- 売上高: 1,327.03億円
- 営業利益: 64.30億円
- 当期純利益: 43.91億円
- 1株当たり当期純利益: 160.23円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 1,327.03億円 | 1,292.63億円 | +2.7% |
| 売上原価 | 1,101.40億円 | 1,070.34億円 | +2.9% |
| 売上総利益 | 225.64億円 | 222.29億円 | +1.5% |
| 販管費 | 161.34億円 | 151.56億円 | +6.4% |
| 営業利益 | 64.30億円 | 70.72億円 | -9.1% |
| 営業外収益 | 10.95億円 | 9.92億円 | +10.4% |
| 営業外費用 | 6.45億円 | 1.60億円 | +304.5% |
| 経常利益 | 68.79億円 | 79.05億円 | -13.0% |
| 税引前利益 | 74.11億円 | 79.05億円 | -6.3% |
| 法人税等 | 27.96億円 | 26.92億円 | +3.9% |
| 当期純利益 | 43.91億円 | 37.40億円 | +17.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 46.15億円 | 52.07億円 | -11.4% |
| 包括利益 | 52.47億円 | 55.03億円 | -4.7% |
| 減価償却費 | 4.75億円 | 3.12億円 | +52.0% |
| 支払利息 | 82百万円 | 71百万円 | +15.4% |
| 1株当たり当期純利益 | 160.23円 | 180.88円 | -11.4% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 159.39円 | 179.91円 | -11.4% |
| 1株当たり配当金 | 57.00円 | 22.00円 | +159.1% |
| 年間配当総額 | 15.83億円 | 15.83億円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 699.15億円 | 631.07億円 | +68.08億円 |
| 現金預金 | 118.97億円 | 80.07億円 | +38.89億円 |
| 売掛金 | 236.79億円 | 242.15億円 | -5.36億円 |
| 棚卸資産 | 259.91億円 | 247.73億円 | +12.18億円 |
| 固定資産 | 115.81億円 | 122.83億円 | -7.03億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 71.63億円 | 54.47億円 | +17.16億円 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | 2.67億円 | -20.35億円 | +23.02億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -32.06億円 | -27.94億円 | -4.12億円 |
| フリーキャッシュフロー | 74.30億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 営業利益率 | 4.8% |
| 総資産経常利益率 | 8.8% |
| 配当性向 | 30.4% |
| 純資産配当率(DOE) | 3.5% |
| 1株当たり純資産 | 1,778.21円 |
| 純利益率 | 3.5% |
| 粗利益率 | 17.0% |
| 流動比率 | 248.8% |
| 当座比率 | 156.3% |
| 負債資本倍率 | 0.59倍 |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +2.7% |
| 営業利益前年同期比 | -9.1% |
| 経常利益前年同期比 | -13.0% |
| 当期純利益前年同期比 | +17.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -11.4% |
| 包括利益前年同期比 | -4.7% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 29.01百万株 |
| 自己株式数 | 198千株 |
| 期中平均株式数 | 28.80百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,781.35円 |
| EBITDA | 69.05億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 22.00円 |
| 期末配当 | 33.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 1,300.00億円 |
| 営業利益予想 | 62.00億円 |
| 経常利益予想 | 65.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 41.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 142.31円 |
