| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥30672.8億 | ¥29118.2億 | +5.3% |
| 営業利益 | ¥2407.8億 | ¥1518.8億 | +58.5% |
| 経常利益 | ¥2404.2億 | ¥1606.6億 | +49.6% |
| 純利益 | ¥1469.2億 | ¥1047.5億 | +40.3% |
| ROE | 10.2% | 8.2% | - |
2026年3月期決算は、売上高3兆672.8億円(前年比+1,554.6億円 +5.3%)、営業利益2,407.8億円(同+889.0億円 +58.5%)、経常利益2,404.2億円(同+797.6億円 +49.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,469.2億円(同+421.7億円 +40.3%)と、増収大幅増益で着地した。営業利益率は7.8%と前年5.2%から2.6pt拡大し、粗利率も13.9%(前年11.1%から+2.8pt)へ改善した。完成工事総利益は3,472.7億円と前年比+51.5%増加し、開発事業等総利益は786.0億円(粗利率20.2%)を確保した。セグメント別ではEngineering(営業利益767.4億円、利益率17.8%)とDevelopment(176.1億円、18.3%)が高収益性を示し、主力のConstruction(832.9億円、7.0%)が絶対額で最大の貢献を果たした。特別利益175.1億円(投資有価証券売却益152.7億円等)が税前利益を押し上げたが、営業段階の改善が収益拡大の主因である。
【売上高】売上高は前年比+5.3%増の3兆672.8億円となった。完成工事売上高は2兆6,786.8億円(前年2兆5,110.0億円、+6.7%)、開発事業等売上高は3,885.9億円(前年4,008.1億円、-3.0%)で構成される。セグメント別では、Engineering4,307.7億円、Construction1兆1,829.0億円、Development964.2億円、DomesticAssociateCompanies4,146.7億円、OverseasAssociateCompanies1兆919.6億円と、海外関係会社が売上規模で最大の比重を占めた。主力の建設事業における工事採算の改善と、国内外での工事進捗が増収に寄与した。
【損益】売上原価は2兆6,414.1億円で、売上総利益は4,258.7億円(粗利率13.9%、前年11.1%から+2.8pt改善)となった。完成工事粗利率は13.0%(前年9.1%)、開発事業等粗利率は20.2%(前年23.4%)で、完成工事の採算改善が顕著である。販管費は1,850.9億円(前年1,713.1億円、+8.0%増)と増加したものの、売上総利益の大幅拡大により営業利益は2,407.8億円(前年比+58.5%)と大幅増益を実現した。営業外収益は358.5億円(受取利息208.9億円、受取配当金77.0億円等)、営業外費用は362.1億円(支払利息260.7億円等)でネットの金融収支は小幅マイナス。経常利益は2,404.2億円(+49.6%)となった。特別利益175.1億円(投資有価証券売却益152.7億円、固定資産売却益21.5億円)と特別損失25.4億円(減損損失6.5億円、固定資産除売却損8.0億円等)を計上し、税引前利益は2,553.9億円(+45.0%)となった。法人税等766.0億円(税負担率30.0%)を控除後、非支配株主に帰属する純利益14.6億円を除き、親会社株主に帰属する当期純利益は1,469.2億円(+40.3%)となった。結論として、完成工事の粗利率改善と高収益セグメント(Engineering、Development)の貢献により、増収大幅増益を達成した。
Engineering(売上高4,307.7億円、営業利益767.4億円、利益率17.8%)は高収益性を維持し、全社営業利益の31.9%を占める主力セグメントである。Construction(売上高1兆1,829.0億円、営業利益832.9億円、利益率7.0%)は売上規模で最大であり、営業利益の絶対額でも最大の貢献を果たした。Development(売上高964.2億円、営業利益176.1億円、利益率18.3%)は小規模ながら高マージンで収益を牽引した。DomesticAssociateCompanies(売上高4,146.7億円、営業利益357.7億円、利益率8.6%)は国内関係会社の安定的な利益創出を示す。一方、OverseasAssociateCompanies(売上高1兆919.6億円、営業利益266.6億円、利益率2.4%)は売上規模が大きいものの利益率が低く、全社収益性を希釈する要因となっている。海外事業の採算改善が今後の収益性向上の鍵となる。
