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17862026 第3四半期プライムJGAAP

オリエンタル白石(1786) 2026年度第3四半期決算

2026年度第3四半期の売上高は527.4億円(前年同期比+5.3%)、営業利益は46.7億円(同-13.0%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥527.4億¥501.1億+5.3%
営業利益¥46.7億¥53.7億−13.0%
経常利益¥49.6億¥54.8億−9.5%
純利益¥33.2億¥37.3億−11.0%
ROE6.3%7.3%-

Executive Summary

2026年度第3四半期累計決算は、売上高527.4億円(前年同期比+26.3億円 +5.3%)、営業利益46.7億円(同-7.0億円 -13.0%)、経常利益49.6億円(同-5.2億円 -9.5%)、親会社株主に帰属する四半期純利益33.2億円(同-4.1億円 -11.0%)となった。売上は堅調に拡大したが、営業利益段階で13.0%の減益を記録し、増収減益の決算となった。営業利益率は8.9%と前年同期の10.7%から1.8pt低下し、収益性の悪化が顕著となった。

業績変動要因

【売上高】売上高は527.4億円と前年同期比+5.3%の増収を達成。主力の建設事業は434.5億円(前年417.5億円、+4.1%)と微増、鋼構造物事業は65.1億円(同60.8億円、+7.0%)と伸長、港湾事業は26.4億円(同21.0億円、+25.9%)と大幅増となった。セグメント別では港湾事業の成長率が際立つが、絶対額では建設事業が全体の82.4%を占める主力であり、全社売上成長を牽引した。

【損益】営業利益は46.7億円と前年同期比-13.0%の減益。建設事業の営業利益は41.0億円(前年49.0億円、-16.3%)と大幅減となり、セグメント利益率は9.4%へ低下(前年11.7%)。鋼構造物事業は4.3億円(前年4.2億円、+2.4%)とほぼ横ばい、港湾事業は1.2億円の利益(前年-0.2億円の損失)へ改善した。建設事業の利益率低下が全社営業減益の主因であり、工事採算の悪化や原価上昇、販管費増加(53.6億円、販管費率10.2%)が影響したと推察される。営業外収益は4.0億円(受取配当金1.6億円含む)、営業外費用は1.1億円と小幅で、経常利益は49.6億円となった。特別損益は固定資産売却益1.0億円の特別利益と固定資産除売却損0.8億円の特別損失がほぼ相殺され、一時的要因の影響は軽微。税引前利益49.7億円に対し法人税等16.6億円(実効税率約33.3%)を計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益は33.2億円となった。経常利益と純利益の乖離は16.3億円(税負担)であり、構造的要因ではない。結論として、増収減益の決算であり、売上拡大にもかかわらず本業のマージン悪化が利益を圧迫した。

セグメント別分析

建設事業は売上高434.5億円(構成比82.4%)、営業利益41.0億円(利益率9.4%)で、全社営業利益の87.8%を占める主力事業である。前年同期比では売上+4.1%増に対し営業利益-16.3%減と、収益性の悪化が顕著。鋼構造物事業は売上高65.1億円(構成比12.3%)、営業利益4.3億円(利益率6.6%)で前年並みの利益水準を維持。港湾事業は売上高26.4億円(構成比5.0%)、営業利益1.2億円(利益率4.5%)と、前年の赤字から黒字転換し改善基調。セグメント間の利益率差異では建設事業が9.4%と最も高く、港湾事業4.5%、鋼構造物事業6.6%が続く。建設事業の利益率低下が全社業績の下押し要因であり、同事業の採算管理が重要課題となっている。

主要財務指標

【収益性】ROE 6.3%(前年6.8%から低下)、営業利益率8.9%(前年10.7%から1.8pt悪化)、純利益率6.3%(前年7.4%から1.1pt低下)。EBITマージン8.8%と営業段階の収益性低下が明確。【キャッシュ品質】現金及び預金135.5億円(前年202.1億円から-32.9%減少)、短期負債カバレッジ7.1倍(現金預金÷短期借入金20.8億円)と高水準だが現金残高の減少は注視点。【投資効率】総資産回転率0.67倍(年換算)、総資産利益率4.3%(前年4.8%から低下)。【財務健全性】自己資本比率67.0%(前年66.1%からやや改善)、流動比率288.4%と高水準、負債資本倍率0.49倍、Debt/Capital 8.1%と保守的な資本構成。有利子負債46.2億円(総資産比5.9%)、インタレストカバレッジ203倍と金利負担は軽微。短期負債比率45.1%(短期負債190.7億円÷総負債257.8億円)はやや高く、リファイナンスリスクの監視が必要。

