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23322026 第3四半期スタンダードJGAAP

クエスト(2332) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益3%減

2026年度第3四半期の売上高は132.4億円(前年同期比+20.3%)、営業利益は7.6億円(同-2.8%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

株式会社クエスト

情報通信・サービスその他/情報・通信業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥132.4億¥110.1億+20.3%
営業利益¥7.6億¥7.8億−2.8%
経常利益¥8.1億¥8.3億−2.8%
純利益¥5.5億¥5.5億−0.9%
ROE7.7%7.6%-

Executive Summary

2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高132.4億円(前年同期比+22.2億円 +20.3%)、営業利益7.6億円(同-0.2億円 -2.8%)、経常利益8.1億円(同-0.2億円 -2.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益5.5億円(同-0.1億円 -0.9%)となった。組織再編に伴い従来の「システム開発事業」「インフラサービス事業」を統合した「情報サービス事業」単一セグメントに移行し、複合的なサービス提供とクラウド化を背景に一体経営を推進している。売上は2割増と堅調な増収を確保したが、営業利益は微減にとどまり、増収減益パターンとなった。

業績変動要因

【売上高】売上高132.4億円(+20.3%)は、顧客への複合的なサービス提案の拡大と受注増が主要因。当期より組織再編により「インダストリー事業グループ」と「ソリューションサービス事業グループ」の二軸体制に移行し、従来異なる専門領域であったアプリケーション開発とインフラサービスを統合した情報サービス事業として一体推進したことで売上成長を加速している。売掛金が前年34.5億円から43.5億円へ+26.2%増加しており、売上高成長率+20.3%を上回る伸びを示すことから、回収タイミングのずれが生じている可能性がある。売掛金回転日数は120日と業種中央値61日を大幅に上回り、回収遅延が示唆される。【損益】売上原価は110.1億円で売上総利益は22.3億円、粗利率16.8%にとどまる。前年粗利率は明示されていないが、増収幅+22.2億円に対し営業利益はほぼ横ばいのため、粗利率の低下もしくは販管費の増加が利益圧迫要因と推察される。販管費は14.7億円で販管費率11.1%となり、営業利益率は5.7%(前年7.1%から-1.4pt悪化)と低下している。営業利益7.6億円に対し営業外収益0.6億円(受取配当金0.3億円等)を加え経常利益8.1億円となり、営業外損益は軽微な純増となった。税引前利益8.1億円から法人税等2.6億円を控除し純利益5.5億円で、実効税率は約32%。経常利益と純利益の乖離は通常範囲内であり、特別損益の記載はなく一時的要因は認められない。のれん残高が前年1.5億円から4.4億円へ+187.9%、無形固定資産が5.9億円から8.4億円へ+43.8%と増加しており、M&Aまたは事業買収による投資が行われた可能性がある。これらの投資に伴う償却費や統合コストが利益率を圧迫した可能性がある。現金預金は前年33.3億円から20.3億円へ-39.1%減少しており、売掛金増加と投資によるキャッシュアウトが資金残高を圧縮している。結論として、増収減益パターンであり、売上拡大は達成したが利益率低下と運転資本増加が収益性を抑制した。

主要財務指標

【収益性】ROE 7.7%は業種中央値8.3%を下回り業種内では低位、営業利益率5.7%は業種中央値8.2%を大きく下回る。純利益率4.1%は業種中央値6.0%を下回り、収益性は業種比で劣位にある。【キャッシュ品質】現金預金20.3億円は短期負債21.1億円に対しカバレッジ0.96倍と若干下回るが、流動資産67.4億円に対する流動比率は319.3%と業種中央値2.15倍を大幅に上回り短期支払能力は高い。ただし現金が前年比-39.1%減少しており流動性の実態は弱まっている。売掛金回転日数120日は業種中央値61日を大幅に上回り、回収効率の低さが示唆される。【投資効率】総資産回転率1.34回は業種中央値0.67回を大きく上回り、資産効率は良好。総資産利益率(ROA推定値、純利益率×総資産回転率)は約5.5%で業種中央値3.9%を上回る。【財務健全性】自己資本比率72.5%は業種中央値59.2%を上回り健全性は高い。流動比率319.3%は業種中央値2.15倍を大きく上回る。負債資本倍率0.38倍は財務レバレッジ1.38倍(総資産/純資産)の逆数であり、負債依存度は低い。有利子負債は明示されていないが、支払利息0.0億円と記載があることから実質無借金に近い財務構造と推察される。

