| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥941.3億 | ¥784.4億 | +20.0% |
| 営業利益 | ¥272.4億 | ¥292.9億 | -7.0% |
| 税引前利益 | ¥273.5億 | ¥287.1億 | -4.8% |
| 純利益 | ¥188.5億 | ¥200.0億 | -5.7% |
| ROE | 28.9% | 32.2% | - |
2026年3月期通期決算は、売上高941.3億円(前年比+156.9億円 +20.0%)、営業利益272.4億円(同-20.5億円 -7.0%)、経常利益291.3億円(同+18.2億円 +6.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益188.0億円(同-12.2億円 -6.1%)で、増収減益決算となった。トップラインは食べログ事業(+20.2%)と求人ボックス事業(+51.2%)が牽引し高成長を実現したが、求人ボックスの獲得投資先行による赤字転落(営業損失14.9億円)と全社費用の増加(87.6億円、前年67.1億円から+30.6%)により営業段階では減益。一方、金融収益4.6億円と金融費用3.4億円の純増がプラス寄与し、経常利益段階では増益を確保した。営業利益率は28.9%と高水準を維持しながらも前年37.4%から約8.5pt低下し、成長投資のコスト先行が利益率を圧迫した構図が明確となった。
【売上高】売上高は941.3億円(+20.0%)と高成長を実現。食べログ事業が402.4億円(+20.2%)と売上構成比42.7%を占め、予約連動型課金と広告の需要回復が寄与した。求人ボックス事業は202.1億円(+51.2%)と高成長で売上構成比21.5%へ拡大、採用需要の旺盛さを背景にクリック課金・応募課金型のマネタイズが加速した。価格.com事業は236.1億円(-0.1%)とほぼ横ばいで売上構成比25.1%、主要カテゴリーの広告在庫の成熟と単価維持が続いた。インキュベーション事業は100.7億円(+26.6%)で売上構成比10.7%、不動産・旅行サイトと連結子会社群の拡大が貢献した。営業費用は669.6億円(営業費用率71.1%、前年62.0%から+9.1pt)と売上成長を上回るペースで増加し、求人ボックスにおける広告費・人件費の積極投資と全社費用の増加が主因。
【損益】営業利益は272.4億円(-7.0%)で営業利益率は28.9%(前年37.4%から-8.5pt)と大幅低下。セグメント別では、価格.comは営業利益125.5億円(+6.9%)・利益率53.1%(前年50.0%から+3.1pt)と収益性を維持・改善。食べログは営業利益222.0億円(+22.8%)・利益率55.2%(前年54.0%から+1.2pt)と増収増益で収益性も向上した。求人ボックスは営業利益-14.9億円と赤字転落(前年42.6億円の黒字から-57.5億円、YoY-134.9%)し、利益率は-7.4%(前年31.9%から-39.3pt)と急激に悪化。成長投資ドリブンの獲得コスト先行により、トップライン+51.2%に対し利益段階は赤字化した。インキュベーション事業は営業利益27.4億円(+42.3%)・利益率27.2%(前年24.0%から+3.2pt)と増収増益・収益性改善を実現。全社費用(調整額)は-87.6億円(前年-67.1億円から+20.5億円、+30.6%)と売上成長を上回る伸びで、コーポレート機能の拡充と管理体制強化が反映された。経常利益は291.3億円(+6.7%)と増益、金融収益4.6億円(前年0.2億円)の大幅増と金融費用3.4億円(前年5.8億円)の減少が営業段階の減益を部分的に相殺した。特別損益では減損損失0.7億円(前年5.9億円)と軽微で、一時的要因の影響は限定的。法人所得税費用84.9億円(実効税率31.1%)を控除後、親会社株主に帰属する当期純利益は188.0億円(-6.1%)、純利益率20.0%(前年25.5%から-5.5pt)と縮小した。結論として、増収減益決算であり、トップラインは高成長ながら、求人ボックスの赤字化と全社費用増が営業段階の減益を招き、営業外収益の純増で経常段階では微増益を確保した形。
