クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥14293.1億 | ¥13279.2億 | +7.6% |
| 営業利益 | ¥745.4億 | ¥357.3億 | +108.6% |
| 経常利益 | ¥805.5億 | ¥412.0億 | +95.5% |
| 純利益 | ¥825.2億 | ¥434.3億 | +90.0% |
| ROE | 9.1% | 4.7% | - |
Executive Summary
2026年3月期第3四半期連結決算は、売上高14,293.1億円(前年同期比+1,013.9億円 +7.6%)と増収を確保した。営業利益は745.4億円(同+388.1億円 +108.6%)、経常利益は805.5億円(同+393.5億円 +95.5%)、親会社株主に帰属する純利益は809.6億円(同+405.0億円 +99.6%)と大幅増益。ただし純利益は固定資産売却益742.1億円(特別利益)が大きく寄与しており、経常ベースの収益力は営業利益・経常利益水準で判断すべき局面。営業利益の倍増は売上増加と売上総利益率の改善(粗利率11.9%、前年9.2%から+2.7pt)によるもので、販管費率も6.7%(前年6.5%)と抑制された。過去5期推移では、2024年3月期に大幅赤字(営業損失519.5億円)を計上後、2025年3月期から黒字転換し、当期は営業利益が3期ぶりに高水準へ回復した。
業績変動要因
【売上高】全社売上高は14,293.1億円(+7.6%)で、完成工事売上高が12,833.5億円、開発事業等売上高が1,459.6億円。セグメント別では、主力の当社建設事業が10,347.4億円(+10.0%)と二桁成長を記録し、当社投資開発事業が303.5億円(+27.3%)、道路舗装事業が1,260.6億円(+4.3%)、その他事業が3,325.5億円(+2.5%)とすべてのセグメントで増収。売上構成比は当社建設事業72.4%、その他事業23.3%、道路舗装事業8.8%、当社投資開発事業2.1%で、建設事業が中核を占める。増収の主因は国内建設需要の堅調な推移と受注工事の順調な進捗である。【損益】売上原価は12,596.8億円で売上総利益は1,696.2億円(粗利率11.9%、前年9.2%から+2.7pt改善)。販管費は950.9億円(販管費率6.7%)で前年比+64.8億円増加したが、売上増加率に対して相対的に抑制された。営業利益は745.4億円(営業利益率5.2%)で前年2.7%から+2.5pt改善。営業外では受取配当金56.0億円、為替差益26.0億円、受取利息26.9億円などの収益があり、支払利息51.3億円を差し引き営業外純増60.1億円で経常利益は805.5億円(経常利益率5.6%)。特別損益では固定資産売却益742.1億円が特別利益として計上され、減損損失220.7億円と投資有価証券評価損5.0億円が特別損失。税引前利益は1,321.9億円、法人税等496.6億円(実効税率37.6%)を控除後、非支配株主利益15.6億円を除き、親会社株主に帰属する純利益は809.6億円。営業利益倍増は粗利率の構造的改善(完成工事粗利率や開発事業粗利率の向上)と販管費率の相対抑制による増収増益パターン。ただし純利益は一時的な固定資産売却益(純利益の91.7%相当)が大きく、経常的収益力の持続性は営業・経常利益水準で評価すべきである。
セグメント別分析
当社建設事業は売上高10,347.4億円(全体構成比72.4%)、営業利益437.8億円(利益率4.2%)で、前年比売上+10.0%、営業利益+165.9%と主力事業として増収大幅増益。当社投資開発事業は売上高303.5億円(同2.1%)、営業利益93.8億円(利益率30.9%)で、売上+27.3%、営業利益+65.4%と高利益率を維持しつつ増収増益。道路舗装事業は売上高1,260.6億円(同8.8%)、営業利益85.6億円(利益率6.8%)で、売上+4.3%、営業利益+21.0%と堅調な増益。その他事業(エンジニアリング、グリーンエネルギー、建物ライフサイクル、子会社事業等)は売上高3,325.5億円(同23.3%)、営業利益199.8億円(利益率6.0%)で、売上+2.5%、営業利益+34.0%。セグメント間では当社投資開発事業が利益率30.9%と突出して高く、建設事業の4.2%と対照的。主力の建設事業が全体売上の7割超、営業利益も437.8億円でセグメント利益全体の約53%(調整前817.0億円ベース)を占める。