キャッシュフロー分析

CF計算書の開示がないため、BS推移から資金動向を分析する。現金預金は前年33.3億円から20.3億円へ-13.0億円(-39.1%)の大幅減少となった。利益剰余金は前年57.1億円から61.3億円へ+4.2億円増加しており、純利益5.5億円の計上に対し配当等の社外流出が約1.3億円程度発生したと推定される。運転資本では売掛金が+9.0億円、買掛金が+1.9億円増加しており、売掛金増加が運転資本を大きく圧迫している。のれんが+2.9億円、無形固定資産が+2.6億円増加しており、M&Aまたは事業投資に約5億円超の資金が投下されたと推察される。投資有価証券は前年7.6億円から当期7.6億円とほぼ横ばいで大きな増減はない。有形固定資産も前年2.3億円から2.5億円とほぼ横ばいであり、設備投資は軽微と見られる。短期負債に対する現金カバレッジは0.96倍と若干下回るが、流動資産全体でのカバレッジは3.2倍と十分であり、流動性リスクは限定的である。ただし現金残高の大幅減少と売掛金増加が同時進行しており、営業増益が資金創出に十分寄与していない点は懸念材料である。

収益の質

経常利益8.1億円に対し営業利益7.6億円で、営業外純増は0.5億円。営業外収益0.6億円の内訳は受取配当金0.3億円、その他営業外収益0.0億円であり、営業外費用は0.0億円で支払利息もゼロである。営業外収益が売上高の0.5%を占めるに留まり、利益構造は営業本業に依存している。一時的な特別損益の記載はなく、純利益5.5億円は経常的な利益から法人税等2.6億円を控除した結果である。包括利益5.4億円は純利益とほぼ一致しており、有価証券評価差額金-0.1億円と退職給付調整額-0.0億円の影響は軽微である。現金預金が前年比-39.1%減少している一方で純利益5.5億円を計上しており、利益の現金裏付けは不十分と推察される。売掛金が前年比+26.2%増と売上成長率+20.3%を上回って増加しており、利益計上と現金回収のタイミング差が生じている。営業CFが純利益を上回っているかは不明だが、現金減少と売掛金増加から収益の質には懸念がある。

業績予想・ガイダンス

通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高78.5%(132.4億円/168.6億円)、営業利益64.4%(7.6億円/11.8億円)、経常利益65.3%(8.1億円/12.4億円)、純利益65.0%(5.5億円/8.5億円)となる。標準進捗率75%に対し売上高は78.5%と順調、営業利益以下は64~65%と標準をやや下回る。第3四半期累計で営業利益率5.7%に対し通期予想は営業利益率7.0%(11.8億円/168.6億円)となることから、第4四半期に利益率の改善が想定されている。下期での収益性改善計画として、組織再編効果の本格化や販管費コントロール、高付加価値案件の積み上げが織り込まれていると推察される。当四半期の業績予想修正は無しとあり、期初予想を維持している。業績予想注記では「現在入手している情報及び合理的な前提に基づく」とあり、実際の業績は様々な要因により異なる可能性が示唆されている。第3四半期時点での進捗やや遅延傾向から、通期達成には第4四半期での売上積み上げと利益率改善が前提となる。

株主還元

配当予想は年間55円で、内訳は普通配当50円と創立60周年記念配当5円である。前年配当データの明示はないが、通期純利益予想8.5億円に対する年間配当総額は約2.8億円(55円×発行済株式数5,127千株)となり、配当性向は約33%と算出される。当第3四半期純利益5.5億円に対し期末配当予想58円(通期合計)を適用すると配当総額は約3.0億円で配当性向は約54%となる。配当性向は業種比で標準的な水準にあり、現預金20.3億円と自己資本71.4億円を背景に配当支払能力は十分である。自社株買いの実績記載はなく、総還元性向は配当性向と同値となる。期末配当に記念配当5円が含まれるため、次期以降の配当水準は普通配当部分の推移を注視する必要がある。

