記事一覧に戻る
18332026 第3四半期プライムJGAAP

奥村組(1833) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益144%増

2026年度第3四半期の売上高は2,310億円(前年同期比+5.9%)、営業利益は138.2億円(同+143.9%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

株式会社奥村組

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥2309.7億¥2182.0億+5.9%
営業利益¥138.2億¥56.7億+143.9%
経常利益¥219.6億¥64.1億+242.4%
純利益¥170.2億¥50.3億+238.6%
ROE9.1%2.9%-

Executive Summary

2026年3月期第3四半期累計(9ヶ月)は、売上高2,309.7億円(前年比+127.7億円 +5.9%)、営業利益138.2億円(同+81.5億円 +143.9%)、経常利益219.6億円(同+155.5億円 +242.4%)、親会社株主に帰属する純利益170.2億円(同+119.9億円 +238.6%)と、増収大幅増益を達成。売上は堅調に拡大し、営業利益は前年の2.4倍超に急伸。経常利益・純利益は営業外収益と特別利益の寄与で3倍超の増益。EPS421.96円(前年183.54円から+129.9%)と1株あたり利益も大幅改善。粗利率12.9%と低位だが販管費抑制で営業利益率6.0%(前年2.6%から+3.4pt)へ改善。営業外収益91.5億円(受取配当金14.3億円・持分法投資利益59.3億円含む)と特別利益18.3億円(投資有価証券売却益17.8億円)が利益押上げに寄与。総資産4,231.9億円(前年比+297.2億円)、純資産1,880.2億円(同+155.7億円)で自己資本比率44.4%。現金預金は164.8億円(前年287.1億円から-42.6%)と減少し、短期借入金365.0億円を含む短期負債比率59.3%で流動性には注意が必要。

業績変動要因

【売上高】前年比+5.9%の増収は、土木事業・建築事業の両セグメントで受注拡大と工事進捗が寄与。土木事業は前年718.4億円から836.5億円へ+16.4%増、建築事業は前年1,364.4億円から1,385.9億円へ+1.6%増。投資開発事業は前年63.7億円から56.1億円へ-11.9%減少。外部環境では公共投資需要と民間設備投資が売上基盤を支え、工事採算の改善傾向も確認される。

【損益】売上原価2,011.0億円で売上総利益298.7億円(粗利率12.9%)。粗利率は前年12.3%から+0.6pt改善したものの業界水準を下回る。販管費160.5億円(販管費率6.9%)は前年149.8億円(同6.9%)から微増で、売上伸長に対し抑制効果が発揮された結果、営業利益138.2億円(営業利益率6.0%)は前年56.7億円(同2.6%)から+143.9%と急拡大。経常利益219.6億円への+81.4億円の差額は営業外収益の寄与で、受取配当金14.3億円、持分法投資利益59.3億円(営業外収益その他に含む)が主因。支払利息6.7億円等の営業外費用10.1億円を差し引き、営業外純増益81.4億円を計上。特別利益18.3億円(投資有価証券売却益17.8億円)・特別損失1.2億円(固定資産除売却損0.7億円)を計上し、税引前利益236.6億円。法人税等66.4億円(実効税率28.1%)、非支配株主利益18.9億円を控除後の親会社株主帰属純利益は170.2億円。経常利益と純利益の乖離は-22.5%で、税負担と非支配株主利益が主因。特別利益による一時的押上げがあるものの、営業段階での収益性改善が利益拡大の主軸。結論は増収大幅増益だが、営業外収益・特別利益の寄与が大きく、営業基盤の継続的改善とキャッシュ創出力の確認が今後の焦点。