主要財務指標
【収益性】ROE 9.1%(報告値)で、前年同期の純利益水準が低かった反動もあり大幅改善。営業利益率は5.2%(前年2.7%から+2.5pt)、純利益率5.7%(前年3.3%)と収益性は向上。ただしROIC 4.1%と低位であり資本効率は課題。粗利率11.9%は前年9.2%から改善したが、業種ベンチマーク比較では依然として低めの水準。【キャッシュ品質】現金及び預金2,435.1億円、短期有価証券1,560.0億円を合わせた流動性資産は3,995.1億円。短期借入金3,351.8億円に対する現金カバレッジは0.73倍にとどまり、短期流動性は限定的。営業CFの詳細は未開示であるため、特別利益742.1億円が純利益に含まれる点を考慮すると、利益の現金裏付けは慎重に評価する必要がある。【投資効率】総資産25,744.0億円に対し純利益825.2億円で総資産利益率3.2%。総資産回転率は0.56回(売上高14,293.1億円÷総資産25,744.0億円)で資産効率は低位。【財務健全性】自己資本比率35.4%(前年34.1%から+1.3pt)、流動比率126.6%(流動資産15,802.3億円÷流動負債12,486.8億円)と基準値は上回る。有利子負債は短期借入金3,351.8億円、長期借入金1,407.0億円、社債1,360.0億円、1年内償還社債100.0億円の合計6,218.8億円。負債資本倍率1.83倍で、Debt/Capital比率は約34.3%。短期負債比率は70.4%と短期債務依存が高く、リファイナンスリスクが存在する。
キャッシュフロー分析
キャッシュフロー計算書の詳細は未開示であるが、貸借対照表の推移から資金動向を分析する。現金及び預金は前年2,941.6億円から2,435.1億円へ506.5億円減少し、一方で短期有価証券は1,440.0億円から1,560.0億円へ120.0億円増加。流動性資産全体では3,995.1億円(前年4,381.6億円から-386.5億円)と減少した。短期借入金は2,435.8億円から3,351.8億円へ916.0億円増加し、運転資本の資金繰りを短期借入で補った構図。買掛金相当の工事未払金は3,845.5億円で前年3,998.8億円から-153.3億円減少しており、支払サイクルの短縮または仕入れタイミングの影響が推測される。完成工事未収入金は9,024.5億円で前年8,320.4億円から+704.1億円増加し、売上増に伴う運転資本の拡大が資金を吸収した。純利益809.6億円に対し現金減少506.5億円という乖離は、特別利益742.1億円が現金流入を伴わない資産売却益であること、運転資本の増加、設備投資や負債返済等の支出が影響したと推測される。短期借入金の増加(+37.6%)は流動性確保とリファイナンスの必要性を示唆しており、営業活動によるキャッシュ創出力を詳細に確認できないため、利益の質は慎重に見る必要がある。
収益の質
経常利益805.5億円に対し営業利益745.4億円で、営業外純増60.1億円は主に受取配当金56.0億円、為替差益26.0億円、受取利息26.9億円などによる。営業外収益126.2億円は売上高の0.9%を占め、収益構造の一部をなすが恒常的な水準。特別利益742.1億円(固定資産売却益)は純利益809.6億円の91.7%に相当し、一時的項目が利益を大きく押し上げている。経常利益ベースでは持続的な収益力を示すが、純利益ベースでは一過性の資産売却が大半を占めるため、収益の質は経常利益で評価すべき。包括利益は819.0億円で純利益825.2億円との差は-6.2億円であり、その他包括利益(為替換算調整額-25.2億円、有価証券評価差額金+27.6億円、退職給付調整額-7.5億円など)が小幅マイナス。営業CFの詳細が未開示であるため、利益とキャッシュの乖離度は間接的にしか評価できないが、現金減少と短期借入増加の組み合わせから、営業活動によるキャッシュ創出は純利益を大きく下回る可能性が高い。工事損失引当金720.0億円や減損損失220.7億円の計上は、プロジェクトリスクを反映したアクルーアル調整であり、将来キャッシュアウトの引当を示唆する。
業績予想・ガイダンス
