- 売上高: 2,933.30億円
- 営業利益: 208.05億円
- 当期純利益: 146.83億円
- 1株当たり当期純利益: 176.97円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 2,933.30億円 | 2,905.99億円 | +0.9% |
| 売上原価 | 2,194.60億円 | 2,199.88億円 | -0.2% |
| 売上総利益 | 738.69億円 | 706.11億円 | +4.6% |
| 販管費 | 530.64億円 | 531.11億円 | -0.1% |
| 営業利益 | 208.05億円 | 174.99億円 | +18.9% |
| 営業外収益 | 24.61億円 | 17.39億円 | +41.5% |
| 営業外費用 | 13.16億円 | 19.90億円 | -33.9% |
| 経常利益 | 219.49億円 | 172.47億円 | +27.3% |
| 税引前利益 | 213.33億円 | 148.47億円 | +43.7% |
| 法人税等 | 66.49億円 | 52.19億円 | +27.4% |
| 当期純利益 | 146.83億円 | 96.28億円 | +52.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 146.37億円 | 97.09億円 | +50.8% |
| 包括利益 | 125.18億円 | 184.15億円 | -32.0% |
| 支払利息 | 6.36億円 | 7.62億円 | -16.5% |
| 1株当たり当期純利益 | 176.97円 | 113.56円 | +55.8% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 176.81円 | 113.42円 | +55.9% |
| 1株当たり配当金 | 45.00円 | 45.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 2,247.55億円 | 1,980.69億円 | +266.86億円 |
| 現金預金 | 515.00億円 | 285.59億円 | +229.41億円 |
| 売掛金 | 748.00億円 | 681.97億円 | +66.03億円 |
| 棚卸資産 | 568.38億円 | 604.35億円 | -35.97億円 |
| 固定資産 | 3,286.29億円 | 3,223.53億円 | +62.76億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 5.0% |
| 粗利益率 | 25.2% |
| 流動比率 | 138.7% |
| 当座比率 | 103.6% |
| 負債資本倍率 | 1.02倍 |
| インタレストカバレッジ | 32.71倍 |
| 実効税率 | 31.2% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +0.9% |
| 営業利益前年同期比 | +18.9% |
| 経常利益前年同期比 | +27.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +50.8% |
| 包括利益前年同期比 | -32.0% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 89.05百万株 |
| 自己株式数 | 7.26百万株 |
| 期中平均株式数 | 82.71百万株 |
| 1株当たり純資産 | 3,350.64円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 45.00円 |
| 期末配当 | 45.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 5,700.00億円 |
| 営業利益予想 | 330.00億円 |
| 経常利益予想 | 339.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 190.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 231.26円 |
