クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥4992.7億 | ¥4645.9億 | +7.5% |
| 営業利益 | ¥519.6億 | ¥307.1億 | +69.2% |
| 経常利益 | ¥558.5億 | ¥338.3億 | +65.1% |
| 純利益 | ¥401.0億 | ¥243.2億 | +64.8% |
| ROE(年換算) | 8.5% | 5.4% | - |
Executive Summary
2026年度第3四半期累計は、完成工事高の拡大に加え工事採算の大幅改善により増収増益となった。売上高は4,992.7億円(前年同期比+7.5%)、営業利益は519.6億円(同+69.2%)、経常利益は558.5億円(同+65.1%)、純利益は401.0億円(親会社株主帰属、前年同期243.2億円から増加)となった。完成工事総利益率は22.3%と前年同期17.4%から約5pt改善し、営業利益率も10.4%(前年6.6%)へ上昇した。増益率が増収率を大きく上回っており、工事採算の質的改善が今期業績の中心的な牽引役となっている。
業績変動要因
【売上高】完成工事高は4,992.7億円で前年同期比+7.5%増加した。未成工事受入金は679.1億円(前年末373.2億円、+81.9%)、未成工事支出金も359.6億円(+86.4%)と大きく増加しており、手持工事の進行および今後の売上進捗を示唆する。
【損益】完成工事総利益は1,115.8億円と前年同期806.4億円から+38.4%増加し、粗利率は22.3%(前年17.4%)へ改善した。完成工事原価は前年同期比+1.0%増にとどまり、売上成長率+7.5%を下回ったことが利益率改善の主因である。一方、販管費は596.2億円で前年同期比+19.4%増と売上成長を上回るペースで拡大しており、粗利改善が鈍化した場合の営業レバレッジ反転リスクには留意が必要である。特別損益は投資有価証券売却益22.0億円を含む特別利益22.9億円と、減損損失10.0億円を含む特別損失10.2億円が相殺し、純額では純利益への影響は限定的である。工事損失引当金は90.5億円(前年72.8億円、+24.3%)と増加しており、採算改善局面でも個別案件の原価・工程リスクは残存する。総じて増収増益であり、増益は工事採算の構造的改善に支えられている。
主要財務指標
【収益性】営業利益率は10.4%で前年同期6.6%から約3.8pt改善し、純利益率も8.1%(前年5.3%)へ上昇した。完成工事総利益率22.3%(前年17.4%)の改善が収益性向上の中心である。【キャッシュ品質】税引前利益571.2億円に対し特別利益22.9億円・特別損失10.2億円の純額は12.7億円程度で、純利益402.6億円に占める非経常要因の比率は小さく、営業・経常段階での利益創出が中心である。【投資効率】年換算ROEは8.5%で、純利益率の改善が押し上げ要因となっているが、総資産回転率は低位にあり、建設仮勘定を含む資産構成が回転率面での制約となっている。【財務健全性】自己資本比率は74.1%(前年72.9%)と高水準を維持し、有利子負債は短期借入金158.9億円のみと極めて小さい。現金及び預金は619.2億円、短期有価証券1,085.0億円を加えた即時性資産は短期借入金を大幅に上回る。
キャッシュフロー分析
キャッシュフロー計算書の詳細開示はないが、バランスシートの変動から資金動向を確認できる。現金及び預金は619.2億円で前年同期の1,041.6億円から422.4億円減少しており、有形固定資産の+399.1億円増加(うち建設仮勘定858.9億円)や、短期有価証券の+165.1億円増加などへの資金配分が背景にあると考えられる。未成工事受入金の増加(+305.8億円)は工事進行に伴う前受資金として流動性を支える一方、完成工事未収入金は2,064.5億円と依然大きく、回収サイクルの動向が実質的な資金創出力に影響する。総じて、投資・工事進行に伴う資金使途の拡大が現金残高減少の主因とみられ、自己資本比率の高さが資金調達面の柔軟性を支えている。
収益の質
当期の増益は主として経常的な工事採算改善によるものであり、収益の質は総じて高い。営業外収益44.9億円には受取配当金26.3億円、受取利息8.2億円が含まれ、いずれも安定的な性質の収益である。特別利益22.9億円(主に投資有価証券売却益22.0億円)と特別損失10.2億円(主に減損損失10.0億円)はほぼ相殺し、純額では純利益402.6億円の3%程度に過ぎず、非経常要因への依存度は低い。一方、工事損失引当金が90.5億円(前年比+24.3%)と増加している点はアクルーアルの観点から留意すべき事項であり、将来の個別案件採算悪化が利益の再現性に影響する可能性がある。
業績予想・ガイダンス