通期業績予想は売上高2兆0100億円(前年比+3.4%)、営業利益1,100億円(同+54.9%)、経常利益1,110億円(同+54.9%)、親会社株主に帰属する純利益1,100億円(同+75.6%)、通期配当43.0円(第2四半期配当17.5円、期末配当予想20.5円の修正後合計38.0円から予想が43.0円と上方修正)。第3四半期累計の進捗率は売上高71.1%、営業利益67.8%、経常利益72.6%、純利益73.6%で、標準的な進捗率75%を若干下回るが概ね順調な進捗。営業利益の進捗率67.8%は標準比-7.2ptの遅れだが、第4四半期に354.6億円(通期予想1,100億円-Q3累計745.4億円)の上積みが必要であり、期末工事の収益計上タイミング次第で達成可能な範囲。当四半期に業績予想及び配当予想の修正があり、固定資産売却益742.1億円を含む特別利益の計上が純利益を押し上げた結果、通期純利益予想も上方修正された。配当予想は第2四半期配当17.5円と期末配当予想20.5円の合計38.0円から、修正後の通期配当予想43.0円へ引き上げられた。
株主還元
第2四半期配当は17.5円、期末配当予想は20.5円で、合計年間配当予想は38.0円(ただし会社公表の修正後配当予想は43.0円)。前年同期の年間配当17.5円と比較すると、実績ベースでは第2四半期配当17.5円で前年と同水準だが、期末配当予想20.5円が加わると38.0円で前年比+20.5円の増配。修正後の通期配当予想43.0円を前提とすると、親会社株主に帰属する純利益1,100億円(通期予想)に対する配当性向は約26.5%(43.0円×676,556千株÷1,100億円)。当第3四半期累計純利益809.6億円に対する配当支払い総額(第2四半期配当17.5円×676,556千株≒118.4億円)は約14.6%であり、通期ベースでは配当性向は適度な水準。自社株買いの実績は自己株式が前年-369.0億円から当期-469.1億円へ-100.0億円増加しており、自社株取得が実施された。配当と自社株買いを合わせた総還元性向は、配当118.4億円+自社株取得推定100.0億円=218.4億円で純利益809.6億円に対し約27.0%となる。配当持続性については、営業CF詳細が未開示であり特別利益依存度が高い点を考慮すると、通期ベースの営業CFが配当原資を安定的に賄えるか確認が必要。ただし現金預金2,435.1億円に流動性資産を加えた3,995.1億円の残高は、配当支払いを相当程度カバーしており、短期的な配当持続性リスクは限定的。
リスク要因
工事損失引当金720.0億円と減損損失220.7億円の計上は、大型案件や採算悪化プロジェクトのリスクを示唆しており、将来の追加損失発生や利益率圧迫の可能性がある。短期借入金3,351.8億円への依存(前年比+37.6%増)と現金預金2,435.1億円による短期負債カバレッジ0.73倍は、リファイナンスリスクや金利上昇時の財務負担増加リスクをもたらす。粗利率11.9%は前年から改善したが依然として低位であり、資材価格や人件費の上昇、競争激化による価格圧力が利益率を一段と圧迫するリスクがある。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 収益性:営業利益率5.2%は業種中央値4.1%(2025年Q3、IQR 1.9%〜5.8%)を上回り、業種内で中位から上位水準。純利益率5.7%も業種中央値2.8%(同IQR 1.3%〜4.0%)を大きく上回るが、これは一時的な特別利益による押し上げ効果が大きい。ROE 9.1%は業種中央値3.7%(同IQR 1.7%〜6.6%)を上回り、自己資本利益率は相対的に良好。 健全性:自己資本比率35.4%は業種中央値60.5%(同IQR 56.2%〜67.8%)を大幅に下回り、業種内で財務レバレッジが高い位置づけ。流動比率126.6%は業種中央値207%(同IQR 190%〜318%)を下回り、流動性バッファーは業種平均より薄い。 効率性:総資産利益率3.2%は業種中央値2.2%(同IQR 1.0%〜3.6%)を上回り、資産効率は業種内で中位水準。売上高成長率+7.6%は業種中央値-3.5%(同IQR -13.7%〜6.2%)を上回り、売上伸長率は業種内で上位。 業種比較の総括:収益性と成長性は業種内で相対的に良好だが、自己資本比率や流動比率は業種平均を下回り、財務健全性は改善余地がある。業種:建設業、比較対象:2025年第3四半期、出所:当社集計。
決算上の注目ポイント
