| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥55768.6億 | ¥54348.2億 | +2.6% |
| 営業利益 | ¥6148.8億 | ¥5462.8億 | +12.6% |
| 経常利益 | ¥5719.7億 | ¥5159.9億 | +10.9% |
| 純利益 | ¥2181.4億 | ¥2501.7億 | -12.8% |
| ROE | 7.2% | 9.2% | - |
2026年3月期の大和ハウス工業は、売上高5兆5,769億円(前年比+1,420億円 +2.6%)、営業利益6,149億円(同+686億円 +12.6%)、経常利益5,720億円(同+560億円 +10.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,181億円(同-320億円 -12.8%)で着地した。増収増益だが、純利益は特別損失358億円(減損損失306億円を含む)の影響で減益となった。営業利益率11.0%(前年10.1%から+0.9pt改善)、粗利率22.3%(同20.3%から+2.0pt拡大)と収益性は向上し、戸建住宅(営業利益+123.0%)と商業施設(同+11.4%)が牽引した。一方、物流・事業施設は減収減益(営業利益-20.0%)でセグメント間の明暗が分かれた。ROEは7.2%(前年12.9%)と純利益減少で低下したが、自己資本比率35.9%(同37.1%)と財務健全性は維持している。
【売上高】売上高は5兆5,769億円(前年比+2.6%)で3期連続増収を確保した。セグメント別では戸建住宅1兆3,423億円(+17.3%)が最大の成長率を記録し、商業施設1兆2,902億円(+5.1%)、賃貸住宅1兆4,293億円(+3.9%)、マンション2,796億円(+3.8%)、環境エネルギー1,331億円(+1.5%)が増収に寄与した。一方、物流・事業施設1兆1,898億円(-13.1%)は大幅減収となり、前期の大型案件反動が影響した。粗利率は22.3%(前年20.3%から+2.0pt改善)で、価格転嫁と案件ミックスの改善が寄与した。
【損益】営業利益6,149億円(+12.6%)は売上成長率を大幅に上回り、営業レバレッジが効いた。セグメント別では戸建住宅1,557億円(+123.0%、利益率11.6%)が急拡大、商業施設1,624億円(+11.4%、同12.6%)が最大の利益貢献となった。賃貸住宅1,411億円(+8.6%、同9.9%)と環境エネルギー138億円(+11.4%、同10.4%)も増益を維持した一方、マンション60億円(-45.1%、利益率2.1%)と物流・事業施設1,276億円(-20.0%、同10.7%)は減益で、ポートフォリオの二極化が進んだ。販管費は6,269億円(販管費率11.2%、前年10.2%から+1.0pt上昇)と増加したが、粗利拡大が吸収した。経常利益5,720億円(+10.9%)は営業外損益-429億円(支払利息443億円が主因)の負担を受けたが、経常利益率10.3%(前年9.5%から+0.8pt改善)を確保した。特別損失358億円(減損損失306億円含む)が経常利益から純利益への転換を圧迫し、純利益2,181億円(-12.8%)となった。税引前利益5,424億円に対し実効税率33.7%で税負担1,830億円、結果として増収増益(営業段階)だが純利益減益で着地した。
戸建住宅は営業利益1,557億円(前年比+123.0%)で利益率11.6%と急改善し、高単価商品の拡販と原価効率化が奏功した。商業施設は営業利益1,625億円(+11.4%)で利益率12.6%と最高水準を維持し、主力セグメントの地位を堅持した。賃貸住宅は営業利益1,411億円(+8.6%)で利益率9.9%、環境エネルギーは138億円(+11.4%)で利益率10.4%とそれぞれ堅調に推移した。一方、物流・事業施設は営業利益1,276億円(-20.0%)で利益率10.7%と減益に転じ、前期大型案件の反動と市況軟化が影響した。マンションは営業利益60億円(-45.1%)で利益率2.1%と著しく低採算となり、販売環境の厳しさが顕著となった。その他は営業利益42億円(+48.0%)で利益率7.5%と改善した。
