| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥465.9億 | ¥427.1億 | +9.1% |
| 営業利益 | ¥46.7億 | ¥44.8億 | +4.2% |
| 経常利益 | ¥48.2億 | ¥46.3億 | +4.1% |
| 純利益 | ¥22.9億 | ¥17.4億 | +31.3% |
| ROE | 5.7% | 5.1% | - |
2026年5月期決算は、売上高465.9億円(前年比+38.8億円 +9.1%)、営業利益46.7億円(同+1.9億円 +4.2%)、経常利益48.2億円(同+1.9億円 +4.1%)、純利益22.9億円(同+5.5億円 +31.3%)と増収増益を達成した。売上高は堅調に推移し営業増益を確保したが、販管費の増加(+13.0%)により営業利益率は10.5%から10.0%へ0.5pt低下した。純利益率は4.1%から4.9%へ0.8pt改善し、最終利益段階では特別損益の改善と税負担の軽減により大幅増益となった。2027年5月期業績予想は売上高490.0億円(+5.2%)、営業利益53.0億円(+13.5%)、純利益37.0億円(+61.6%)を見込み、コスト吸収とマージン改善による増益加速を計画している。
【売上高】売上高465.9億円(+9.1%)と堅調な伸びを示した。売上総利益は157.1億円で粗利率33.7%となり、前年同期の33.4%から0.3pt改善した。案件構成や価格設定の適正化が寄与し、トップラインの拡大と収益性の両立が実現している。単一セグメント(総合建設コンサルタント事業)のため詳細な事業別内訳は開示されていないが、全社的な受注拡大と案件消化が進行したことが増収の要因と推察される。
【損益】販管費は110.3億円(+13.0%)と売上成長率を上回るペースで増加し、販管費率は22.9%から23.7%へ0.8pt上昇した。主な増加要因は人件費関連で、給料及び手当37.2億円(+6.1%)、賞与9.2億円(+17.2%)、法定福利費8.7億円(+9.2%)の増加が目立つ。また、賃借料8.6億円(+13.8%)、のれん償却3.9億円(+30.3%)も増加要因となった。これらにより営業利益は46.7億円(+4.2%)にとどまり、営業利益率は0.5pt低下した。経常利益は48.2億円(+4.1%)で、営業外収益3.1億円(受取利息0.3億円、受取配当金0.4億円、持分法利益0.6億円等)から営業外費用1.6億円(支払利息0.9億円等)を差し引いた純額が+1.5億円となり、本業利益をわずかに押し上げた。特別損益は純額+1.9億円(特別利益3.1億円、特別損失1.2億円)で、投資有価証券売却益2.9億円が主要項目。税引前利益は50.1億円(+1.9%)、法人税等16.4億円(実効税率32.8%)を控除し、純利益22.9億円(+31.3%)と大幅増益となった。前年比で税負担が軽減(前年実効税率34.9%)し、特別損益の改善(前年純額+2.9億円)も寄与した結果、最終利益段階では増益率が加速した。結論として、増収増益を達成したが、コスト増により営業段階の利益率は圧迫され、特別損益・税負担の改善で最終利益の増益率が高まる構図となった。
【収益性】営業利益率10.0%は前年10.5%から0.5pt低下したが、粗利率33.7%は前年33.4%から0.3pt改善している。販管費率の上昇(22.9%→23.7%)が営業利益率を圧迫した。ROE5.7%は前年5.1%から改善しているが、業界中央値と比較すると依然低位にある。EBITDAマージンは12.8%相当(営業利益46.7億円+減価償却費9.2億円+のれん償却3.9億円=59.8億円÷売上高465.9億円)で、のれん償却の影響を除いた本業収益力は一定の水準を確保している。【キャッシュ品質】営業CF30.5億円は純利益22.9億円に対し1.33倍で、利益のキャッシュ裏付けは概ね良好だが、前年41.3億円から26.1%減少した。営業CF小計50.8億円に対し運転資本の変動(契約負債減少-10.8億円、棚卸資産増加-3.9億円等)と税金支払-20.3億円が現金流出要因となった。現金転換率(営業CF÷EBITDA)は0.51倍と低位で、運転資本の影響が大きい。