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18472026 第3四半期スタンダードJGAAP

イチケン(1847) 2026年度第3四半期決算 営業益23%増

2026年度第3四半期の売上高は779億円(前年同期比-0.3%)、営業利益は65.7億円(同+22.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

株式会社イチケン

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥779.0億¥781.6億−0.3%
営業利益¥65.7億¥53.6億+22.5%
経常利益¥65.6億¥53.2億+23.5%
純利益¥44.6億¥35.7億+24.9%
ROE11.8%10.5%-

Executive Summary

2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高779.0億円(前年同期比-2.6億円 -0.3%)とほぼ横ばいで推移する中、営業利益65.7億円(同+12.1億円 +22.5%)、経常利益65.6億円(同+12.4億円 +23.5%)、四半期純利益44.6億円(同+8.9億円 +24.9%)と増益基調を示している。EPS(基本)は615.00円(前年同期492.49円から+24.9%)へ上昇し、希薄化後EPSは612.80円。売上減少局面での営業増益という利益率改善が顕著な決算であり、営業利益率は8.4%(前年同期6.9%から+1.5pt)へ上昇した。

業績変動要因

【売上高】売上高は779.0億円で前年同期比-0.3%と横ばいに留まった。セグメント別では建設事業(CNS)が777.2億円(全社売上の99.8%)を占め、不動産事業(CTE)は1.8億円(構成比0.2%)と微小である。建設事業の売上は前年同期777.97億円から-0.3%と微減したが、売上構造の大宗を占める主力の建設事業において受注案件の進捗や完成工事高が横ばいで推移したことが要因と考えられる。不動産事業は前年同期1.79億円から横ばいで推移した。

【損益】営業利益は65.7億円で前年同期比+22.5%と大幅増益を達成した。売上原価は683.3億円で売上総利益は95.7億円となり粗利率12.3%を確保(前年同期の粗利率は開示なしだが営業利益の増加ペースから推定して粗利率は改善)。販管費は30.0億円(販管費率3.8%)で抑制され、営業利益率は8.4%(前年同期6.9%から+1.5pt)へ改善した。セグメント別営業利益では建設事業が83.9億円(セグメント利益率10.8%)を計上し前年同期68.4億円から+22.7%増益、不動産事業は0.5億円(利益率28.1%)で前年同期0.52億円とほぼ横ばい。全社費用(調整額)が-18.7億円計上され(前年同期-15.33億円)、全社費用が3.4億円増加したが、建設事業の増益がこれを吸収し連結営業利益の増益を実現した。

経常利益65.6億円は営業利益とほぼ同水準であり、営業外収益0.9億円(受取配当金0.6億円、受取利息0.1億円等)が営業外費用1.0億円(支払利息0.8億円、支払手数料0.2億円等)とほぼ相殺された結果、営業外損益は純額で-0.1億円と中立的である。特別損益は固定資産売却益0.04億円の計上があったが金額は軽微で、税引前利益は65.7億円となった。法人税等21.0億円(実効税率32.0%)を控除後、四半期純利益44.6億円へ着地した。経常利益と純利益の乖離率は32.0%で税負担が主因であり、一時的要因による大きな歪みはない。

結論として、減収増益の構造であり、売上横ばいの中で粗利率改善と販管費抑制により営業レバレッジが発現し増益を達成したパターンである。

セグメント別分析

建設事業(CNS)は売上高777.2億円(構成比99.8%)、営業利益83.9億円(利益率10.8%)を計上し、前年同期比で売上-0.3%、営業利益+22.7%と利益率が大幅に改善した。建設事業は主力事業であり、工事粗利率の改善と全社費用を除くセグメントベースでの採算向上が確認できる。不動産事業(CTE)は売上高1.8億円(構成比0.2%)、営業利益0.5億円(利益率28.1%)を計上し、前年同期とほぼ横ばいで推移した。不動産事業は規模は極小であるが利益率は28.1%と高収益であり、補完的な収益源として位置づけられる。建設事業の利益率10.8%と不動産事業の利益率28.1%との間に顕著な差異があるが、不動産事業の売上規模が極めて限定的なため連結全体への影響は軽微である。全社費用として18.7億円が調整額で控除され、連結営業利益は65.7億円となった。全社費用の増加(前年同期15.33億円から+22.0%)は主に管理部門費用の増加と考えられるが、建設事業の増益がこれを吸収し全社営業利益の増加を実現した。

