.3%となり、ITツール事業を3.0ポイント上回る。営業利益寄与額が最大のITサービス事業が主力事業であり、増収と相対的に高い利益率が連結営業利益の拡大を牽引した。投資事業は法定ベースで0.02億円のセグメント損失である。セグメント利益合計4.35億円から、全社費用2.10億円、のれん償却0.13億円、M&A関連費用0.15億円などを控除して、法定営業利益1.97億円となる。会社公表の調整後営業利益6.53億円は、営業投資有価証券売上高4.16億円の加算に加え、M&A由来の無形資産償却、取引費用、株式報酬および一時的費用等を調整する非GAAP指標であるため、法定営業利益率との直接比較には留意を要する。JGAAPではのれんを償却するため、当期ののれん償却0.13億円は法定営業利益を押し下げるが、法定利益と調整後利益の乖離の主因は償却だけでなく、投資有価証券売却収入の売上計上調整および各種費用調整である。税負担係数は0.565で高税負担警告の基準である0.60を下回る。税引前利益に対する実効税率は38.6%であり、投資有価証券売却益を含む利益構成が税負担の相対的な重さを高めた。品質アラートのEBITマージン4.8%は、増収局面にある一方で本業の法定収益性がなお低位であることを示し、全社費用の吸収と高採算サービスの構成比上昇が継続的な利益率改善の条件となる。
成長性評価
売上高の33.5%増は、ITツール事業とITサービス事業がともに約3割強の増収を達成したことによるため、単一事業への依存ではない成長となっている。ITサービス事業は売上高18.18億円、セグメント利益率12.3%と、ITツール事業の9.3%を上回る収益性を示しており、同事業の拡大は連結収益性にプラスである。一方、両事業ともセグメント利益の伸びは売上高の伸びを下回っており、事業別の限界利益率には改善余地がある。Q3にイチアール株式会社を連結範囲に含めたことで、ITサービス事業の資産は前期末比5.81億円増加しており、M&Aが成長ドライバーの一部となっている。通期計画の売上高56.00億円に対する進捗率は73.7%であり、標準的なQ3進捗75%に概ね沿う。営業利益計画2.55億円に対する進捗率は77.5%で、計画達成にはQ4に0.58億円の営業利益が必要となる。経常利益計画2.50億円に対しては0.49億円、親会社株主に帰属する当期純利益計画4.00億円に対しては0.67億円がQ4に必要である。純利益の計画達成余地は高いが、Q3までの3.86億円の投資有価証券売却益は反復性が限定的であり、翌期以降の利益成長を評価する際には本業の営業利益成長を分離してみる必要がある。投資事業を独立報告セグメントへ変更した背景には、デジタルグリッド株式会社の上場により投資資産の重要性が増したことがある。これは投資価値の顕在化余地を示す一方、株価変動および売却時期によって業績の振れが拡大しうる構造でもある。
財務健全性
流動資産38.89億円に対して流動負債は25.96億円であり、運転資本は12.93億円、流動比率・当座比率はともに149.8%である。流動比率は健全性の目安である150%にほぼ到達しており、短期的な支払能力はおおむね確保されている。現金預金17.34億円は流動負債の66.8%をカバーし、買掛金1.91億円、短期借入金1.00億円に対する即時の流動性は厚い。前受金17.30億円は流動負債の大きな構成項目であり、契約履行・サービス提供に伴う将来収益化および返金等の対応を要する負債として、運転資本管理上の重要項目である。短期借入金1.00億円と長期借入金2.09億円を合計した有利子負債は3.09億円で、Debt/Capital比率12.0%と低い。インタレストカバレッジは33.94倍であり、支払利息0.06億円に対する営業利益のカバー力は強い。もっとも、品質アラートのD/E比率2.27倍は2.0倍を上回り、総負債51.33億円が純資産22.63億円の2倍超であることを示す。これは有利子負債が過大というより、前受金、繰延税金負債3.66億円を含む営業・非金融負債が大きい資本構成による。したがって、D/E警告は総負債ベースの財務レバレッジの高さとして監視を要するが、借入金返済能力は低いDebt/Capital比率と高い利息カバレッジにより相対的に良好である。固定負債25.37億円のうち、繰延税金負債は投資有価証券の含み益拡大と関連しており、将来の売却・実現局面では税負担として顕在化する可能性がある。投資有価証券は11.27億円で総資産の15.2%を占め、前年同期の1.36億円から9.91億円増加した。その他有価証券評価差額金6.61億円の増加が純資産・包括利益を押し上げているため、自己資本の質は市場評価の変動を受ける。のれん5.04億円は純資産の22.3%で、警戒水準である50%を下回る。無形固定資産5.05億円も総資産の6.8%にとどまり、無形資産への集中度は限定的である。イチアール株式会社およびフーバー・クロステクノロジーズの連結化に伴う取得原価配分は暫定であり、今後の確定によりのれん・無形資産の配分額が変動しうる。
B/S変動のポイント
