- 売上高: 621.47億円
- 営業利益: 56.44億円
- 当期純利益: -34.59億円
- 1株当たり当期純利益: -60.49円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 621.47億円 | 615.50億円 | +1.0% |
| 売上原価 | 468.64億円 | 492.47億円 | -4.8% |
| 売上総利益 | 152.82億円 | 123.03億円 | +24.2% |
| 販管費 | 96.38億円 | 100.69億円 | -4.3% |
| 営業利益 | 56.44億円 | 22.33億円 | +152.8% |
| 営業外収益 | 5.37億円 | 8.31億円 | -35.4% |
| 営業外費用 | 13.53億円 | 19.14億円 | -29.3% |
| 経常利益 | 48.28億円 | 11.51億円 | +319.5% |
| 税引前利益 | -30.61億円 | -95.86億円 | +68.1% |
| 法人税等 | 3.98億円 | 3.87億円 | +2.8% |
| 当期純利益 | -34.59億円 | -99.74億円 | +65.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -34.87億円 | -98.42億円 | +64.6% |
| 包括利益 | -41.14億円 | -76.39億円 | +46.1% |
| 減価償却費 | 16.50億円 | 27.38億円 | -39.7% |
| 支払利息 | 8.67億円 | 6.41億円 | +35.3% |
| 1株当たり当期純利益 | -60.49円 | -170.71円 | +64.6% |
| 1株当たり配当金 | 0.00円 | 0.00円 | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 994.42億円 | 752.77億円 | +241.65億円 |
| 現金預金 | 395.51億円 | 135.01億円 | +260.50億円 |
| 売掛金 | 225.93億円 | 238.58億円 | -12.65億円 |
| 棚卸資産 | 335.80億円 | 341.96億円 | -6.16億円 |
| 固定資産 | 735.39億円 | 741.52億円 | -6.13億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 55.62億円 | 49.14億円 | +6.48億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | 197.09億円 | -2.18億円 | +199.27億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | -5.6% |
| 粗利益率 | 24.6% |
| 流動比率 | 79.2% |
| 当座比率 | 52.5% |
| 負債資本倍率 | 4.39倍 |
| インタレストカバレッジ | 6.51倍 |
| EBITDAマージン | 11.7% |
| 実効税率 | -13.0% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +1.0% |
| 営業利益前年同期比 | +152.7% |
| 経常利益前年同期比 | +319.5% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 57.75百万株 |
| 自己株式数 | 98千株 |
| 期中平均株式数 | 57.65百万株 |
| 1株当たり純資産 | 557.08円 |
| EBITDA | 72.94億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 0.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| AdvancedMaterials | 9.51億円 | 8.55億円 |
| FibersAndTextiles | 51百万円 | -1.79億円 |
| Polymers | 29.26億円 | 49.96億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 1,100.00億円 |
| 営業利益予想 | 75.00億円 |
| 経常利益予想 | 60.00億円 |
| 1株当たり配当金予想 | 0.00円 |