主要財務指標

【収益性】ROE 11.8%(前年同期実績は未記載だが業種中央値3.7%を大幅に上回る)、営業利益率8.4%(前年同期6.9%から+1.5pt改善、業種中央値4.1%を上回る)、純利益率5.7%(業種中央値2.8%を上回る)。ROEを支えるデュポン3因子は純利益率5.7%、総資産回転率1.096倍、財務レバレッジ1.88倍であり、資産効率の高さがROEの主要ドライバーとなっている。【キャッシュ品質】現金預金127.5億円(前年同期199.6億円から-36.1%減少)、短期負債カバレッジ(現金/流動負債)0.47倍。現金残高の大幅減少は運転資本の変動を示唆し、完成工事未収入金371.8億円の規模が大きいことから出来高請求と回収タイミングの影響を受ける構造である。【投資効率】総資産回転率1.096倍で業種平均を上回る水準にあり、建設業の回収・請求構造が資産回転率を支えている。【財務健全性】自己資本比率53.2%(前年同期50.4%から+2.8pt改善、業種中央値60.5%を下回るが改善傾向)、流動比率241.2%(業種中央値207%を上回る)、負債資本倍率0.88倍で保守的な資本構成を維持している。インタレストカバレッジ(営業利益/支払利息)は84.2倍と金利負担は極めて軽微である。

キャッシュフロー分析

四半期決算のため営業CF・投資CF・財務CFの詳細開示はないが、BS推移から資金動向を分析する。現金預金は前年同期199.6億円から127.5億円へ-72.1億円(-36.1%)減少した。この減少は運転資本の変動が主因と推定される。完成工事未収入金は371.8億円(前年同期比の増減は未記載だが残高規模が大きい)、電子記録債権37.0億円、工事未払金118.8億円、電子記録債務66.5億円と建設業特有の運転資本項目が大きく計上されており、工事進捗・完成・回収のタイミングにより現金ポジションが変動する。売掛金等の流動資産合計は654.4億円で流動負債271.4億円に対して流動性は十分だが、現金の流出は受注案件の増加や工事進捗に伴う資金投下の可能性がある。投資活動では有形固定資産が前年同期2.9億円から4.7億円へ+1.8億円(+60.7%)増加しており、設備投資または企業結合に伴う資産計上が示唆される。短期借入金17.96億円、長期借入金43.13億円と有利子負債は合計61.1億円で前年同期比の増減は未記載だが、支払利息0.8億円から推定される金利負担は軽微である。短期負債に対する現金カバレッジは0.47倍と現金単独では短期負債を完全にカバーしない水準だが、完成工事未収入金等の流動債権を含めた総流動資産では短期支払能力は高い(流動比率241.2%)。

収益の質

経常利益65.6億円に対し営業利益65.7億円で、営業外損益は純額-0.1億円とほぼ中立的である。営業外収益0.9億円の内訳は受取配当金0.6億円、受取利息0.1億円、その他0.3億円であり、営業外費用1.0億円の内訳は支払利息0.8億円、支払手数料0.2億円で、営業外収支は金融収支とその他の営業外項目がほぼ相殺される構造である。営業外収益は売上高の0.1%にとどまり、本業外収益への依存度は極めて低い。受取配当金と受取利息の合計0.7億円は金融資産(投資有価証券等)からの定常的な収益と推測される。営業CFの実数は未開示だが、純利益44.6億円に対して現金預金が前年同期比-72.1億円減少している点から、運転資本の増加や投資支出が利益を上回る現金流出を生じた可能性が示唆される。ただし完成工事未収入金の回収タイミング次第で現金は改善する可能性があり、収益の質は営業CFの開示を待って評価する必要がある。税引前利益65.7億円に対する法人税等21.0億円は実効税率32.0%であり、税負担は標準的である。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高1,050.0億円(前期比+6.1%)、営業利益82.0億円(同+20.0%)、経常利益81.0億円(同+19.7%)、純利益55.0億円(同+18.4%)、EPS予想757.70円を掲げている。第3四半期累計の進捗率は売上高74.2%、営業利益80.1%、経常利益81.0%、純利益81.1%であり、標準進捗(Q3累計=75.0%)と比較すると営業利益以下の進捗が前倒しである。営業利益・経常利益・純利益の進捗率が80%を超えている点は、第4四半期に減益となる前提の予想か、あるいは保守的な通期予想設定を示唆する。売上高の進捗率74.2%は標準よりわずかに下振れしており、第4四半期に売上高271億円(前年同期比+約70億円)の積み上げが必要となる。受注残高データは開示されていないため、将来の売上可視性を受注残/売上比率で評価することはできないが、建設業においては受注残高が売上高の先行指標として重要であり、今後の開示が期待される。

