記事一覧に戻る
18702026 第3四半期プライムJGAAP

矢作建設工業(1870) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益261%増

2026年度第3四半期の売上高は1,331億円(前年同期比+37.1%)、営業利益は119.6億円(同+260.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥1331.0億¥971.1億+37.1%
営業利益¥119.6億¥33.2億+260.5%
経常利益¥119.6億¥33.7億+254.4%
純利益¥73.2億¥23.2億+215.4%
ROE(年換算)13.3%4.5%-

Executive Summary

建築・土木・不動産の全セグメントが増収増益となり、利益率が大幅に改善した決算である。売上高は1331.0億円(前年比+37.1%)、営業利益は119.6億円(同+260.5%)、経常利益は119.6億円(同+254.4%)、純利益は73.2億円(同+215.4%)となった。売上増加を上回るペースで利益が拡大した背景には、販管費の伸びが売上高の伸びを大きく下回ったこと、および不動産セグメントの高採算による収益貢献がある。

業績変動要因

【売上高】売上高は1331.0億円(前年比+37.1%)。セグメント別では建築が897.2億円(構成比67.4%、同+41.2%)で最大かつ最大の増収寄与、土木が274.8億円(構成比20.6%、同+18.8%)、不動産が159.1億円(構成比12.0%、同+52.4%)と全事業で増収した。建築セグメントの拡大が全社成長の中核を成している。

【損益】営業利益は119.6億円(同+260.5%、営業利益率9.0%、前年3.4%から+557bp)。粗利率は15.6%(前年11.4%から+423bp)に改善し、販管費は87.6億円(同+13.4%増)にとどまり売上高の伸びを大きく下回ったため固定費吸収が進んだ。経常利益は119.6億円(同+254.4%)と営業利益とほぼ一致し、営業外収支の影響は軽微。一方、特別損失18.4億円(うち事業整理損18.3億円)が税引前利益を104.5億円に押し下げ、純利益は73.2億円(同+215.4%)にとどまった。増収増益。

セグメント別分析

建築セグメントは外部売上高897.2億円(同+41.2%)、セグメント利益69.3億円(同+312.0%)、利益率7.7%と、増収に加えて採算改善が顕著であった。土木セグメントは外部売上高274.8億円(同+18.8%)、セグメント利益40.7億円(同+30.8%)、利益率14.8%と3事業中で最も安定した収益性を維持した。不動産セグメントは外部売上高159.1億円(同+52.4%)、セグメント利益50.2億円(同+145.4%)、利益率30.9%と突出して高く、売上構成比12.0%に対し利益構成比は31.3%に達し、全社利益率改善への寄与が大きい。全社費用等の調整額は△40.7億円(前年△35.3億円)に拡大したが、3セグメントの増益がこれを吸収した。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は9.0%(前年3.4%から+557bp)、純利益率は5.5%(前年2.4%から+311bp)、粗利率は15.6%(前年11.4%から+423bp)と改善が進んだ。【キャッシュ品質】経常利益119.6億円に対し純利益73.2億円で乖離率は約38.8%、主因は特別損失18.4億円(事業整理損18.3億円)と法人税等31.4億円である。営業外収支は差引0.1億円の費用にとどまり、経常段階までの収益力は営業利益とほぼ一致している。【投資効率】年換算ROEは13.3%、EPSは170.07円(前年53.90円から+215.5%)。【財務健全性】自己資本比率は52.5%(前年47.7%から改善)、流動比率は228.5%、短期借入金は169.0億円と前年比36.5%減少しており、短期資金依存は低下傾向にある。

キャッシュフロー分析

CF計算書の開示はないため、貸借対照表の推移から資金動向を分析する。現金及び預金は170.5億円と前年末の156.7億円から増加した一方、短期借入金は266.0億円から169.0億円へ97.0億円減少しており、手元資金の積み増しと並行して短期借入への依存を圧縮している。未成工事支出金は26.8億円(前年末33.2億円から-19.2%)、未成工事受入金は71.3億円(同103.5億円から-31.1%)と、いずれも工事進捗に伴い減少しており、完成工事高の伸びに対して未成工事関連の残高は縮小した。完成工事未収入金は564.4億円と総資産の40.5%を占め、出来高請求の回収進捗が今後の運転資金動向を左右する主要な要素である。

