- 売上高: 318.21億円
- 営業利益: 18.23億円
- 当期純利益: 12.55億円
- 1株当たり当期純利益: 100.50円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 318.21億円 | 317.78億円 | +0.1% |
| 売上原価 | 248.87億円 | 252.57億円 | -1.5% |
| 売上総利益 | 69.34億円 | 65.21億円 | +6.3% |
| 販管費 | 51.11億円 | 52.09億円 | -1.9% |
| 営業利益 | 18.23億円 | 13.12億円 | +38.9% |
| 営業外収益 | 77百万円 | 83百万円 | -7.2% |
| 営業外費用 | 26百万円 | 21百万円 | +23.8% |
| 経常利益 | 18.73億円 | 13.74億円 | +36.3% |
| 税引前利益 | 18.77億円 | 13.33億円 | +40.8% |
| 法人税等 | 6.21億円 | 4.12億円 | +50.7% |
| 当期純利益 | 12.55億円 | 9.20億円 | +36.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 12.56億円 | 9.21億円 | +36.4% |
| 包括利益 | 12.99億円 | 9.84億円 | +32.0% |
| 支払利息 | 17百万円 | 8百万円 | +112.5% |
| 1株当たり当期純利益 | 100.50円 | 74.11円 | +35.6% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 97.32円 | 71.87円 | +35.4% |
| 1株当たり配当金 | 12.00円 | 12.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 115.19億円 | 108.88億円 | +6.31億円 |
| 現金預金 | 59.94億円 | 49.74億円 | +10.20億円 |
| 売掛金 | 47.59億円 | 40.83億円 | +6.76億円 |
| 棚卸資産 | 3.77億円 | 3.30億円 | +47百万円 |
| 固定資産 | 187.55億円 | 193.53億円 | -5.98億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 3.9% |
| 粗利益率 | 21.8% |
| 流動比率 | 167.3% |
| 当座比率 | 161.8% |
| 負債資本倍率 | 0.52倍 |
| インタレストカバレッジ | 107.24倍 |
| 実効税率 | 33.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +0.1% |
| 営業利益前年同期比 | +39.0% |
| 経常利益前年同期比 | +36.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +36.3% |
| 包括利益前年同期比 | +31.9% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 12.86百万株 |
| 自己株式数 | 330千株 |
| 期中平均株式数 | 12.50百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,585.22円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 12.00円 |
| 期末配当 | 14.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 417.00億円 |
| 営業利益予想 | 20.80億円 |
| 経常利益予想 | 21.50億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 14.40億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 115.15円 |