【収益性】営業利益率11.0%(前年10.1%から+0.9pt改善)、粗利率22.3%(同20.3%から+2.0pt拡大)で収益性は向上した。ROE7.2%(前年12.9%)は純利益減少で低下したが、ROA経常利益ベース6.8%(同7.3%)と資産効率は良好域を維持した。【キャッシュ品質】営業CF1,893億円に対し純利益2,181億円で営業CF/純利益0.87倍、営業CF/EBITDA0.50倍と現金創出力は弱く、運転資本の積み上がり(未成工事支出金+191億円、販売用不動産+1,970億円相当)が圧迫した。【投資効率】総資産回転率0.66回転(前年0.77回転)と低下し、設備投資4,938億円(減価償却1,403億円の3.5倍)の先行投資で資産が膨張した。【財務健全性】自己資本比率35.9%(前年38.5%)、Debt/Equity66.6%(同59.8%)とレバレッジは上昇したが、流動比率176.7%、当座比率175.8%で短期流動性は厚い。現金預金4,344億円、短期借入金7,579億円で現金/短期負債0.57倍とタイトだが、未成工事受入金2,437億円の前受け資金が緩衝材となる。
営業CFは1,893億円(前年4,206億円から-55.0%)で、営業利益の増加にもかかわらず運転資本の増加が圧迫した。営業CF小計3,840億円に対し、棚卸資産増加-5,006億円(販売用不動産の積み上がり)、売上債権増加-54億円、仕入債務増加+47億円で運転資本が大幅マイナスとなり、法人税等支払-1,633億円も負担となった。投資CFは-7,261億円で、有形固定資産・無形資産の取得-4,938億円(主に商業施設・物流施設・戸建展示場等)、投資有価証券取得-234億円、事業譲受等-272億円が支出の主因で、FCFは-5,368億円の大幅マイナスとなった。財務CFは+6,311億円で、短期借入金の純増+5,839億円(期末残高7,579億円へ急増)、長期借入金の純増+338億円、社債償還-750億円、配当支払-939億円の構成。短期調達依存度の上昇により満期管理と金利リスクが増す局面となった。現金預金は期末4,344億円(前年比+1,012億円)で流動性は確保したが、短期負債比率38.6%と高く、運転資本の回転改善が課題となる。
経常利益5,720億円が本業収益の中核で、営業外収益289億円(受取配当54億円、受取利息48億円等)に対し営業外費用718億円(支払利息443億円が主因)と純マイナス429億円の負担構造となった。特別損益は特別利益63億円(固定資産売却益28億円、投資有価証券売却益19億円)に対し特別損失358億円(減損損失306億円、固定資産除却損22億円等)で純マイナス295億円となり、一時的要因として経常利益から純利益への転換を圧迫した。営業CFが純利益を下回る点(営業CF/純利益0.87倍)はアクルーアルの現金化遅延を示唆し、販売用不動産の積み上がりと案件進捗タイミングが影響した。のれん償却105億円(EBITDAの約1.4%)は軽微で、JGAAPとIFRS企業との利益比較歪みは限定的である。包括利益3,885億円(親会社株主分3,807億円)は純利益2,181億円に対し、その他包括利益+1,626億円(為替換算調整+120億円、有価証券評価差額+190億円、繰延ヘッジ-31億円等)を加え、実態的な株主価値増加は純利益以上に拡大した。
2027年3月期予想は売上高5兆8,000億円(前年比+4.0%)、営業利益4,000億円(同-34.9%)、経常利益3,420億円(同-40.2%)、EPS183.26円を見込む。営業利益率6.9%(当期11.0%から-4.1pt低下)と大幅な正常化を想定しており、2026年度の高採算案件(戸建・商業施設の好調)の一巡、販管費の増勢継続、金利コスト上昇を織り込んだ保守的シナリオとなる。配当予想は期末90円(株式分割考慮前、年間176円相当)で安定配当方針を維持する。期初計画の前提には、在庫回転の正常化と受注残の消化ペース、セグメント別採算の調整が含まれると推測され、進捗率は営業利益ベースで153.7%(6,149億円/4,000億円)と当期実績が予想を大幅に上回った形となる。今後の四半期進捗と受注動向が計画達成の鍵となる。
年間配当175円(第2四半期末75円、期末100円、うち普通配当165円+創業70周年記念配当10円)で、配当性向29.2%(当期純利益2,181億円ベース)と持続可能域にある。総還元性向は自社株買いが0.1億円と極小のため配当性向とほぼ同水準で、配当中心の還元政策を継続した。配当総額939億円(発行済株式ベース)に対しFCF-5,368億円で配当FCFカバレッジは-5.71倍と不足し、配当は営業CFで賄えたものの(営業CF1,893億円>配当939億円)、総キャッシュアウト(投資・配当)は外部調達に依存した。DOE実績は利益剰余金2兆3,871億円に対し配当939億円で約3.9%と株主資本コストに見合う水準を確保した。2027年3月期予想配当は株式分割考慮後で期末43円、年間88円相当(分割考慮前では期末90円、年間176円)となり、純利益の正常化局面でも配当性向レンジの維持を見込む。
