- 売上高: 14,863.68億円
- 営業利益: 1,074.54億円
- 当期純利益: 624.15億円
- 1株当たり当期純利益: 48.79円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 14,863.68億円 | 14,903.34億円 | -0.3% |
| 売上原価 | 10,203.24億円 | - | - |
| 売上総利益 | 4,700.10億円 | - | - |
| 販管費 | 3,610.95億円 | - | - |
| 営業利益 | 1,074.54億円 | 1,089.15億円 | -1.3% |
| 営業外収益 | 119.22億円 | - | - |
| 営業外費用 | 171.30億円 | - | - |
| 経常利益 | 1,060.68億円 | 1,037.07億円 | +2.3% |
| 法人税等 | 347.08億円 | - | - |
| 当期純利益 | 624.15億円 | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 662.66億円 | 602.48億円 | +10.0% |
| 包括利益 | 715.15億円 | -189.73億円 | +476.9% |
| 減価償却費 | 728.57億円 | - | - |
| 支払利息 | 37.74億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 48.79円 | 43.46円 | +12.3% |
| 1株当たり配当金 | 18.00円 | 18.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 17,694.48億円 | - | - |
| 現金預金 | 3,934.67億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 3,415.31億円 | - | - |
| 固定資産 | 22,457.66億円 | - | - |
| 有形固定資産 | 9,206.11億円 | - | - |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 1,511.26億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | 1,634.60億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 1,398.35円 |
| 純利益率 | 4.5% |
| 粗利益率 | 31.6% |
| 流動比率 | 183.4% |
| 当座比率 | 148.0% |
| 負債資本倍率 | 1.06倍 |
| インタレストカバレッジ | 28.47倍 |
| EBITDAマージン | 12.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -0.3% |
| 営業利益前年同期比 | -1.3% |
| 経常利益前年同期比 | +2.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +10.0% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 1.37十億株 |
| 自己株式数 | 7.48百万株 |
| 期中平均株式数 | 1.36十億株 |
| 1株当たり純資産 | 1,453.88円 |
| EBITDA | 1,803.11億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 18.00円 |
| 期末配当 | 20.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 30,800.00億円 |
| 営業利益予想 | 2,210.00億円 |
| 経常利益予想 | 2,170.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 1,400.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 103.15円 |
| 1株当たり配当金予想 | 20.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
旭化成(3407)の2026年度Q2累計は、売上高1兆4,863億円(前年比-0.3%)と横ばい圏ながら、営業利益1,074億円(同-1.3%)で小幅減益、当期純利益662億円(同+10.0%)と純利益は増益を確保しました。粗利益率は31.6%と良好で、原材料環境の落ち着きと価格転嫁の定着が示唆されますが、売上微減に対し営業利益がやや大きく減少しており、短期的には負の営業レバレッジが働きました。EBITDAは1,803億円、EBITDAマージン12.1%と安定、営業利益率は7.2%程度で、総合化学としては中位の収益力です。デュポン分解の結果、純利益率4.46%、総資産回転率0.372回、財務レバレッジ2.02倍から算出ROEは3.36%と控えめで、資本効率の一段の改善余地が大きいです。総資産は3兆9,971億円、自己資本は1兆9,748億円、負債合計2兆1,013億円で、負債資本倍率1.06倍、財務レバレッジは適度な範囲に収まっています。流動性は流動比率183.4%、当座比率148.0%と十分で、短期支払能力に不安は見当たりません。インタレストカバレッジは28.5倍と高水準で、金利負担耐性は高いです。営業キャッシュフローは1,511億円と純利益を大きく上回り(OCF/NI=2.28倍)、利益のキャッシュ化は良好です。棚卸資産は3,415億円で、売上原価に対する在庫日数は約122日と試算され、在庫水準はやや厚めながら、サプライチェーンの安定と価格変動吸収の観点では一定の妥当性があります。売上が横ばいのなかで粗利率が維持されている点はポジティブですが、営業段階の固定費吸収がやや弱く、販管費の効率化やミックス改善が今後の課題です。純利益が伸長した背景には、営業外や税負担の変動要因が寄与した可能性があり、持続性の検証が必要です。配当は年0円・配当性向0%の開示で、還元は抑制的ですが、EPS48.79円・OCF潤沢という点から、財務余力は認められます。フリーキャッシュフローは未開示項目のため定量評価は限定的ながら、営業創出力からみて投資余力と株主還元余力は十分とみられます。総じて、流動性・金利耐性は強固、収益性は安定、中期的なROE改善には収益性の底上げと資本効率の向上が鍵です。データは概ね整っているものの、投資キャッシュフローや資本政策詳細の未開示により、成長投資・還元配分の定量判断には一定の限界があります。