FCF23.5億円は配当11.3億円を充分にカバーし、FCFカバレッジは2.08倍と健全である。【投資効率】総資産回転率0.82倍(前年0.82倍)、設備投資8.2億円は減価償却費9.2億円を下回り、資本効率は横ばい維持。のれん28.2億円(純資産比7.0%)は軽微で、償却負担年額3.9億円も利益圧迫度は限定的。【財務健全性】自己資本比率71.0%(前年65.5%から5.5pt改善)、流動比率423.5%、当座比率376.7%と流動性は極めて厚い。有利子負債69.5億円に対し現金預金246.6億円でネットキャッシュ177.1億円、Debt/EBITDA比率1.16倍、インタレストカバレッジ50.2倍と与信力は極めて高い。
営業CFは30.5億円で前年比-10.8億円(-26.1%)減少したが、純利益22.9億円を上回る水準を維持している。営業CF小計(運転資本変動前)は50.8億円と堅調だが、契約負債の減少-10.8億円(前年は+4.4億円の増加)が最大の現金流出要因となった。これは前受性の低下を示唆し、案件進捗のタイミングや請求条件の変化が影響したとみられる。棚卸資産は-3.9億円増加(前年-3.3億円)、売上債権は+4.7億円減少(前年-10.3億円の増加)で、売掛金回収は進んだものの仕掛在庫の積み上がりがキャッシュを消費した。法人税等の支払-20.3億円(前年-13.0億円)は増益に伴い増加し、現金流出を拡大させた。投資CFは-7.0億円で、設備投資-8.2億円、無形固定資産取得-3.8億円を主体とし、M&A支出は発生していない。財務CFは+13.2億円で、長期借入による調達76.4億円と株式発行31.2億円が流入した一方、長期借入金返済-5.2億円、配当支払-11.3億円、自己株式取得-1.4億円が流出した。FCF23.5億円は配当と自己株式取得合計12.7億円を大きく上回り、株主還元の持続性は高い。現金及び現金同等物は期首201.4億円から期末239.1億円へ+37.7億円増加し、流動性は一層強化された。設備投資/減価償却比率0.89倍は控えめで、維持更新投資の範囲内にとどまる。
経常利益48.2億円に対し特別損益は純額+1.9億円で、本業利益が収益の中核を占めている。特別利益3.1億円は投資有価証券売却益2.9億円が大半で、一時的な資産売却による利益であり、経常的収益ではない。特別損失1.2億円は減損損失0.7億円と固定資産除却損0.6億円で構成され、いずれも非経常的項目である。営業外収益3.1億円のうち、受取利息0.3億円と受取配当金0.4億円は経常的な金融収益として評価できるが、持分法利益0.6億円は関連会社の業績に依存する不安定要素を含む。包括利益43.1億円は純利益22.9億円を大きく上回り、その他包括利益20.2億円の内訳は、退職給付に係る調整額8.3億円、有価証券評価差額金0.5億円、持分法適用会社のOCI持分0.7億円等である。退職給付に係る調整額の大幅増加は、年金資産の評価増や数理計算上の差異によるもので、現金収益ではない。営業CF30.5億円と純利益22.9億円の差異(アクルーアル+7.6億円)は、運転資本の変動(契約負債減少等)が主因であり、利益の質そのものに疑義を生じさせる水準ではない。総じて、本業利益の水準は健全で、特別損益・OCIの影響は限定的であり、収益の質は許容範囲にある。
2027年5月期通期予想は、売上高490.0億円(+5.2%)、営業利益53.0億円(+13.5%)、経常利益53.0億円(+9.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益37.0億円(+61.6%)、EPS205.83円を見込む。上期実績(売上465.9億円、営業利益46.7億円、経常利益48.2億円)に対し、通期計画の進捗率は売上95.1%、営業利益88.1%、経常利益91.0%と高く、下期の上積みは売上+24.1億円、営業利益+6.3億円、経常利益+4.8億円を想定する。営業利益率は通期予想10.8%で、上期実績10.0%から0.8pt改善を見込み、販管費率の抑制とマージン回復が前提となる。純利益の大幅増益(+61.6%)は、特別損益の正常化と税負担率の適正化を前提とした計画とみられる。配当予想は年間30円(中間25円・記念配当5円、期末47円・記念配当5円を含む)で、EPS予想205.83円に対する配当性向は14.6%と保守的である。売上高成長率+5.2%は前年実績+9.1%から減速し、営業利益率の改善(+0.8pt)でボトムラインの増益率を確保する戦略となっている。
