- 売上高: 1,513.01億円
- 営業利益: 96.52億円
- 当期純利益: 103.95億円
- 1株当たり当期純利益: 277.35円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 1,513.01億円 | 1,393.39億円 | +8.6% |
| 売上原価 | 1,311.45億円 | 1,277.90億円 | +2.6% |
| 売上総利益 | 201.56億円 | 115.48億円 | +74.5% |
| 販管費 | 105.03億円 | 107.57億円 | -2.4% |
| 営業利益 | 96.52億円 | 7.91億円 | +1120.2% |
| 営業外収益 | 40.56億円 | 8.82億円 | +359.9% |
| 営業外費用 | 7.37億円 | 47.75億円 | -84.6% |
| 経常利益 | 129.71億円 | -31.01億円 | +518.3% |
| 税引前利益 | 147.08億円 | -15.87億円 | +1026.8% |
| 法人税等 | 43.13億円 | 19.44億円 | +121.9% |
| 当期純利益 | 103.95億円 | -35.32億円 | +394.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 99.50億円 | -3.24億円 | +3171.0% |
| 包括利益 | 134.97億円 | -60.48億円 | +323.2% |
| 減価償却費 | 15.32億円 | 19.96億円 | -23.2% |
| 支払利息 | 4.29億円 | 3.26億円 | +31.6% |
| 1株当たり当期純利益 | 277.35円 | -8.80円 | +3251.7% |
| 1株当たり配当金 | 113.00円 | 113.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 2,265.64億円 | 2,411.35億円 | -145.71億円 |
| 現金預金 | 125.21億円 | 287.14億円 | -161.93億円 |
| 固定資産 | 1,601.22億円 | 1,523.30億円 | +77.92億円 |
| 有形固定資産 | 670.45億円 | 651.64億円 | +18.81億円 |
| 無形資産 | 13.83億円 | 15.44億円 | -1.61億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 185.48億円 | -161.82億円 | +347.30億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -213.06億円 | 21.95億円 | -235.01億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 6.6% |
| 粗利益率 | 13.3% |
| 流動比率 | 163.0% |
| 当座比率 | 163.0% |
| 負債資本倍率 | 1.14倍 |
| インタレストカバレッジ | 22.50倍 |
| EBITDAマージン | 7.4% |
| 実効税率 | 29.3% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +8.6% |
| 営業利益前年同期比 | -87.7% |
| 経常利益前年同期比 | +70.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +351.7% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 38.67百万株 |
| 自己株式数 | 2.79百万株 |
| 期中平均株式数 | 35.88百万株 |
| 1株当たり純資産 | 5,037.64円 |
| EBITDA | 111.84億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 113.00円 |
| 期末配当 | 103.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| Construction | 936.48億円 | 41.25億円 |
| Engineering | 524.91億円 | 54.61億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 3,025.00億円 |
| 営業利益予想 | 130.00億円 |