キャッシュフロー分析

現金及び預金は135.5億円と前年同期比-66.6億円(-32.9%)の減少を記録し、資金動向の変化が顕著となった。完成工事未収入金360.1億円は売上拡大に伴い増加し、運転資本が膨張。一方で工事未払金93.7億円も前年比増加し、仕入債務の活用による資金効率化が進んでいる。短期借入金は20.8億円と前年29.3億円から減少し、有利子負債圧縮が進行。退職給付負債22.1億円、賞与引当金5.2億円、工事損失引当金3.3億円など引当金が積み増され、将来のキャッシュアウトへの備えが確認できる。自己株式は21.7億円と前年12.0億円から大幅増加し、自社株買いによる株主還元が実施された可能性がある。短期負債に対する現金カバレッジは7.1倍(現金預金÷短期借入金)と依然高水準だが、現金残高の減少トレンドは流動性管理上の注意点となる。

収益の質

経常利益49.6億円に対し営業利益46.7億円で、営業外純増は2.9億円。内訳は営業外収益4.0億円(受取配当金1.6億円、受取利息0.1億円含む)と営業外費用1.1億円(支払利息0.2億円、支払手数料0.2億円等)で構成される。受取配当金は投資有価証券42.9億円からの配当収入であり、持分法投資等の受動的収益が経常利益を下支えしている。営業外収益は売上高の0.8%と小幅で、本業利益への依存度が高い構造。特別損益は固定資産売却益1.0億円と固定資産除売却損0.8億円がほぼ相殺され、純額で0.2億円のプラス寄与にとどまり、経常的収益が中心である。税引前利益49.7億円に対し法人税等16.6億円で税負担係数0.67となり、純利益33.2億円が確定。営業CF情報は開示されていないが、完成工事未収入金の増加と現金残高の減少から、運転資本増加により営業CFが圧迫された可能性が示唆される。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高660.0億円(前期比+2.2%)、営業利益49.0億円(同-9.8%)、経常利益49.0億円(同-11.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益32.5億円を見込む。第3四半期累計に対する進捗率は、売上高79.9%(標準進捗75.0%を+4.9pt上回る)、営業利益95.3%(同+20.3pt)、経常利益101.2%(同+26.2pt)、純利益102.2%(同+27.2pt)と、利益指標は既に通期予想を上回る進捗を示している。進捗率が標準を大きく上回る背景として、第4四半期の利益が保守的に見積もられているか、第3四半期までの利益減少を下期に挽回する計画が織り込まれていない可能性がある。会社予想の前提条件は開示されていないが、既に通期経常利益の101.2%を達成しており、予想の上方修正余地があるか、または第4四半期に特別な減益要因が想定されている可能性がある。

株主還元

年間配当予想は14.5円(第2四半期7.0円、期末7.5円)で、前年同期の配当実績との比較情報は開示されていないが、期末予想7.5円が示されている。予想純利益32.5億円(通期)と配当予想14.5円×発行済株式数(自己株式控除後約128.6百万株)から算出すると、年間配当総額は約18.6億円となり、配当性向は約57.2%(18.6億円÷32.5億円)となる。第3四半期累計純利益33.2億円ベースでは配当性向約56.0%と算出される。自社株買いについては、自己株式が前年12.0億円から21.7億円へ+9.7億円増加しており、期中に自社株取得が実施された可能性が高い。自社株買い額を約9.7億円と仮定すると、総還元額は配当18.6億円+自社株買い9.7億円=28.3億円となり、総還元性向は約87.0%(28.3億円÷32.5億円)と高水準となる。配当性向約57%は適正範囲だが、現金残高の減少と総還元性向の高さを踏まえると、持続性には営業CF創出力の確保が前提となる。