当第3四半期決算は、営業利益の倍増(前年比+108.6%)と純利益の大幅増(+99.6%)が注目点だが、純利益の大半は固定資産売却益742.1億円による一時的なもので、経常的収益力は営業・経常利益水準で評価すべきである。営業利益率5.2%への改善は粗利率+2.7ptの改善と販管費率の相対抑制によるもので、建設事業セグメントの増収増益が主導した。過去5期推移では、2024年3月期の大幅赤字から2025年3月期に黒字転換し、当期は営業利益が大きく回復する局面にあり、収益力の構造的改善トレンドが見られる。ただしROIC 4.1%は低位で資本効率の改善余地が大きく、短期借入金増加(+37.6%)と短期負債比率70.4%はリファイナンスリスクを示唆する。配当は通期予想43.0円で前年から大幅増配方向にあり、配当性向26.5%(通期予想ベース)は持続可能な範囲だが、営業CFの詳細確認が不可欠である。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
AI財務分析
総括
2026年度第3四半期累計は、完成工事の採算改善を主因に、売上高の増収を大幅に上回る営業増益を達成した。売上高は前年同期比7.6%増の1兆4,293.1億円となった。営業利益は同108.6%増の745.4億円で、営業利益率は前年同期の2.7%から5.2%へ252bp拡大した。売上総利益率も前年同期の9.2%から11.9%へ269bp改善しており、利益拡大の主因は原価率の改善である。販管費は前年同期比10.4%増の950.9億円となり、売上成長率を上回った。もっとも、販管費率は6.7%で前年同期比17bpの上昇にとどまり、粗利率改善が販管費増を十分に吸収した。経常利益は同95.5%増の805.5億円となり、営業外損益も60.1億円の黒字寄与となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は同99.6%増の809.6億円である。一方、固定資産売却益742.1億円と減損損失220.7億円を計上しており、税引前の純利益には516.4億円の純額ベースの特別利益が含まれる。品質アラートで示された「純利益の118.9%が一時的項目」との警告は、固定資産売却益の規模が利益水準に対して非常に大きいことを示すものであり、報告純利益を恒常収益力として外挿することは適切でない。営業利益段階の改善は実質的な収益力の改善を示すが、純利益の急増率は資産売却益によって上振れしている。完成工事高は前年同期比9.3%増の1兆2,833.5億円で、連結売上の増収を牽引した。主力の当社建設事業はセグメント利益が同165.9%増となり、全社営業増益の中心である。通期会社計画に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高71.1%、営業利益67.8%、経常利益72.6%、親会社株主帰属利益73.6%である。いずれも第3四半期の標準進捗率75%を大きく逸脱していないが、営業利益は上期・第3四半期までの高い伸びに比べ、通期では増益率54.9%を見込むため、第4四半期には利益率の平準化が織り込まれている。今後は建設工事の採算改善の持続性、資材・労務コストの上昇吸収、短期借入金の増加、および大型の資産売却益を除いた利益水準が焦点となる。
収益性分析
デュポン分析では、年換算ROE 11.8%は純利益率5.7%×総資産回転率0.740回×財務レバレッジ2.83倍で構成される。ROEは10~15%の「良好」水準に位置するが、純利益率には固定資産売却益を含むため、恒常的な資本収益性はこの数値より低い可能性がある。最も大きく改善した収益要素は営業利益率で、前年同期の2.7%から5.2%へ252bp上昇した。売上総利益率も269bp改善していることから、販管費の削減ではなく、完成工事を中心とする売上原価率の改善が営業レバレッジを生んだ。完成工事部門の総利益率は11.1%であり、前年同期の8.5%から約250bp改善した。開発事業等の総利益率は18.7%で、完成工事部門より高いものの、連結粗利増加の主因は規模の大きい完成工事部門である。販管費は10.4%増と増収率7.6%を上回ったため、販管費の伸び自体は注視を要する。ただし、粗利率改善がより大きく、販管費率の悪化は17bpに限定された。CFA5因子では、税負担係数は0.612であり、高税負担の警戒目安である0.60に近い。