短期借入金: +1.00億円(前年同期0.00億円から増加)- 金額は総資産の1.4%にとどまり、現金預金17.34億円および高い利息カバレッジから返済負担は限定的。ただし借入増加の継続性は確認を要する。投資有価証券: +9.91億円(+729.8%)- 総資産の15.2%へ上昇。投資先の価値変動が包括利益・純資産・将来の売却損益に与える影響が大きくなった。有形固定資産: +1.20億円(+497.8%)- 総資産に占める比率は1.9%であり、資本集約度を大幅に高める水準ではないが、事業拡大に伴う設備・使用資産の増加を示す。利益剰余金: +3.34億円(+224.4%)- Q3累計の親会社株主に帰属する利益3.33億円が主因。もっとも、増加額には投資有価証券売却益を含むため、恒常的な利益蓄積力とは分けて評価する必要がある。その他有価証券評価差額金: +6.57億円(前年同期0.04億円から6.67億円へ)- 包括利益10.24億円の拡大と純資産増強に寄与した一方、未実現評価益を含むため市場価格変動への感応度が高まった。
キャッシュフロー品質
配当持続性
第2四半期配当は1株当たり0円である。通期予想の年間配当は1株当たり15.0円であり、通期予想EPS74.84円に対する予想配当性向は20.0%となる。これは配当のみを分子とした配当性向であり、持続可能性の目安である60%を大きく下回る。期中平均株式数5,344,393株を用いると、年間配当総額は概算0.80億円となる。親会社株主に帰属する通期利益予想4.00億円に対する配当カバーは約5.0倍であり、利益ベースの余力はある。Q3累計の親会社株主に帰属する利益3.33億円には有価証券売却益が含まれるため、将来の増配余力を判断する際には、本業利益および投資売却益の継続性を区別することが重要である。
リスク評価
ビジネスリスクとして、優先度:高(発生可能性:中、影響度:高)。投資有価証券売却益3.86億円がQ3税引前利益5.90億円の約65%を占める。投資売却益は市況・売却判断に左右されるため、法定純利益の再現性を低下させる。、優先度:高(発生可能性:中、影響度:高)。投資有価証券11.27億円とその他有価証券評価差額金6.61億円へのエクスポージャーが大きい。投資先の業績・株価変動は、包括利益、純資産および将来の売却損益を大きく変動させうる。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。ITツール・ITサービス市場では技術陳腐化、競合による価格圧力、サイバーセキュリティおよび個人情報保護対応が、顧客継続率と案件採算に影響しうる。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。M&AによるITサービス拡大では、顧客基盤・人材・システムの統合が計画通り進まない場合、想定した売上シナジーや利益率改善が遅延する可能性がある。が挙げられます。
財務リスクとしては、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。総負債ベースのD/E比率2.27倍は警告基準の2.0倍を超える。借入依存度は低いものの、前受金を含む負債規模が大きく、契約履行に伴う運転資本管理が重要である。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。実効税率38.6%および税負担係数0.565は税負担が相対的に重いことを示す。投資利益の実現や税務上の処理によって、純利益の営業利益に対する転換率が変動しうる。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。繰延税金負債3.66億円は、投資有価証券の評価差額を背景としており、含み益の実現時には税金支出を伴う可能性がある。、優先度:低(発生可能性:低、影響度:中)。M&Aにより認識されたのれん5.04億円は純資産の22.3%で現時点では過大ではないが、被取得事業の収益性が下振れした場合は減損リスクが生じる。が挙げられます。
主な懸念事項としては、法定営業利益率4.8%は改善したが、5%未満という営業効率警告の水準にあり、全社費用を含む収益性の継続改善が必要である。、調整後営業利益6.53億円は会社の経営KPIとして有用である一方、法定営業利益1.97億円との差額が大きい。投資有価証券売却収入の売上計上調整および費用調整の内容を継続的に確認する必要がある。、投資有価証券の急増と評価差額金の拡大により、利益・純資産のボラティリティが従来より高まりうる。が挙げられます。
投資示唆
重要ポイントとして、売上高33.5%増、営業利益83.7%増で、本業は増収と営業レバレッジにより改善した。、ITサービス事業はセグメント利益率12.3%で最も高く、主力利益源として連結利益の拡大を牽引した。、親会社株主に帰属する利益3.33億円の大幅増には、投資有価証券売却益3.86億円という非経常要因が含まれる。、通期営業利益計画に対する進捗率は77.5%で、Q3標準進捗を上回る。、流動性と借入金返済能力は良好だが、総負債ベースのD/E比率2.27倍、投資有価証券への資産配分拡大は財務リスク評価上の注目点である。が挙げられます。
注視すべき指標は、法定営業利益率および全社費用の対売上高比率、ITツール事業・ITサービス事業のセグメント利益率、投資有価証券残高、その他有価証券評価差額金、投資売却損益、前受金残高と運転資本の推移、M&A後ののれん・無形資産の取得原価配分確定額と減損兆候、通期営業利益2.55億円に対するQ4営業利益の達成状況です。
セクター内ポジションについては、年換算ROE19.6%は高水準だが、投資有価証券売却益と総負債ベースのレバレッジが寄与する面がある。本業の評価では、営業利益率4.8%は情報・通信業の高収益SaaS型企業と比べてなお低位である一方、ITサービス事業の12.3%のセグメント利益率と販管費の伸び抑制は、収益性改善の基盤として評価できる。