【収益性】営業利益率7.8%(前年5.2%から+2.6pt改善)、純利益率4.8%(前年3.6%から+1.2pt改善)と、収益性は大幅に向上した。ROE10.2%(純資産1兆4,362.2億円、当期純利益1,469.2億円で算出)は、前年のROE8.2%(純資産1兆2,779.9億円、純利益1,047.5億円で算出)から改善した。売上高経常利益率は7.8%(前年5.5%)、完成工事粗利率は13.0%(前年9.1%)と、営業段階での収益力が強化された。【キャッシュ品質】営業CF1,146.1億円に対し純利益1,469.2億円で、営業CF/純利益は0.78倍となり、利益の現金転換率は前年の0.29倍(営業CF306.3億円/純利益1,047.5億円)から大幅に改善したものの、依然として1.0倍を下回り運転資本の管理が課題である。営業CF小計(運転資本変動前)は1,727.3億円と堅調だが、売上債権の増減-645.3億円、仕入債務の増減-974.2億円が営業CFを圧迫した。減価償却費334.7億円を含めたEBITDA(営業利益+減価償却費)は約2,742.5億円で、営業CF/EBITDAは0.42倍にとどまる。【投資効率】総資産回転率は0.85倍(売上高3兆672.8億円/総資産3兆6,243.4億円)、総資産経常利益率(ROA)は6.6%(経常利益2,404.2億円/総資産3兆6,243.4億円)である。設備投資は505.1億円、減価償却費334.7億円で、設備投資/減価償却費は1.51倍と適度な成長投資を実施している。【財務健全性】自己資本比率39.6%(純資産1兆4,362.2億円/総資産3兆6,243.4億円)、流動比率135.9%(流動資産2兆1,815.2億円/流動負債1兆6,047.6億円)と、財務の安定性は一定水準を確保している。有利子負債は長期借入金3,201.3億円、短期借入金3,871.6億円、社債1,058.5億円、1年内償還社債200.0億円の合計約8,331.4億円で、Debt/EBITDAは約3.04倍となる。インタレストカバレッジ(営業利益+受取利息・配当/支払利息)は約10.6倍と、利払い余力は十分である。現金及び預金4,032.9億円に対し短期借入金+1年内返済長期借入金+1年内償還社債の合計は約4,071.6億円で、現金/短期負債は0.99倍とやや短期流動性に注視が必要である。
営業CFは1,146.1億円(前年306.3億円、+274.1%)と大幅に増加した。営業CF小計は1,727.3億円で、主な内訳は税引前利益2,553.9億円、減価償却費334.7億円、受取利息及び配当金-208.9億円、支払利息260.7億円等である。運転資本の変動では、売上債権の増減-645.3億円(完成工事未収入金等の増加)、仕入債務の増減-974.2億円(買掛金等の減少)が営業CFを圧迫した一方、販売用不動産の増減890.7億円(在庫圧縮)、未成工事受入金の増減-254.7億円等が影響した。法人税等の支払-525.6億円、利息及び配当金の受取201.9億円、利息の支払-257.6億円を経て、営業CFは1,146.1億円となった。投資CFは-465.1億円で、主な内訳は有形固定資産の取得-505.1億円、有価証券及び投資有価証券の取得-183.7億円、売却による収入50.1億円、長期貸付金の回収342.2億円等である。フリーCF(営業CF+投資CF)は680.9億円(前年-743.0億円)と黒字転換し、自律的な資金創出力が回復した。財務CFは-305.3億円で、長期借入による収入1,783.7億円、長期借入金の返済-782.9億円、社債の発行380.5億円、償還-228.6億円、短期借入金の純増11.9億円、配当金の支払-540.1億円、自己株式の取得-200.3億円等が反映された。現金及び現金同等物は期首3,495.4億円から期末3,922.7億円へ427.3億円増加し、流動性は改善した。営業CF/純利益0.78倍、営業CF/EBITDA0.42倍と現金転換率は改善途上であり、売上債権の回収強化と仕入債務管理が今後の課題である。
経常利益2,404.2億円のうち、営業利益2,407.8億円が中核的収益であり、営業外収支は-3.6億円と小幅のマイナスである。営業外収益358.5億円の主な内訳は受取利息208.9億円、受取配当金77.0億円で、営業外費用362.1億円の主な内訳は支払利息260.7億円である。特別利益175.1億円は投資有価証券売却益152.7億円、固定資産売却益21.5億円等の一時的要因で構成され、特別損失25.4億円(減損損失6.5億円、固定資産除売却損8.0億円等)を差し引いた純額149.7億円が税前利益を押し上げた。営業利益ベースでの持続性は高く、特別利益を除いた税引前利益は約2,404.1億円となり、経常利益とほぼ一致する。営業CF1,146.1億円は純利益1,469.2億円を下回り、売上債権の増加-645.3億円、仕入債務の減少-974.2億円が主因で、運転資本の膨張がアクルーアルとして現金化を遅らせている。包括利益2,306.8億円は純利益1,469.2億円を大きく上回り、その他の包括利益837.6億円(為替換算調整額101.4億円、有価証券評価差額金412.9億円、退職給付に係る調整額22.4億円等)の影響が大きい。有価証券評価差額金の増加は株価上昇等による含み益の拡大を反映するが、実現損益ではないため収益の質としては営業段階の利益を重視すべきである。
