| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥19847.4億 | ¥18423.6億 | +7.7% |
| 営業利益 | ¥1352.6億 | ¥1188.8億 | +13.8% |
| 経常利益 | ¥1391.7億 | ¥1294.5億 | +7.5% |
| 純利益 | ¥866.6億 | ¥999.1億 | -13.3% |
| ROE | 17.5% | 21.4% | - |
2026年3月期通期決算は、売上高1兆9,847.4億円(前年比+1,423.9億円 +7.7%)、営業利益1,352.6億円(同+163.8億円 +13.8%)、経常利益1,391.7億円(同+97.1億円 +7.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益866.6億円(同-132.5億円 -13.3%)。営業段階では大幅増益を達成したが、純利益は前年比で減少。主因は前年に発生した投資有価証券売却益45.4億円の反動と、法人税等395.5億円の負担増。EPS(希薄化後)は298.96円で前年285.22円から+4.8%上昇し、1株あたり利益は改善。売上高は不動産賃貸事業の安定収益に加え、不動産開発事業の前年比+186.4%の大幅伸長により3期連続の増収基調を継続。営業利益率は6.8%で前年6.5%から0.3pt改善、売上原価率82.5%と販管費率10.7%のコントロールにより収益性を向上。
【売上高】 売上高1兆9,847.4億円(+7.7%)は全セグメントで増収を達成。不動産賃貸事業が売上全体の61.4%を占め1兆2,137.8億円(+3.6%)、一括借上事業収入1兆654.1億円(+2.7%)と保証事業収入217.7億円(+3.6%)が安定収益基盤を形成。建設事業は5,735.8億円(+2.6%)と微増にとどまったが、不動産開発事業が1,473.0億円(+186.4%)と大幅伸長。開発事業は収益不動産事業収入698.6億円(前年234.6億円から+197.7%)と投資マンション事業収入340.5億円(前年226.7億円から+50.2%)が牽引。金融事業は315.4億円(+5.0%)、その他事業も802.2億円(+8.2%)と増収。顧客との契約から生じる収益8,385.4億円(全売上の42.2%)に対し、一括借上・保証等のその他の収益1兆1,462.0億円(同57.8%)がストック型収益として貢献。
【損益】 売上総利益は3,470.5億円(粗利率17.5%、前年17.1%から+0.4pt)、販管費2,117.9億円(販管費率10.7%、前年10.7%で横ばい)を差し引き営業利益1,352.6億円(+13.8%)。営業外収益93.2億円(受取配当金2.0億円、為替差益14.0億円含む)から営業外費用54.1億円(支払利息32.7億円、支払手数料13.4億円)を控除し経常利益1,391.7億円(+7.5%)。特別利益6.1億円(固定資産売却益2.2億円等)と特別損失12.4億円(減損損失5.0億円、投資有価証券評価損5.3億円等)を経て税引前利益1,385.4億円(+6.5%)。法人税等395.5億円(前年363.2億円から+8.9%)、非支配株主損益調整後の親会社帰属純利益は866.6億円(-13.3%)。純利益減少は前年の特別利益(投資有価証券売却益45.4億円)の反動と税負担増が主因で、営業段階は増収増益基調を維持。
不動産賃貸事業:営業利益855.5億円(+6.5%)、利益率7.0%で全社利益の63.2%を占める主力。一括借上・保証・仲介・電力等の複合収益モデルが機能。建設事業:営業利益451.5億円(-4.2%)、利益率7.9%で前年8.7%から-0.8pt低下。完成工事高5,442.8億円(+0.6%)に対し利益率が鈍化、資材・労務費上昇の影響を示唆。不動産開発事業:営業利益185.3億円(+259.8%)、利益率12.6%で前年5.1%から+7.5pt改善。大型案件の計上集中が寄与したとみられ、高収益率が全社営業利益率の改善に貢献。金融事業:営業利益63.9億円(-4.5%)、利益率20.2%で高水準を維持も微減。その他事業:営業利益131.3億円(-0.5%)、利益率16.4%。全社調整後で営業利益1,352.6億円(+13.8%)。開発事業の高マージン伸長と賃貸事業の安定収益が全社増益を牽引、建設事業の利益率改善が今後の課題。