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2026年度Q2のユニチカは、営業段階の収益力が大幅に改善した一方、特別損失の発生で最終損益は赤字転落となり、財務体質の脆弱さが鮮明になった決算だった。売上高は621.47億円で前年比+1.0%と増収を確保、売上総利益は152.82億円で粗利率24.6%と採算は堅調だった。販管費は96.38億円(売上対比15.5%)に抑制され、営業利益は56.44億円と前年比+152.7%、営業利益率は9.1%へと改善した。前年の営業利益は約22.34億円と推計されるため、営業利益率は約3.6%から約9.1%へ約+545bp拡大した計算となる。営業外収益5.37億円に対し営業外費用13.53億円で、経常利益は48.28億円(+319.5%)と大幅増益を維持した。にもかかわらず、税引前当期純利益は-30.61億円、当期純利益は-34.87億円の赤字で、経常段階から最終損益への橋渡しで約79億円規模の一時損失(減損・構造改革費用等の特別損失が示唆)が発生した可能性が高い。包括利益は-41.14億円と、その他包括損益のマイナスも重なった。EPSは-60.49円、自己資本は318.76億円(1株当たり純資産約557円)で、利益剰余金は-27.30億円と欠損を抱える。インタレストカバレッジは6.51倍と短期的には耐性があるが、負債資本倍率4.39倍、流動比率79.2%、当座比率52.5%と流動性・レバレッジの両面で警戒水準にある。営業キャッシュフローは55.62億円とプラスで、設備投資は11.35億円にとどまり、暫定的なFCF(営業CF−設備投資)は約44億円と見込めるが、投資CFの全体像は未開示で不確実性が残る。営業CF/純利益比率は-1.60倍と算出上は品質警告の閾値を下回るが、純損失期であることから指標の解釈には注意が必要で、むしろ営業段階のキャッシュ創出は改善している。バランスシートでは短期借入金383.19億円、長期借入金4.87億円と、借入の大半が短期に偏在し満期ミスマッチリスクが高い。運転資本は-260.80億円、売掛金225.93億円・棚卸335.80億円・買掛131.19億円の構成で、資金繰りは仕入与信・短期借入に強く依存している。ROEは-10.9%(純利益率-5.6%、総資産回転率0.359、財務レバレッジ5.39倍)で、最終損益の赤字が株主価値毀損に直結。将来に向けては、営業利益率改善の持続と、特別損失の一過性確認、短期債務のリファイナンス進捗が最大の焦点である。原材料価格の変動や需給の戻りによる価格転嫁の進捗次第で営業利益率9%前後の維持も視野だが、財務レバレッジと流動性は当面の制約となる。配当方針は未開示で、当期純損失と高レバレッジを踏まえると、還元余力は営業CFと債務返済のバランス次第。総じて、事業採算は改善も、特損と財務制約が評価の上限要因であり、開示の埋め合わせ(特損の内訳、投資CF、配当方針)が重要となる。
ROEは-10.9%で、純利益率-5.6%×総資産回転率0.359×財務レバレッジ5.39倍の積に整合する。今回の変化を規定した主因は純利益率で、営業利益率の大幅改善(約+545bp)にもかかわらず、特別損失とみられる一過性コストで最終損益が赤字化した点が決定的だった。ビジネス面では、粗利率24.6%と販管費率15.5%により営業利益率9.1%を確保しており、価格改定・ミックス改善・コストコントロールが進んだ可能性が高い。一方、営業外では支払利息8.67億円など金利負担が残り、さらに特別損失(約79億円規模と推計)が最終段階を圧迫した。営業改善は需給正常化とコスト転嫁の進捗に依存するため一定の持続性が見込めるが、特別損失は一過性の可能性が高く、来期以降の純利益率回復余地はある。懸念トレンドとして、売上成長率(+1.0%)に比し販管費の絶対水準は高止まりで、金利負担(支払利息8.67億円)と高レバレッジが営業改善の果実を希薄化しやすい構造である。
売上は+1.0%と横ばい圏の増収で、数量よりも価格・ミックスの寄与が示唆される。営業利益は+152.7%と実力改善が顕著で、営業利益率は約3.6%→9.1%へ大幅に改善した。経常利益も+319.5%と営業改善が金融費用増を上回ったが、特別損失で最終赤字化。利益の質は、営業CF55.62億円の創出で一定の裏付けがある一方、最終利益は一過性損失に大きく左右され、足元はアンバランス。中期的見通しは、- 原材料価格の落着きと価格転嫁の継続、- 稼働率の正常化、- コスト削減定着、により営業利益率7-9%帯の維持可能性はあるが、需要のボラティリティと為替・エネルギーコストに左右される。最終利益の回復には、(1) 特損の縮小/消滅、(2) 金利負担の軽減(デレバレッジ)、(3) 包括損益要因(為替・評価差額)の安定化、が必要となる。