| 1株当たり配当金予想 | 14.00円 |
2026年度Q3のピックルスホールディングスは、売上横ばいの中でコスト改善と営業レバレッジにより大幅な利益成長を達成した決算。売上高は318.21億円(前年比+0.1%)と停滞する一方、営業利益は18.23億円(+39.0%)、当期純利益は12.56億円(+36.3%)と大幅増。営業利益率は5.7%と前年の約4.1%から約+160bp改善、純利益率も約4.0%と前年の約2.9%から約+105bp改善。粗利益率は21.8%で、前年からの改善が示唆され(前年数値非開示だが営業段階の改善と整合)、販管費率の抑制(51.11億円、売上比約16.1%)が利益押し上げに寄与。経常利益は18.73億円(+36.4%)と、営業外収支(受取利息・配当の純増、利息負担軽微)も追い風。税負担係数は0.669とやや重く、実効税率33.1%が最終利益率の頭打ち要因。ROEは6.3%で前年比改善が示唆されるものの、ベンチマーク(8%以上)には届かず資本効率はまだ過渡期。バランスシートは現金59.94億円、流動比率167%・当座比率162%と流動性は堅固で、有利子負債は30.12億円、Debt/Capital 13.2%と保守的。短期借入金は7.00億円(前年比-30%)に縮小し、資金繰り耐性が向上。のれん(0.32億円、-70%)と無形資産(1.04億円、-44%)が大きく減少しており、償却または整理の進展でバランスシートの健全性はむしろ向上。一方で、営業キャッシュフローが未開示のため、利益成長の現金裏付けは未検証で、営業CF/純利益比の確認が次の焦点。食品(漬物・発酵食品)特性上、原菜価格、エネルギー・物流コスト、為替(輸入素材・資材)などコストサイドのボラティリティは継続リスク。PB比率・価格競争もマージンの構造的な上値抑制要因だが、今回の改善は値上げ・ミックス・歩留まり改善の進展と一致。短期的には粗利率と販管費率のコントロールで利益モメンタムの持続が見込めるが、中期的にはROEの引き上げ(資本効率)とキャッシュ創出の実証が課題。配当は中間12円・期末14円の想定合計26円で、推定配当性向26.6%と持続可能性は高い。インタレストカバレッジ107倍と金利上昇環境でも耐性は十分。成長ドライバーは健康志向(発酵食品・低塩)需要、価格転嫁の定着、物流効率化、D2C/ECの開拓。今後は営業CF動向、在庫・売掛の回転、原材料・エネルギー指標、および販管費率の趨勢が業績持続性の鍵となる。
デュポン分析(3因子):ROE 6.3% = 純利益率4.0% × 総資産回転率1.051 × 財務レバレッジ1.52倍。最も大きく変化したのは純利益率で、営業利益率の改善(約+160bp)と営業外の軽負担が純利まで波及。売上は+0.1%と横ばいのため、総資産回転はほぼ不変域で、ROE改善の主因はマージン拡大。金利負担係数は1.030と実質的に負担なし、税負担係数0.669はやや重いが通常域近傍。ビジネス面では、価格改定の定着、製造原価の是正(歩留まり改善、エネルギーコストの落ち着き)、物流効率化が粗利率改善につながり、販管費の伸び抑制で営業レバレッジが効いたと解釈。一過性よりも構造的改善(価格体系・生産性)の寄与が大きい可能性があるが、原菜相場やエネルギー価格の反転でマージンは振れやすい点は留意。懸念トレンドとしては、売上停滞下での利益改善であり、販管費の増勢が売上成長を上回る局面への転化には注意(現時点では販管費率16.1%と適正)。
売上は318.21億円(+0.1%)と横ばいで、数量伸長より価格・ミックスが中心。利益成長は粗利率改善と販管費効率化に依存しており、短期的な持続性はあるが、成長のためにはトップライン再加速(新製品、プレミアム領域、チャネル拡大)が必要。食品・飲料フレームで見ると、国内比率が高いと想定されPBや価格競争圧力は残存。一方、健康志向や発酵食品の機能性訴求は中期機会。原材料(野菜・調味副資材)と包装資材、電力・物流コストの動向が粗利率を左右。広告宣伝費や新商品投資の開示はないが、売上伸長の鈍化を踏まえ、投資バランスの再点検が望ましい。中期見通しは、価格体系の維持と生産性改善の継続次第で安定成長シナリオ、ただし天候・原料相場の外生ショックが下振れリスク。