リスク要因

建設市場の受注環境悪化リスク: 建設事業が売上の82.4%を占める中、公共投資削減や民間建設需要の減速が発生した場合、売上・利益の大幅減少に直結する。前年同期比で建設事業の利益率が11.7%→9.4%へ2.3pt低下しており、採算悪化が既に進行している点が懸念材料。

運転資本膨張と資金繰りリスク: 完成工事未収入金360.1億円は売上高の68.3%に相当し、回収サイクルの長期化や顧客の信用悪化が発生すると、キャッシュフローが急速に悪化するリスクがある。現金残高が前年比-32.9%減少しており、運転資本増加が資金逼迫要因となっている。短期負債比率45.1%と高く、短期資金調達環境の悪化時にリファイナンスコストが上昇するリスクも存在する。

工事採算悪化リスク: 営業利益率が8.9%(前年10.7%)へ低下し、建設事業の利益率悪化が主因。資材・労務費の上昇や工事損失引当金3.3億円の計上が示すように、不採算案件の増加や原価管理の困難が収益性を圧迫。固定価格契約の多い建設業において、予期せぬコスト増加は利益を直撃する。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)

収益性: 営業利益率8.9%は業種中央値4.1%(2025年第3四半期、n=4社)を+4.8pt上回り、業種内で上位の収益性を維持。純利益率6.3%は業種中央値2.8%を+3.5pt上回る。ROE 6.3%は業種中央値3.7%を+2.6pt上回り、資本効率でも相対優位。ただし前年同期比では各指標が悪化しており、業種内優位性の持続性が問われる局面。

成長性: 売上高成長率+5.3%は業種中央値-3.5%を大幅に上回り、業種内で堅調な成長を実現。業種全体が減収基調にある中で増収を達成している点は評価できる。

財務健全性: 自己資本比率67.0%は業種中央値60.5%(IQR: 56.2%〜67.8%)を上回り、第3四分位に近い高水準。流動比率288.4%は業種中央値207%を大きく上回り、流動性は業種内で優位。ネットデット/EBITDA倍率は有利子負債の小ささと現金保有により業種中央値2.31を下回る保守的水準と推定される。

(業種: 建設業、比較対象: 2025年第3四半期、出所: 当社集計)

決算上の注目ポイント

決算上の注目ポイント(1)増収減益構造とマージン悪化: 売上高は+5.3%成長を達成したが、営業利益は-13.0%減と大幅減益となり、営業利益率は8.9%(前年10.7%から1.8pt低下)へ悪化。主力の建設事業で利益率が11.7%→9.4%へ低下しており、工事採算管理と原価コントロールが喫緊の課題。業種内では依然上位の利益率を維持しているが、トレンドの反転が業績評価の鍵となる。

決算上の注目ポイント(2)現金残高の大幅減少と運転資本増加: 現金及び預金が前年同期比-66.6億円(-32.9%)と大幅減少し、完成工事未収入金360.1億円へ膨張。自己株式が+9.7億円増加し株主還元を実施した一方で、営業資金需要の増大が資金を圧迫。短期負債比率45.1%と高く、流動性管理の重要性が高まっている。営業CF創出力の強化と運転資本効率改善が資金繰り安定の前提。