ROE分解(デュポン):純利益率4.46% × 総資産回転率0.372回 × 財務レバレッジ2.02倍 = ROE 3.36%。純利益率は4.5%弱で、総合化学として標準的。総資産回転率0.372回は資産規模に対して売上効率が低めで、資本効率の足かせ。レバレッジは2.02倍と過度ではなく、ROE押し上げ効果は限定的。営業利益率は7.2%(107,454百万円/1,486,368百万円)で、粗利率31.6%とのギャップから販管費負担が厚めと推定。EBITDAマージン12.1%に対しEBITマージン7.2%で、減価償却比率は売上比4.9%(72,857百万円)と資本集約度が一定。営業レバレッジ:売上-0.3%に対し営業利益-1.3%で、弾性値は約4倍(小幅売上減が利益に増幅して影響)。これは固定費比率の高さやミックス悪化を示唆。利益率の質:OCF/NI=2.28倍とキャッシュ創出が利益を大きく上回り、利益の現金裏付けは強い。インタレストカバレッジ28.5倍で金融費用の利益侵食は軽微。営業外収支や税負担の変動により純利益が+10%と伸びており、営業段階の改善ではない点に留意。
売上持続可能性:売上高は-0.3%と横ばい圏。数量・価格のネットは概ね均衡と推定され、短期的な需要は底堅い一方で、明確な拡大トレンドはまだ確認できない。利益の質:営業利益は-1.3%と小幅減、粗利率は31.6%で維持されており、価格転嫁の定着は示唆。純利益+10%は営業外・税負担の影響の可能性があり、持続性評価は慎重に。見通し:中期的な成長は、①高付加価値素材・ヘルスケアのミックス改善、②為替・原燃料の安定、③住宅関連需要の回復がカギ。短期では在庫調整の進展と操業度の回復が増益ドライバー。営業レバレッジが効きやすい構造のため、売上回復局面では利益弾性が高まる反面、逆風下では減益幅が拡大しやすい。
流動性:流動比率183.4%、当座比率148.0%と高水準で、短期債務対応力は十分。運転資本は8,048億円と厚め。支払能力:インタレストカバレッジ28.5倍で金利耐性が強い。負債資本倍率1.06倍、財務レバレッジ2.02倍と適正。資本構成:自己資本1兆9,748億円、総資産3兆9,971億円。レバレッジを積み増す余地はあるが、現状でも投資・還元双方に耐える堅固さ。負債の期間構成や固定・変動比率は未開示のため、金利上昇耐性の定量評価には限界あり。
利益の質:営業CF/純利益=2.28倍と高く、引当金・減価償却・運転資本の改善が寄与した可能性。FCF分析:投資CFは未開示のため、FCFは定量評価が限定的(開示ベースFCF=0)。営業CF規模(1,511億円)からみて、通常的な維持投資をこなしても正味FCFはプラスである可能性が高い。運転資本:棚卸資産3,415億円、在庫日数≈122日(=341,531/1,020,324×365)。在庫はやや厚めだが、価格・需給変動吸収のクッションとして機能。売掛・買掛の詳細が未開示のため、キャッシュコンバージョンサイクルの全体評価は限定的。
配当性向評価:年間配当0円、配当性向0%。EPS48.79円で利益水準は配当原資を確保可能。FCFカバレッジ:FCF未開示(0表示)につき評価は限定的だが、営業CFは潤沢で、維持投資水準次第では十分なカバレッジが見込める。配当方針見通し:短期は内部留保優先(投資・財務体質強化)と推定。ROEが3.36%と低位であるため、資本効率改善策(成長投資の選別、自己株式取得、配当再開)は中期の重要テーマ。持続可能性は、①安定的な営業CF、②投資キャッシュの規模・質、③ネットデット推移に依存。
ビジネスリスク:
- 原燃料(ナフサ等)価格変動による粗利率圧迫
- 為替(USD/EUR)変動による採算・換算影響
- 住宅・自動車・エレクトロニクスなど川下需要の循環性
- 医療・ヘルスケア製品における規制・認証リスク
- 在庫評価(時価・コスト)の変動による利益変動
- 競合の価格政策・新製品投入によるミックス悪化
財務リスク:
- 固定費比率の高止まりによる景気後退時の利益ボラティリティ増大
- 金利上昇局面での資金調達コスト上昇(期間・金利構成未開示)
- 運転資本の膨張によるキャッシュフローの振れ
- 大型投資実行時のレバレッジ上昇リスク
主な懸念事項:
- ROE3.36%と資本コストを下回る可能性が高い水準
- 売上横ばいにもかかわらず営業利益が相対的に弱い(負の営業レバレッジ)
- 成長投資・還元配分に関する定量情報(投資CF・FCF)の未開示により持続的還元力の判定が限定的
重要ポイント:
- 収益性は安定(EBITDAマージン12.1%、営業利益率7.2%)だが、資本効率(ROE3.36%)は改善余地大
- 流動性・金利耐性は強固(流動比率183%、インタレストカバレッジ28.5倍)
- 営業CFが利益を大幅に上回り、利益の現金裏付けが強い(OCF/NI=2.28倍)
- 売上小幅減に対し営業利益の減少が相対的に大きく、固定費吸収・ミックス改善が課題
- 配当は抑制的だが、財務余力はあり、中期の還元再開余地は残る
注視すべき指標:
- 営業利益率とEBITDAマージンの四半期推移
- 在庫日数・在庫評価損益の動向
- OCF/NI比率と運転資本回転(売掛・買掛の推移)
- 総資産回転率の改善(売上拡大または資産スリム化)
- レバレッジ(負債資本倍率、インタレストカバレッジ)の安定性
- セグメント別ミックス(高付加価値領域の構成比)
セクター内ポジション:
国内総合化学大手の中では、流動性と金利耐性は上位、収益性は中位、資本効率(ROE)は下位レンジ。売上が安定する一方、資本回転の改善と固定費吸収の強化が相対競争力の鍵。
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