流動比率167.3%、当座比率161.8%と強固で、流動性の警告条件(<1.0)に該当せず。D/E(負債資本倍率)0.52倍、Debt/Capital 13.2%と保守的な資本構成で、D/E>2.0の警告にも非該当。短期負債68.87億円に対し現金59.94億円・売掛金47.59億円があり、満期ミスマッチリスクは限定的。現金/短期借入金8.56倍と短期資金繰り余力は大。のれん0.32億円・無形1.04億円と小さく、減損リスクは限定的。短期借入金は前年比-30%とデレバレッジが進展。オフバランス債務の開示はなく不明だが、リースなど通常範囲と推定。固定資産比率は61.9%(有形56.8%)と製造業として標準的で、設備の更新・効率化投資は継続余地。
のれん: -0.75億円(-70.1%)- 償却または資産整理の進展。のれん残高は0.32億円と小さく、今後の減損リスクは限定的。無形固定資産: -0.82億円(-44.1%)- ソフトウェア等の償却進行または資産圧縮。固定費負担の軽減に寄与の可能性。短期借入金: -3.00億円(-30.0%)- デレバレッジ進展により流動性バッファ強化、金利感応度も低下。純資産: +9.76億円(+5.2%程度、前年188.84→当期198.60)- 利益剰余金の積み上げによる資本厚み増加。財務耐性向上に寄与。
営業CF、投資CF、フリーCFは未開示のため、営業CF/純利益やアクルーアル比率を評価不可。利益の質判断は限定的だが、利息負担軽微(支払利息0.17億円)かつ運転資本構造は売掛47.59億円・棚卸3.77億円・買掛32.54億円と、鮮度商材特性による在庫軽量・買掛厚めのプロファイルでキャッシュ創出に中立〜やや追い風になりうる。運転資本操作の兆候は確認不可だが、売上横ばい下で在庫が低位(総資産比1.2%)であることはむしろ健全。次期の注目は、値上げ定着後の入金サイト・返品動向、物流費の期ずれ、ならびにエネルギー費の前払い/未払計上の反転によるOCFのブレ。
当期純利益12.56億円に対し、想定年間配当26円(中間12円+期末14円)は配当性向26.6%と保守的で持続可能性は高い。推定配当総額は約3.3億円(発行済12.86百万株ベース)で、当期利益で十分にカバー。FCFは未開示だが、手元現金59.94億円と有利子負債30.12億円のバランスを踏まえると、ストレス時でも配当維持余力は大。将来の増配余地は、営業CFの安定性と成長投資計画の規模に依存。
ビジネスリスクとして、原材料価格・天候リスク:国産野菜(白菜・胡瓜等)の相場変動と不作による調達コスト上昇、エネルギー・物流コスト上昇:電力料金や輸送費の上振れによる粗利圧迫、PB・価格競争:小売のプライベートブランド拡大による価格下押しとマージン低下、需要動向の変化:減塩・健康志向の追い風がある一方、嗜好変化による主力カテゴリの需要変動、食品安全・リコールリスク:製造不良や異物混入等によるブランド毀損が挙げられます。
財務リスクとしては、為替リスク:輸入資材・香辛料・包装材への円安影響、税負担の上振れ:実効税率33.1%と相対的に高めで純利益率の天井圧力、金利リスクは限定的:インタレストカバレッジ107倍、有利子負債低位で感応度は低いが挙げられます。
主な懸念事項としては、売上停滞下の利益改善の持続性:コスト反転時のマージン後退リスク、営業CF未開示による利益の現金裏付け不確実性、価格転嫁の継続許容度:小売側の交渉力による制約が挙げられます。
重要ポイントとして、売上横ばいでも粗利率改善と販管費抑制で営業利益+39%、マージン約+160bp拡大、ROE 6.3%は改善途上、資本効率の更なる底上げが課題、流動性・ソルベンシーは極めて健全、短期借入金-30%で財務耐性が強化、配当性向26.6%と保守的、増配余地は営業CFの安定次第、原材料・エネルギー・物流の外部コストに対する価格転嫁力の検証が中期テーマが挙げられます。
注視すべき指標は、営業CF/純利益比(>1.0を目標)、粗利益率と販管費率の四半期推移、在庫回転日数・売掛金回転日数、原菜価格指数・電力単価・物流単価、PB向け売上比率と平均販売単価、インタレストカバレッジと有利子負債水準です。
セクター内ポジションについては、国内食品中小型の中で財務安全性は上位、利益率は業界中央値をやや下回るが改善トレンドにある。売上成長力は保守的で、収益性改善の継続とキャッシュ創出の実証が相対評価の鍵。