価格.com事業は売上236.1億円(-0.1%)で横ばい、営業利益125.5億円(+6.9%)・利益率53.1%(前年50.0%から+3.1pt)と収益性を改善した。主要カテゴリーの広告単価維持と費用効率化が利益率向上に寄与した。食べログ事業は売上402.4億円(+20.2%)、営業利益222.0億円(+22.8%)・利益率55.2%(前年54.0%から+1.2pt)と増収増益で収益性も向上。有料掲載店舗数の増加と予約連動課金の伸長、送客インセンティブの最適化が奏功した。求人ボックス事業は売上202.1億円(+51.2%)と高成長ながら、営業利益-14.9億円と赤字転落(前年42.6億円の黒字から-57.5億円)し、利益率-7.4%(前年31.9%から-39.3pt)と大幅悪化。マッチング精度向上と送客効率最適化のための広告費・システム投資が先行し、利益段階ではマージンを圧迫した。インキュベーション事業は売上100.7億円(+26.6%)、営業利益27.4億円(+42.3%)・利益率27.2%(前年24.0%から+3.2pt)と増収増益で収益性も改善。不動産・旅行サイト群の規模拡大と連結子会社の黒字化・増益が貢献した。
【収益性】営業利益率は28.9%(前年37.4%から-8.5pt)と低下したが、国内ネット企業としては依然高水準を維持。純利益率は20.0%(前年25.5%から-5.5pt)で縮小したが、一時的要因の影響は軽微で、本業の収益力低下が主因。ROEは29.7%と高水準で、純利益率20.0%×総資産回転率1.02倍×財務レバレッジ1.42倍により実現されている。前年ROE35.4%からの低下は、純利益率の-5.5pt縮小が主因。経常利益率は30.9%(前年34.8%から-3.9pt)で営業段階より下げ幅が小さく、営業外収益の純増が下支えした。【キャッシュ品質】営業CF/純利益比率は1.35倍(営業CF253.5億円/純利益188.0億円)と高く、利益のキャッシュ転換力は良好。アクルーアル比率は-7.1%(純利益-営業CF)で負値となり、会計利益以上のキャッシュを創出している。運転資本の変動は軽微で、売上債権の増加2.5億円・買入債務の増加2.0億円とバランスし、キャッシュ創出の源泉は本業の営業利益に依拠する。【投資効率】総資産回転率は1.02倍(売上高941.3億円/期中平均総資産約925億円)とほぼ横ばいで、売上成長が総資産の微減とバランスした。のれん及び無形資産は114.0億円(総資産比12.3%、前年77.2億円から+36.8億円・+47.7%)と大幅増加し、M&A(子会社取得約37.2億円)が反映された。ROAは20.4%(純利益188.0億円/総資産924.8億円)で、前年21.4%から-1.0pt低下したが高水準を維持。【財務健全性】自己資本比率は70.3%(前年66.4%から+3.9pt)と改善し、D/E比率は0.42倍(負債273.1億円/純資産651.7億円)と極めて低水準で財務安全性は極めて高い。流動比率は278.0%(流動資産667.6億円/流動負債240.2億円)と潤沢で、短期的な資金繰りリスクは低い。有利子負債は短期借入金・長期借入金ともに極めて小規模で実質無借金経営。リース負債は流動10.3億円・非流動21.5億円と限定的。現金及び現金同等物は464.7億円と潤沢で、総資産の50.2%を占め、流動性は極めて高い。
営業CFは253.5億円(前年274.0億円から-7.5%)で、純利益188.0億円に対して1.35倍と高いキャッシュ転換力を示した。営業CF小計(運転資本変動前)は350.4億円(前年356.8億円から-1.8%)で、本業のキャッシュ創出力は維持された。運転資本の変動は軽微で、売上債権の減少(収入)2.5億円、買入債務の増加(収入)2.0億円、その他の金融負債の増加(収入)49.8億円、その他の流動資産の減少(収入)55.9億円、その他の流動負債の減少(支出)76.2億円がネットで営業CFに寄与した。法人税等の支払97.6億円、利息の支払0.5億円、リース料の支払14.6億円と、大型の財務キャッシュアウトは限定的。投資CFは-114.2億円(前年-29.4億円から-84.8億円の悪化)で、定期預金の純増(預入100.0億円、払戻50.2億円でネット-49.8億円)、設備投資7.5億円、無形資産取得19.4億円、投資有価証券取得1.5億円、子会社取得37.2億円(連結範囲の変更を伴う取得)が主因。M&A関連の投資が投資CFを一時的に押し下げたが、フリーCFは139.4億円(営業CF253.5億円+投資CF-114.2億円)と依然プラスで、配当支払158.2億円に対するカバレッジは0.88倍となり、配当支払の大部分を営業CFで賄えたが、M&Aを含めると若干のネットキャッシュアウトとなった。財務CFは-183.7億円(前年-113.0億円から-70.7億円の悪化)で、配当支払158.2億円(前年94.9億円から+63.3億円、期末配当の増配分を含む)、非支配持分への配当1.4億円、子会社株式取得(非支配持分分)1.1億円、リース負債返済14.6億円が主因。現金及び現金同等物は期首508.6億円から期末464.7億円へ-43.9億円減少したが、潤沢な手元流動性は維持された。営業CFと減価償却費等(43.5億円)を足したEBITDAベースのキャッシュ創出力は約297.0億円と推定され、フリーCFのEBITDA比は約46.9%と良好で、M&A後も内部資金での成長投資・株主還元の両立は可能なレンジにある。
