| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥20890.9億 | ¥21542.2億 | -3.0% |
| 営業利益 | ¥1879.7億 | ¥1201.6億 | +56.4% |
| 経常利益 | ¥1957.8億 | ¥1345.0億 | +45.6% |
| 純利益 | ¥1454.2億 | ¥947.4億 | +53.5% |
| ROE | 14.7% | 10.5% | - |
2026年3月期連結決算は、売上高2兆0,890億円(前年比-651億円 -3.0%)と減収だったものの、営業利益1,880億円(同+678億円 +56.4%)、経常利益1,958億円(同+613億円 +45.6%)、親会社株主に帰属する純利益1,700億円(同+634億円 +37.3%)と大幅増益となった。売上高は建築事業の減収(-9.0%)により3期ぶりの減収となったが、営業利益率は9.0%(前年5.6%)へ3.4pt改善し、採算性の大幅改善が増益を牽引した。主因は建築事業における工事損失引当金の取り崩し(-267億円)と土木事業の高採算案件消化(営業利益率13.3%)で、完成工事総利益率は15.4%(前年9.8%)と5.6pt上昇した。経常利益は営業段階の伸びを素直に反映し、特別利益552億円(投資有価証券売却益547億円)の計上により税引前利益は2,464億円へ達した。ROEは14.7%と前年実績を上回る水準だが、前年データからの正確な変化幅は限定的な情報により確認できない。
【売上高】売上高は2兆0,890億円(-3.0%)と3期ぶりの減収。セグメント別では、土木事業が7,202億円(+8.5%)と堅調に拡大し、開発事業も1,543億円(+5.1%)と増収を維持したが、主力の建築事業が1兆2,745億円(-9.0%)と大幅減収となり全体の重石となった。建築事業の減収は受注選別強化と大型案件の端境期が主因と推察される。完成工事売上高は1兆8,958億円(前年1兆9,752億円)と減少する一方、開発事業等売上高は1,933億円(前年1,791億円)と増加し、完成工事依存度が低下した。セグメント売上構成比は建築61.0%、土木34.5%、開発7.4%、その他1.0%となり、建築への集中度合いは依然として高い水準にある。
【損益】営業利益は1,880億円(+56.4%)、営業利益率は9.0%(前年5.6%)と大幅改善した。増益の主因は完成工事総利益率の5.6pt改善(9.8%→15.4%)で、これは工事損失引当金の期中減少267億円(前年は+60億円の積み増し)による押し上げと、土木事業の高採算案件消化が寄与した。セグメント別では、土木が営業利益956億円(+9.1%、利益率13.3%)と安定成長し、建築は営業利益784億円(前年113億円から+590.6%)と大幅黒字化を達成、開発は240億円(+2.0%、利益率15.5%)と堅調に推移した。販管費は1,421億円(前年1,110億円)へ増加し、売上高販管費率は6.8%(前年5.2%)と1.6pt上昇、減収下での固定費吸収率悪化が確認される。経常利益1,958億円は営業外収益146億円(受取配当金56億円、持分法投資利益57億円中心)が寄与し、営業外費用68億円(支払利息42億円等)を差し引いて営業段階の伸びをほぼ維持した。特別利益552億円(投資有価証券売却益547億円)の計上により税引前利益は2,464億円へ達したが、一時的要因による押し上げであり、経常的収益力は経常利益段階で評価すべきである。法人税等716億円を控除後、親会社株主に帰属する純利益は1,700億円(+37.3%)、純利益率は8.1%(前年5.8%)と2.3pt改善した。結論として、減収増益の構図で、建築採算是正と土木の高収益性が支えた。
土木事業は売上高7,202億円(+8.5%)、営業利益956億円(+9.1%)で営業利益率13.3%と高水準を維持し、全社最大の利益貢献セグメントとなった。工事損失引当金は9億円の増加にとどまり、採算管理は引き続き良好である。建築事業は売上高1兆2,745億円(-9.0%)と減収だったが、営業利益は784億円(前年113億円から+590.6%)へ大幅改善、営業利益率は6.1%(前年0.8%)へ回復した。工事損失引当金は期中に276億円減少し、利益を押し上げた一方、引当減少効果を除いた経常的な収益性については今後の持続性を見極める必要がある。開発事業は売上高1,543億円(+5.1%)、営業利益240億円(+2.0%)で営業利益率15.5%と安定した収益構造を維持した。その他事業は売上207億円(+18.0%)、営業利益24億円(+1.4%)で営業利益率11.4%と概ね良好である。セグメント間で土木と開発の高収益性が際立ち、建築は改善途上にある構図が鮮明となった。