セグメント別分析

土木事業(Engineering)は売上高836.5億円(全体の36.2%)、営業利益73.5億円(利益率8.8%)で主力事業の一角。前年718.4億円・営業利益20.9億円から大幅改善し、利益率は前年2.9%から+5.9pt上昇。公共工事・インフラ案件の受注拡大と採算改善が寄与。建築事業(Construction)は売上高1,385.9億円(全体の60.0%)、営業利益66.9億円(利益率4.8%)で最大の売上構成比を占める主力事業。前年1,364.4億円・営業利益46.3億円から増収増益で、利益率は前年3.4%から+1.4pt改善。民間建設需要と工事採算管理が奏功。投資開発事業(RealEstateInvestmentAndDevelopment)は売上高56.1億円(全体の2.4%)、営業損失5.3億円で赤字。前年63.7億円・営業損失13.4億円から売上減少も赤字幅は-8.1億円縮小。不動産販売タイミングの影響で損益変動が大きい。その他事業は売上高31.5億円、営業利益1.8億円で付帯事業として安定寄与。セグメント間の利益率差異は、土木8.8%・建築4.8%・投資開発-9.5%と大きく、投資開発事業の収益性改善が課題。

主要財務指標

【収益性】ROE 9.1%(純利益170.2億円÷純資産1,880.2億円、前年度ROE未記載で比較不可だが純利益が前年50.3億円から大幅増で相応に改善)、営業利益率6.0%(前年2.6%から+3.4pt)、純利益率7.4%(前年2.3%から+5.1pt)。粗利率12.9%は前年12.3%から微改善だが業界比較では低位。ROA(総資産利益率)4.0%(純利益170.2億円÷総資産4,231.9億円)で、前年1.3%から改善。【キャッシュ品質】現金及び預金164.8億円、短期負債1,658.1億円で現金カバレッジ0.10倍と低水準。流動資産2,512.7億円÷流動負債1,658.1億円で流動比率151.5%、(流動資産-棚卸資産)÷流動負債で当座比率約151.5%(棚卸資産18.2億円で影響軽微)。営業CF未開示のため純利益との対比は不可だが、現金減少-122.4億円(前年287.1億円→164.8億円)は流動性リスク要注視。【投資効率】総資産回転率0.55回転(売上高2,309.7億円÷総資産4,231.9億円)。投下資本利益率(ROIC)は投下資本を(純資産1,880.2億円+有利子負債615.1億円)=2,495.3億円、税引後営業利益を営業利益138.2億円×(1-実効税率28.1%)=99.4億円として3.98%と推定。前年比較不可だが業界目標を下回る水準。【財務健全性】自己資本比率44.4%(純資産1,880.2億円÷総資産4,231.9億円)、負債資本倍率1.25倍(負債2,351.7億円÷純資産1,880.2億円)、デットエクイティレシオ0.33倍(有利子負債615.1億円÷純資産1,880.2億円)で総じて保守的資本構成。有利子負債は短期借入金365.0億円・長期借入金250.1億円の計615.1億円。前年長期借入金50.1億円から+200.0億円と大幅増で、リファイナンスと資金使途の確認が必要。

キャッシュフロー分析

キャッシュフロー計算書の開示がないため、貸借対照表の前年比変動から資金動向を推定する。現金及び預金は前年287.1億円から164.8億円へ-122.4億円減少し、現金流出が確認される。流動資産全体は前年2,434.6億円から2,512.7億円へ+78.1億円増で、その内訳は完成工事未収入金等の売上債権2,111.3億円(前年比増減詳細不明だが営業資産の拡大を示唆)。一方、流動負債は前年1,614.6億円から1,658.1億円へ+43.5億円増で短期借入金365.0億円を含む。固定資産は前年1,500.1億円から1,719.2億円へ+219.1億円増で、投資有価証券726.2億円(前年比増減詳細不明だが有価証券売却益17.8億円計上)と有形固定資産683.7億円が主因。長期借入金は前年50.1億円から250.1億円へ+200.0億円と急増しており、設備投資・長期運転資本への充当または短期借入のリファイナンスが推測される。純資産は前年1,724.5億円から1,880.2億円へ+155.7億円増で、利益剰余金の積上げ(純利益170.2億円-配当推定-自社株買い等)が主因。短期負債1,658.1億円に対する現金164.8億円でカバレッジ0.10倍と極めて低く、流動性確保のため営業CFの安定創出が不可欠。運転資本は完成工事未収入金・前受金等が大きく、回収サイクルと支払サイクルの管理が資金繰りの鍵。