通期会社予想は売上高7,500.0億円(前年比+6.4%)、営業利益840.0億円(同+37.8%)、経常利益875.0億円(同+35.6%)である。累計進捗率は売上高66.6%、営業利益61.9%、経常利益63.8%となり、標準的な四半期進捗(75%)をいずれも下回る。Q4に必要な営業利益は約147.2億円で、その営業利益率は5.9%となり、累計実績の10.4%を大きく下回る前提である。この差異は、期末にかけての工事採算の平常化や費用計上、案件構成の変化を織り込んだ保守的な計画である可能性が考えられる。
株主還元
第2四半期配当は1株当たり60円、通期配当予想は1株当たり125円である。通期予想EPS330.60円に対する予想配当性向は約37.8%であり、一般的な持続可能性の目安(60%程度)を下回る水準にある。利益剰余金は4,951.7億円、純資産6,299.3億円と厚く、配当支払いに対するバランスシート上の余力は大きい。自己株式は前年同期比で増加しているが、取得額・時期の詳細が確認できないため、配当と自社株買いを合算した総還元性向は算定していない。
リスク要因
-
工事採算の持続性: 完成工事総利益率22.3%は前年から大きく改善したが、販管費が+19.4%増と売上成長を上回るペースで拡大している。粗利率が平常化した場合、営業利益率への下押しが大きくなる可能性がある。
-
工事損失引当金の増加: 工事損失引当金は90.5億円と前年同期比+24.3%増加している。個別大型案件の原価超過、設計変更、工期遅延等が今後の収益を下押しするリスクがある。
-
建設仮勘定の稼働・収益化リスク: 建設仮勘定は858.9億円で有形固定資産の44.8%を占め、前年から大きく増加している。投資案件の完成遅延や稼働後の収益化未達は、資本効率および将来の減損リスクに影響しうる。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
業種ベンチマーク(construction)
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 10.4% | – | – |
| 純利益率 | 8.0% | – | – |
自社の営業利益率・純利益率はいずれも建設業平均を上回る水準にあると位置づけられる。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 7.5% | – | – |
売上高成長率は業種内で堅調な水準に位置する。
※出所: 当社集計
決算上の注目ポイント
-
完成工事総利益率が前年同期比で約5pt改善し、営業利益率も10.4%へ上昇した。この改善は工事原価の増加が売上成長を下回ったことによるもので、増収増益の質を左右する構造的な変化として注目される。
-
通期会社予想の進捗率は売上高66.6%、営業利益61.9%と標準進捗(75%)を下回り、Q4に必要な営業利益率は累計実績を下回る前提となっている。期末にかけての採算動向が通期予想の達成状況を左右する。
-
建設仮勘定が858.9億円と有形固定資産の44.8%を占め、のれん・無形固定資産も前年から大きく増加している。投資の進行状況および稼働後の収益化は、今後の資本効率を評価する上での注目点である。
理論株価(参考値)
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 3,283円 |
| base(基準) | 3,396円 |
| bull(強気) | 3,477円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 3,182円 |
| 調整後予想EPS | 369.2円 |
| 株主資本コスト r | 9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 37.8% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.117(同業種のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 1.07倍 / 9.2倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 3,301円〜3,495円、ω±0.1で 3,391円〜3,403円。
注記:
- 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
- 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。
(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。