- 売上高: 5,892.17億円
- 営業利益: 90.06億円
- 当期純利益: 21.01億円
- 1株当たり当期純利益: 6.54円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 5,892.17億円 | 5,845.39億円 | +0.8% |
| 売上原価 | 4,931.46億円 | 4,978.83億円 | -1.0% |
| 売上総利益 | 960.71億円 | 866.55億円 | +10.9% |
| 販管費 | 870.65億円 | 845.99億円 | +2.9% |
| 営業利益 | 90.06億円 | 20.56億円 | +338.0% |
| 営業外収益 | 85.34億円 | 104.35億円 | -18.2% |
| 営業外費用 | 89.93億円 | 107.01億円 | -16.0% |
| 経常利益 | 85.47億円 | 17.90億円 | +377.5% |
| 税引前利益 | 63.12億円 | -95.06億円 | +166.4% |
| 法人税等 | 42.11億円 | 15.82億円 | +166.2% |
| 当期純利益 | 21.01億円 | -110.89億円 | +118.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.54億円 | -123.53億円 | +106.1% |
| 包括利益 | -104.11億円 | 105.50億円 | -198.7% |
| 支払利息 | 51.60億円 | 43.35億円 | +19.0% |
| 1株当たり当期純利益 | 6.54円 | -107.04円 | +106.1% |
| 1株当たり配当金 | 0.00円 | 0.00円 | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 6,384.40億円 | 6,383.05億円 | +1.35億円 |
| 現金預金 | 1,624.80億円 | 1,859.41億円 | -234.61億円 |
| 売掛金 | 1,954.05億円 | 1,802.96億円 | +151.09億円 |
| 棚卸資産 | 1,206.36億円 | 1,206.34億円 | +2百万円 |
| 固定資産 | 10,439.47億円 | 10,650.03億円 | -210.56億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 0.1% |
| 粗利益率 | 16.3% |
| 流動比率 | 148.9% |
| 当座比率 | 120.8% |
| 負債資本倍率 | 2.38倍 |
| インタレストカバレッジ | 1.75倍 |
| 実効税率 | 66.7% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +0.8% |
| 営業利益前年同期比 | +338.0% |
| 経常利益前年同期比 | +377.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +120.3% |
| 包括利益前年同期比 | -55.9% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 116.25百万株 |
| 自己株式数 | 723千株 |
| 期中平均株式数 | 115.47百万株 |
| 1株当たり純資産 | 4,312.59円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 10.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| EnergyProject | 227.54億円 | 17.10億円 |
| Lifestyle | 40.64億円 | 24.21億円 |
| PaperAndPaperboard | 104.84億円 | -15.08億円 |
| WoodProductsAndConstructionRelated | 384.78億円 | 52.94億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 12,000.00億円 |
| 営業利益予想 | 300.00億円 |
| 経常利益予想 | 240.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 100.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 86.63円 |