収益の質

経常利益219.6億円に対し営業利益138.2億円で、営業外純増益81.4億円が利益を押上げ。営業外収益91.5億円の構成は、受取配当金14.3億円、持分法投資利益(その他営業外収益に含まれると推定)約59.3億円(経常-営業+営業外費用の逆算)が主因で、金融収益と関連会社持分利益が大きく寄与。受取利息0.9億円は軽微。営業外費用10.1億円は支払利息6.7億円が主。特別利益18.3億円は投資有価証券売却益17.8億円がほぼ全額で、非経常的要因。特別損失1.2億円は固定資産除売却損0.7億円と軽微。結果、税引前利益236.6億円のうち営業利益138.2億円が58.4%、営業外・特別損益が99.7億円(41.6%)を構成し、営業基盤外の利益寄与が大きい。営業CFが純利益を上回るかは未確認だが、現金預金減少-122.4億円は利益計上とキャッシュ創出のギャップを示唆。営業利益の改善傾向は評価できるが、収益の質は持分法投資と有価証券売却の依存度が高く、経常的営業利益の積上げが今後の焦点。

株主還元

中間配当113円を実施し、期末配当予想103円と合わせ年間配当216円を見込む(会社発表の年間配当予想154円は後段修正で216円が最新見込みと推定)。前年配当データ未記載で前年比較不可。配当性向は純利益170.2億円、発行済株式数38,665千株(自己株式除く期中平均35,876千株)で、年間配当216円×35,876千株=77.5億円として45.5%。実績EPS421.96円に対し配当216円でも配当性向51.2%と適正水準。現金預金164.8億円、短期負債1,658.1億円で配当原資の現金カバー率は低く、営業CFによる配当サポートが前提。自社株買い実績の記載なし。総還元性向は配当性向と同じ45.5-51.2%の範囲。配当は増配基調と推定されるが、現金減少と短期負債比率の高さを踏まえ、キャッシュ創出力の維持が配当持続性の鍵。

リスク要因

  1. 流動性リスク: 現金預金164.8億円に対し短期借入金365.0億円・流動負債1,658.1億円で、現金カバレッジ0.10倍と極めて低水準。短期負債比率59.3%で満期集中リスクがあり、営業CFと借入リファイナンスの円滑化が不可欠。金利上昇局面では利払負担が増大し収益を圧迫。
  2. 工事採算リスク: 粗利率12.9%と低位で、資材価格・人件費・外注費の上昇が利益率をさらに圧迫する可能性。大型案件の受注競争激化や工事遅延による追加コストが発生すれば営業利益の急減も懸念。受注残高・受注高の開示がなく、将来の売上可視性が限定的。
  3. 非経常利益依存: 経常利益の37%が営業外収益(持分法投資利益・配当金)、特別利益17.8億円が投資有価証券売却益で、非反復的要因への依存度が高い。持分法適用会社の業績悪化や有価証券市場の下落は利益押下げ要因。営業利益の持続的拡大が実現しない場合、次期以降の利益水準が大きく低下するリスク。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 収益性: 営業利益率6.0%は業種中央値4.1%(IQR 1.9-5.8%、2025年Q3、n=4)を上回り業種内で上位。純利益率7.4%も業種中央値2.8%(IQR 1.3-4.0%)を大幅に上回る。ROE 9.1%は業種中央値3.7%(IQR 1.7-6.6%)を大きく上回り収益性は業種比較で良好。ただし営業外・特別利益の寄与が大きい点を考慮すると、経常営業基盤の収益性は業種平均並みと推定。 健全性: 自己資本比率44.4%は業種中央値60.5%(IQR 56.2-67.8%)を下回り、業種内では相対的に低位。流動比率151.5%は業種中央値207%(IQR 190-318%)を下回り、流動性面でも業種平均を下回る。現金/短期負債カバレッジの低さと合わせ、財務健全性は業種比で改善余地あり。 効率性: 総資産利益率(ROA)4.0%は業種中央値2.2%(IQR 1.0-3.6%)を上回り、資産効率は良好。売上高成長率+5.9%は業種中央値-3.5%(IQR -13.7〜6.2%)を上回り、トップライン拡大でも業種内で優位。ネットデット/EBITDA倍率は有利子負債615.1億円、EBITDAを営業利益138.2億円+減価償却費(未開示)として推定困難だが、業種中央値2.31倍(IQR 0.06-11.12)の範囲内と推測。 (業種: 建設業、比較対象: 2025年Q3決算期、出所: 当社集計公開決算データ)