金利負担係数は1.773倍で、営業外収益および特別利益がEBITを上回る税引前利益を形成していることを示すため、通常の負債負担の軽さを直接示す指標としては解釈に注意を要する。インタレストカバレッジは14.53倍と強固であり、支払利息51.3億円に対する営業利益のカバー力は十分である。営業外収益は126.3億円、売上高比0.9%であり、受取配当金56.0億円、受取利息27.0億円、為替差益26.0億円が主な構成である。営業外収益は売上高の5%を超えておらず、営業外収益そのものによる収益構造の過度な歪みは限定的である。一方、特別損益は固定資産売却益742.1億円と減損損失220.7億円で大きく、持続的な利益率の評価では営業利益および経常利益を中心にみる必要がある。
成長性評価
売上高は前年同期比7.6%増であり、完成工事高の同9.3%増が増収を牽引した。開発事業等売上高は前年同期比5.0%減の1,459.6億円となったが、同事業の総利益は26.9%増の273.4億円であり、採算改善が減収を補った。連結の粗利率改善と建設事業セグメントの利益急増は、工事採算の回復が進んでいることを示す。工事損失引当金は前年同期の1,040.0億円から720.0億円へ30.8%減少しており、不採算案件に対する引当負担の低下も利益改善に寄与した可能性が高い。ただし、工事損失引当金残高は720.0億円と依然として大きく、個別大型案件の原価見通しは継続的な収益変動要因である。5期の成長一貫性スコアは2/10であり、過去の業績成長の安定性は低い。したがって、足元の大幅増益を中期的な利益成長率として単純に延長することには慎重さが必要である。通期売上高計画2兆100億円に対して進捗率は71.1%、営業利益計画1,100億円に対して67.8%であり、年度末に向けた工事進捗・採算の実現が計画達成の鍵となる。
財務健全性
流動比率は126.6%、当座比率も126.6%であり、流動負債1兆2,486.8億円に対する短期流動性は100%を上回る。運転資本は3,315.4億円のプラスで、直近の支払能力は維持されている。負債資本倍率は1.83倍であり、明示的警戒水準である2.0倍は下回る。Debt/Capital比率は34.3%で、投資適格の目安とされる40%未満に収まる。もっとも、品質アラートの短期負債比率70.4%は40%の警戒目安を大きく上回る。流動負債は1兆2,486.8億円と負債全体の75.1%を占め、資金調達・支払の短期化に伴うリファイナンスリスクを示す。現金預金は2,435.1億円で短期負債に対して0.73倍であり、現金単独では短期負債を賄えない。建設業では未成工事受入金、買掛金および工事代金回収を伴う運転資本構造が一般的であるが、短期借入金の増加はこの資金循環への依存度を高める。短期借入金は前年同期比37.6%増、916.0億円増の3,351.8億円となり、資金調達条件や借換え環境の変化に対する感応度が上昇した。長期借入金は1,407.0億円であり、有利子負債は4,758.8億円である。一方、営業利益に対する利払い余力は14.53倍と高く、現時点で金利負担が損益を圧迫する状況ではない。自己株式は100.0億円増加して469.1億円の控除項目となっており、資本還元または株式取得は株主資本を押し下げる方向に作用する。工事損失引当金720.0億円、退職給付に係る負債444.4億円は、将来の工事採算および人件費関連の負担を反映する重要な負債項目である。
B/S変動のポイント
短期借入金: +916.0億円(+37.6%)- 3,351.8億円へ増加。短期負債比率70.4%という高い短期調達依存と合わせ、借換え・金利条件の悪化リスクを監視する必要がある。自己株式: -100.0億円(帳簿価額の控除額が+27.1%拡大)- 自己株式は469.1億円の控除となった。資本還元または株式取得は1株当たり指標を支える一方、株主資本と流動性を低下させる方向に作用する。現金預金: -506.5億円(-17.2%)- 2,435.1億円へ減少。短期借入金増加と同時に生じており、運転資本・資金調達の管理を要する。完成工事未収入金: +924.1億円(+11.1%)- 9,024.5億円へ増加。増収に伴う面があるが、年換算完成工事高に対して約193日分であり、回収サイトが資金繰りに与える影響は大きい。工事損失引当金: -280.0億円(-30.8%)- 720.0億円へ減少。採算悪化案件に対する負担低下は利益改善要因となりうる一方、残高はなお大きく、将来の工事原価見通しの変動を監視する必要がある。