【収益性】営業利益率は9.0%(前年5.6%)で3.4pt改善し、完成工事総利益率15.4%(前年9.8%)の大幅上昇が主因。開発事業等総利益率は20.0%(前年21.1%)とわずかに低下したが高水準を維持。販管費率は6.8%(前年5.2%)と1.6pt上昇し、減収下での固定費吸収が課題となった。ROEは14.7%で前年実績を上回る水準にあるが、過去推移との詳細比較は限定的。総資産経常利益率は7.6%(前年5.4%)と2.2pt改善し、資産効率と収益性の双方が向上した。持分法投資利益は57億円(前年102億円)と減少したが、引き続きプラス寄与を維持している。【キャッシュ品質】営業CF1,473億円は純利益1,700億円の0.87倍で、概ね良好だが満額には届かず注意域に近い。営業CF/EBITDA(営業利益+減価償却費=2,048億円ベース)は0.72倍で現金転換はやや弱く、運転資本の変動(買掛金減少-806億円、未成工事支出金増加-164億円等の逆風、前受金増加+621億円、売上債権減少+610億円の追い風)が影響した。減価償却費168億円はEBITDAの8.2%で軽微、償却負担は限定的。【投資効率】総資産回転率は0.77倍(売上2兆0,890億円/平均総資産2兆7,146億円)で前年0.89倍程度から低下、M&Aによる資産積み上がり(のれん+679億円、無形固定資産+887億円)と減収が主因。投資有価証券は4,663億円(前年4,283億円)と5.6%増加し、売却益計上後も残高を伸ばした。棚卸資産回転日数は完成工事に対する未成工事支出金894億円ベースで約17日、短期循環は維持している。【財務健全性】自己資本比率は36.5%(前年35.7%)と0.8pt改善したが、依然として中立圏。有利子負債は3,674億円(短期借入金1,620億円、長期借入金2,054億円)で、Debt/EBITDA1.79倍、インタレストカバレッジ48倍(営業利益1,880億円/支払利息42億円)と信用指標は良好。流動比率118.7%、当座比率118.7%は許容範囲だが潤沢とは言い難く、短期負債比率44.1%は高めでリファイナンス感応度がある一方、現金/短期負債1.72倍(現金2,783億円/流動負債1兆3,797億円)が緩衝材となる。のれんは759億円(前年81億円から大幅増)と大型M&Aを実施したが、のれん/EBITDA0.37倍、のれん/純資産7.7%、償却額58億円/EBITDAは2.8%と負担は軽微である。
営業CFは1,473億円(前年-138億円から大幅改善)で、営業利益の増益と運転資本の改善が寄与した。税金等調整前当期純利益2,464億円に対し、非資金項目として減価償却費168億円、減損損失35億円、のれん償却58億円、持分法投資損益-57億円等を調整後、営業CF小計は2,097億円となった。運転資本では、売上債権の減少+610億円、前受金の増加+621億円、退職給付引当金の減少-15億円がプラス寄与した一方、仕入債務の減少-806億円、未成工事支出金の増加-164億円がマイナス寄与し、法人税等の支払-684億円を差し引いて最終的に1,473億円のCF創出となった。営業CF/純利益は0.87倍で品質は概ね良好だが満額には届かず、OCF/EBITDAは0.72倍と現金転換はやや弱め、運転資本の変動影響が大きい。投資CFは-1,959億円と大型で、有形固定資産及び無形固定資産の取得-776億円、子会社株式の取得-1,505億円が主因であり、大規模M&Aの実行を反映する。一方で、投資有価証券の売却等+905億円、子会社売却による収入+134億円が一部オフセットした。フリーCFは-486億円(営業CF1,473億円+投資CF-1,959億円)でマイナスとなり、内部資金だけでは配当・投資を賄えなかった。財務CFは+244億円で、長期借入による調達+1,322億円、短期借入の増加+48億円が資金源となり、長期借入金の返済-514億円、配当支払-455億円、自社株買い-780億円を実施した。結果として現金及び現金同等物は期末2,730億円(期首2,960億円から-230億円)と減少したが、有利子負債による補填により資金繰りは安定している。現金創出の持続性は営業CFの改善継続と運転資本管理にかかり、前受金主導の資金循環は今後も期待できる一方、買掛金の減少トレンドや未成工事支出金の増加ペースには注意を要する。