株主還元

年間配当は165.00円の予想で、内訳は中間配当50.00円、期末配当90.00円(前年は年間配当の記載なしだが中間50.00円の実績あり)。発行済株式数7,284千株(自己株式控除後7,258千株)を基に算出すると、年間配当総額は約11.97億円となる。通期予想純利益55.0億円に対する配当性向は21.8%と保守的な水準である。第3四半期累計の純利益44.6億円を年換算すると約59.5億円となり、予想純利益を上回る進捗であることから、配当余力は十分と評価できる。現金預金127.5億円は年間配当総額約12億円の10.6倍に相当し、現金残高の観点からも配当の持続可能性は高い。自社株買いの開示はなく、株主還元は配当のみで行われている。

リスク要因

第一に受注環境の変動リスクがある。公共投資の減少や民間設備投資の抑制により新規受注が減少すれば、売上高の伸びが鈍化し利益率低下につながる可能性がある。第二に原材料・労務費の高騰リスクである。粗利率12.3%と業種内では低水準であり、建設資材価格の上昇や人件費増が工事粗利を圧迫し、営業利益率の改善トレンドが反転するリスクがある。第三に運転資本リスクである。完成工事未収入金371.8億円と大きく、回収の遅延が発生すれば流動性が圧迫され、支払能力や投資余力に影響を及ぼす可能性がある。現金預金の前年同期比-36.1%減少は既に運転資本の変動を示唆しており、今後の回収動向の監視が必要である。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 収益性: ROE 11.8%は業種中央値3.7%(IQR 1.7%~6.6%)を大幅に上回り、業種内で上位の水準にある。営業利益率8.4%は業種中央値4.1%(IQR 1.9%~5.8%)を上回り、営業効率は業種平均を上回る。純利益率5.7%も業種中央値2.8%(IQR 1.3%~4.0%)を上回り、利益創出力は業種内で相対的に高い。 健全性: 自己資本比率53.2%は業種中央値60.5%(IQR 56.2%~67.8%)を下回るが、前年同期50.4%からの改善傾向が見られ、今後のさらなる財務基盤強化が期待される。流動比率241.2%は業種中央値207%を上回り、短期支払能力は業種平均以上である。 効率性: 総資産利益率(ROA、純利益ベース)は6.3%で業種中央値2.2%(IQR 1.0%~3.6%)を上回り、資産効率は業種内で優位である。売上高成長率-0.3%は業種中央値-3.5%(IQR -13.7%~6.2%)を上回り、業種全体が減収傾向にある中で横ばいを維持している点は相対的に評価できる。 (業種: 建設業、比較対象: 2025年Q3決算期、サンプルサイズ4社、出所: 当社集計)