会社計画は売上高2兆9,000.0億円(当期比-5.5%)、営業利益2,000.0億円(同-16.9%)、経常利益2,060.0億円(同-14.3%)、親会社株主に帰属する純利益1,420.0億円(同-3.4%)、EPS364.85円、DPS73.00円である。当期実績(売上高3兆672.8億円、営業利益2,407.8億円、経常利益2,404.2億円、純利益1,469.2億円、EPS379.81円、実績配当146円)は売上高で+5.8%、営業利益で+20.4%、経常利益で+16.7%、純利益で+3.5%の上振れを示し、特に営業段階の好調が目立つ。会社計画が保守的に設定されている可能性があり、完成工事の採算改善と高収益セグメントの寄与が継続すれば、期中での上方修正余地が想定される。一方、売上高の減少予想は大型案件の工事進行度や受注環境を反映したものと推測され、資材価格・人件費の動向と受注条件が計画達成の鍵となる。配当性向は会社計画ベースで約20.0%(DPS73円/EPS364.85円)と前期実績38.4%(DPS146円/EPS379.81円)から低下する見込みだが、実績ベースの配当性向が高い点を踏まえると、増配余地は利益水準次第で柔軟に検討される可能性がある。
1株当たり配当金は期末90円、中間56円の合計146円(前年45円から3.2倍増)で、配当性向は38.4%(配当総額約681億円/純利益1,469.2億円)となった。配当総額は前年492.2億円から大幅に増加し、株主還元姿勢の強化が示された。自己株式の取得は200.2億円実施され、配当+自己株買いの総還元額は約881.2億円、総還元性向は約60.0%(総還元額881.2億円/純利益1,469.2億円)と、利益の6割を株主還元に充当した。フリーCF680.9億円に対し配当+自己株買い881.2億円で、FCFカバレッジは0.77倍とやや不足するが、現金及び預金4,032.9億円と調達余力により還元は持続可能と判断される。会社計画の配当予想は年間73円(配当性向約20.0%)と前期比-50%の減配見通しだが、実績ベースの配当性向が高い点を踏まえると、期中業績次第で上方修正の可能性がある。安定配当の継続と自己株買いの柔軟な実施により、総還元政策はバランスを保っている。
運転資本管理リスク: 売上債権の増加-645.3億円、仕入債務の減少-974.2億円が営業CFを圧迫し、営業CF/純利益0.78倍と現金転換率が1.0倍を下回る。完成工事未収入金5,885.6億円、契約資産5,023.5億円の合計約1兆909.1億円に対し、回収サイクルの長期化が流動性に負担をかける。仕入債務の圧縮は支払条件の改善を示唆するが、運転資本の膨張が継続すればキャッシュ創出力が低下し、配当・投資の持続可能性に影響する。
短期負債偏重リスク: 短期借入金3,871.6億円、1年内返済長期借入金および1年内償還社債を含む短期有利子負債は約4,071.6億円で、現金及び預金4,032.9億円に対し現金/短期負債0.99倍と流動性バッファが薄い。短期負債比率(短期有利子負債/有利子負債合計)は約48.9%と高く、リファイナンスリスクと金利上昇局面での調達コスト増大が懸念される。長期借入金は前年比+878.8億円(+37.8%)と増加しデュレーション延伸を図るが、今後の満期平準化と金利環境のモニタリングが必要である。
海外事業の低収益性リスク: OverseasAssociateCompaniesセグメントは売上高1兆919.6億円と全社の35.6%を占めるが、営業利益率2.4%と低水準にとどまる。全社営業利益率7.8%を大きく下回り、全社収益性を希釈する要因となっている。海外案件の採算改善、為替変動、現地規制・競争環境の変化が収益に影響し、セグメント改善策の進捗が全社ROE向上の鍵となる。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 7.8% | 5.5% (3.5%–7.2%) | +2.3pt |
| 純利益率 | 4.8% | 3.5% (2.5%–4.4%) | +1.3pt |
営業利益率・純利益率ともに業種中央値を上回り、収益性は業種内で上位に位置する。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 5.3% | 9.8% (-2.1%–15.1%) | -4.6pt |
売上高成長率は業種中央値を下回り、成長ペースは業種内でやや保守的である。
※出所: 当社集計
営業利益率7.8%(前年5.2%から+2.6pt改善)、粗利率13.9%(同+2.8pt改善)と収益性が大幅に向上し、完成工事の採算改善が顕著である。高収益セグメント(Engineering利益率17.8%、Development18.3%)が全社利益を牽引し、ROE10.2%は前年8.2%から改善した。営業段階の収益力強化が持続すれば、今後の利益成長基盤として評価できる。
営業CF1,146.1億円は前年比+274.1%と大幅改善したが、営業CF/純利益0.78倍、営業CF/EBITDA0.42倍と現金転換率は依然改善途上である。売上債権の増加-645.3億円、仕入債務の減少-974.2億円が運転資本を圧迫し、短期有利子負債約4,071.6億円に対し現金及び預金4,032.9億円で現金/短期負債0.99倍と流動性バッファが薄い。運転資本管理と満期平準化の進捗が、財務安定性とキャッシュ創出力の鍵となる。
会社計画(売上高2兆9,000.0億円、営業利益2,000.0億円)に対し実績は売上高+5.8%、営業利益+20.4%の上振れを示し、保守的ガイダンスの可能性が高い。一方、OverseasAssociateCompaniesの利益率2.4%は全社平均を大きく希釈しており、海外事業の採算改善が今後の収益性向上と全社ROE押し上げの余地となる。資材・人件費の動向、受注条件、運転資本の是正進捗が業績持続性の監視ポイントである。
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