在庫・運転資本リスク: 販売用不動産7,603億円への積み上がり(前年比+1,970億円相当)と未成工事支出金740億円(+191億円)が示すとおり、案件進捗の遅延や市況軟化により在庫回転が低下すれば資金拘束が長期化し、値引き圧力とキャッシュ創出力の一段の悪化リスクがある。営業CF/純利益0.87倍、OCF/EBITDA0.50倍と低位の現金創出は、運転資本管理の改善が急務である。
短期資金調達依存リスク: 短期借入金7,579億円(前年比+345.1%)へ急増し、短期負債比率38.6%、現金/短期負債0.57倍と満期ミスマッチが拡大した。金利上昇局面では支払利息(当期443億円、前年比+7%)の一段の増加と、ロールオーバー時の条件悪化が利益とキャッシュフローを圧迫する。Debt/EBITDA2.60倍は許容範囲だが、営業CF低下が継続すれば負債圧縮が遅延し、格付け・調達コストへの悪影響が懸念される。
セグメント収益性の二極化リスク: 物流・事業施設(営業利益-20.0%)とマンション(利益率2.1%)の低採算が続く一方、戸建・商業施設の高採算も2027年度は正常化見通しで、ポートフォリオ全体の利益率が下振れする構造リスクが顕在化している。工事損失引当金250億円(前年189億円、+32.4%)の増加は、価格固定契約における原価上振れや遅延の発生を示唆し、今後の大型案件採算の悪化が減損損失(当期306億円)の追加計上につながる可能性がある。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 11.0% | 5.5% (3.5%–7.2%) | +5.5pt |
| 純利益率 | 3.9% | 3.5% (2.5%–4.4%) | +0.4pt |
営業利益率11.0%は業種中央値5.5%を+5.5pt上回り、建設業界内で上位の収益性を維持している。純利益率3.9%も中央値3.5%をわずかに上回るが、特別損失の影響で営業段階ほどの優位性は示せていない。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 2.6% | 9.8% (-2.1%–15.1%) | -7.3pt |
売上成長率2.6%は業種中央値9.8%を-7.3pt下回り、成長ペースは業界内で低位にとどまる。物流・事業施設の減収と新規大型案件の獲得遅延が影響し、競合比での成長力に課題が残る。
※出所: 当社集計
収益性と業界内位置: 営業利益率11.0%(業種中央値+5.5pt)、粗利率22.3%(前年比+2.0pt改善)で収益力は業界トップクラスを維持したが、2027年度は営業利益-34.9%と正常化局面に入る。戸建・商業施設の高採算が一巡し、販管費率の上昇(11.2%、前年10.2%)と金利コスト増(支払利息443億円、前年比+7%)が利益率を圧迫する構造に移行している。セグメント間の二極化(戸建+123%vs物流-20%、マンション利益率2.1%)が進み、ポートフォリオ全体の安定性確保が中期テーマとなる。
キャッシュ創出力と資金調達: 営業CF/純利益0.87倍、OCF/EBITDA0.50倍で現金創出力が弱く、販売用不動産+1,970億円の積み上がりと未成工事支出金+191億円が運転資本を圧迫した。FCF-5,368億円の大幅マイナスに対し短期借入金+345%の急増で資金調達し、短期負債比率38.6%・現金/短期負債0.57倍とタイトな流動性管理局面に入っている。在庫回転の正常化と大型案件のキャッシュ化タイミングが、2027年度以降のCF改善と財務レバレッジ低減の鍵となる。
M&A・資産健全性と成長投資: のれん1,599億円(純資産比5.3%、EBITDA0.21倍)と軽微水準で、のれん償却105億円(EBITDAの1.4%)による利益歪みは限定的。設備投資4,938億円(減価償却の3.5倍)は将来成長への先行投資色が強く、商業施設・物流施設の資産積み上がりが確認できる。減損損失306億円の継続発生と工事損失引当金+32%の増加は案件採算管理の課題を示し、今後の大型プロジェクトの収益性と資産健全性のバランスがモニタリングポイントとなる。配当性向29.2%と安定還元を維持しつつ、売上成長率2.6%(業種中央値-7.3pt)の加速が中長期評価の分水嶺である。
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