記事一覧に戻る
38352026 通期プライムJGAAP

eBASE(3835) 2026年度通期決算 減収・営業益17%減

2026年度通期の売上高は52.6億円(前年同期比-3.8%)、営業利益は14.3億円(同-17.3%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

情報通信・サービスその他/情報・通信業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥52.6億¥54.7億−3.8%
営業利益¥14.3億¥17.3億−17.3%
経常利益¥14.7億¥18.0億−18.4%
純利益¥10.3億¥12.5億−17.9%
ROE13.9%17.0%-

Executive Summary

2026年3月期は、主力のEBASE事業の減収と人件費増による固定費負担増が重なり、増収基調から一転して減収減益となった。売上高は52.6億円(前年54.7億円、YoY-3.8%)、営業利益は14.3億円(同17.3億円、YoY-17.3%)と減収率を上回る減益幅となった。経常利益は14.7億円(同18.0億円、YoY-18.4%)、純利益は10.3億円(同12.5億円、YoY-17.9%)で、いずれも二桁の減益となった。売上減少幅(3.8%)に対し販管費が8.4%増加したことが利益率低下の主因である。

業績変動要因

【売上高】売上高は52.6億円で前年比3.8%減。EBASE事業は25.9億円(同-9.4%)で、高収益なパッケージソフト(3.3億円、-38.9%)とカスタマイズ(7.9億円、-16.1%)の縮小が全社減収の主因。一方でライセンス&サポート(9.4億円、+2.4%)とクラウドサービス(4.1億円、+13.4%)は増収を維持しており、ストック型収益が下支えとなった。EBASEPLUS事業(IT開発アウトソーシング中心)は26.7億円(+2.3%)で連結売上の50.7%を占め、増収セグメントとして機能した。

【損益】営業利益は14.3億円(YoY-17.3%)、経常利益14.7億円(YoY-18.4%)、純利益10.3億円(YoY-17.9%)。粗利率は51.7%(前年53.4%)に低下し、販管費率は24.5%(前年21.7%)へ上昇した。給料及び手当が6.6億円(+11.5%)と人件費増加が主因である。セグメント利益(経常利益ベース)はEBASEが10.6億円(-24.4%、利益率41.0%)、EBASEPLUSが4.1億円(+3.4%、利益率15.2%)で、高収益なEBASEの縮小が全社マージンを押し下げた。営業外収益0.4億円は小幅なプラス寄与にとどまる。結論として、減収減益である。

セグメント別分析

EBASE事業は売上高25.9億円(前年比-9.4%)、セグメント利益(経常利益ベース)10.6億円(同-24.4%)、利益率41.0%と高収益だが縮小傾向。EBASEPLUS事業は売上高26.7億円(同+2.3%)、セグメント利益4.1億円(同+3.4%)、利益率15.2%で、増収増益ながら利益率は相対的に低い。両事業の売上構成は前年のEBASE優位からEBASEPLUS優位(50.7%)へ変化しており、高収益事業の縮小と低収益事業の拡大が同時進行することで、全社営業利益率の低下(前年31.7%→当期27.2%、-450bp程度)につながっている。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は27.2%で前年31.7%から低下、純利益率は19.5%で前年22.9%から低下した。粗利率は51.7%(前年53.4%)、販管費率は24.5%(前年21.7%)で、コスト構造の悪化が利益率低下に直結している。【キャッシュ品質】営業CFは10.7億円で純利益10.3億円を上回り、利益の現金化は良好である。OCF/EBITDAは概ね0.7倍程度で、法人税等の支払5.4億円が現金転換率を押し下げている。【投資効率】ROEは13.9%、ROAは概算で13%台であり、いずれも前年(ROE 17.5%)から低下している。総資産は81.0億円で前年から概ね横ばいのため、資産効率の変動は主に利益率低下に起因する。研究開発費は0.6億円で売上高比1.1%と低水準にある。【財務健全性】自己資本比率は91.0%、現金及び預金は49.5億円で総資産の61.1%を占め、流動負債7.0億円を大きく上回る。財務基盤は極めて保守的で、業績変動への耐性が高い。

キャッシュフロー分析

営業CFは10.7億円で、前年11.7億円から8.4%減少したが、純利益10.3億円を上回っており利益の現金化は良好である。投資CFはマイナス5.1億円で、投資有価証券の取得やソフトウェア等無形資産への投資が主因であり、設備投資自体は0.05億円と小規模で減価償却費0.7億円を下回っている。財務CFはマイナス10.5億円で、自社株買い4.4億円と配当支払6.2億円が主な流出要因である。フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)は5.6億円のプラスを確保したが、配当総額6.7億円をFCFのみでは完全にカバーできていない。現金及び預金は49.5億円と潤沢であり、当面の還元・投資資金には十分な余力がある。