リスク要因

第一に売掛金回収遅延リスクがある。売掛金回転日数120日は業種中央値61日の約2倍で、売掛金残高が前年比+26.2%と売上成長率を上回る伸びを示している。回収遅延が継続すると営業CFが圧迫され、現金預金がさらに減少する懸念がある。第二に粗利率低下による収益性悪化リスクがある。粗利率16.8%は業種一般と比較しても低水準であり、営業利益率5.7%は業種中央値8.2%を大きく下回る。売上成長が低マージン案件に偏る場合、増収でも利益は伸びず、ROEは低迷する。第三にのれん及び無形資産の減損リスクがある。のれん4.4億円と無形固定資産8.4億円が合計で12.8億円となり、純資産71.4億円の約18%を占める。M&Aや事業投資の統合が計画通り進まない場合、減損損失が発生し純利益を圧迫する可能性がある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)クエストの収益性指標は業種内で劣位にある。ROE 7.7%は業種中央値8.3%を下回り、営業利益率5.7%は業種中央値8.2%を大きく下回る。純利益率4.1%も業種中央値6.0%を下回り、利益創出力は業種標準以下の水準にある。一方で効率性指標では優位性がある。総資産回転率1.34回は業種中央値0.67回を大きく上回り、資産効率は良好である。健全性指標では業種上位に位置する。自己資本比率72.5%は業種中央値59.2%を上回り、流動比率319.3%は業種中央値2.15倍を大幅に上回る。財務レバレッジ1.38倍は業種中央値1.66倍を下回り、保守的な財務構造を維持している。成長性では業種中位にある。売上高成長率20.3%は業種中央値10.4%を上回るが、EPS成長率0.2%は業種中央値0.22とほぼ同水準にとどまる。売上拡大が利益成長に十分波及していない。運転資本効率では懸念がある。売掛金回転日数120日は業種中央値61日を大幅に上回り、回収効率は業種下位にある。営業運転資本回転日数や買掛金回転日数の当社詳細データは不明だが、売掛金遅延が運転資本効率を悪化させている。総合的には、健全な財務基盤と高い資産回転率を背景に売上成長を実現しているが、収益性の低さと運転資本効率の悪さが課題である。(業種: it_telecom、比較対象: 2025年Q3、出所: 当社集計)

決算上の注目ポイント

決算上の注目ポイントとして、第一に売上成長と利益率のトレードオフが顕在化している点がある。売上高+20.3%の大幅増収を達成したが営業利益率は5.7%(前年推定7.1%から-1.4pt低下)に低下し、増収減益パターンとなった。組織再編による複合的サービス提供への移行が売上拡大を牽引する一方、粗利率16.8%と低水準に留まり、販管費率も11.1%を要している。第4四半期での利益率改善が通期予想達成の前提となっており、高付加価値案件へのシフトや販管費コントロールが実現できるかが焦点となる。第二に運転資本管理の悪化がキャッシュフローを圧迫している点がある。売掛金回転日数120日と業種比で著しく長く、売掛金残高が前年比+26.2%と売上成長率を上回って増加している。現金預金は前年33.3億円から20.3億円へ-39.1%減少しており、利益計上と現金回収のタイミング差が顕著である。配当性向約33~54%(計算方法により差異)を維持するには、第4四半期での売掛金回収促進と営業CF改善が必須となる。第三にM&Aや事業投資の統合効果の実現が中期的な成長の鍵となる点がある。のれん4.4億円と無形固定資産8.4億円が合計で純資産の約18%を占め、投資規模は相応に大きい。これらの投資が期待通りの収益貢献を果たせば営業利益率の回復が見込まれるが、統合が遅延または失敗した場合には減損リスクが顕在化し、ROE低迷が長期化する懸念がある。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度第3四半期累計は、売上高が前年同期比20.3%増の132.39億円へ拡大した一方、営業利益は同2.8%減の7.59億円となり、増収減益で着地した。売上高の増加額は22.32億円であり、情報サービス需要の取り込みと顧客への複合的なサービス提供の拡大が示唆される。売上原価は前年同期比22.7%増の110.09億円となり、売上成長率を上回った。これにより売上総利益率は前年同期の18.5%から16.8%へ171bp低下した。販売費及び一般管理費は同17.1%増の14.71億円であり、増収率は下回ったものの、粗利率低下を吸収するには至らなかった。営業利益率は7.1%から5.7%へ137bp低下し、ベンチマーク上は良好水準の下限を下回る水準である。親会社株主に帰属する四半期純利益は同0.9%減の5.49億円で、純利益率は5.0%から4.2%へ88bp縮小した。営業外収益は0.55億円で、受取配当金0.26億円および補助金収入0.23億円が主な構成要素となった。経常利益は8.10億円で営業利益を0.51億円上回っており、営業外損益が利益を補完した。営業外収益は売上高の4.2%にとどまり、5%超の水準ではないが、営業利益率低下局面では配当金・補助金への依存度を注視したい。年換算ROEは10.2%で、純利益率4.2%、総資産回転率1.792回、財務レバレッジ1.38倍から構成される。資本効率は良好判定の下限である10%を確保する一方、高い資産回転率が低下した利益率を補っている構図である。通期会社予想に対する進捗率は売上高78.5%と第3四半期の標準進捗率75%を3.5ポイント上回る。これに対して営業利益の進捗率は64.3%にとどまり、標準進捗率を10.7ポイント下回るため、第4四半期には売上原価率の改善または収益性の高い案件構成への転換が必要となる。売掛金は前年同期比26.2%増の43.48億円、年換算DSOは90日であり、増収に伴う回収資金の滞留が利益・運転資本の重要な監視点である。自己株式の取得・保有拡大により自己株式は4.52億円となり、資本還元と資本効率の両面で影響が大きい。のれんは4.40億円へ増加したが、純資産比6.2%にとどまり、現時点でB/SがM&A価値に過度に依存する構造ではない。

