| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥25862.6億 | ¥25907.7億 | -0.2% |
| 営業利益 | ¥1946.8億 | ¥1424.7億 | +36.6% |
| 経常利益 | ¥2042.0億 | ¥1522.4億 | +34.1% |
| 純利益 | ¥1628.4億 | ¥1157.2億 | +40.7% |
| ROE | 12.4% | 9.6% | - |
2026年3月期決算は、売上高2兆5,862億円(前年比▲45億円 ▲0.2%)と横ばいながら、営業利益1,947億円(同+522億円 +36.6%)、経常利益2,042億円(同+520億円 +34.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,628億円(同+471億円 +40.7%)と大幅増益を達成。売上原価率が85.9%(前年88.6%)へ270bp改善し、粗利率は14.1%(同10.8%)へ上昇、営業利益率は7.5%(前年5.5%)と200bp拡大した。販管費は1,700億円(同+171億円 +11.2%)と増加したが、粗利の大幅改善が吸収し営業レバレッジが効いた。特別利益として投資有価証券売却益489億円を計上し税引前利益2,494億円を押し上げたが、経常利益ベースでも前年比+34.1%の高い伸びを確保。営業CFは2,529億円(前年比+200.5%)と純利益1,628億円の1.55倍に達し、FCFは1,686億円で配当578億円と自社株買い581億円の総還元約1,159億円を十分にカバー。未成工事受入金は2,999億円(前年末1,934億円から+55.1%)へ大幅増加し、受注モメンタムの強さを示唆。国内建築事業の採算大幅改善(営業利益率8.9%、前年4.7%から+4.2pt)が全社収益性向上を主導した。
【売上高】 完成工事売上高2兆4,094億円(構成比93.2%)が横ばい圏で推移し、開発事業等売上高1,769億円(同6.8%)が前年比+43.8%と伸長。セグメント別では、国内建築が売上1兆1,656億円(前年比▲14.0%)と減収ながら、海外建築5,095億円(同+6.6%)、国内土木4,430億円(同+6.1%)、海外土木3,360億円(同+34.2%)、不動産1,076億円(同+46.3%)が増収を牽引。国内建築の減収は案件選別と工期の集中影響を反映するが、未成工事受入金が2,999億円(前年末比+55.1%)へ急増し、翌期以降の売上原資は厚みを増した。海外土木の大幅増収は現地通貨ベースの案件進捗と為替影響が寄与。全体として売上高は前年比▲0.2%と微減にとどまり、受注残・前受金の積み上がりが将来の成長を示唆する。
【損益】 売上原価2兆2,216億円(売上原価率85.9%)は前年比▲796億円と減少し、原価率は前年88.6%から270bp改善。完成工事総利益率は13.6%(前年10.8%)、開発事業等総利益率20.3%(前年24.4%)で、完成工事の採算改善が全社粗利率14.1%(前年11.4%)への上昇を主導。国内建築の営業利益率が8.9%(前年4.7%)へ大幅改善したことが利益の源泉で、案件採算の向上、設計提案型案件の拡大、資材価格のピークアウトとコストパススルーの進展が背景。海外建築は営業利益率2.2%(前年2.7%)と微減、海外土木は4.5%(前年3.2%)へ回復、不動産は18.5%(前年22.1%)と高水準を維持。販管費は1,700億円(販管費率6.6%、前年5.9%)と増加したが、粗利の拡大が十分に吸収し、営業利益は1,947億円(前年比+36.6%)へ急伸。営業外では受取利息52億円、受取配当金68億円、為替差益36億円が寄与し、持分法損益13億円も計上、営業外収益合計193億円(同+22.3%)、営業外費用98億円(同+62.8%)で営業外収支+95億円(前年+98億円)は横ばい。特別利益498億円(主に投資有価証券売却益489億円)、特別損失46億円(減損損失17億円、固定資産除却損12億円、投資有価証券評価損9億円)を計上し、税引前利益2,494億円(前年比+35.6%)。法人税等717億円を控除後、当期純利益1,628億円(前年比+40.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,628億円と大幅増益を達成。結論として、国内建築の高採算化が牽引し、海外土木の回復と不動産の底堅さが補完した増収増益決算。
国内建築は売上1兆1,656億円(前年比▲14.0%)、営業利益1,036億円(同+65.1%)、利益率8.9%(前年4.7%)と採算が大幅改善。高付加価値案件へのシフトと原価是正が奏功。海外建築は売上5,095億円(同+6.6%)、営業利益114億円(同▲9.9%)、利益率2.2%(前年2.7%)で増収減益。為替影響を含む現地採算のバラつきが利益を圧迫。国内土木は売上4,430億円(同+6.1%)、営業利益406億円(同+0.5%)、利益率9.2%(前年9.7%)と底堅く推移。海外土木は売上3,360億円(同+34.2%)、営業利益152億円(同+90.3%)、利益率4.5%(前年3.2%)で急回復。大型案件の工事進捗と採算改善が寄与。不動産は売上1,076億円(同+46.3%)、営業利益199億円(同+24.2%)、利益率18.5%(前年22.1%)で高マージンを維持。その他は売上841億円(同+34.5%)、営業利益28億円(同+29.8%)と拡大。国内建築の利益率改善が全社営業利益率7.5%への押し上げに最も寄与し、セグメント間の利益率格差は残るものの、海外土木の回復が分散効果を高めた。