収益の中核は営業段階にあり、営業利益1,880億円が経常利益1,958億円の主体を占める。営業外収益146億円は受取配当金56億円、持分法投資利益57億円が中心で、営業外費用68億円は支払利息42億円が主体であり、いずれも軽微で経常的な範囲内である。一方、特別利益552億円(投資有価証券売却益547億円が大半)が税引前利益2,464億円を大きく押し上げており、純利益1,700億円の一部は一時的要因に依存する。特別損失は46億円(減損損失35億円、固定資産除売却損5億円等)と限定的だが、減損損失は前年13億円から増加傾向にある。経常利益と純利益の乖離は特別損益と税効果を挟んで+506億円(純利益1,700億円-経常利益1,958億円+税金等1,209億円-特別損益506億円)となり、プラス方向に大きく振れた。営業CF1,473億円は純利益1,700億円に対し0.87倍で、アクルーアル比率は(1,700億円-1,473億円)/1,700億円=13%程度とやや高めだが許容範囲内にある。営業CF/EBITDA0.72倍は現金転換の弱さを示唆し、運転資本の変動(特に買掛金減少-806億円)が主因である。工事損失引当金の期中減少-267億円は利益押し上げ要因だが、これは過去の引当計上案件の完工・見直しによるもので、今後の反動可能性には留意が必要である。包括利益は2,093億円で純利益を+393億円上回り、その他有価証券評価差額金138億円、退職給付に係る調整額202億円が主な増加要因であり、これらは損益に直接反映されない評価益である。総じて、営業段階の収益力は実態を伴うが、特別利益の計上により当期純利益の一部は非経常的であり、来期以降の反動減に注意が必要である。経常的な収益力は経常利益1,958億円で評価すべきであり、この水準での持続性が今後の焦点となる。
会社予想(2027年3月期通期)は、売上高2兆4,200億円(当期比+15.8%)と増収を見込む一方、営業利益1,880億円(同横ばい)、経常利益1,870億円(同-4.5%)、親会社株主に帰属する純利益1,510億円(同-11.2%)と減益を想定する。営業利益率は9.0%から7.8%へ約1.2pt低下する計画で、当期の高水準な採算(工事損失引当金取り崩し効果含む)からの正常化を織り込む。経常利益の減少は営業段階のマージン縮小に加え、営業外損益の変動も想定される。純利益の減益幅が大きいのは、当期の特別利益552億円(投資有価証券売却益547億円)の反動が主因であり、経常的収益力ベースでは横ばい圏内と評価できる。進捗率は、上期時点で売上高86.3%(2兆0,890億円/2兆4,200億円)、営業利益100.0%(1,880億円/1,880億円)、純利益112.6%(1,700億円/1,510億円)と、既に通期計画を達成している項目もあり、下期の環境変化や追加引当を保守的に織り込んだ計画と推察される。土木の高採算維持と建築の価格転嫁・原価統制の継続が計画達成のカギとなり、受注単価と原価上昇のバランスが重要である。大型投資の反動で減価償却・のれん償却の増加が営業段階の重石となる可能性もあり、建築の粗利率定着と新規受注品質が持続性を左右する。
年間配当は1株あたり310円(中間配当125円、期末配当185円)で、前年比+245円の大幅増配となった。親会社株主に帰属する純利益1,700億円に対する配当性向は30.8%(配当総額522億円ベース)と、持続可能な範囲内にある。自社株買いは期中に780億円実施し、総還元額は1,302億円(配当522億円+自社株買い780億円)で純利益の76.6%に達する。総還元性向は高水準だが、FCFは-486億円で内部資金のみでは賄えず、有利子負債による調達(長期借入+1,322億円等)で補填した。配当の持続性は営業CFの継続的な積み上げにかかるが、当期の営業CF1,473億円は配当522億円の2.8倍を確保しており、配当のみであれば十分なカバー率である。自社株買いは機動的な株主還元施策として評価できるが、今後は投資と還元のバランス最適化(特にM&A・設備投資との同時実行ペース)が課題となる。次期予想配当は1株190円(予想配当性向20.5%)と減配を見込むが、これは当期の特別利益剥落による純利益減を踏まえた調整であり、経常的な配当水準としては前年比で増配基調にある。現預金残高2,783億円は配当支払能力を裏付ける水準だが、短期負債比率44.1%の高さと投資需要を踏まえると、総還元の持続には営業CFの一段の改善が望ましい。
工事損失引当金の変動リスク: 当期は工事損失引当金が267億円減少し利益を押し上げたが、これは過去計上案件の完工・見直しによる一時的効果である。今後、固定価格契約案件での原材料・労務費上昇や工期遅延が発生した場合、引当金の再積み増しが必要となり、利益の下振れ要因となる。建築事業の利益率6.1%は改善したが、引当減少効果を除いた経常的収益性の持続性には注意を要する。引当金残高は764億円(前年1,027億円)と減少したが、依然として一定規模を維持しており、個別案件の採算管理が重要となる。