決算上の注目ポイント

決算上の注目ポイントは以下の通り。第一に営業利益率の改善トレンドである。売上横ばいの中で営業利益率8.4%(前年同期6.9%から+1.5pt)へ上昇しており、工事粗利率の改善と販管費率の抑制が奏功している。この構造的な利益率改善が持続すれば、今後の増収局面で大幅な増益が期待できる。第二に運転資本と現金の動向である。現金預金が前年同期比-36.1%減少し127.5億円へ減少した一方、完成工事未収入金371.8億円と大きく計上されており、建設業特有の回収タイミングが現金ポジションに影響を与えている。営業CFの実数開示と受注残高の開示により、現金創出力と将来売上の可視性を確認することが重要である。第三に配当余力の高さである。配当性向21.8%と保守的で現金残高も配当総額の10倍超であり、配当の安定性は高い。ROE 11.8%は業種中央値3.7%を大幅に上回り、自己資本利益率の高さと配当性向の低さから、今後の増配や総還元性向引き上げの余地がある。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度第3四半期累計は、売上高が前年同期比0.3%減の778.98億円と横ばい圏にとどまる一方、営業利益は同22.5%増の65.67億円となり、採算性の改善が業績を牽引した。売上総利益は前年同期の79.74億円から95.67億円へ20.0%増加した。粗利益率は前年同期の10.2%から12.3%へ210bp上昇しており、増益の主因である。営業利益率は6.9%から8.4%へ157bp拡大した。純利益率も4.6%から5.7%へ116bp改善し、親会社株主に帰属する四半期純利益は24.9%増の44.64億円となった。建設事業は売上高が0.3%減の777.19億円であった一方、セグメント利益は22.6%増の83.88億円となり、工事採算の向上が確認できる。不動産事業は売上高1.78億円、セグメント利益0.50億円であり、連結利益への寄与は限定的である。建設事業のセグメント利益率は8.8%から10.8%へ約202bp改善した。一方で、全社費用を中心とするセグメント調整額は前年同期の15.33億円から18.71億円へ22.0%増え、売上高が伸びないなかで固定的な本社費用の負担は注視を要する。販管費は14.7%増の29.99億円となり、販管費率は3.3%から3.8%へ約51bp上昇したが、粗利率の改善がこれを上回った。経常利益は23.5%増の65.64億円で、営業利益との差額は小さく、利益の中心は本業収益である。特別利益は固定資産売却益0.01億円のみであり、純利益の増加は実質的に経常的な営業利益の改善に支えられている。営業外収益は0.95億円で売上高の0.1%にとどまり、受取配当金0.58億円を含むものの、本業利益を大きく補完する構造ではない。通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高74.2%、営業利益80.1%、経常利益81.0%、純利益81.2%であり、利益進捗は標準的な75%を上回る。通期予想の営業利益は前年比20.0%増、売上高は同6.1%増を前提としており、足元の高採算を維持しつつ第4四半期に売上を積み上げられるかが焦点となる。営業キャッシュフローおよび投資キャッシュフローの開示値が提供されていないため、営業CF対純利益、フリーキャッシュフローおよび利益の現金化の直接検証は本分析の対象外とする。

収益性分析

算定済みの年換算デュポン分析では、ROEは15.8%であり、純利益率5.7%×総資産回転率1.462倍×財務レバレッジ1.88倍によって説明される。ROEは15%超の水準で、利益率、資産効率、レバレッジがいずれも寄与するバランス型の収益構造である。最も顕著な前年同期比変化はマージンであり、粗利益率が210bp、営業利益率が157bp、純利益率が116bp改善した。売上高が0.3%減少するなかで営業利益が22.5%増加していることから、増益は売上成長ではなく個別工事の採算改善、原価管理、案件構成の改善による可能性が高い。建設事業のセグメント利益率が10.8%へ上昇したことは、この見方と整合する。建設事業のセグメント利益83.88億円は報告セグメント利益合計84.39億円の99.4%を占め、収益性改善のほぼ全てを同事業が担った。反面、不動産事業のセグメント利益率は前年同期の29.1%から28.1%へ低下しており、規模は小さいものの改善への寄与は限定的である。販管費は前年同期比14.7%増で売上高成長率を上回り、販管費率も約51bp上昇した。加えて、全社費用の調整額は22.0%増えているため、工事粗利改善が鈍化した場合には営業レバレッジが逆方向に働くリスクがある。税負担係数は0.680で、実効税率は32.0%であり、税負担は純利益率を一定程度抑制している。金利負担係数は1.000、インタレストカバレッジは84.19倍であり、支払利息0.78億円は営業利益に対して軽微である。粗利益率12.3%は品質アラートの20%未満に該当する。建設業では案件別の原価・進捗・契約条件が利益率を左右するため、低い絶対粗利率は異常とは限らないが、資材費、労務費、外注費の上振れまたは固定価格案件の採算悪化に対する利益感応度が高いことを示す。今回の粗利率改善は前向きだが、持続性の評価には今後の受注案件の採算、完成工事高の構成および工事損失の動向を継続的に確認する必要がある。

成長性評価

売上高は前年同期比0.3%減であり、第3四半期累計時点では数量・完成工事高による成長よりも、採算改善が利益成長を牽引している。建設事業売上高は0.3%減の777.19億円、不動産事業売上高は0.6%減の1.78億円であり、両セグメントとも売上面での拡大は限定的である。一方、連結営業利益は22.5%増、純利益は24.9%増であり、利益成長の質は営業段階の粗利改善に裏付けられている。経常利益65.64億円と税引前利益65.65億円はほぼ同水準で、特別損益への依存はない。会社通期予想に対する進捗率は売上高74.2%で標準進捗75%と概ね一致する一方、営業利益80.1%は標準を5.1pt、経常利益81.0%は6.0pt、純利益81.2%は6.2pt上回る。いずれも標準進捗から10%以上の乖離には至らず、現時点で通期予想を大幅に上振れると断定できる水準ではない。ただし、通期予想の営業利益82.00億円に対して残る必要利益は16.33億円であり、第4四半期に利益率が大きく悪化しなければ達成可能性は維持される。通期売上高予想1,050.00億円に対する残る必要売上高は271.02億円であり、前年同期比の売上横ばいから通期6.1%増収予想を実現するには、第4四半期の完成工事高の積み上げが重要となる。完成工事未収入金は371.76億円で前年同期比30.4%増加しており、売上計上後の回収管理は成長・資金効率の両面から重要である。