【収益性】営業利益率7.5%(前年5.5%から+200bp)、純利益率6.3%(同4.5%から+180bp)、ROE12.4%(前年12.6%から▲0.2pt)と高水準を維持。完成工事総利益率13.6%(前年10.8%)、開発事業等総利益率20.3%(前年24.4%)で、完成工事の採算改善が際立つ。販管費率6.6%(前年5.9%)は上昇したが、粗利拡大が吸収。EBITDAマージン8.9%(営業利益率7.5%+減価償却費率1.4%)は良好圏。【キャッシュ品質】営業CF2,529億円は純利益1,628億円の1.55倍、OCF/EBITDA=1.09倍と利益の現金裏付けは強固。アクルーアル比率▲2.5%(営業CF−純利益÷総資産)は健全域。【投資効率】総資産回転率0.823回転(前年0.852回転)と小幅低下、ROIC(NOPAT÷投下資本)推定6.9%。総資産3兆1,434億円(前年比+1,007億円 +3.3%)の増加は運転資本と固定資産の拡大を反映。【財務健全性】自己資本比率41.9%(前年39.8%)へ改善、D/Eレシオ16.7%(Debt/Equity)は低位。有利子負債2,195億円(短期借入752億円+社債600億円+長期借入1,443億円)に対し現金4,309億円でネットキャッシュポジション。Debt/EBITDA=0.95倍、インタレストカバレッジ36.7倍(営業利益÷支払利息)で財務耐性は極めて強い。流動比率124.4%、当座比率124.4%は標準的。
営業CFは2,529億円(前年比+200.5%)と大幅増加。小計(運転資本変動前)は3,283億円で、運転資本では棚卸資産の増加(△389億円の資金流出)、売上債権の減少(+698億円の資金流入)、仕入債務の減少(△1,025億円の資金流出)、未成工事受入金の増加(+1,002億円推定の資金流入)が主要因。前受金の大幅増加が運転資本改善を主導し、法人税等の支払△822億円を差し引いた後も営業CFは高水準。投資CFは△844億円で、有形・無形資産の取得△1,256億円、子会社株式取得△269億円を含む一方、有価証券売却+753億円、長期貸付金回収+1億円が部分的にオフセット。FCFは1,686億円(営業CF2,529億円−投資CF844億円)と潤沢で、配当約578億円と自社株買い581億円の総還元約1,159億円を賄った後も余剰を確保。財務CFは△1,414億円で、長期借入返済△441億円、社債償還△0.2億円、短期借入増加+1億円、社債発行+200億円、配当△578億円、自社株買い△581億円、非支配株主への配当△19億円を反映。現金は期首3,802億円から期末4,160億円へ+358億円増加し、キャッシュポジションの強化が続く。現金及び預金4,309億円、短期投資98億円を合わせた流動性は4,407億円に達し、短期借入752億円に対し現金/短期負債=5.73倍と極めて厚い。利息及び配当金受取114億円、利息支払△45億円を含む営業CFの質は良好で、利益の現金創出力の高さが確認できる。
経常的収益は営業利益1,947億円を核とし、営業外収益では受取利息52億円、受取配当金68億円、為替差益36億円、持分法損益13億円が安定的に寄与。営業外収益合計193億円は売上高比0.7%と5%を大きく下回り、本業外依存度は限定的。一時的項目として特別利益498億円のうち投資有価証券売却益489億円が大きく、税引前利益2,494億円の約19.6%を占める。減損損失17億円、固定資産除却損12億円、投資有価証券評価損9億円を含む特別損失46億円は限定的。非経常項目を除いた経常利益2,042億円(経常利益率7.9%)が実力値に近い。アクルーアル比率▲2.5%((営業CF2,529億円−純利益1,628億円)÷総資産3兆1,434億円)は健全で、過度な利益先食いの兆候はなし。OCF/純利益1.55倍、OCF/EBITDA1.09倍と現金裏付けは強固。経常利益2,042億円と純利益1,628億円の差414億円は税効果(法人税等717億円−実効税率適用後の理論値との差)と非支配株主持分40億円の範囲内で、異常な乖離はなし。包括利益2,226億円(純利益1,628億円+その他包括利益449億円)は、為替換算調整額135億円、有価証券評価差額金211億円、繰延ヘッジ損益35億円、退職給付調整額30億円を反映し、評価差益が上乗せされた。営業利益と経常利益の差+95億円は営業外収支で、安定的な金融収益と為替差益が寄与し、質的に問題なし。