収益の質

営業利益119.6億円に対し経常利益は119.6億円とほぼ同水準であり、営業外収支の影響は軽微である。営業外収益2.6億円(売上高比0.2%)の中心は受取配当金1.7億円で、非経常的な収益への依存は見られない。一方、経常利益から純利益への乖離率は約38.8%と大きく、主因は特別損失18.4億円(うち事業整理損18.3億円)と法人税等31.4億円である。特別利益3.3億円には固定資産売却益2.1億円、投資有価証券売却益0.6億円が含まれる。実効税率は約30.0%で通常範囲にあり、事業整理損という一時的要因を除けば経常的な利益創出力は開示数値以上に強いと解釈できる。

業績予想・ガイダンス

通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高79.2%、営業利益104.0%、経常利益104.9%、純利益104.5%である。標準進捗率75%に対し、売上高は+4.2ポイント、各利益は約+29~30ポイント上回っており、営業利益・経常利益・純利益の累計値は既に通期予想を超過している。現行の通期予想(売上高1680.0億円、営業利益115.0億円、経常利益114.0億円)を据え置く場合、第4四半期は営業利益ベースで赤字が必要となる計算であり、工事採算の季節変動や一時的費用計上を織り込んだ保守的な設定である可能性がある。

株主還元

第2四半期配当は1株当たり45.00円で、当第3四半期累計純利益73.2億円に対する配当性向は27.4%である(中間配当のみを基準とした数値)。通期配当予想は90.00円(中間45円・期末45円)で、通期純利益予想70.0億円に基づく予想配当性向は約55.3%となり、持続可能性の目安とされる60%未満に収まる。第3四半期累計純利益が既に通期予想を上回っていることから、現行配当予想に対する利益面の余力は大きく、利益剰余金622.5億円という資本蓄積も配当の支払い能力を裏付けている。

リスク要因

  1. 工事原価上昇リスク: 粗利率は15.6%(前年11.4%)へ改善したが、資材費・外注費・労務費が上昇した場合、建築セグメント(連結売上高の67.4%を占める)の採算悪化が連結利益に波及しやすい。

  2. 工事代金回収・運転資本リスク: 完成工事未収入金は564.4億円と総資産の40.5%を占める。発注者の支払遅延や出来高請求の進捗遅れは資金繰りに影響し得る。短期借入金は前年比36.5%減少したが、短期負債比率は流動負債の構成上高めであり、短期資金の借換え条件を注視する必要がある。

  3. 不動産市況・評価リスク: 不動産セグメントは利益率30.9%と高収益な一方、販売用不動産190.8億円を保有する。金利上昇や需給悪化、販売計画の遅延は評価損・売却損益の変動要因となり得る。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(construction)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率9.0%
純利益率5.5%

自社の営業利益率・純利益率はいずれも改善局面にあるが、業種中央値データは現時点で参照可能な値がない。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)37.1%

自社の売上高成長率は37.1%と高い伸びを示しているが、業種中央値との比較データは現時点で参照可能な値がない。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 全セグメント増収増益に加え、販管費の伸びが売上高の伸びを大きく下回ったことで営業利益率が前年3.4%から9.0%へ大幅改善した。特に不動産セグメントは利益率30.9%と高く、売上構成比12.0%に対し利益構成比31.3%と全社収益への寄与度が高い。

  2. 第3四半期累計の営業・経常・純利益はいずれも通期会社予想を既に上回っており、進捗率は営業利益104.0%、純利益104.5%に達している。今後の業績開示では、通期予想の修正有無および第4四半期の利益変動要因が確認ポイントとなる。

  3. 経常利益と純利益の乖離は38.8%と大きく、事業整理損18.3億円を含む特別損失が要因である。この一時的要因を除いた経常段階の収益力は、開示された純利益水準よりも強いと解釈できる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,690円
base(基準)1,742円
bull(強気)1,780円
算出前提
1株純資産(BPS)1,699円
調整後予想EPS181.6円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向55.3%
予想EPSの信頼度調整×1.117(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.03倍 / 9.6倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,696円〜1,792円、ω±0.1で 1,742円〜1,744円。

注記:

  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。