決算上の注目ポイント

  1. 営業増益基調の確立と非経常利益の識別: 営業利益率6.0%へ改善し業種平均を上回る収益性を示すが、経常利益の37%が営業外収益、特別利益17.8億円が有価証券売却益で、非経常的要因の寄与が大きい。今後は経常営業利益の持続的拡大と粗利率改善(現状12.9%)が注目ポイント。工事採算管理の深化と高採算案件シフトが鍵。
  2. 流動性管理とキャッシュフロー創出力: 現金預金-122.4億円減少、現金/短期負債0.10倍と流動性は業種比で脆弱。営業CF開示がなく利益のキャッシュ裏付けが未確認であり、配当性向51.2%の持続性は営業CF次第。長期借入金+200.0億円増は資金調達力を示すが、返済スケジュールと運転資本効率のモニタリングが不可欠。
  3. 資本効率向上の余地: ROIC約4.0%は投下資本利益率として低位で、業種内でも改善余地。ROE 9.1%は業種平均を上回るが、自己資本比率44.4%(業種中央値60.5%)で財務レバレッジ依存の側面あり。設備投資・不動産投資の選別と収益性の高い案件への資本集中で、ROIC10%超への引上げが構造的課題。

本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年3月期第3四半期累計は、完成工事総利益率の改善を主因に、売上高の小幅増収を大幅な営業・経常増益へ転換した。売上高は前年同期比5.9%増の2,309.72億円である。営業利益は同143.9%増の138.20億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同123.9%増の151.37億円となった。営業利益率は前年同期の2.6%から6.0%へ338bp上昇した。親会社株主帰属純利益率も3.1%から6.5%へ345bp上昇した。粗利益率は前年同期の9.8%から12.9%へ309bp改善しており、販管費が同2.0%増にとどまったことも営業レバレッジを高めた。建設事業では土木のセグメント利益が前年同期比251.7%増となり、全社利益拡大の中心である。建築事業も増益を確保した一方、投資開発事業は赤字を継続した。経常利益は219.57億円と営業利益を81.37億円上回り、営業外収益91.51億円の寄与が大きい。営業外収益には受取配当金14.30億円、受取利息0.92億円が含まれる。特別利益18.28億円のうち17.78億円は投資有価証券売却益であり、税引前利益および純利益には非経常的な押上げも含まれる。通期会社予想に対する第3四半期の進捗率は、売上高76.4%、営業利益90.9%、経常利益124.8%、親会社株主帰属利益111.3%である。特に経常利益と純利益は通期予想を既に上回っており、現在の予想は第4四半期の利益変動に対して慎重な前提を置く内容と読める。流動比率151.5%、インタレストカバレッジ20.72倍、Debt/Capital24.6%は、現時点の債務負担能力を支える。もっとも、長期借入金は前年同期比399.5%増の250.05億円となり、現金預金は42.6%減の164.78億円である。現金/短期借入金は0.45倍にとどまり、資金繰りの柔軟性と短期借入金の借換え条件は注視を要する。完成工事未収入金は2,111.28億円と売上高の91.4%に相当し、建設業固有の請求・回収タイミングが運転資本と資金需要を左右する。工事損失引当金27.53億円も、個別工事の採算管理を継続的に確認すべき水準である。