| 1株当たり配当金予想 | 10.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の日本製紙は、売上が微増の中で営業利益が大幅改善し黒字幅を拡大した一方、最終利益と包括利益は弱く、財務コスト負担と税負担の重さが収益性のボトルネックとなりました。売上高は5,892.17億円で前年比+0.8%、営業利益は90.06億円で前年比+338.0%、経常利益は85.47億円で前年比+377.5%と、コストコントロール改善が業績を牽引しました。営業利益率は1.53%(=90.06/5,892.17)で、前年同期の約0.35%から約+118bp改善しました。経常利益率は1.45%と推計され、前年の約0.31%から約+114bpの改善と見られます。純利益は7.54億円(前年比+120.3%)とプラスを維持したものの、純利益率は約0.13%と極めて低水準です。売上総利益は960.71億円で粗利率16.3%、販管費870.65億円を差し引いた営業段階の改善が主因ですが、営業外収益85.34億円に対し営業外費用89.93億円(うち支払利息51.60億円)が重く、ネットでは-4.59億円と金融費用が足かせになりました。実効税率は66.7%と高く、税引前利益63.12億円に対し法人税等42.11億円が最終利益の圧縮要因です。包括利益は-104.11億円と大幅なマイナスで、その他包括損失(有価証券評価差額や為替換算調整等)が自己資本を押し下げています。貸借対照表は総資産16,823.88億円、純資産4,982.42億円でレバレッジが高く、D/Eは2.38倍と警戒域にあります。流動比率148.9%、当座比率120.8%と短期の流動性はおおむね許容範囲ですが、インタレストカバレッジ1.75倍は警戒ラインを下回り、金利負担耐性は脆弱です。ROICは0.4%と資本コストを大幅に下回り、投下資本の収益性は不十分です。営業CFや投資CFの開示がないため、営業CF/純利益やFCFの裏付けが確認できず、利益の現金創出力に不確実性が残ります。配当性向(計算値)154.2%は、利益水準に対して高水準で持続可能性に懸念が生じます。営業段階の改善が続けば利益率の底上げは期待できるものの、利払い・税負担・OCIのボラティリティを踏まえると、最終利益と資本効率の回復には時間を要する見込みです。今後は価格改定の定着・エネルギー/原材料コストの安定化・借入金の削減と金利負担圧縮がカギになります。資本政策面では、配当方針の現金創出力(FCF)整合性と、非中核資産の圧縮や資産入替えによるROIC改善のトラックレコードが重要です。包括損失を通じた自己資本の毀損が継続する場合、財務健全性と株主資本効率の両面で逆風が強まるリスクがあります。結論として、営業段階は持ち直し傾向だが、財務コスト・税負担・OCIの負荷と低ROICが全社収益性を抑制しており、キャッシュフロー裏付けと負債圧縮の進捗確認が必要です。
デュポン分析(ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ): 現状のROEは約0.1%で、純利益率0.1%×総資産回転率0.350×レバレッジ3.38倍の積に整合します。最大の制約要因は純利益率の低さで、営業段階の改善にもかかわらず、支払利息(51.60億円)と高い実効税率(66.7%)が最終段階で利益をほぼ相殺しています。総資産回転率0.350は資産重厚な紙・パルプ業における標準的なレンジの下限~中位であり、固定資産・投資有価証券・運転資本の大きさが回転率の頭打ち要因です。財務レバレッジ3.38倍は高く、理論的にはROE押し上げに寄与するものの、純利益率が薄いためレバレッジ効果が発現していません。営業利益率は1.53%で前年から約+118bp改善、粗利率16.3%と販管費870.65億円のバランス改善が寄与しました。経常段階では営業外費用が営業外収益を上回り、金利負担が経常利益率を圧迫しています。ビジネス上の背景として、燃料・エネルギーと原材料コストの変動、販売価格改定の浸透、需給環境の緩和が営業利益回復の主因と推定されます。一方、金融費用は短期では構造的に残りやすく、借入残高圧縮か金利水準の低下がない限り改善は限定的です。実効税率の高さは一時差異や繰延税金資産の評価調整、地域ミックス等の影響が想定され、短期的に是正される保証はありません。持続性の観点では、価格改定とコスト削減の定着は中期的に持続可能ですが、金利負担と高税率は持続リスクが高いと評価します。懸念されるトレンドとして、売上伸長(+0.8%)に対して販管費の絶対額が高止まりで、営業レバレッジの効果は出ているものの、構造的な固定費吸収の限界が見えます。総合的に、ROE改善には純利益率の底上げ(利払い・税負担の軽減)と総資産回転率の改善(資産の選択と集中)が必須です。
売上は+0.8%と横ばいに近く、数量・価格ミックスの改善よりも価格維持の寄与が中心と推察されます。営業利益は90.06億円へ大幅回復し、販管費コントロールと粗利率改善が寄与しましたが、利益成長の相当部分はコスト側の改善に依存しています。営業外では受取配当金12.06億円、受取利息6.73億円等の収入があるものの、支払利息等の費用が勝り、最終的な収益拡大にはつながっていません。実効税率66.7%が最終利益の伸びを大きく相殺し、EPSは6.54円にとどまりました。包括損失-104.11億円は市場環境(証券評価や為替等)に起因する可能性が高く、自己資本の増勢を阻害しています。先行きについては、価格改定の定着とエネルギー・原材料コストの安定が続けば営業段階の改善は持続しうる一方、金利負担と税率の高さがボトルネックです。資産効率の改善(運転資本圧縮、低採算資産の売却)、借入金削減による利払い減、税効果会計の最適化が利益成長の主なレバーになります。非中核資産のモネタイズや投資有価証券の見直しがROICと総資産回転率の改善に寄与しうる点も注視します。