| 1株当たり配当金予想 | 29.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q4の三洋貿易は、売上が堅調に伸びる一方で利益は減益となり、マージンの縮小が浮き彫りになった四半期です。売上高は1,327.03億円で前年比+2.7%と拡大しましたが、営業利益は64.30億円で前年比-9.1%、経常利益は68.79億円で-13.0%、当期純利益は46.15億円で-11.4%と減少しました。営業利益率は4.85%(=64.30/1,327.03)となり、推定前年の5.47%から約62bp低下しています。経常利益率も5.19%から推定6.12%へ約93bp低下、純利益率は3.48%へと推定4.03%から約55bp低下しました。売上総利益は225.64億円、粗利率は17.0%である一方、販管費は161.34億円と重く、営業減益の主因は販管費率の上昇(または粗利率の低下)によるマージン圧力とみられます。営業外損益は収益10.95億円、費用6.45億円でネット+4.50億円と一定の下支えとなり、さらに税引前利益が経常利益を上回ることから、特別利益等の発生(約+5.32億円相当)が加わった可能性があります。キャッシュフロー面では営業CFが71.63億円と純利益の1.55倍に達し、利益の現金化は良好です。投資CFは+2.67億円と資産売却等の影響でプラス、設備投資は-6.07億円に抑制され、フリーキャッシュフローは74.30億円と強い水準でした。財務健全性は高く、流動比率248.8%、当座比率156.3%、負債資本倍率0.59倍、Debt/EBITDA 0.44倍、インタレストカバレッジ78.16倍と余力が大きいです。ROEは9.0%(デュポン分解:純利益率3.5%、総資産回転率1.628、レバレッジ1.59倍)、ROICは9.4%とベンチマーク(>8%)を上回り、資本効率は良好です。営業外収入比率は23.7%と、非営業項目の寄与が利益水準の維持に一定程度影響している点は注視が必要です。配当性向(計算値)は34.6%、FCFカバレッジは4.66倍と、株主還元の持続可能性は高いと評価できます。販管費の伸びが売上の伸びを上回った可能性や、非反復的な特別利益が税前利益を押し上げた点は、来期にかけての利益モメンタムの不確実性要因です。持分法投資利益の開示がなく、総合商社に比べて利益構成の見極めが難しいため、資源・非資源のポートフォリオや関連会社損益のボラティリティは見えにくい状態です。総じて、基礎収益力は堅調ながら、コストインフレや販管費負担によるマージン圧力が短期的な利益成長の制約となっています。今後は、粗利率の回復、販管費コントロール、非営業寄与の反復性の検証が鍵です。資本構成の余力は大きく、M&Aや成長投資の再加速、もしくは追加的な株主還元余地が示唆されます。為替や資源・化学品価格、在庫水準の適正化動向が2026年度の収益性を左右すると見ています。
デュポン分析(ROE=9.0%)を純利益率(3.5%)×総資産回転率(1.628)×財務レバレッジ(1.59倍)に分解すると、ROEは主に資産回転と適度なレバレッジに支えられつつ、純利益率の低下が重しとなっています。期中変化として最も影響が大きいのは利益率の悪化で、営業利益の前年比-9.1%に対し売上は+2.7%と乖離し、営業利益率は約62bp低下しました。ビジネス面では、粗利率の鈍化や販管費率の上昇(人件費・物流費・IT投資、円安対応コスト等)が原因として考えられ、価格転嫁のラグや製品ミックス変化も示唆されます。非営業項目(営業外収益・特別利益)の寄与で税前利益は一定程度補われましたが、これらは反復性に乏しい可能性があり、持続的なROE押し上げ効果は限定的と評価します。資産効率は総資産回転率1.628と高水準を維持しており、在庫・売掛の運転資本回転は概ね良好とみられますが、売上拡大に比べてマージンが低下しているため、増収による営業レバレッジは十分に働いていません。懸念されるトレンドとして、販管費成長率が売上成長率を上回った可能性、ならびに営業外への依存度上昇(営業外収入比率23.7%)が挙げられ、コア収益の質をやや希薄化させています。今後は、粗利率の改善(価格改定・ミックス最適化)と販管費効率化による純利益率の回復がROE改善の主要ドライバーとなります。
売上は+2.7%と緩やかな成長を確保しましたが、営業減益・最終減益となっており、成長の質はマージン面で課題が見られます。粗利率17.0%は商材ミックス(化学品・工業製品)や為替、仕入れ価格上昇の影響を受けやすく、短期的には価格転嫁速度が成長の制約となり得ます。営業外・特別損益が税前利益を押し上げた一方、コア営業利益は減少しており、持続可能な成長の観点では営業段階の回復が必要です。ROICは9.4%と十分に資本コストを上回っており、選別的な投資・M&Aによる成長加速余地はあります。投資CFがプラス(+2.67億円)であった点は非反復の売却益等の影響が推測され、来期の成長寄与は限定的な可能性があります。今後の見通しでは、- コストプッシュの沈静化と価格改定の浸透、- 在庫最適化による粗利改善、- 為替の安定、が利益成長のカギになります。非資源系に強みを持つ当社の特性上、資源価格の急騰よりも化学品・産業材の需要サイクルや顧客業界(自動車、エレクトロニクス)の生産動向の影響が大きい点に留意が必要です。