収益性分析

デュポン分析では、年換算ROE 10.2%は、純利益率4.2%×総資産回転率1.792回×財務レバレッジ1.38倍で説明される。最も収益性を左右している変化は利益率であり、売上総利益率の171bp低下と営業利益率の137bp低下が純利益率を押し下げた。売上原価が22.7%増と売上高の20.3%増を上回ったことが、マージン圧迫の直接要因である。販管費は17.1%増にとどまり売上成長率を下回っているため、今回の営業減益は販管費の固定費レバレッジ悪化よりも原価率上昇の影響が中心である。低粗利率アラートの根本原因は、粗利益率16.8%が20%未満であり、案件採算、外注費・人件費、サービスミックスの変動に利益が敏感な収益構造にある点である。情報サービス事業では人材コストや外部委託単価の変動が原価率に波及しやすく、売上拡大だけでは利益成長を保証しない。年換算総資産回転率1.792回は資産効率の高い事業モデルを示すが、売掛金が総資産の44.2%を占めるため、回収期間の長期化は将来の回転率低下要因となり得る。財務レバレッジ1.38倍は低位であり、ROEは過度な負債活用ではなく、主として事業運営の資産効率で形成されている。CFA5因子では税負担係数が0.677、金利負担係数が1.068であり、金融費用による利益圧迫は限定的である。EBITマージンは5.7%で、収益性改善には原価率の正常化が最優先課題となる。

成長性評価

売上高は132.39億円、前年同期比20.3%増と高い成長を維持した。従来のシステム開発事業とインフラサービス事業を情報サービス事業へ統合したことは、アプリケーション開発、クラウド、インフラ関連サービスを顧客に複合的に提供する営業・提供体制への移行を反映している。単一セグメント化により、従来事業別の成長率・利益率比較はできないものの、顧客横断の提案拡大は受注機会の拡大に資する可能性がある。もっとも、増収にもかかわらず営業利益が減少しており、現時点の成長は利益率を伴う形ではない。通期売上高予想168.60億円に対する進捗率は78.5%で、売上面は計画をやや上回るペースである。通期営業利益予想11.80億円に対する進捗率は64.3%であり、第4四半期に4.21億円の営業利益を計上する必要がある。第4四半期に必要な営業利益は第3四半期累計の平均四半期営業利益2.53億円を大きく上回るため、会社計画の達成には明確な採算改善が求められる。通期純利益予想8.45億円に対する進捗率は65.0%であり、第4四半期には2.96億円の純利益が必要となる。売掛金の増加率が売上成長率を上回っているため、成長のキャッシュ化と請求・回収規律が成長持続性を判断する焦点となる。