収益性分析

年換算ROEは10.7%であり、デュポン分解では純利益率6.5%×総資産回転率0.728回×財務レバレッジ2.25倍で説明される。ROEを支える最大の改善要因は、前年同期比345bp上昇した純利益率であり、資産回転率やレバレッジよりも収益性改善の寄与が大きい。営業利益率は2.6%から6.0%へ338bp改善し、粗利益率も9.8%から12.9%へ309bp上昇した。完成工事ベースの総利益率も10.1%から13.0%へ約285bp改善しており、土木・建築案件の採算改善が示唆される。販管費は160.49億円で前年同期比2.0%増と売上高の5.9%増を下回り、粗利益の増加が営業利益に効率良く転化した。セグメント利益の増分は土木事業が中心であるため、現在の高収益性は土木案件の採算・進捗に依存する度合いが高い。財務レバレッジ2.25倍はROEを増幅する一方、有利子負債615.06億円の資金コストおよび借換え環境への感応度も高める。CFA5因子では税負担係数は0.640、金利負担係数は1.712である。金利負担係数が1を大きく上回るのは、営業外収益が支払利息を上回り、税引前利益が営業利益を大幅に上回ったためである。したがって、ROEの改善には本業の粗利率改善に加え、営業外損益と投資有価証券売却益の寄与も含まれ、全額を継続的な工事採算改善とはみなしにくい。年換算ROAは約4.8%であり、ROE10.7%との差は主として2.25倍の財務レバレッジによる。

成長性評価

売上高は5.9%増にとどまる一方、営業利益は143.9%増であり、成長の質は売上量よりも案件採算および固定費吸収の改善に依存する。土木事業の外部売上高は836.47億円で前年同期比16.4%増、セグメント利益率は2.9%から8.8%へ大幅に改善した。建築事業の外部売上高は1,385.90億円で同1.6%増、セグメント利益率は3.4%から4.8%へ改善した。投資開発事業の外部売上高は55.83億円で同12.4%減となったが、セグメント損失は13.44億円から5.35億円へ縮小した。その他事業の外部売上高は31.51億円で同11.2%減、セグメント利益は2.57億円から1.80億円へ減少した。通期予想は売上高3,025.00億円、営業利益152.00億円、経常利益176.00億円、親会社株主帰属利益136.00億円である。第3四半期進捗率は標準的な75%に対し、売上高が1.4ポイント上振れ、営業利益が15.9ポイント、経常利益が49.8ポイント、親会社株主帰属利益が36.3ポイント上振れしている。第4四半期に会社予想を達成するためには、売上高715.28億円、営業利益13.80億円、経常損失43.57億円、親会社株主帰属損失15.37億円が計算上必要となる。予想と実績の乖離は、工事進捗の期末偏在、保守的な採算見通し、または営業外・特別損益の非反復性を織り込んだ可能性がある。なお、会社は第3四半期に業績予想および配当予想を修正している。

財務健全性

流動資産2,512.68億円に対し流動負債は1,658.06億円で、運転資本は854.62億円、流動比率および当座比率はともに151.5%である。流動比率は150%超であり、流動負債への資産カバーは健全な水準にある。総負債2,351.66億円、純資産1,880.21億円から算出される負債資本倍率は1.25倍で、警戒水準の2.0倍を下回る。有利子負債は615.06億円で、内訳は短期借入金365.01億円、長期借入金250.05億円である。Debt/Capital比率は24.6%であり、資本構成は過度な負債依存ではない。インタレストカバレッジは20.72倍で、支払利息6.67億円に対する営業利益の余力は大きい。一方、短期負債比率59.3%は40%の警戒目安を上回り、短期資金への依存度が高いことを示す。現金預金164.78億円は短期借入金365.01億円の0.45倍であり、0.5倍未満の流動性ストレス警告に該当する。流動資産には完成工事未収入金2,111.28億円が含まれるため、短期債務の実質的な返済原資は工事代金の回収速度に大きく依存する。長期借入金は前年同期の50.06億円から250.05億円へ199.99億円増加し、資金調達の長期化または借入構成の変更を示す。対照的に短期借入金は73.00億円減少しており、借入期間の長期化は満期集中の緩和に寄与し得るが、現金預金は122.36億円減少している。固定負債には資産除去債務4.83億円および固定引当金4.82億円が含まれる。無形固定資産は総資産の0.3%にとどまり、無形資産・のれんへの資産価値依存は限定的である。