【収益性】営業利益率6.8%(前年6.5%から+0.3pt)、純利益率4.4%(前年5.4%から-1.0pt)、ROE17.5%(前年21.5%から-4.0pt、5年水準と比較してもやや低下傾向)。営業段階のマージン改善が確認される一方、純利益は特別損益と税負担の影響で利益率が低下。【キャッシュ品質】営業CF404.9億円に対し純利益866.6億円で営業CFコンバージョン0.47倍(前年856.1億円に対し999.1億円で0.86倍から大幅低下)。減価償却費194.5億円を加えたEBITDA1,547.1億円に対する営業CF比率0.26倍で、運転資本増加(販売用不動産+481.98億円等)が現金化を阻害。【投資効率】総資産回転率1.45回(前年1.51回から低下)、総資産1兆3,675.0億円に対し売上1兆9,847.4億円。ROA(経常利益ベース)10.7%で前年11.2%から-0.5pt低下。【財務健全性】自己資本比率36.3%(前年38.4%から-2.1pt)、D/Eレシオ1.75倍(前年1.16倍から上昇)、有利子負債1,839.3億円(前年1,137.2億円から+61.7%増)で借入依存が拡大も、Debt/EBITDA1.19倍で健全域を維持。
営業CFは404.9億円(前年856.1億円から-52.7%)と大幅縮小。税引前利益1,385.4億円に減価償却費194.5億円、のれん償却12.2億円等を加えた営業CF小計(運転資本変動前)は872.2億円で前年1,164.4億円から-25.1%減少。運転資本面では販売用不動産の増加-481.98億円(前年-77.1億円から-525%悪化)、売上債権増加-124.4億円、仕入債務増加27.9億円で資金を吸収。法人税等支払-455.4億円(前年-320.6億円から+42.1%増)も現金支出を拡大。投資CFは-417.0億円(前年-465.1億円から改善)、設備投資-236.6億円(前年-174.5億円から+35.6%増)と無形固定資産取得-70.7億円を含む。フリーCFは-12.1億円(前年+391.1億円から-103.1%)とマイナス転換。財務CFは+372.2億円(前年-458.4億円から大幅改善)、長期借入金調達1,961.3億円から返済-897.8億円のネット+1,063.5億円で資金調達を拡大。配当支払-512.0億円(前年-378.9億円から+35.1%増)と自社株買い-269.7億円を実施。現金同等物期末残高2,581.2億円(前年2,235.7億円から+15.4%増)。在庫積み増しと株主還元資金を借入で手当てし、営業CF創出力の弱さが顕在化。
経常利益1,391.7億円に対し純利益866.6億円の乖離は税負担(法人税等395.5億円、実効税率28.6%)と特別損益のネット影響(-6.3億円)が主因。営業外収益93.2億円の内訳は受取配当金2.0億円、為替差益14.0億円、持分法投資利益5.7億円等で、売上高比0.5%未満と依存度は低く経常的収益基盤は強固。特別利益6.1億円(固定資産売却益2.2億円等)と特別損失12.4億円(減損損失5.0億円、投資有価証券評価損5.3億円等)はいずれも一時的要因で、前年は投資有価証券売却益45.4億円が純利益を押し上げた反動が今期の減益要因。包括利益1,033.8億円に対し当期純利益866.6億円の差+167.2億円は、退職給付調整額30.5億円、為替換算調整額12.9億円等のその他包括利益の影響。営業CF404.9億円が純利益866.6億円を大きく下回る(営業CF/純利益0.47倍)点はアクルーアル品質の低下を示唆し、在庫増加と運転資本拡大が利益の現金化を阻害。
通期予想(売上高2兆500.0億円、営業利益1,420.0億円、経常利益1,400.0億円、親会社帰属純利益1,080.0億円、EPS326.00円)に対し実績は売上1兆9,847.4億円(進捗96.8%)、営業利益1,352.6億円(95.2%)、経常利益1,391.7億円(99.4%)、親会社帰属純利益866.6億円(80.2%)。売上・経常は概ね計画線上も、営業利益は-67.4億円(-4.7%)、純利益は-213.4億円(-19.8%)の未達。営業利益未達の背景には建設セグメントの利益率鈍化と販管費増加、純利益未達には前年の特別利益剥落と税負担増が寄与。配当予想81円は中間実績342円(株式分割考慮後)との合算で計画通り。次年度に向けて建設のコスト転嫁と開発案件の継続計上が通期達成の鍵。