財務健全性

流動比率は319.3%、当座比率も319.3%であり、流動資産67.44億円が流動負債21.12億円を大幅に上回る。運転資本は46.32億円で、短期債務に対する資金余力は厚い。負債資本倍率は0.38倍、負債は総資産の27.5%、自己資本比率は72.5%であり、資本構成は保守的である。固定負債は5.96億円にとどまり、短期負債と流動資産の満期ミスマッチは限定的である。インタレストカバレッジは389.63倍で、支払利息0.02億円に対する営業利益7.59億円のカバー力は極めて高い。現金預金は前年同期比39.1%減の20.28億円となったが、現金と売掛金の合計は63.76億円で、流動負債の約3.0倍である。現金減少の一方で自己株式は前年同期の0.90億円から4.52億円へ増加しており、資本配分が手元流動性に与える影響を継続的に確認したい。売掛金は9.03億円増の43.48億円となり、流動資産の64.5%を占めるため、流動性の質は回収実績に大きく依存する。買掛金は1.92億円増の6.91億円であり、売上拡大に伴う外注・仕入活動の増加を反映する可能性がある。のれん4.40億円は純資産の6.2%、総資産の4.5%であり、のれん集中度は健全な範囲にある。無形固定資産は8.43億円、総資産比8.6%であり、無形資産への集中リスクも限定的である。

B/S変動のポイント

自己株式: -0.90億円から-4.52億円へ3.62億円増加(帳簿価額ベースで-401.7%)- 自己株式の取得・保有拡大を反映し、資本還元と手元資金配分への影響を継続監視。のれん: +2.87億円(+187.9%)- 取得・統合に伴う無形資産の増加を示す。純資産比6.2%で集中度は低いが、統合後の利益貢献と減損兆候を確認。無形固定資産: +2.57億円(+43.8%)- のれんを含む無形資産投資の拡大。無形資産は総資産の8.6%であり、現時点の資産集中は限定的。現金預金: -13.03億円(-39.1%)- 売掛金増加および自己株式増加を伴う資金配分の変化。流動性はなお十分だが、現金創出・回収状況が重要。買掛金: +1.92億円(+38.4%)- 売上拡大に伴う外注・仕入活動の増加を示唆。売掛金の増加と合わせ、運転資本の資金負担を監視。売掛金: +9.03億円(+26.2%)- 売上成長率20.3%を上回る増加であり、年換算DSO 90日と整合的。回収遅延が継続する場合、資金化効率を圧迫。

キャッシュフロー品質

売掛金は前年同期比26.2%増の43.48億円となり、売上高の20.3%増を上回った。年換算DSOは90日で、60日超の売掛金回収遅延アラートに該当する。根本原因として、請求から回収までの期間が長い案件構成、検収・請求タイミング、または顧客別の支払条件が運転資本を押し上げている可能性がある。情報サービス業では大型開発案件や準委任・請負案件の検収条件が回収日数を左右し得るが、90日は資金化効率への影響が大きい水準である。投資判断上は、会計上の売上・利益の伸びが現金化される速度を確認する必要があり、DSOの改善が重要となる。仕掛品は0.38億円であり、仕掛品比率100.0%のアラートは棚卸資産が仕掛案件に集中していることを示す。情報サービス業では仕掛品は未完了案件の原価滞留を表すため、案件の進捗遅延、検収遅延、または採算悪化が生じた場合には評価損失リスクにつながる。もっとも、仕掛品の総資産に占める比率は0.4%と小さく、現時点での金額的なB/S影響は売掛金ほど大きくない。買掛金の38.4%増は、売掛金増加による資金負担の一部を仕入・外注先への支払条件で相殺している可能性があり、売掛金・買掛金の双方の回転動向を確認する必要がある。