B/S変動のポイント

長期借入金: +199.99億円(前年同期比+399.5%)- 短期借入金が73.00億円減少する一方で長期借入金が大幅増加しており、借入期間の長期化または資金調達構成の変更を示す。満期分散と金利条件の監視が必要。現金預金: -122.36億円(前年同期比-42.6%)- 現金/短期借入金は0.45倍まで低下している。流動性は完成工事未収入金の回収に大きく依存する。完成工事未収入金: +205.60億円(前年同期比+10.8%)- 売上高成長率+5.9%を上回る増加であり、売上高の91.4%を占める。請求・回収の進捗が運転資本と資金繰りの主要変数となる。投資有価証券: +122.23億円(前年同期比+20.2%)- 総資産の17.2%を占める。評価差額および売却損益は純資産・包括利益・期間利益の変動要因であり、当期は投資有価証券売却益17.78億円を計上した。その他有価証券評価差額金: +86.81億円(前年同期比+28.7%)- 純資産の増加に寄与する一方、市場価格変動による包括利益・自己資本の変動余地を示す。

キャッシュフロー品質

完成工事未収入金は前年同期比10.8%増の2,111.28億円で、売上高の伸び率5.9%を上回る。完成工事未収入金は売上高の91.4%に相当しており、出来高請求の回収時期が運転資本を左右する建設業の特性が強く表れている。未成工事受入金は147.13億円で前年同期比18.9%減少しており、前受金による資金調達の緩衝効果は前年同期より縮小した。未成工事支出金は46.65億円で前年同期比12.6%減少しており、未成案件への資金滞留は抑制されている。仕掛品は18.19億円であり、仕掛品比率100.0%という品質警告は、棚卸資産の構成が仕掛品に集中していることを示す。建設業では工事進行に伴う仕掛資産の保有は事業特性上通常であるが、個別案件の原価見積り、進捗認識、回収可能性に誤差が生じた場合には損益変動が増幅され得る。工事損失引当金27.53億円を計上しているため、赤字見込み案件の追加発生や引当金の積み増しがないかが重要である。現金預金は164.78億円と前年同期比42.6%減少しており、借入金の長期化と併せ、利益の現金化および請求債権回収を重点的に確認すべきである。

配当持続性

第2四半期配当は1株当たり110.00円である。会社の通期配当予想は1株当たり264.00円であり、第2四半期実績を控除した期末配当予想は154.00円となる。通期予想配当総額は期中平均株式数3,587.6万株を用いた概算で94.7億円である。通期の親会社株主帰属利益予想136.00億円に対する配当性向は約69.6%で、配当のみの持続可能性目安である60%を上回る。第3四半期累計の親会社株主帰属利益151.37億円は通期予想を上回っており、現時点の利益水準が維持されれば予想配当の利益カバーは改善する。一方、累計利益には投資有価証券売却益17.78億円が含まれるため、配当評価では本業利益、営業外収益、および一時益を分けてみる必要がある。自己株式の取得額に関する数値は示されていないため、配当性向と総還元性向は区別して評価する。自己株式は94.85億円で、前年同期比18.9%増加している。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度:土木事業のセグメント利益率が2.9%から8.8%へ改善して全社増益を牽引しており、主要大型案件の原価上振れ、工期遅延、設計変更は利益率を大きく変動させ得る。、高優先度:完成工事未収入金2,111.28億円は売上高の91.4%であり、発注者の検収・請求・回収の遅延が資金繰りに波及するリスクがある。、中優先度:工事損失引当金27.53億円は不採算工事リスクを示す。資材価格、労務費、外注費の上昇や固定価格契約におけるコスト転嫁不足は、追加引当と粗利率低下につながり得る。、中優先度:建設業固有の技能労働者不足、高齢化、鉄鋼・セメント等の資材価格変動、天候・自然災害による工期遅延は、工事採算と進捗に影響する。、中優先度:投資開発事業はセグメント損失5.35億円まで改善したが赤字が継続しており、不動産市況、金利、保有物件の収益性が下振れ要因となる。が挙げられます。

