記事一覧に戻る
19612026 通期プライムJGAAP

三機工業(1961) 2026年度通期決算 増収・営業益28%増

2026年度通期の売上高は2,547億円(前年同期比+0.6%)、営業利益は279.9億円(同+27.9%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

三機工業株式会社

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥2546.7億¥2531.4億+0.6%
営業利益¥279.9億¥218.9億+27.9%
経常利益¥292.9億¥230.7億+26.9%
純利益¥236.9億¥172.0億+39.0%
ROE19.5%16.2%-

Executive Summary

建築設備事業の工事採算改善を主因とする増収増益決算であり、売上増加率を大きく上回る利益成長が特徴である。売上高は2,546.7億円(前年比+0.6%)にとどまったが、営業利益は279.9億円(同+27.9%)、経常利益は292.9億円(同+26.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は236.9億円(同+37.7%)と大幅増益となった。粗利率が18.8%から22.0%へ改善したことが増益の中心であり、投資有価証券売却益36.3億円の計上も純利益を押し上げている。

業績変動要因

【売上高】売上高は2,546.7億円で前年比+0.6%とほぼ横ばい。主力の建築設備事業(売上構成比83.3%)が+1.8%増収した一方、機械システム事業は-10.7%、環境システム事業は-3.7%と減収し、全体の伸びを抑制した。完成工事高は2,519.2億円(+0.6%)で、完成工事総利益率は21.8%と前年18.5%から改善している。

【損益】営業利益は279.9億円(+27.9%)、経常利益は292.9億円(+26.9%)と大幅増益。建築設備事業のセグメント利益が280.5億円(+36.5%)と連結利益を牽引した一方、機械システム事業はセグメント損失9.2億円へ赤字が拡大し、環境システム事業も利益35.9%減と低調である。特別利益36.3億円(投資有価証券売却益)が税引前利益を押し上げ、純利益は236.9億円(+39.0%)となった。この一時的要因を除いても営業利益段階での改善幅は大きく、増収増益と結論づけられる。

セグメント別分析

建築設備事業は売上2,120.9億円(+1.8%)、経常利益280.5億円(+36.5%)、利益率13.2%と全社利益の中心を担う。不動産事業は売上25.9億円と小規模ながら利益率32.3%と高採算だが、利益は前年比-7.5%で構成比も1.0%にとどまり連結業績への影響は限定的。機械システム事業は売上97.7億円(-10.7%)、経常損失9.2億円(利益率-9.4%)で赤字が拡大し、環境システム事業も売上300.8億円(-3.7%)、利益11.5億円(-35.9%、利益率3.8%)と低採算が続く。建築設備事業一本足の収益構造であり、他3セグメントの採算改善が今後の課題となる。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は11.0%で前年8.6%から約2.3pt改善し、純利益率は9.3%(前年6.8%)へ上昇した。粗利率も22.0%(前年18.8%)へ拡大し、原価改善が利益成長を牽引した。【キャッシュ品質】営業CFは131.7億円で純利益236.9億円の0.56倍にとどまり、前年比-55.7%と大幅減少。売上債権・契約資産の107.3億円増加と仕入債務37.6億円減少が資金拘束要因である。【投資効率】ROEは19.5%(前年16.3%)、経常利益ベースの年換算ROAは13.9%と高水準を維持。【財務健全性】自己資本比率は55.3%、長期借入金は3.5億円まで圧縮され、現金及び預金321.0億円は流動負債850.3億円に対し十分な厚みを持つ。

キャッシュフロー分析

営業CFは131.7億円で前年297.3億円から大幅減少し、純利益に対する現金化比率は0.56倍にとどまる。この減少は、工事の進捗に伴う売上債権・契約資産の107.3億円増加と、仕入債務37.6億円減少が主因であり、契約負債の79.8億円増加が一部を相殺したにとどまった。投資CFは設備投資16.8億円を中心に13.4億円の支出となり、フリーキャッシュフローは118.3億円を確保した。財務CFは自社株買い50.0億円と配当支払を含め160.7億円の支出となり、キャッシュ全体としては前年から減少した。利益成長に対して営業キャッシュの創出が追いついていない点は、工事代金の請求・回収管理の巧拙を示す指標として今後の推移を確認する余地がある。