| 1株当たり配当金予想 | 48.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の森永乳業は、売上が微増にとどまる一方で利益が大幅増加し、実力ベースの収益性が改善した四半期でした。売上高は2,933.3億円で前年同期比+0.9%に留まったものの、営業利益は208.1億円で+18.9%、経常利益は219.5億円で+27.3%、当期純利益は146.4億円で+50.8%と伸長しました。粗利益率は25.2%と健全で、営業利益率は7.1%まで改善(前年6.0%程度)し、約108bpのマージン拡大を達成しています。販管費率は18.1%(530.6億円/売上)と抑制され、原材料やエネルギーコストの落ち着きと価格政策・ミックス改善の寄与が示唆されます。営業外では受取配当金8.8億円と受取利息1.0億円により、営業外収益は24.6億円、費用13.2億円で、ネット+11.5億円が経常段階の押上げ要因となりました。純利益率は5.0%(146.4億円/売上)まで改善し、実効税率31.2%のもとでも最終利益が大幅に伸びています。デュポン分解では、純利益率5.0%、総資産回転率0.530、財務レバレッジ2.02倍からROEは5.3%で、主に利益率の改善がROEを牽引しました。流動比率は138.7%、当座比率103.6%と流動性は概ね良好で、純現金(現金515億円−有利子負債306.9億円)約▲208億円と保守的な資本構成です。インタレストカバレッジは32.7倍と強固で、金利負担は十分に吸収可能です。一方、キャッシュフロー計算書の開示がなく、営業CF/純利益やフリーキャッシュフローの水準が確認できないため、利益の現金裏付けについては評価保留が必要です。配当性向は54.8%と基準内であり、利益水準からみた配当持続性は妥当と判断される一方、FCFカバレッジは不明です。資産サイドでは棚卸資産568.4億円、売掛金748.0億円と運転資本の積み上がりが見られ、需要動向や価格政策の継続性に依存する側面があります。営業外収入比率は16.8%とやや高めで、非業務的要因の寄与が経常段階の増益に寄与している点は注視が必要です。ROICは5.7%と開示ベンチマーク(7–8%)に届かず、改めて資本効率の底上げ(投下資本の圧縮と安定マージン向上)が中期課題です。総じて、本四半期は価格改定・コスト鈍化・ミックス改善による営業レバレッジが奏功し、利益質の改善が進展したものの、CF開示欠如とROICの水準は課題として残ります。今後は原材料・物流コストの再上昇リスクや為替のボラティリティを見極めつつ、運転資本効率と継続的なマージン改善が持続性の鍵となります。なお、総合商社ではないため、持分法投資利益依存度など商社固有の指標は本件には直接当てはまりません。
ステップ1(ROE分解): ROE 5.3% = 純利益率5.0% × 総資産回転率0.530 × 財務レバレッジ2.02倍。ステップ2(最大の変化要素): 売上+0.9%に対して営業利益+18.9%、純利益+50.8%とマージン主導の改善が顕著で、ROEドライバーは純利益率の上昇。ステップ3(ビジネス要因): 原材料・エネルギー価格の落ち着き、販売価格改定の定着、製品ミックス改善、販管費の効率化により粗利率・営業利益率が改善。営業外では受取配当や利息で経常段階が上積み。ステップ4(持続性の評価): 価格・ミックス改善は一定の持続性がある一方、原材料市況や為替に左右されやすく、営業外収益の寄与(営業外収入比率16.8%)は変動的。よってマージン改善の一部はサイクル依存で中期的に平均回帰リスクあり。ステップ5(懸念トレンド): 売上成長率(+0.9%)に比して、販管費の対売上比率は18.1%と抑制されているが、明細開示がなく増減要因不透明。過度な運転資本積み上がり(棚卸・売掛)による総資産回転率の伸び悩み(0.530)もROEの上振れ余地を抑制している。
売上の伸びは+0.9%と横ばい圏で、数量よりも価格・ミックス効果に依存した局面とみられます。営業利益は+18.9%と営業レバレッジが強く発現し、粗利率25.2%、営業利益率7.1%へと改善しました。経常利益は営業外の純増(+11.5億円)も寄与して+27.3%と営業段階以上の伸び。純利益+50.8%は税負担の適正化と経常の伸びが波及した結果です。利益の質は営業段階の改善が主体で評価できる一方、営業外収益比率16.8%はボラティリティ要因。持続性の観点では、原材料・エネルギー・物流コストの再上昇や為替(円安/円高)による仕入コスト変動が最大の不確実性。短期(今期後半)は価格改定の通期寄与とコスト鈍化の残存効果で堅調、来期以降は追加の効率化と運転資本回転改善が成長ドライバーとなります。