| 経常利益予想 | 152.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 123.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 342.90円 |
| 1株当たり配当金予想 | 130.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の奥村組は、売上増にもかかわらずコア収益力が弱含み、非営業要因に大きく依存して純利益を確保した決算です。売上高は1,513.01億円で前年同期比+8.6%と増収を確保しました。売上総利益は201.56億円で粗利率は13.3%と開示値に整合、販管費105.03億円を差し引いた営業利益は96.52億円にとどまり、前年同期比-87.7%と大幅減益です。営業利益率は6.4%で、構造的な採算低下(原価負担上昇や価格転嫁遅れ)が示唆されます。一方、営業外収益40.56億円(受取配当7.81億円、受取利息0.70億円等)と営業外費用7.37億円の差分が利益を押し上げ、経常利益は129.71億円(+70.3%)と大幅増益になりました。営業利益率から経常利益率への上積みは+219bp(6.38%→8.57%)で、非営業要因の寄与が極めて大きい四半期でした。経常から純利益への段階で税負担等により-199bp(8.57%→6.58%)縮小したものの、純利益は99.50億円で前年同期比+351.7%と急増しています。EPSは277.35円と着地しました。営業CFは185.48億円で純利益の1.86倍と高く、利益の現金化は良好です。流動比率163%、当座比率163%と流動性は健全、インタレストカバレッジ22.5倍と支払能力も強固です。もっとも、ROICは3.4%と資本コスト想定を下回る水準で、資本効率の弱さが際立ちます。営業外収入比率は40.8%に達し、収益の質(持続性)に懸念が残ります。貸借対照表では投資有価証券657.35億円が厚く、市場変動の影響を受けやすい構造です。財務CFは-213.06億円(うち自己株買い-16.02億円を含む)と資本還元・負債返済が進みましたが、FCFや設備投資の開示がなく持続性評価に制約があります。営業→経常で+219bpの拡大、経常→純利益で-199bpの縮小というマージン段階の変化から、当期は本業収益よりも非営業要因が純利益を牽引した構図が明確です。将来に向けては、受注環境・工事採算の回復、原価上昇の転嫁進捗、ならびに非営業収益依存度の低減がカギとなります。配当性向は83.9%と高く、現状のROIC・営業利益水準では慎重なモニタリングが必要です。総じて、キャッシュ創出は良好ながら、本業の採算是正と資本効率改善が最重要課題です。
DuPont分析(ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ)に基づき、ROE5.5%は、純利益率6.6%×総資産回転率0.391×財務レバレッジ2.14により説明されます。今期の変化で最も目立つ要素は純利益率で、営業段階の弱さにもかかわらず非営業収益(営業外収入比率40.8%)が嵩上げし、経常段階でのマージンを+219bp押し上げた点です。ビジネス要因としては、工事採算の悪化(原材料・労務費の上昇、固定価格契約のコスト超過)や採算ミックスの悪化で営業利益率が低下する一方、受取配当や金融収益など投資ポートフォリオ由来の収益がROEを下支えした構図です。非営業起因のマージン押し上げは市況・市況関連投資の価格や金利環境に左右されやすく、持続性は低めと評価します。総資産回転率0.391は建設業のビジネスモデル(大型案件の仕掛金・前受金等で資産が嵩む)を反映し、短期的な大幅改善余地は限定的です。販管費率は6.94%(=105.03/1,513.01)で、売上成長(+8.6%)に対し販管費の絶対額も高止まり、営業レバレッジが効いていません。懸念点として、売上総利益率13.3%に対し営業利益率6.4%までのブリッジが薄く、原価上振れ・現場採算の毀損がROEのボトルネックになっています。
売上は+8.6%とトップラインは堅調で、受注残の消化が進んだとみられますが、営業利益は-87.7%と大幅減益で、成長の質は低下しました。経常利益+70.3%、純利益+351.7%は非営業収益・特別要因の寄与が大きいと推察され、持続的な成長を示すものではありません。今後の持続可能性は、(1) 新規受注の価格条件(インフレ転嫁)改善、(2) 工期遅延・追加工事の回収進捗、(3) サプライチェーン安定化による原価低減、に依存します。投資有価証券657.35億円に伴う受取配当・評価変動は短期的な収益クッションとなり得ますが、ボラティリティ源でもあります。ROIC3.4%は課題で、資本配賦(選択的受注・不採算案件抑制、投資ポートフォリオのリバランス)による改善余地が焦点です。EBITDAマージン7.4%と薄く、価格交渉力・施工効率の引き上げが必要です。短期的見通しは、非営業収益が利益を平準化する一方、コア事業の採算回復速度が業績の上振れ/下振れを左右する展開です。