収益の質は概ね良好で、営業外収益は金融収益4.6億円(売上比0.5%)と小規模であり、利益の源泉は営業段階に依拠している。金融収益の増加(前年0.2億円から+4.4億円)は、現預金・短期運用資産の増加と金利上昇環境による受取利息・配当の増加によるもので、一時的要因とは言い難く、保有資産の利回り改善が反映された。金融費用は3.4億円(前年5.8億円から-2.4億円減少)でリース負債の減少と低金利環境の継続が寄与し、営業外損益の純改善が経常利益の下支え要因となった。特別損益は減損損失0.7億円(営業費用内の減損含め合計0.7億円)と軽微で、前年の減損損失5.9億円から大幅に縮小し、一時的要因の影響は限定的。包括利益は188.8億円(純利益188.5億円とほぼ一致)で、その他の包括利益はOCI0.3億円(為替換算差額0.3億円、金融資産評価損-0.1億円)と軽微であり、純利益と包括利益の乖離は小さい。持分法による投資損益は-0.1億円と小規模で、損益への影響は限定的。営業CFと純利益の比率1.35倍は、会計利益以上のキャッシュを創出している証左であり、売上債権・買入債務の変動は軽微で、過度な在庫積み増しや売掛金の膨張も見られず、アクルーアルベースの利益の質は高い。一方、求人ボックスの赤字転落は広告費・システム投資の先行によるもので、事業投資の性質上、短期的には収益性を圧迫するが、中長期の成長基盤構築の意図があり、一時的な利益率低下と評価される。全社費用の増加(+30.6%)は、コーポレート機能の拡充・人員増・管理体制強化を反映し、組織規模の拡大に伴う構造的なコスト増と考えられ、一過性ではない点に留意が必要。
2027年3月期の会社計画は、売上高1,145.0億円(前年比+203.7億円 +21.6%)、営業利益308.0億円(同+35.6億円 +13.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益207.0億円(同+19.0億円 +10.1%)で、引き続き高成長を見込む。通期進捗率は売上高で82.2%(941.3億円/1,145.0億円)、営業利益で88.5%(272.4億円/308.0億円)と、やや先行した進捗。営業利益率は計画ベースで約26.9%(308.0億円/1,145.0億円)と、当期実績28.9%からさらに-2.0pt程度の低下を織り込んでおり、成長投資の継続を前提とした見通しとなっている。求人ボックスの赤字の収れんとマージン改善が来期計画達成のカギを握る。調整後EBITDAの導入(営業利益+減価償却費等+株式報酬費用±一過性損益)により、キャッシュ創出力の可視化が進む見込み。配当予想は年間27円(中間13.5円・期末13.5円想定)で、当期実績50円(うち期末特別配当30円含む)からの減額は特別配当の解消を示唆し、通常ベースでは前年並みの水準を維持する方針と読める。EPS予想は104.63円で、配当性向は約25.8%と低く、内部留保を通じた成長投資の継続姿勢が示されている。通期予想と当期実績の乖離は、求人ボックスの赤字幅縮小とマージン改善の実現度合いに依存し、広告単価・送客効率・LTVの向上が前提となっている点に留意が必要。
当期の年間配当は50円(中間25円・期末25円)で、配当性向は52.7%(配当総額98.9億円/純利益188.0億円)と、利益の約半分を配当に充てる方針を維持した。期末配当には特別配当30円が含まれており、普通配当ベースでは25円と推定される。配当総額(支払ベース)は158.2億円で、フリーCF139.4億円に対するカバレッジは0.88倍とやや下回るが、M&A等の一時的投資を除けば営業CFで配当を概ねカバー可能な範囲。配当利回りは約1.3%(期末株価ベース概算)で、配当の持続性は高い。自己株式の取得は当期実績ゼロで、株主還元は配当中心の方針。来期の配当予想は年間27円(中間13.5円・期末13.5円想定)で、特別配当の解消により通常ベースの配当水準(25円程度)を維持する見込み。純利益の成長計画(+10.1%)と配当性向約25.8%(来期予想ベース)を踏まえると、利益成長に応じた配当の安定的な継続が可能と見られる。総還元性向は配当のみで構成され、自社株買いは含まれない。現預金464.7億円と強固なB/Sを背景に、配当の持続性に懸念は少なく、成長投資と株主還元の両立が図られている。