流動比率138.7%(基準>150%)はやや控えめながら当座比率103.6%で短期支払い能力は良好です。短期借入金21.8億円に対し現金515億円を保有し、満期ミスマッチリスクは限定的。長期借入金285.2億円を含む有利子負債合計306.9億円に対し、実質的に約208億円のネットキャッシュ。負債資本倍率1.02倍は保守的レンジ(<1.5倍)。インタレストカバレッジ32.7倍と金利耐性は極めて高い。流動資産2,247.6億円に対し流動負債1,620.8億円で運転資本は626.8億円、在庫・売掛の管理次第で流動性の変動余地あり。オフバランス債務の開示はなく、リースや保証等の詳細は不明で追加調査が必要です。自己資本比率は未記載だが、純資産2,740.5億円/総資産5,533.8億円から概算で約49.5%と推定され、資本の健全性は高いとみられます。
営業CF、投資CF、フリーCFの開示がないため、営業CF/純利益比率やFCFカバレッジは算定不能であり、利益の現金裏付けの確からしさは判断保留です。運転資本は売掛金748.0億円、棚卸資産568.4億円と大きく、売上横ばいの中で在庫や債権の回転が滞る場合、営業CFに下押しが生じうる点は注意。期末現金は515億円と潤沢で、短期的な資金需要は十分に賄える一方、設備投資計画(CAPEX)の不開示によりFCFの構造的水準は不明。運転資本操作の兆候については、期間差・価格改定の影響を見極めるため、在庫日数・売掛回収日数のトレンド確認が必要です。
配当性向は54.8%と基準内(<60%)で、当期利益水準からは配当の持続性は概ね妥当と評価できます。もっとも、FCFと配当金総額、自己株買いの開示がないため、キャッシュフローベースのカバレッジは評価不能です。ネットキャッシュ約208億円と高い利払余力は下支え要因。今後はCAPEXの水準、運転資本の圧縮進捗、営業CFの実績が配当の安全域を規定するため、CF開示の把握が重要です。配当方針は不明ながら、利益連動型であれば利益変動に応じた柔軟運用が可能と見られます。
ビジネスリスク:
- 原材料(生乳、乳製品相場、砂糖、包装資材)およびエネルギー価格の再上昇によるマージン圧迫
- 価格改定の浸透度低下や需要弾力性発現による数量面の下押し
- 製品ミックス悪化(高付加価値比率低下)による粗利率低下
- 物流費・人件費の構造的上昇
財務リスク:
- 営業CF未開示による利益の現金裏付け不確実性
- 棚卸資産・売掛金の積み上がりに伴う回転率悪化と資金拘束
- 営業外収入比率16.8%に伴う経常利益のボラティリティ
- 為替変動による輸入原材料コストの変動
主な懸念事項:
- ROIC 5.7%と資本効率が目標レンジ(7–8%)に未達
- 売上成長が+0.9%に留まり、成長の質が価格依存的
- キャッシュフロー計算書未開示によりFCFと配当カバレッジが検証不能
- 当座比率は100%超だが流動比率が140%弱で、運転資本管理への依存度が高い
重要ポイント:
- 売上横ばいでも営業利益+18.9%、当期純利益+50.8%とマージン改善が鮮明
- 営業利益率は7.1%へ約+108bp改善、価格・コスト鈍化・ミックスが寄与
- 営業外純増+11.5億円が経常利益+27.3%を後押し、ただし変動性に留意
- 流動性と金利耐性は強固(当座比率103.6%、ICR 32.7倍、ネットキャッシュ約208億円)
- ROIC 5.7%と資本効率は課題、運転資本と投下資本の効率化が鍵
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益比率(>1.0倍が目安)
- 在庫・売掛回転日数(運転資本圧縮の進捗)
- 原材料・エネルギーコスト指数と為替(円相場)
- 製品別価格改定の継続性とミックス改善の定着度
- CAPEXとFCF、配当・自社株買いの資金源バランス
- 営業外収益の持続性(配当・利息・評価損益)
セクター内ポジション:
乳業大手として財務耐性は高く、直近期はマージンリカバリーで同業比でも収益性改善が進展。一方で成長率は控えめで、資本効率(ROIC)改善の余地が相対的な課題。原材料・為替感応度の管理と運転資本効率化が競争優位の差別化ポイント。
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