2027年3月期通期予想は、売上高2兆9,450億円(前年比+13.9%)、営業利益1,800億円(同▲7.5%)、経常利益1,830億円(同▲10.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,570億円(同▲3.6%)、純利益1,310億円(同▲19.6%)と、増収・減益計画。進捗率は売上高87.8%(上期実績2兆5,862億円÷通期予想2兆9,450億円)と順調な一方、営業利益108.2%(上期1,947億円÷通期1,800億円)で上期に利益が偏在。減益計画の主因は、今期の投資有価証券売却益489億円等の非経常項目縮小と、資材・労務コストの前提保守化、為替寄与の平準化を織り込んだため。未成工事受入金2,999億円(前年末比+55.1%)が受注残の厚みを示し、増収計画の裏付けとなる。計画達成には国内建築の高マージン(8.9%)維持と海外建築の採算底上げ(2.2%→目標水準)がカギで、コスト環境の安定と案件選別の継続が前提。会社は保守的見通しを維持し、下期の原価動向と非経常益の規模を注視する姿勢。EPS予想228.39円に対し上期実績249.42円は上回り、配当予想47円(年間)は配当性向20.6%と余裕を持つ。
年間配当金は88円(中間41円、期末47円)で前年同期40円から大幅増配。配当性向35.3%(88円÷EPS249.42円)は持続可能域。FCFカバレッジは2.91倍(FCF1,686億円÷配当578億円)と余裕が大きい。自社株買いは581億円を実施し、期中平均株式数696,649千株に対する希薄化抑制に寄与。配当578億円と自社株買い581億円の総還元は約1,159億円で、FCFに対する総還元性向は68.8%と適正域。純資産1兆3,165億円、利益剰余金9,055億円と内部留保は厚く、配当余力は十分。来期配当予想47円(会社計画、中間未定前提の期末配当47円想定)は減配計画だが、FCF創出力とネットキャッシュポジションを踏まえ減配リスクは限定的。ただし非経常益縮小局面では総還元ペース配分に留意が必要。配当性向は会社計画では20.6%(47円÷EPS予想228.39円)とやや低下するが、財務健全性を踏まえ持続可能性は高い。
資材・労務コスト上昇リスク: 建設業特有の固定価格契約下で、資材価格や労務費の想定外上昇が利益率を圧迫。今期は完成工事総利益率13.6%(前年10.8%)へ改善したが、原価環境の悪化局面では国内建築の高マージン(8.9%)維持が困難となる可能性。工事損失引当金85.8億円(前年167.3億円から▲48.7%)は減少したが、大型案件の採算ブレが再燃するリスクは残存。
セグメント間利益率格差による全社マージン希薄化リスク: 国内建築8.9%、国内土木9.2%の高マージンに対し、海外建築2.2%、海外土木4.5%と低位。海外建築の売上構成比19.7%が増加する局面では全社営業利益率7.5%の維持が困難。為替変動が海外プロジェクト採算・評価換算へ与える影響も大きく、円安局面では一時的に売上・利益が膨らむが、円高局面では逆ブレの可能性。
非経常益への一時依存: 投資有価証券売却益489億円が税引前利益2,494億円の約19.6%を占め、経常ベースの実力値との乖離が大きい。来期は非経常益の縮小を織り込み減益計画だが、証券売却の再現性は低く、経常利益2,042億円レベルの維持が中期的な課題。不動産市況の変動により不動産事業の粗利率20.3%(前年24.4%)が低下する局面では、全社利益率への下押し圧力も考慮。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 7.5% | 5.5% (3.5%–7.2%) | +2.0pt |
| 純利益率 | 6.3% | 3.5% (2.5%–4.4%) | +2.8pt |
収益性は業種中央値を大きく上回り、国内建築の高採算化が寄与。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | -0.2% | 9.8% (-2.1%–15.1%) | -10.1pt |
売上成長率は業種中央値を下回るが、未成工事受入金の大幅増加が翌期以降の成長原資を確保。
※出所: 当社集計
国内建築事業の採算改善が持続的な利益率向上を主導しており、営業利益率7.5%(前年5.5%から+200bp)、完成工事総利益率13.6%(前年10.8%)の上昇は案件選別とコストコントロールの反映。未成工事受入金2,999億円(前年末比+55.1%)の大幅増加は受注モメンタムの強さを示し、来期増収計画の裏付けとなる。
キャッシュ創出力が極めて強く、営業CF2,529億円は純利益1,628億円の1.55倍、FCF1,686億円で総還元約1,159億円(配当+自社株買い)を賄った後も余剰を確保。現金4,309億円、有利子負債2,195億円でネットキャッシュポジション、Debt/EBITDA=0.95倍、インタレストカバレッジ36.7倍と財務耐性は非常に高い。配当性向35.3%、FCFカバレッジ2.91倍で株主還元の持続可能性は盤石。
来期ガイダンスは営業利益1,800億円(▲7.5%)と減益計画で保守的だが、非経常益(投資有価証券売却益489億円)の縮小を主因とし、経常ベースの実力は底堅い。セグメント間の利益率格差(国内建築8.9% vs 海外建築2.2%)が全社マージンのボラティリティ要因として残るが、海外土木の回復(営業利益率4.5%、前年3.2%)が分散効果を高める。R&D売上比率0.7%と低位な点は課題だが、生産性向上投資の継続と設計提案力の強化が中期的な競争力維持のカギ。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。