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285A2026 第3四半期プライムIFRS

キオクシアホールディングス(285A) 2026年度第3四半期決算

2026年度第3四半期の売上高は1兆3,348億円(前年同期比-1.8%)、営業利益は2,736億円(同-34.0%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

電機・精密/電気機器


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥13347.8億¥13593.7億−1.8%
営業利益¥2735.7億¥4146.1億−34.0%
税引前利益¥2057.5億¥3556.1億−42.1%
純利益¥1467.6億¥2520.6億−41.8%
ROE15.0%34.2%-

Executive Summary

売上高はほぼ横ばいながら、営業利益・純利益が大幅に悪化した増収減益ならぬ減収減益局面であり、半導体メモリ事業特有の高い利益感応度が表面化した決算である。売上高は1兆3,347.76億円(前年比-1.8%)、営業利益は2,735.74億円(同-34.0%)、経常段階に相当する税引前利益は2,057.50億円(同-42.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,467.56億円(同-41.8%)となった。売上高の小幅な減少に対し利益が大きく減少した背景には、製品価格・ミックスの変動と、固定費を抱える製造構造の高い営業レバレッジがある。一方で営業CFは3,221.67億円と純利益の2.2倍の水準を確保しており、利益の現金裏付けは維持されている。

業績変動要因

【売上高】売上高は1兆3,347.76億円で前年同期比-1.8%の小幅減収となった。NANDフラッシュメモリ事業は市況・顧客在庫調整の影響を受けやすく、出荷量や製品ミックスの変動が売上を左右した。減少幅自体は小さいものの、後述の通り利益への影響は非対称に大きい。

【損益】売上総利益率は27.7%で、前年同期の約37.2%(売上総利益5,054.17億円÷売上高1兆3,593.66億円)から大きく低下した。販管費は999.29億円(売上高比7.5%)で前年から微増にとどまり、営業利益率悪化の主因はコスト構造ではなく粗利率の縮小にある。営業利益は2,735.74億円(-34.0%)、さらに金融費用717.31億円(金融収益36.04億円控除後の純金融費用681.27億円)が税引前利益を圧迫し、税引前利益は2,057.50億円(-42.1%)と営業利益以上に落ち込んだ。親会社株主帰属純利益は1,467.56億円(-41.8%)で、減収幅を大きく上回る減益となっており、減収減益の構図である。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は20.5%で前年同期の約30.5%から約1,000bp低下し、純利益率も11.0%と前年の約18.4%から約740bp悪化した。年換算ROEは15.0%で、純利益率11.0%、総資産回転率0.418倍、財務レバレッジ3.26倍に分解される。【キャッシュ品質】営業CFは純利益の2.20倍であり、アクルーアル比率はマイナス5.5%と利益の現金裏付けは良好である。【投資効率】設備投資は2,136.88億円で売上高比16.0%に達し、一般的な製造業を大きく上回る資本集約度を示すが、営業CFで投資を賄いFCFは1,539.75億円の黒字を確保した。【財務健全性】自己資本比率は30.6%(前年25.3%から改善)、有利子負債合計は1兆860.42億円、インタレストカバレッジは3.81倍で5倍の目安を下回る。流動比率は約107%で、150%の健全目安には届かない水準である。

キャッシュフロー分析

営業CFは3,221.67億円で、純利益1,467.56億円の2.20倍を確保し、利益の現金裏付けは良好である。運転資本面では売上債権の増加により946.45億円の資金流出が生じたが、仕入債務の増加774.37億円がこれを大きく相殺した。棚卸資産の増減は小幅な流入にとどまるが、在庫水準自体は高めで推移している。投資CFはマイナス1,681.92億円で、設備投資2,136.88億円が主因であり、NANDフラッシュメモリ製造に必要な能力維持・増強投資を反映する。営業CFが設備投資を上回り、フリーキャッシュフローは1,539.75億円の黒字となっており、大型投資を内部資金で賄う構造が維持されている。財務CFはマイナス436.31億円で、借入・社債の返済等が中心である。現金及び現金同等物は2,815.27億円に増加しており、投資継続と一定の資金余力の両立がうかがえる。

収益の質

当期の利益は市況変動を反映した経常的な事業損益が中心であり、目立った特別損益項目は確認されない。金融費用717.31億円は営業利益の26.2%に達し、金融収益36.04億円を差し引いた純金融費用681.27億円が税引前利益を大きく圧縮している。この金融費用負担は有利子負債の規模と金利水準に起因する構造的な要因であり、一時的な項目ではない。アクルーアルの観点では、営業CFが純利益を上回り、アクルーアル比率がマイナスであることから、利益の質は現時点で良好と評価できる。ただし売上債権の増加が営業CFを押し下げており、回収サイトの動向は今後の収益の質を左右する要素となる。包括利益は2,307.10億円で純利益1,467.56億円を上回り、その他有価証券評価差額の増加(その他の包括利益のうち公正価値変動が727.12億円)が寄与しており、当期純利益とは別に資本の増加要因が存在する。

株主還元

第2四半期配当および通期予想配当はいずれも1株当たり0円であり、配当性向は0%である。自己株式取得も実施されておらず、総還元性向も0%である。営業CF3,221.67億円、投資後FCF1,539.75億円と当期のキャッシュ創出力自体は確保されているが、設備投資が売上高の16.0%に達する資本集約型事業であり、有利子負債・リース負債の負担も大きいことから、内部資金は投資継続と財務基盤の維持に充当されている状況である。

リスク要因

  1. 市況感応度リスク: 売上高が前年比-1.8%にとどまる一方、営業利益は-34.0%と大きく減少しており、価格・製品ミックス・稼働率変動に対する利益の感応度が高い。半導体メモリ市況の変動が今後も業績を大きく左右し得る。

  2. 財務レバレッジ・金利負担リスク: 有利子負債合計は1兆860.42億円、金融費用717.31億円は営業利益の26.2%を占め、インタレストカバレッジは3.81倍にとどまる。自己資本比率は30.6%まで改善したが、金利上昇局面や利益率低下局面では財務負担が増幅されやすい。

  3. 運転資本効率リスク: 売上債権の増加により営業CFが946.45億円押し下げられ、在庫水準も高めで推移している。仕入債務の増加774.37億円が相殺要因となっているが、支払条件への依存度上昇や回収遅延が続く場合、資金効率に影響し得る。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率20.5%8.6% (4.3%–12.7%)+11.9pt
純利益率11.0%6.4% (2.8%–10.3%)+4.6pt

自社の収益性は業種中央値を大きく上回る水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)−1.8%3.3% (-2.1%–8.9%)−5.1pt

売上成長率は業種中央値を下回り、業種内では減収方向に位置する。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益率20.5%、純利益率11.0%は業種中央値を大きく上回るが、前年同期比では約1,000bp低下しており、市況変動による利益率の振れ幅の大きさが確認された。

  2. 営業CFが純利益の2.20倍、投資後FCFが1,539.75億円の黒字であることから、大型設備投資(売上高比16.0%)を内部資金で賄う構造が維持されている点が読み取れる。

  3. のれん3,955.77億円は純資産の40.4%を占め、有利子負債・金融費用負担も大きいことから、レバレッジ構造と運転資本(売上債権・棚卸資産)の動向が今後の財務モニタリングポイントとなる。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。