短期負債集中とリファイナンスリスク: 短期負債比率44.1%(流動負債1兆3,797億円/総負債1兆7,246億円)は高めで、借入金の借り換え時に金利上昇や資金調達環境の悪化が発生した場合、財務コストの増加や流動性圧迫のリスクがある。短期借入金1,620億円、1年内償還社債100億円が短期間に集中しており、満期管理と長期化が課題である。一方、現金/短期負債は1.72倍で一定のバッファがあり、インタレストカバレッジ48倍と支払能力は十分だが、大型投資・還元の継続下では資金繰りの機動性確保が重要となる。
特別利益依存と純利益ボラティリティ: 当期純利益1,700億円の一部は特別利益552億円(投資有価証券売却益547億円)に依存しており、来期以降この水準の特別利益が見込めない場合、純利益は大きく減少する。会社予想(次期純利益1,510億円)は既にこの反動を織り込むが、投資有価証券残高4,663億円は依然として大きく、市場変動に伴う評価損益の振れが今後の純利益を左右する可能性がある。経常的な収益力は経常利益1,958億円で評価すべきだが、特別損益の変動により株主還元原資が不安定化するリスクには留意が必要である。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 9.0% | 5.5% (3.5%–7.2%) | +3.4pt |
| 純利益率 | 7.0% | 3.5% (2.5%–4.4%) | +3.4pt |
自社の営業利益率9.0%は業種中央値5.5%を3.4pt上回り、収益性は業種内で上位に位置する。純利益率7.0%も中央値3.5%を大きく上回り、土木事業の高採算と建築事業の採算改善が業種平均を凌駕する要因となっている。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | -3.0% | 9.8% (-2.1%–15.1%) | -12.8pt |
売上高成長率-3.0%は業種中央値9.8%を12.8pt下回り、成長性では業種内で劣後する。建築事業の減収(-9.0%)が主因だが、受注選別強化による一時的減速と評価でき、次期は+15.8%の増収計画で成長軌道への回帰を目指す。
※出所: 当社集計
採算改善の構造変化と持続性の見極め: 営業利益率9.0%(前年5.6%)への3.4pt改善は、完成工事総利益率の5.6pt上昇(9.8%→15.4%)と工事損失引当金の取り崩し267億円が主因である。土木事業の高採算(営業利益率13.3%)は3期連続で二桁台を維持しており、構造的な強みと評価できる。一方、建築事業の営業利益率6.1%は前年0.8%から大幅改善したが、引当金取り崩し効果を除いた経常的な収益性の定着度合いが今後の焦点となる。次期ガイダンスで営業利益率7.8%(-1.2pt)への縮小を織り込む点は、会社自身も当期の高水準マージンに一時的要因が含まれることを認識していると推察される。建築の粗利率定着と受注単価の維持が、採算改善の持続性を左右するカギとなる。
M&A積極化と統合リスクのバランス: 当期はのれんが759億円(前年81億円から+679億円)へ大幅増加し、子会社株式取得に1,505億円を投じるなど、M&Aを活発化させた。のれん/EBITDA0.37倍、のれん/純資産7.7%と負担は軽微であり、財務耐性は十分である。一方、のれん償却額は58億円(前年5億円から+53億円)へ増加し、今後の利益段階での負担は徐々に増す見込みである。統合後のシナジー実現と減損リスクの抑制が、投資対効果を決める要素となる。土木・建築の両事業で技術力・市場地位を強化する狙いと推察されるが、統合プロセスの進捗とクロスセル効果の発現が今後の注目ポイントとなる。
短期負債比率と営業CFカバー率の改善余地: 短期負債比率44.1%は業種内でもやや高めで、リファイナンスリスクへの感応度がある。営業CF1,473億円は純利益1,700億円の0.87倍で品質は概ね良好だが満額には届かず、運転資本の変動(買掛金減少-806億円等)が主因である。前受金主導のキャッシュ創出は今後も期待できるが、買掛金の減少トレンドが続く場合、OCFの伸びは鈍化する可能性がある。長期借入金は2,054億円(+61%)へ増加し、満期プロファイルの長期化が進んだ点は評価できるが、短期借入金1,620億円の借り換え管理と、営業CFの一段の改善(OCF/純利益1.0倍以上への回復)が、財務安定性と株主還元の持続性を高める鍵となる。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。