流動比率79.2%、当座比率52.5%と、短期支払能力は警戒水準で明示的な警告が必要。総資産1,729.81億円に対し負債1,408.62億円、純資産321.18億円で、負債資本倍率4.39倍と高レバレッジ体質。短期借入金383.19億円に対し現金預金395.51億円で名目上はカバー可能だが、流動負債1,255.22億円が流動資産994.42億円を大きく上回り、満期ミスマッチのリスクが高い。固定負債153.39億円・長期借入4.87億円と長期資金が小さく、短期資金依存度が極めて高い。債務返済能力は、EBITDA72.94億円対してDebt/EBITDA約5.3倍、インタレストカバレッジ6.5倍と、現時点では耐性があるが余裕は厚くない。オフバランス債務の開示はなく評価不能だが、リース等が存在する可能性は否定できない。
営業CF55.62億円は最終赤字下でもプラスを確保し、営業利益の改善と運転資本のコントロールが寄与したとみられる。営業CF/純利益は-1.60倍と定義上は警告閾値を下回るが、純損失期のため同指標の解釈は限定的で、むしろキャッシュ創出は改善している。投資CFは未開示だが、設備投資は-11.35億円と軽く、暫定FCF(営業CF−設備投資)は約+44.3億円と推計される(その他投資キャッシュの影響次第でブレ)。財務CFは+197.09億円と大きく、借入等の調達増が示唆され、資金繰りは外部金融に依存。運転資本は-260.80億円で、仕入債務と短期借入に支えられた構造が続く。期中の在庫・売掛の増減や期ズレによる営業CFの上振れ・下振れリスクには留意が必要。
配当関連の開示はN/Aで、当期は純損失-34.87億円、利益剰余金-27.30億円、高レバレッジという前提から、理論的な分配余力は限定的。暫定FCFはプラス推計だが、投資CF全体未開示・短期債務の厚み・リファイナンス需要を踏まえると、FCFでの配当カバレッジ評価は不確実性が高い。仮に配当を継続する場合でも、財務健全性の改善(デレバレッジ、長期化)が優先される公算が大きい。今後の方針判断には、通期利益見通し、特別損失の一過性確認、通期FCF、金融機関との与信枠状況の開示が鍵となる。
ビジネスリスク:
- 需要変動リスク:繊維・樹脂・高機能材料の需要サイクルに連動し販売数量・稼働率が変動
- 原材料・エネルギー価格の変動:ナフサ、電力・ガス価格の上昇は粗利率を圧迫
- 価格転嫁遅延:原価上昇に対する販売価格改定のタイムラグ
- 製品ミックスの悪化:高付加価値品の比率低下による利幅縮小
- 特別損失(減損・再編費用等)の再発リスク:資産評価見直しや構造改革の継続
財務リスク:
- 流動性リスク:流動比率79.2%、当座比率52.5%と短期支払能力が脆弱
- リファイナンスリスク:短期借入金383.19億円など短期資金依存が大きい
- レバレッジ上昇による金利感応度:支払利息8.67億円、金利上昇局面で利益圧迫
- 包括損益の変動:為替・評価差により自己資本が変動しやすい
- 担保・コベナンツ制約:未開示だが高レバレッジ下で財務制約の可能性
主な懸念事項:
- 経常黒字から最終赤字への転落をもたらした約79億円規模の特別損失の性質と再発可能性
- 短期債務偏重による満期ミスマッチの是正進捗(長期資金化・運転資本改善)
- 営業利益率9%前後の改善が需要後退局面でも維持可能か(価格転嫁と固定費吸収)
- 投資CFの不透明さ(大型投資・回収・売却益の有無)
- 資本政策(欠損填補、増資・ハイブリッド等)の選択肢と希薄化リスク
重要ポイント:
- 営業利益率は約+545bp改善し実力収益は回復傾向
- 特別損失で最終赤字、純利益率がROEを押し下げ
- 流動比率79%、D/E4.39倍と財務制約が大きい
- 営業CFは55.6億円、暫定FCFは約44億円とプラスだが外部資金依存は高い
- 短期債務の長期化・デレバレッジがバリュードライバー
注視すべき指標:
- 特別損失の内訳・規模(減損・再編費)と翌期の発生有無
- 営業利益率(目安7-9%)と粗利率・販管費率の推移
- 営業CFと在庫・売掛・買掛の回転日数
- 短期借入金残高と平均調達金利、返済期日の分布
- Debt/EBITDA、インタレストカバレッジ、自己資本の変動(包括損益含む)
- 通期ガイダンス(売上・営業利益・特損見通し)と配当方針
セクター内ポジション:
国内繊維・化学の中堅群において、営業採算は改善し同業平均を上回る水準に近い一方、流動性・レバレッジ面は同業下位で財務の安全余裕は限定的。
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