流動比率148.9%、当座比率120.8%と、短期流動性はおおむね良好ですが、150%の目安をわずかに下回り注意域です。D/E比率2.38倍は警戒水準を超えており、レバレッジ過多のシグナルです。インタレストカバレッジ1.75倍は<2.0の警戒域で、利払い耐性が脆弱です。短期借入金1,619.04億円に対し現金預金1,624.80億円とほぼ同水準で、短期の満期ミスマッチは限定的ですが、長期借入金6,352.56億円を含む総与信コストの負担が重い構造です。運転資本は2,096.85億円で、売掛金1,954.05億円、棚卸1,206.36億円の資金拘束が大きい点は資産回転率を抑制します。包括損失の継続は自己資本の毀損を通じて財務余力を弱めるため注意が必要です。オフバランス債務の情報開示は本データでは確認できず、リース負債等の潜在的コミットメントは評価不能です。
営業CF、投資CF、フリーCFの開示がないため、営業CF/純利益比率やFCFによる配当・投資のカバレッジを検証できません。このため利益の現金裏付け(キャッシュ創出力)の評価には不確実性が残ります。営業段階の改善(営業利益90.06億円)はポジティブですが、インタレストカバレッジ1.75倍の低さは、営業CFが利払いに相対的に逼迫している可能性を示唆します。運転資本(売掛金・棚卸)が大きく、期末の運転資本増減による営業CFのボラティリティに注意が必要です。設備投資額の情報がないため、維持投資と成長投資の負担度合いは不明で、FCFの持続性評価に制約があります。総じて、現時点ではキャッシュフロー品質を中立~不確実と評価せざるを得ません。
配当の個別金額開示はないものの、配当性向(計算値)154.2%は利益水準に対して高く、持続可能性に懸念があります。FCFカバレッジの算定ができないため、配当が内部創出キャッシュで賄われているか判断できません。インタレストカバレッジの低さと高レバレッジを踏まえると、キャッシュ優先の財務運営(負債圧縮、金利負担軽減)を優先する局面では、配当方針の見直し(通期水準調整または連結業績連動の弾力化)が必要になる可能性があります。今後は、営業CFの安定化、運転資本の効率化、非中核資産売却などでFCF創出力を高め、配当の自己資金カバー比率を引き上げられるかが焦点です。
ビジネスリスク:
- エネルギー・原材料(パルプ、燃料)価格の上昇による粗利率圧迫
- 販売価格改定の遅れ・需給軟化によるスプレッド縮小
- 高い実効税率の継続および税効果会計の評価見直しリスク
- 包括損失の継続(有価証券評価・為替換算調整)による自己資本の毀損
財務リスク:
- D/E比率2.38倍の高レバレッジによる財務柔軟性低下
- インタレストカバレッジ1.75倍の低さに伴う金利負担耐性の脆弱性
- 長期・短期借入金合計の高水準による再調達・金利上昇リスク
- 運転資本の肥大化によるキャッシュフローのボラティリティ
主な懸念事項:
- 純利益率0.13%前後の薄利構造で、ROIC0.4%と資本コストを下回る状況が続いている点
- 税負担・利払い・OCIの三重圧力により、営業段階の改善が最終利益に波及しにくい構造
- 配当性向154.2%(計算値)で、FCF不明の中では配当持続性が疑義
- キャッシュフロー開示の欠落により利益の質評価に不確実性が残る点
重要ポイント:
- 営業利益率は約+118bp改善し、コストコントロールの進展が確認できる
- しかし純利益率は約0.13%と薄く、支払利息と高税率が最終利益を圧迫
- D/E2.38倍、インタレストカバレッジ1.75倍で財務リスクは高め
- 包括損失-104.11億円が自己資本を押し下げ、資本効率改善の足かせ
- ROIC0.4%は資本コストを大幅に下回り、資産入替・負債圧縮が急務
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益比率(>1.0倍)
- インタレストカバレッジ(目標>3-5倍)
- 総資産回転率(運転資本回転・非中核資産圧縮による改善)
- 実効税率の正常化進捗
- 包括利益(OCI)の動向と自己資本比率
- ネットデット/EBITDA(開示後)と借入金削減の進捗
- 価格改定の定着度とエネルギー・原材料コストのトレンド
セクター内ポジション:
紙・パルプ同業内で見ると、営業段階の回復は同業並みだが、レバレッジと利払い負担の重さ、ROICの低さ、包括損失の大きさが相対的な弱み。資産効率と財務健全性の改善が進めばリカバリー余地はあるが、現状は守り重視の局面。
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