年間配当は69円(中間25円、期末44円)で、純利益22.9億円に対する配当総額11.3億円、配当性向32.8%と適正水準にある。前年配当25円から大幅増配となり、株主還元姿勢は積極化している。自己株式取得は1.4億円と小規模で、総還元性向は35.9%と保守的である。FCF23.5億円に対し総還元額12.7億円でFCFカバレッジは1.85倍、現金預金246.6億円と潤沢な手元資金により、配当持続性は極めて高い。2027年5月期の配当予想は年間30円(記念配当10円を含む)で、通常配当ベースでは20円相当となり、実質的には減配の見通しだが、記念配当控除後でも実質的な増配余地は残る。配当性向予想14.6%は保守的で、中期的には増配余地が大きい。
販管費率上昇による営業利益率圧迫リスク: 販管費110.3億円(+13.0%)が売上成長率+9.1%を上回り、販管費率は23.7%へ0.8pt上昇した。人件費(給料+6.1%、賞与+17.2%)、賃借料+13.8%、のれん償却+30.3%が主因で、人材獲得競争の激化やオフィスコスト上昇が構造的に継続する場合、営業利益率10.0%のさらなる低下リスクがある。2027年計画では営業利益率10.8%への回復を見込むが、コスト吸収策の実効性がカギとなる。
契約負債減少と営業CFの変動リスク: 契約負債は28.1億円から17.3億円へ-10.8億円(-38.5%)減少し、前受性の低下が営業CF30.5億円(前年比-26.1%)の鈍化要因となった。受注タイミングや案件進捗の遅延、請求条件の変化により、今後も運転資本の変動が大きくなる可能性がある。現金転換率(営業CF÷EBITDA)0.51倍は低位であり、キャッシュ創出力の安定性に注意が必要である。
研究開発投資の低位による競争力維持リスク: 研究開発費2.3億円(売上比0.5%)は極めて低水準で、技術革新やデジタル化投資が不足する場合、中長期的な差別化要素の欠如や生産性改善の遅れにつながる懸念がある。建設コンサルタント業界ではDX、測量技術、シミュレーション能力の高度化が競争優位の源泉となるため、継続的な内製化・技術投資の必要性は高い。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 10.0% | 8.1% (3.6%–16.0%) | +1.9pt |
| 純利益率 | 4.9% | 5.8% (1.2%–11.6%) | -0.9pt |
営業利益率は業種中央値を1.9pt上回り収益性は良好だが、純利益率は中央値を0.9pt下回り、税負担や金融費用の影響で最終利益段階での優位性は限定的である。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 9.1% | 10.1% (1.7%–20.2%) | -1.0pt |
売上高成長率は中央値を1.0pt下回り、業種内では平均的な成長ペースにとどまる。
※出所: 当社集計
営業利益率の回復余地とコスト吸収の実効性: 2027年計画で営業利益率10.8%への改善を見込むが、販管費率の抑制が前提となる。人件費・賃借料の構造的上昇が続く中で、案件単価の改善、業務効率化、プロジェクト採算管理の徹底により、マージン回復を実現できるかが注目ポイントである。
キャッシュ創出力の安定化と運転資本管理: 契約負債の減少が営業CF鈍化の主因となっており、来期以降の受注積み増しと案件進捗の正常化が、キャッシュ転換率の改善に直結する。現金転換率0.51倍からの改善トレンドが確認できれば、FCFの持続的拡大と株主還元余力の向上が期待できる。
配当余力と株主還元の積極化余地: 配当性向32.8%、FCFカバレッジ1.85倍、潤沢な現金預金246.6億円により、配当持続性は極めて高い。2027年計画では配当予想30円(記念配当含む)と保守的だが、中期的には増配余地が大きく、総還元性向の引き上げや自己株式取得の拡大が株主還元強化の選択肢となる。
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