収益の質

当期の増減益は一時的な特別損益によるものではなく、EBASE事業の受注・販売動向という経常的な事業要因に起因する。営業外収益は0.4億円と小規模で、投資事業組合運用益等が主な内容であり、経常利益への影響は限定的である。営業CFが純利益を上回っていることから、アクルーアル(会計上の利益とキャッシュの乖離)は小さく、利益の質は概ね良好と判断できる。ただし法人税等の支払5.4億円が営業CFの伸びを抑制しており、税金支出を含めたキャッシュ転換効率には改善余地がある。包括利益は10.6億円で純利益10.3億円とほぼ同水準であり、その他有価証券評価差額金(+0.3億円)による乖離は小さい。

業績予想・ガイダンス

2027年3月期の会社予想は売上高54.0億円(前年比+2.7%)、営業利益15.4億円(同+7.6%)、経常利益16.0億円(同+9.0%)であり、当期の減収減益から増収増益への回復を見込む計画である。予想営業利益率は28.5%程度となり、当期27.2%からの改善を前提としている。EPS予想は24.34円で当期実績22.98円から上昇する見通しだが、純利益予想(10.7億円、+4.2%)の伸びは営業利益の回復幅に比べ限定的であり、税金等下位段階での伸びは小さい。予想達成にはEBASE事業の売上回復と、人件費増を吸収するコスト管理の両立が前提となる。

株主還元

年間配当は1株15.20円(中間0円・期末のみ)で、配当性向は66.1%である。配当総額は約6.7億円で、これに自社株買い4.4億円を加えた総還元額は約11.0億円となり、純利益10.3億円に対する総還元性向は100%を超える水準にある。フリーキャッシュフロー5.6億円に対する配当のカバレッジは1倍を下回り、当期の還元は手元現金・財務余力に一部依存している。2027年3月期の予想配当は15.20円で据え置きだが、内訳は普通配当12.20円と創立25周年記念配当3.00円であり、記念配当分は一時的要素として区別して捉える必要がある。

リスク要因

  1. 主力事業の減収継続リスク: EBASE事業は売上高25.9億円(前年比-9.4%)、セグメント利益10.6億円(同-24.4%)と、高収益なパッケージソフト・カスタマイズの縮小が続いている。同事業の利益率は41.0%と全社平均を大きく上回るため、回復の遅延は全社マージンに直接影響する。

  2. 事業ミックス変化による利益率希薄化リスク: EBASEPLUS事業(利益率15.2%)が売上構成比50.7%まで拡大する一方、EBASE事業(利益率41.0%)が縮小しており、増収セグメントの拡大が必ずしも全社利益率の改善に結びついていない。

  3. コスト増加と株主還元の持続性に関するリスク: 給料及び手当が前年比11.5%増加する中、配当と自社株買いを合わせた総還元性向は純利益を上回る水準にある。潤沢な現金(49.5億円)が緩衝材となるが、減益が続く場合は還元の柔軟性が低下する可能性がある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(it_telecom)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率27.2%8.1% (3.7%–16.1%)+19.1pt
純利益率19.5%5.9% (2.2%–11.8%)+13.6pt

収益性は業種中央値を大幅に上回り、IT・通信業界内でも高水準に位置する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)−3.8%10.1% (1.8%–20.2%)−13.9pt

売上成長は業種中央値を大きく下回り、同業他社が総じて増収を確保する中での減収は業種内でも目立つ位置づけにある。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 当期は売上高3.8%減に対し販管費が8.4%増加したことで、営業利益率が前年31.7%から27.2%へ低下した。この営業レバレッジの逆回転が業績悪化の中心であり、コスト構造の見直しが今後の焦点となる。

  2. EBASE事業(高収益)の縮小とEBASEPLUS事業(相対的に低収益)の拡大という事業ミックスの変化が進んでおり、売上構成の推移が全社利益率の先行指標となる。

  3. 総還元性向が純利益を上回る水準にある中、FCFによる配当カバレッジは1倍を下回っている。潤沢な自己資本比率91.0%と現金49.5億円が現時点の支払能力を支えているが、還元政策の持続性は今後の利益・営業CFの回復動向に依存する。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)188円
base(基準)193円
bull(強気)199円
算出前提値
1株純資産(BPS)168円
調整後予想EPS25.5円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向62.5%
予想EPSの信頼度調整×1.049(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.15倍 / 7.6倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 188円〜199円、ω±0.1で 193円〜194円。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。