財務健全性

流動比率は241.2%、当座比率も241.2%であり、流動資産654.39億円は流動負債271.36億円を383.03億円上回る。流動比率が1.0倍を大幅に上回るため、短期債務の返済能力および満期ミスマッチのリスクは低い。有利子負債は61.09億円で、短期借入金17.96億円、長期借入金43.13億円から構成され、短期借入への過度な依存はみられない。Debt/Capital比率は13.9%と40%を大きく下回り、財務レバレッジは保守的である。負債資本倍率は0.88倍であり、警戒水準である2.0倍を下回る。支払利息0.78億円に対するインタレストカバレッジは84.19倍で、金利上昇局面への耐性も現時点では高い。純資産は前年同期の340.69億円から377.94億円へ10.9%増加し、自己資本の蓄積が進んだ。現金預金は前年同期比36.1%減の127.48億円となったが、現金は短期借入金17.96億円の7.10倍であり、借入金返済余力は確保されている。もっとも、完成工事未収入金は86.67億円増加して371.76億円となっており、現金減少と併せて、工事代金の回収タイミングおよび運転資本の変動を監視する必要がある。有形固定資産は60.7%増の4.66億円となったが、総資産に占める比率は0.7%であり、固定資産投資による資本負担は小さい。のれんは8.46億円で純資産の2.2%、総資産の1.2%にとどまり、片岡工業の企業結合に関する取得原価配分の確定はあるものの、のれん価値への依存度は低い。退職給付に係る負債15.92億円は固定負債の一部を構成するため、長期的には制度運用と割引率変動の影響を確認する必要がある。

B/S変動のポイント

現金預金: ▲72.08億円(前年同期比▲36.1%)- 127.48億円へ減少。流動性指標はなお強固だが、完成工事未収入金の増加と併せて営業キャッシュフローおよび回収状況の確認が必要。完成工事未収入金: +86.67億円(+30.4%)- 371.76億円へ増加。売上高が横ばいであるなか、工事代金の請求・回収タイミングが運転資本と現金創出を左右する。有形固定資産: +1.76億円(+60.7%)- 4.66億円へ増加。ただし総資産比0.7%にとどまり、現時点で設備投資負担は限定的。工事未払金: +26.23億円(+28.3%)- 118.82億円へ増加。未収入金の増加を一部相殺する運転資本上の資金源となり得る一方、支払サイトの変動を継続監視する必要がある。

キャッシュフロー品質

営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローおよび財務キャッシュフローの数値が提供されていないため、営業CF/純利益、フリーキャッシュフロー、設備投資・配当の資金カバー率を定量評価することはできない。したがって、営業CF/純利益が0.8倍未満であるかどうかに基づく利益の質の判定は行わない。運転資本の観点では、完成工事未収入金が前年同期比30.4%増の371.76億円へ拡大しており、売上高が横ばいであることを踏まえると、請求・回収の時期がキャッシュコンバージョンを左右する。工事未払金は28.3%増の118.82億円、電子記録債務は9.8%増の66.50億円となっており、仕入・外注先への支払条件の変動も運転資本に影響し得る。未成工事受入金は21.6%増の48.39億円で、未成工事支出金は43.3%減の12.61億円となっているため、進行工事に係る前受金の増加は資金負担を一部緩和する方向に働く。販売用不動産は53.30億円で前年同期の53.69億円から概ね横ばいであり、不動産在庫の急増による追加的な資金拘束は確認されない。現金預金は127.48億円へ減少しているため、今後は完成工事未収入金の回収ペースと営業キャッシュフローの整合性が最重要の確認項目となる。