収益の質

当期利益236.9億円には、税引前利益326.6億円に含まれる投資有価証券売却益36.3億円という一時的要因が寄与しており、経常的な収益力とは区別して評価する必要がある。営業外収益18.9億円は受取配当金9.2億円が中心で、売上高比0.7%と限定的であり、経常利益の押し上げ効果は小さい。営業利益段階の改善(前年比+27.9%)は完成工事総利益率の改善に基づくため持続性が相対的に高い一方、営業CFが純利益の0.56倍にとどまる点はアクルーアル(会計上の利益と現金収支の乖離)の存在を示唆する。包括利益は297.4億円と純利益236.9億円を上回り、有価証券評価差額金29.5億円と退職給付に係る調整額28.0億円がその差を形成している。

業績予想・ガイダンス

会社は次期(通期)予想として売上高2,600.0億円(+2.1%)、営業利益295.0億円(+5.4%)、経常利益300.0億円(+2.4%)、純利益244.0億円(+6.1%)を見込む。当期実績はこの予想に対し売上高で97.9%、営業利益で94.9%の水準にあり、来期の増益計画は当期に見られた粗利率改善の維持が前提となる。特に機械システム事業の赤字縮小が計画達成の変数となり得る。

株主還元

当期の配当性向は42.3%で、配当のみを対象とした指標である。1株当たり配当は中間82.5円、期末112.5円(分割前)であり、2026年5月1日付の1株を3株とする株式分割前の金額として開示されている。自社株買いを50.0億円実施しており、配当総額99.6億円と合算した総還元性向は約63.2%となる。フリーキャッシュフロー118.3億円に対し、配当のみであれば1.19倍のカバー倍率だが、自社株買いを含めた総還元149.6億円はFCFを上回る水準であり、現預金321.0億円と低有利子負債(61.3億円)を背景とした還元余力に支えられている。

リスク要因

  1. 事業セグメント集中リスク: 建築設備事業が売上構成比83.3%を占め、同事業の工事採算・受注環境が連結業績を直接左右する。機械システム事業はセグメント損失9.2億円(利益率-9.4%)へ赤字が拡大しており、立て直しの遅れは連結利益の押し下げ要因となる。

  2. キャッシュフロー品質リスク: 営業CFは純利益の0.56倍にとどまり、前年比-55.7%。売上債権・契約資産の107.3億円増加が主因であり、この状態が続けば利益成長が運転資本に吸収される可能性がある。

  3. 収益の一過性リスク: 税引前利益に含まれる投資有価証券売却益36.3億円は経常的な収益ではなく、当期純利益の伸び率(+39.0%)の一部はこの一時的要因に依存している。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率11.0%5.3% (3.3%–6.6%)+5.6pt
純利益率9.3%4.0% (2.7%–5.0%)+5.3pt

収益性は業種中央値を大きく上回り、建設業内で高採算の位置づけにある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)0.6%9.8% (-3.6%–14.8%)−9.2pt

売上成長率は業種中央値を下回り、増収より採算改善で利益を伸ばした構図が業種内でも際立つ。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益率は11.0%へ約2.3pt改善し、ROE19.5%と業種中央値を大きく上回る水準にある。改善の中心は建築設備事業の工事採算向上であり、粗利率が18.8%から22.0%へ拡大した点が構造的な収益力向上を示唆する。

  2. 営業CFが純利益の0.56倍にとどまり、前年比で大幅減少している点は利益の現金化という観点で注視点となる。売上債権・契約資産の増加が主因であり、今後の工事代金回収動向が焦点となる。

  3. 当期純利益には投資有価証券売却益36.3億円という一時的要因が含まれる一方、機械システム事業の赤字拡大や環境システム事業の利益減少が続いており、主力事業への依存度の高さが確認できる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,062円
base(基準)1,126円
bull(強気)1,173円
算出前提値
1株純資産(BPS)794円
調整後予想EPS185.0円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向39.2%
予想EPSの信頼度調整×1.117(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.42倍 / 6.1倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,094円〜1,159円、ω±0.1で 1,118円〜1,139円。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。