求人ボックスの赤字継続と利益率回復の遅延リスク: 当期に営業損失14.9億円と赤字転落し、利益率-7.4%(前年+31.9%から-39.3pt)と急激に悪化した。広告単価の最適化、マッチング精度向上、送客効率改善が計画どおり進捗せず、獲得コストの先行期間が長期化する場合、全社の営業利益率回復が遅れ、来期計画(営業利益率26.9%)の達成が困難となる可能性がある。売上成長+51.2%と高成長を継続できても、赤字幅の縮小ペースが見通しを下回れば、株主還元や成長投資の原資に影響しうる。
全社費用の構造的増加と売上成長とのギャップ拡大リスク: 全社費用(調整額)は-87.6億円(前年-67.1億円から+30.6%)と売上成長+20.0%を大きく上回るペースで増加した。コーポレート機能の拡充・人員増・管理体制強化が主因だが、今後も同様の高い伸びが続く場合、売上成長が鈍化した局面で営業利益率の下方硬直性が高まり、収益性の回復が遅れる懸念がある。成長投資と固定費増のバランスのモニタリングが必要。
のれん及び無形資産の増加に伴う減損リスク: のれん及び無形資産は114.0億円(総資産比12.3%、前年77.2億円から+47.7%)と大幅増加し、M&Aによる子会社取得が反映された。取得対価の大部分がのれん・無形資産として計上されている場合、統合後の事業計画未達や市況悪化により、将来的に減損損失を計上するリスクがある。当期の減損損失は0.7億円と軽微だったが、今後の減損テストの結果次第では、利益の下振れ要因となる可能性がある。のれん償却の影響は限定的だが、減損発生時の影響度は総資産比12.3%と相応の規模であり、事業統合の進捗と業績のモニタリングが重要。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 自己資本利益率 | 29.7% | 10.1% (2.2%–17.8%) | +19.6pt |
| 営業利益率 | 28.9% | 8.1% (3.6%–16.0%) | +20.8pt |
| 純利益率 | 20.0% | 5.8% (1.2%–11.6%) | +14.2pt |
カカクコムはIT・通信セクター内で収益性が極めて高く、ROE・営業利益率・純利益率いずれも中央値を大幅に上回り、収益性で上位に位置する。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 20.0% | 10.1% (1.7%–20.2%) | +9.9pt |
売上高成長率も業種中央値を約10pt上回り、高成長企業として位置付けられる。
※出所: 当社集計
増収減益の背景は成長投資ドリブンで一時的要因: 売上高+20.0%に対し営業利益-7.0%と減益だが、求人ボックスの獲得投資先行(営業損失14.9億円)と全社費用増(+30.6%)が主因であり、主力の食べログ・価格.comは高採算を維持・改善している。営業CF/純利益1.35倍、アクルーアル比率-7.1%と利益の質は高く、短期的なマージン低下は成長基盤構築のための戦略的投資と評価できる。求人ボックスの単価最適化・送客効率改善が進めば、来期以降の利益率回復の蓋然性は高い。
強固な財務と潤沢なキャッシュが成長投資と株主還元の両立を支える: 自己資本比率70.3%、D/E0.42倍、現預金464.7億円と極めて健全な財務で、フリーCF139.4億円を創出しつつ配当158.2億円を実施。M&A(子会社取得37.2億円)を含む投資加速後も流動性は十分で、来期計画の成長投資継続と配当(年間27円想定)の両立は可能なレンジ。調整後EBITDAの導入により、キャッシュ創出力の可視化が進み、投資対効果のモニタリングが進展する見通し。
来期のカギは求人ボックスの赤字収れんと全社費用の伸び抑制: 来期計画は売上+21.6%、営業利益+13.1%で営業利益率約26.9%(当期28.9%から-2.0pt)と投資継続を前提とするが、求人ボックスの赤字幅縮小と獲得単価・LTVの改善が計画達成の前提。全社費用の伸びが+30%超で続く場合、利益率の下方硬直性が高まる懸念があり、費用対効果の検証とコスト管理の強化が重要。のれん・無形資産114.0億円(総資産比12.3%)の減損リスクも、統合進捗のモニタリングが必要。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。