配当持続性

第2四半期配当は1株当たり65.00円であり、第3四半期累計純利益44.64億円に対する配当性向は、提示された計算値で10.6%である。この10.6%は中間配当65.00円のみを対象とした配当金÷純利益であり、自社株買いを含む総還元性向ではない。会社の通期配当予想は1株当たり230.00円で、通期純利益予想55.00億円および期中平均株式数725.9万株を基にした年間配当性向は約30.4%となる。年間配当性向は60%未満であり、予想利益に対する配当負担は保守的である。純資産377.94億円、利益剰余金319.91億円および低いDebt/Capital比率13.9%は、配当の財務的な耐性を支える。もっとも、フリーキャッシュフローが未提示であるため、配当と設備投資を同時に賄う現金面の持続可能性については定量的な結論を置かない。完成工事未収入金の増加による資金滞留が続く場合には、会計利益と配当原資となる現金創出の乖離を確認する必要がある。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度(発生可能性: 高、影響度: 高): 粗利益率は12.3%と20%未満であり、建設事業では資材価格、技能労働者の不足・労務費、外注費の上昇、固定価格契約における原価超過が工事採算を圧迫し得る。今回の利益率改善の維持可能性を左右する最大の事業リスクである。、高優先度(発生可能性: 中、影響度: 高): 建設事業が報告セグメント利益の99.4%を占めるため、特定の大型案件の遅延、設計変更、瑕疵、発注者との精算・クレームは連結利益に直接的な影響を及ぼす。、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 売上高が前年同期比0.3%減である一方、通期では6.1%増収を予想している。第4四半期の完成工事高の計上時期が後ろ倒しとなる場合、通期売上計画へのリスクとなる。、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 天候・自然災害、安全規制、公共・民間投資の発注サイクルの変動は、施工進捗、人員配置および完成工事高の計上時期に影響する建設業固有のリスクである。が挙げられます。

財務リスクとしては、中優先度(発生可能性: 中、影響度: 中): 完成工事未収入金は前年同期比30.4%増の371.76億円であり、請求・回収の遅延または発注者の信用悪化が生じた場合、運転資本と現金残高を圧迫する。、低優先度(発生可能性: 低、影響度: 中): 現金預金は36.1%減少したが、流動比率241.2%、現金の短期借入金カバー7.10倍、インタレストカバレッジ84.19倍であり、現時点の流動性・借換えリスクは限定的である。、低優先度(発生可能性: 低、影響度: 中): のれん8.46億円は純資産の2.2%にとどまるが、企業結合後の収益計画が未達となる場合には、JGAAPにおける定額償却負担および将来的な減損の確認が必要となる。が挙げられます。

主な懸念事項としては、品質アラートである低粗利率12.3%は、建設案件の原価変動に対する利益感応度の高さを示す。前年同期比210bpの改善はポジティブだが、受注案件の価格転嫁と個別工事採算の維持が投資判断上の中核となる。、販管費は14.7%増、全社費用は22.0%増であり、売上横ばい局面で間接費の伸びが継続すれば、粗利改善の一部が相殺される。、キャッシュフロー計算書の数値が提供されていないため、営業利益・純利益の現金化、フリーキャッシュフロー、配当の現金カバーを検証できない。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、売上高横ばいにもかかわらず営業利益が22.5%増加しており、建設事業の採算改善が当期業績の中核である。、営業利益率は8.4%、年換算ROEは15.8%であり、提示ベンチマーク上は収益性が良好から優良の境界を上回る。、流動比率241.2%、Debt/Capital比率13.9%、インタレストカバレッジ84.19倍であり、B/Sの安全性は高い。、通期予想に対する営業利益・純利益の進捗は約80%で、標準進捗を上回るが、大幅な上振れを示す10%以上の乖離には達していない。、低粗利率、未収入金の増加、販管費および全社費用の増加が、今後の利益率とキャッシュ創出を判断する主要な論点である。が挙げられます。

注視すべき指標は、建設事業の売上総利益率・セグメント利益率、および工事損失・原価上振れの有無、完成工事未収入金371.76億円の回収推移と営業キャッシュフローへの転換、第4四半期の完成工事高271.02億円の達成状況と通期売上高1,050.00億円への進捗、販管費率および全社費用の増減、通期1株当たり配当230.00円と予想純利益55.00億円に対する配当性向です。

セクター内ポジションについては、収益性は年換算ROE15.8%と営業利益率8.4%を確保し、低レバレッジかつ高流動性を備える。一方、建設事業への利益集中と粗利益率12.3%という低い絶対水準から、相対的な評価は受注採算の持続性、原価上昇への価格転嫁、未収入金のキャッシュ化に強く左右される。