キャッシュフロー品質
配当持続性
第2四半期配当は1株当たり22.0円であり、会社提示の配当性向は19.5%である。この配当性向は配当金のみを親会社株主に帰属する利益で除した指標であり、自社株買いを含む総還元性向とは区別される。通期配当予想は1株当たり65.0円で、通期の親会社株主帰属利益予想1,100.0億円および期中平均株式数を基準にした配当性向は約40%となる。これは60%未満の持続可能性目安の範囲内である。もっとも、当期の累計純利益には大型の固定資産売却益が含まれるため、配当の持続性は、資産売却益を除く営業利益・経常利益の水準と短期資金需要を踏まえて判断する必要がある。
リスク評価
ビジネスリスクとして、高優先度:資材価格、外注費および技能労働者コストの上昇。建設事業の利益率は改善したが、固定価格契約では後工程のコスト上振れが工事採算を直接圧迫する。、高優先度:大型工事の原価見積り・進捗管理リスク。工事損失引当金は720.0億円と大きく、追加損失の発生または引当金の再積み増しは営業利益率を押し下げうる。、中優先度:天候、自然災害、資材供給制約および人手不足による工期遅延。建設業特有の工程遅延は売上計上時期と原価を変動させる。、中優先度:開発事業等の売上が前年同期比5.0%減少していること。利益率は改善したものの、販売・引渡し時期の変動により売上の継続性は左右される。が挙げられます。
財務リスクとしては、高優先度:リファイナンスリスク。品質アラートの短期負債比率70.4%は警戒水準40%を上回り、短期借入金も前年同期比37.6%増の3,351.8億円となった。、中優先度:完成工事未収入金9,024.5億円の回収リスク。年換算完成工事高に対して約193日分に相当し、発注者の支払時期や出来高請求のずれが資金需要を増幅しうる。、中優先度:現金預金2,435.1億円は前年同期比506.5億円減少しており、現金/短期負債0.73倍の下で借入・営業債権回収への依存が高い。、中優先度:固定資産売却益742.1億円への依存。一時的利益の比率が高く、翌期以降に同規模の売却益がなければ純利益とROEは低下しうる。が挙げられます。
主な懸念事項としては、品質アラートの低粗利警告:粗利率11.9%は一般的な20%基準を下回る。建設業では低い粗利率が一定程度業態特性である一方、原価が小幅に悪化しても利益率への影響が大きいため、今回の269bpの改善が持続するかが重要である。、品質アラートの一時的項目警告:純利益の118.9%が一時的項目との警告が示す通り、固定資産売却益742.1億円は報告利益の比較可能性を低下させる。投資判断上は、特別損益を除く営業利益745.4億円および経常利益805.5億円の改善度を重視すべきである。、短期負債構成の高さは、流動比率126.6%という表面上の流動性だけでは捉えにくい満期ミスマッチを示す。受取債権の回収、未成工事受入金の推移、短期借入金の借換え条件を継続監視する必要がある。が挙げられます。
投資示唆
重要ポイントとして、営業利益率は5.2%へ252bp改善し、完成工事採算の回復が明確である。、年換算ROEは11.8%で良好水準だが、固定資産売却益を含む純利益ベースであり、恒常収益力の評価には調整が必要である。、通期営業利益計画に対する進捗率は67.8%で、第3四半期の標準進捗率75%をやや下回るものの、10%超の乖離ではない。、短期借入金の増加と短期負債比率70.4%は、収益改善と並行して注視すべき財務上の論点である。が挙げられます。
注視すべき指標は、完成工事総利益率および連結営業利益率、工事損失引当金の増減と大型案件の採算、完成工事未収入金の回収および未成工事受入金の推移、短期借入金、現金/短期負債比率、借換え条件、固定資産売却益を除く親会社株主帰属利益、通期営業利益計画1,100.0億円に対する第4四半期の利益進捗です。
セクター内ポジションについては、営業利益率5.2%は提示ベンチマーク上の「良好」水準である8%には未達だが、前年同期からの改善幅は大きい。ROE 11.8%は10~15%の良好水準、インタレストカバレッジ14.53倍とDebt/Capital比率34.3%は信用面で支えとなる。一方、粗利率11.9%、短期負債比率70.4%、一時的利益への依存は、収益の安定性と資金構成の面で相対的な留意点である。