配当持続性

通期の1株当たり配当予想は55円であり、期末時点の自己株式控除後株式数5,127,027株を基にした年間配当総額は概算2.82億円となる。通期親会社株主に帰属する当期純利益予想8.45億円に対する配当性向は概算33.4%であり、配当のみのベンチマークである60%を下回る。したがって、予想利益ベースでは普通配当の利益カバレッジは良好である。第2四半期配当は0円であり、年間配当55円の実現は期末配当に依存する構成である。前期の期末配当には創立60周年記念配当5円が含まれていたため、今期予想55円は前期の普通配当53円に対して2円増配となる。自己株式は4.52億円へ増加しているが、配当性向は配当金のみを分子とするため、自社株式の増減を含めていない。配当の持続性は通期利益予想の達成、特に第4四半期の営業利益率改善と売掛金回収の進展に左右される。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度(発生可能性: 高、影響度: 高): 売上原価が前年同期比22.7%増と売上成長率を上回り、粗利益率が171bp低下した。人件費、外注費、案件採算、サービスミックスの悪化が継続した場合、増収でも営業利益が伸びないリスクがある。、高優先度(発生可能性: 中、影響度: 高): 年換算DSO 90日は回収長期化を示す。大型顧客案件の検収・請求遅延や債権回収の遅れは、運転資本の増加と資金化の悪化につながる。、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 仕掛品比率100.0%は棚卸資産が未完了プロジェクトに集中していることを示す。プロジェクト進捗の遅延、仕様変更、採算悪化が生じれば、原価回収・収益認識に影響し得る。、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 情報サービス業固有のリスクとして、IT人材の獲得・定着、外部委託単価の上昇、クラウド技術の急速な変化、サイバーセキュリティ事故が案件供給力と原価率を左右する。、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 旧来のシステム開発・インフラサービスを統合して単一セグメントとしたことで、事業別の採算・成長ドライバーを外部から識別しにくくなり、収益性の変動要因の把握難度が上昇している。が挙げられます。

財務リスクとしては、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 現金預金は前年同期比39.1%減の20.28億円であり、売掛金9.03億円増と自己株式3.62億円増を伴っている。流動性は十分だが、回収長期化と資本還元が継続する場合には現金余力が縮小する。、低優先度(発生可能性: 低、影響度: 中): のれんは前年同期比187.9%増の4.40億円である。純資産比6.2%と低いため現時点の減損集中リスクは限定的だが、取得事業の統合成果と収益貢献は確認を要する。、低優先度(発生可能性: 低、影響度: 低): 負債資本倍率0.38倍、流動比率319.3%、インタレストカバレッジ389.63倍であり、借入依存や金利負担に起因する財務制約は現時点で限定的である。が挙げられます。

主な懸念事項としては、通期営業利益予想に対する進捗率は64.3%で標準進捗率を10.7ポイント下回るため、第4四半期の利益率改善の実現性。、低粗利率16.8%の改善可否。特に売上原価率が高止まりする場合、増収の利益寄与は限定される。、年換算DSO 90日の改善と、売掛金43.48億円の回収・資金化。、仕掛案件の進捗、検収、および採算管理。、のれん増加後の取得・統合事業の収益貢献と減損兆候。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、売上高は20.3%増と強いが、営業利益は2.8%減であり、投資論点は成長率より原価率改善にある。、年換算ROE 10.2%は良好水準の下限を維持しており、低レバレッジ下での資産効率が資本収益性を支えている。、流動比率319.3%、自己資本比率72.5%、インタレストカバレッジ389.63倍と、財務安全性は高い。、売掛金の増加と年換算DSO 90日は、利益の現金化・運転資本効率に関する最重要の確認事項である。、通期売上高は計画を上回る進捗だが、営業利益進捗は計画達成に向けて第4四半期の採算改善を必要とする。が挙げられます。

注視すべき指標は、売上総利益率および営業利益率、売上原価の伸び率と売上高成長率の差、年換算DSOおよび売掛金残高、仕掛品残高と案件採算、第4四半期営業利益4.21億円の達成状況、のれん4.40億円に対応する統合後の収益貢献、現金預金残高と自己株式の増減です。

セクター内ポジションについては、収益性は営業利益率5.7%、純利益率4.2%で高収益IT・SaaS企業の水準には届かない一方、年換算ROE 10.2%と高い流動性・低レバレッジを併せ持つ。したがって、財務耐性は相対的な強みであるが、競争上の評価は売上成長の持続性よりも、原価率・回収日数を改善して利益成長へ転換できるかに依存する。