流動比率163%・当座比率163%で短期流動性は健全域にあります。総負債2,059.81億円に対し純資産1,807.04億円、負債資本倍率1.14倍と過度なレバレッジではありません。短期借入金88.01億円に対し現金預金125.21億円、さらに流動資産2,265.64億円を備え、満期ミスマッチリスクは限定的です。インタレストカバレッジ22.5倍と利払い余力は十分です。長期借入金250.05億円があり、金利上昇局面では財務費用増加の感応度に留意が必要です。投資有価証券657.35億円は含み益・評価変動を通じて自己資本のボラティリティ源となり得ます。オフバランス債務の情報は未記載で、保証債務・JV関連債務の潜在リスクは評価に制約があります。自己資本比率は未開示ですが、総資産/純資産からみて概ね47%程度と推計され、財務の安定性は相対的に良好と考えます(厳密値は未開示)。
営業CFは185.48億円で純利益99.50億円の1.86倍と高品質です。運転資本の詳細(売上債権・仕掛・前受等)は未記載のため、営業CFの増勢に運転資本の一時的な解放が含まれる可能性は否定できません。投資CF・設備投資額が未開示のため、FCF(営業CF−投資CF)の持続性や成長投資との両立は評価に制約があります。財務CFは-213.06億円で、自己株買い-16.02億円に加え、配当・借入返済等による資金流出が示唆されます。営業CFが健全である一方、非営業要因依存で利益が変動しうる点、並びに投資CF不明によりFCFカバレッジの確度は中程度です。運転資本操作の明確な兆候は本データからは特定できませんが、建設業特有の前受金・出来高調整の影響が営業CFにバイアスを与える点には留意が必要です。
配当性向(計算値)は83.9%と高く、ベンチマーク<60%を上回っており、利益変動が大きい局面では持続可能性に注意が必要です。配当総額・年間配当・FCFが未記載のため、FCFベースのカバレッジは算定不能です。営業CFは185.48億円と厚みがあり、平時の配当原資としては一定の余力が見込まれますが、投資CFが不明なため過大な資本還元が成長投資を圧迫するリスクは残ります。自己株買いは-16.02億円と穏当な水準で、当期のキャッシュ創出力に照らせば無理はないと見ます。今後は、(1) コア利益の安定化、(2) 投資CFの開示強化、(3) ROIC改善の進捗に応じた配当方針の機動的見直し、が持続性評価の鍵となります。
ビジネスリスク:
- 工事採算の悪化(原材料・労務費上昇、固定価格契約におけるコスト超過)
- 受注環境の変動(公共投資・民需のサイクル影響)
- 工期遅延・追加工事の未回収による粗利率圧迫
- 大型案件の集中による損益のボラティリティ上昇
- 投資有価証券収益への依存上昇による事業外要因の影響拡大
財務リスク:
- ROIC3.4%と資本コストを下回る資本効率の低さ
- 評価変動リスク(投資有価証券657.35億円)による自己資本のボラティリティ
- 金利上昇局面での利払い増(長期借入金250.05億円)
- 配当性向の高さ(83.9%)に伴う財務柔軟性の低下リスク
主な懸念事項:
- 営業利益の大幅減益(-87.7%)と営業利益率の低下
- 経常利益・純利益が非営業収益に大きく依存している点(営業→経常で+219bp)
- FCF・設備投資・配当総額の未開示により資本配分の持続性評価が制約される点
- 受注単価のインフレ転嫁の進捗不透明感
重要ポイント:
- トップラインは堅調(+8.6%)だが、営業段階の収益力が大幅に弱含み
- 非営業収益の寄与で経常・純利益を確保(営業→経常で+219bp)
- 営業CFは純利益の1.86倍と高品質だが、FCF未開示で持続性評価は限定的
- 資本効率(ROIC 3.4%)が低く、資本コストを下回る
- 流動性・支払能力は健全(流動比率163%、ICR 22.5倍)
- 投資有価証券の厚み(657.35億円)が収益のクッションとボラティリティ源の両面
注視すべき指標:
- 受注高・受注残と単価ミックス
- 売上総利益率と工事採算(原価率)の推移
- 販管費率と営業レバレッジ
- 非営業収益の内訳(配当・利息・売却益など)と依存度
- ROICと投下資本の回転、稼働資本の最適化
- 投資CF(設備投資・M&A)とFCFの開示・推移
- Debt/EBITDAと金利感応度
セクター内ポジション:
国内ゼネコン同業内で、当期は採算面の逆風が強く収益性指標で見劣り。一方で財務体質・流動性は堅固で、非営業収益による利益平準化余地が相対的に大きい。中期的な評価は受注条件の是正とROIC改善の進捗に依存。
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