流動比率は248.8%、当座比率は156.3%と高水準で、短期支払能力は極めて良好です。総資産814.96億円に対し負債合計301.75億円、純資産513.21億円で、負債資本倍率は0.59倍と保守的です。短期借入金29.10億円・長期借入金1.00億円と有利子負債は軽く、Debt/EBITDAは0.44倍、インタレストカバレッジ78.16倍と金利耐性も十分です。満期ミスマッチについては、流動資産699.15億円が流動負債281.06億円を大きく上回り、短期債務の借換依存は低いと判断します。運転資本(418.09億円)は大きいものの、現金118.97億円、売掛金236.79億円、棚卸259.91億円により、商社型の運転資本循環に耐えうる構造です。オフバランス債務の開示はありませんが、与信保証や取引関連の偶発債務は商社業態上の一般的リスクとして留意が必要です。警告水準(流動比率<1.0、D/E>2.0)には該当せず、資本政策の柔軟性は高いです。
営業CFは71.63億円で純利益46.15億円の1.55倍と高品質です。フリーキャッシュフローは74.30億円(営業CF71.63 + 投資CF2.67)と強く、配当+設備投資(設備投資-6.07億円、配当は推定約15.9億円)を十分にカバーします。投資CFがプラスである点は、固定資産の売却や投資有価証券の回収等の可能性を示唆し、反復性は限定的とみられます。運転資本面では、売掛金236.79億円、棚卸259.91億円、買掛金125.45億円と、在庫・売掛の積み上がりが資金需要を生む構造ですが、期内は営業CFが潤沢で、運転資本の悪化を示唆する明確な兆候は見られません。営業CF/純利益が>1.0であることから、利益の現金化は概ね妥当で、期末の資金余力(現金118.97億円)も安全域にあります。
配当性向(計算値)は34.6%と保守的で、フリーキャッシュフローによるカバレッジは4.66倍と十分です。推定配当総額は約15.9億円(FCF74.30÷4.66)で、営業CF・FCFの範囲内に収まり、借入・資産売却に依存しない持続性の高い株主還元と評価します。財務CFは-32.06億円であり、配当支払い・自己株買い・借入返済のいずれか(詳細未記載)が含まれるとみられますが、現金水準と低レバレッジからみて追加還元の余地も残ります。今後の配当方針は、ROIC>資本コストの継続、コア営業利益の回復、運転資本の安定が前提となる一方、非反復的な投資売却益への依存増加は配当の安定性確保の観点で回避が望まれます。
ビジネスリスク:
- 粗利率低下および販管費率上昇による営業利益率の縮小(OPM約62bp低下)
- 価格改定のラグやミックス劣化によるマージン圧力の継続
- 顧客業界(自動車・電子部品・産業機械等)のサイクル減速に伴う出荷・在庫調整
- 為替変動(円安・円高)による仕入・販売価格および評価損益への影響
- 化学品・産業材の市況変動(原材料価格、運賃、物流制約)の影響
財務リスク:
- 在庫259.91億円・売掛236.79億円に起因する運転資本負担と評価損・貸倒リスク
- 非営業・特別損益への一定の依存(営業外収入比率23.7%)による利益のボラティリティ
- 金利上昇局面での資金調達コスト増(現状はDebt/EBITDA 0.44倍で耐性高いが将来の借入増に留意)
- 偶発債務・保証取引等のオフバランスリスク(開示なしのため不確実性)
主な懸念事項:
- コア営業利益の減少に対し、税前利益が特別利益で補われた可能性(反復性に不透明感)
- 販管費成長率が売上成長率を上回った可能性(営業レバレッジの弱さ)
- 持分法投資利益の未開示により、連結利益の構造(資源/非資源、関連会社寄与)の可視性が低い
- 実効税率37.7%と高めで、税負担が純利益率の回復を抑制するリスク
重要ポイント:
- 売上は+2.7%増だが、OP・経常・最終は減益で、OPMは約62bp低下
- ROE 9.0%、ROIC 9.4%と資本効率は良好も、コア収益の質は改善余地
- 営業CF/純利益1.55倍、FCF 74.30億円でキャッシュ創出は強く、配当持続性は高い
- 財務健全性は高水準(流動比率248.8%、負債資本倍率0.59倍、Debt/EBITDA 0.44倍)
- 非営業・特別損益の寄与が税前利益を押し上げた可能性があり、反復性を要検証
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率の四半期推移(価格転嫁進捗・ミックス改善)
- 販管費の増減率と売上成長率のギャップ
- 在庫回転日数・売掛回転日数(運転資本の健全性)
- 営業外・特別損益の規模と反復性(投資有価証券売却益等の影響)
- ROICの維持・改善(案件別投下資本効率)
- 為替感応度(円高・円安の感応度管理)
セクター内ポジション:
総合商社に比べてレバレッジは極めて低く、運転資本型の専門商社として資本効率(ROIC 9.4%)は堅調。一方、今期は販管費負担増でOPマージンが低下し、営業外・特別損益の寄与が目立つ構図。財務余力は同業中上位だが、コア利益の伸びでは同業中位、マージンの回復が相対評価の鍵となる。
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