配当は1株当たり年間287円(中間342円、期末82円、いずれも株式分割調整後の実質値)で前年287円と同額を維持。配当性向50.0%(会社開示値)で、当期純利益866.6億円に対する配当総額514.2億円は配当性向59.3%相当と計算される。自社株買いは財務CF上-269.7億円を実施、前年-0.4億円から大幅拡大。配当+自社株買いの総還元は783.9億円で純利益に対する総還元性向90.4%、前年の配当のみ474.0億円(配当性向47.4%)から還元水準が大幅に上昇。フリーCF-12.1億円に対し総還元783.9億円で内部資金のみでは賄えず、長期借入金の増加(+1,259.3億円)で資金調達を実施。現金及び預金残高2,750.4億円(前年2,358.9億円から+16.6%増)を維持しており流動性に余裕はあるが、配当・自己株買いの持続性は営業CF改善が前提。配当は安定配当志向が示唆されるも、来期のキャッシュ創出力回復が重要。
運転資本需要の拡大と営業CF創出力の弱さ: 営業CF404.9億円(前年比-52.7%)、営業CF/純利益0.47倍と低水準。販売用不動産の積み増し(-481.98億円)が主因で、市況変動時の在庫評価損や回転遅延リスクを内包。フリーCF-12.1億円とマイナス転換し、配当・自己株買い総還元783.9億円を内部資金で賄えず、借入依存(長期借入金+1,259.3億円)が増加。今後の在庫回転正常化と現金回収力の改善が、持続的株主還元の前提。
建設セグメントの利益率鈍化とコスト環境悪化: 建設事業営業利益451.5億円(-4.2%)、利益率7.9%で前年8.7%から-0.8pt低下。資材・労務費上昇の価格転嫁遅延が示唆され、完成工事高微増に対し利益が減少。今後の受注単価改定とコスト抑制の進捗が全社利益率に影響。建設セグメントは売上の28.9%を占める主力の一角であり、利益率改善が遅れれば営業利益全体の圧迫要因。
有利子負債増加と金利上昇リスク: 有利子負債1,839.3億円(前年比+61.7%)、D/Eレシオ1.75倍(前年1.16倍から上昇)で借入依存が拡大。Debt/EBITDA1.19倍、インタレストカバレッジ41.4倍と現時点では健全も、金利上昇局面で財務費用が増加する可能性。支払利息32.7億円は前年6.1億円から+436.1%増と既に上昇傾向にあり、今後の金利動向次第で経常利益への下押し圧力。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 6.8% | 10.7% (6.8%–17.9%) | -3.8pt |
| 純利益率 | 4.4% | 5.8% (2.5%–11.9%) | -1.4pt |
営業利益率・純利益率ともに業種中央値を下回り、不動産業界内では収益性が相対的に低位。建設事業比率の高さと開発案件の変動性が利益率抑制要因。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 7.7% | 12.8% (4.2%–29.2%) | -5.1pt |
売上成長率は業種中央値を-5.1pt下回り、高成長銘柄が多い不動産業界内では保守的な伸長水準。賃貸・管理のストック収益重視が安定性の一方で成長率を抑制。
※出所: 当社集計
開発セグメントの高マージン伸長と賃貸の安定収益が全社増益を牽引: 不動産開発事業は営業利益+259.8%、利益率12.6%で全社営業利益率の改善に寄与。一方で案件計上のタイミングに依存する変動性があり、来期以降の持続性は計上物件の継続性に左右される。賃貸事業は営業利益855.5億円(+6.5%)で全社利益の63.2%を占め、一括借上・保証のストック収益が安定基盤を形成。建設事業の利益率鈍化を補う構造が観察され、今後のポートフォリオバランスがモニタリング対象。
キャッシュフロー品質の低下と株主還元の持続性: 営業CF404.9億円で前年比-52.7%、営業CF/純利益0.47倍と大幅低下。販売用不動産の積み増し-481.98億円が主因で、フリーCF-12.1億円とマイナス転換。配当512.0億円と自己株買い269.7億円の総還元783.9億円を内部資金で賄えず、長期借入金+1,259.3億円で手当て。今後の在庫回転正常化と営業CF改善が、持続的な高配当・自己株買いの前提。D/Eレシオ1.75倍、Debt/EBITDA1.19倍と信用指標は健全域だが、金利上昇局面での財務費用増加リスクを注視。
建設セグメントのマージン是正と業績予想達成の進捗: 通期予想に対し営業利益-4.7%、純利益-19.8%の未達で、建設利益率の鈍化と税負担増が主因。来期に向けてコスト転嫁と受注単価改定の進展、開発案件の継続計上が業績達成の鍵。営業CF改善と建設マージン回復が確認できれば、ROE17.5%(前年21.5%から低下)の反転と総還元の持続性向上が期待され、業種内での相対的な収益性改善余地が残る。
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