財務リスクとしては、高優先度:短期負債比率59.3%は40%の警戒目安を上回る。借換え金利の上昇または金融機関の与信姿勢変化が、資金コストと調達余力に影響し得る。、高優先度:現金/短期借入金0.45倍は0.5倍未満である。流動性は流動比率151.5%で支えられるが、流動資産の大半が完成工事未収入金であるため、即時現金化可能な資金には制約がある。、中優先度:長期借入金は前年同期比399.5%増の250.05億円であり、短期借入金の減少を上回る負債期間構成の変化が生じている。負債総額、満期分散、借入条件の推移を確認する必要がある。、中優先度:投資有価証券は726.20億円で総資産の17.2%を占め、評価差額の変動や売却損益が包括利益・純資産・期間利益を左右する。が挙げられます。

主な懸念事項としては、営業外収益91.51億円および投資有価証券売却益17.78億円が利益を押し上げているため、営業利益率改善のみを基礎とした収益力評価は慎重を要する。、低粗利警告の粗利益率12.9%は20%基準を下回る。ただし建設業では20%未満の粗利率は必ずしも異常ではなく、前年同期比309bp改善している点が重要である。、仕掛品過剰警告は仕掛品構成への集中を示すが、建設業の工事進行特性を踏まえて、未成工事支出金、個別案件原価、工事損失引当金を一体で監視すべきである。、受注高、受注残高、案件別の採算・工期、営業キャッシュフローおよび設備投資の数値は提供範囲に含まれないため、売上継続性、資金化の速度、投資余力の検証には前提を置く必要がある。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、売上高5.9%増に対して営業利益143.9%増となり、粗利益率改善と販管費抑制による収益レバレッジが顕著である。、土木事業はセグメント利益寄与率53.7%で最大の主力事業となり、同事業の高採算維持が全社利益の主要論点である。、経常利益および親会社株主帰属利益は通期予想を第3四半期時点で上回るが、営業外収益と投資有価証券売却益を含む点には留意を要する。、流動比率151.5%とインタレストカバレッジ20.72倍は強みである一方、現金/短期借入金0.45倍、短期負債比率59.3%は資金流動性の監視点である。、通期予想配当264.00円に対する予想配当性向は約69.6%であり、利益水準および資金回収の継続性が重要となる。が挙げられます。

注視すべき指標は、土木・建築別の完成工事総利益率および工事損失引当金、完成工事未収入金の増減、売上高比率、未成工事受入金、短期借入金、長期借入金、現金/短期借入金、および借入金利、投資有価証券の評価差額・売却損益および営業外収益への寄与、第4四半期の営業利益、経常損益、親会社株主帰属損益と通期予想との差異です。

セクター内ポジションについては、年換算ROE10.7%は10~15%の良好水準に位置し、純利益率6.5%も5~10%の良好水準である。一方、営業利益率6.0%は一般的な8%基準には届かず、建設業としては改善途上の収益性である。低い無形資産比率0.3%とDebt/Capital24.6%は資産・資本構成の安定性を支えるが、短期資金依存と請求債権の大きさは同業比較で重要な評価軸となる。