決算上の注目ポイント(3)通期予想に対する高進捗率: 第3四半期累計で営業利益95.3%、経常利益101.2%、純利益102.2%と通期予想を既に上回る進捗を達成。第4四半期の業績見通しが保守的である可能性があり、予想の修正余地を注視する局面。配当予想は年間14.5円で配当性向約57%、自社株買いを含む総還元性向は約87%と高水準であり、株主還元姿勢は積極的だが持続性は営業CF次第。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度Q3累計は、増収ながら建設事業の採算低下と販管費増により減益となった。売上高は527.44億円で前年同期比5.3%増加した。営業利益は46.69億円で同13.0%減少した。親会社株主に帰属する当期純利益は33.49億円で同10.1%減少した。営業利益率は8.9%となり、前年同期の10.7%から186bp低下した。完成工事総利益率は19.0%で、前年同期の19.5%から48bp低下した。売上増加額26.32億円に対し、完成工事総利益の増加は5.58億円にとどまり、原価率の上昇が確認される。さらに販管費は53.62億円と前年同期比21.7%増加し、売上成長率を16.4pt上回った。販管費率は10.2%と前年同期の8.8%から138bp上昇し、営業減益の主因となった。建設事業は売上高434.23億円で前年同期比4.0%増加した一方、セグメント利益は40.96億円で同16.5%減少した。港湾事業は売上高26.39億円で同25.9%増、セグメント利益1.18億円へ黒字転換し、相対的な改善要因となった。営業外損益は2.89億円の黒字であり、受取配当金1.57億円が経常利益を補完した。特別損益は差引0.15億円の利益にとどまり、純利益は主として営業・経常段階の収益力を反映している。年換算ROEは8.5%で、純利益率6.3%、総資産回転率0.900回、財務レバレッジ1.49倍から構成される。Q3累計の営業利益は通期会社予想49.00億円に対して95.3%、親会社株主帰属利益は32.50億円の予想に対して103.0%まで進捗している。通期計画には保守性が残る一方、建設事業の採算と販管費率がQ4の利益着地を左右する。

収益性分析

年換算ROE 8.5%は、純利益率6.3%×総資産回転率0.900回×財務レバレッジ1.49倍で説明される。収益性の水準は、営業利益率8.9%および純利益率6.3%と、提示ベンチマーク上ではいずれも「良好」な範囲にあるが、ROEは8%台半ばであり資本効率の一段の改善余地を残す。デュポン構成要素のうち、現局面で最も注視すべきなのは純利益率、より具体的には営業利益率の186bp低下である。売上高が5.3%伸びたにもかかわらず、完成工事原価は427.13億円と前年同期比5.9%増加し、売上成長を上回った。加えて販管費は前年同期の44.06億円から53.62億円へ9.56億円増加しており、営業レバレッジは逆方向に働いた。建設事業の利益率は9.4%で前年同期の11.7%から約230bp低下し、連結採算悪化の中心である。鋼構造物事業は売上高64.98億円、セグメント利益4.32億円で、利益率は6.6%と前年同期の6.8%から小幅低下した。港湾事業は利益率4.5%へ改善したが、建設事業および鋼構造物事業より低く、連結利益への寄与はなお限定的である。その他事業は売上高1.83億円、セグメント利益0.19億円であり、太陽光売電・不動産賃貸・インターネット関連を含むが、規模は小さい。税負担係数は0.673、実効税率は33.3%であり、税負担係数は通常の目安である0.70をやや下回る。金利負担係数は1.065倍、インタレストカバレッジは203.0倍であり、金融費用は収益性を実質的に圧迫していない。したがって、利益率改善にはレバレッジ拡大ではなく、建設案件の原価管理、採算案件の選別、販管費の売上成長率以下への抑制が重要となる。

成長性評価

売上成長は建設事業の4.0%増、鋼構造物事業の6.9%増、港湾事業の25.9%増によって支えられた。建設事業は連結外部売上高の82.3%を占め、営業利益寄与も最大であるため、主力事業と位置付けられる。主力建設事業の増収が利益増加に結び付いていない点は、成長の利益転換力という観点で課題である。鋼構造物事業は増収増益を確保したが、利益率は小幅に低下している。港湾事業の黒字転換はポートフォリオの改善材料だが、売上構成比は5.0%にとどまる。会社予想の通期売上高660.00億円に対するQ3進捗率は79.9%で、標準的な75%を4.9pt上回る。通期営業利益予想49.00億円に対する進捗率は95.3%で、標準を20.3pt上回る。通期親会社株主帰属利益予想32.50億円に対しては103.0%に達している。経常利益もQ3累計49.58億円で、通期予想49.00億円を上回った。会社予想は通期売上高2.2%増に対し営業利益9.8%減を織り込んでおり、Q4には採算面で慎重な前提が置かれているとみられる。今後の売上成長の持続性は、受注の量だけでなく、資材費・外注費・人件費上昇を価格転嫁できる案件構成、および大型工事の工程進捗に左右される。完成工事未収入金は360.06億円まで増加しており、工事進捗に伴う売上計上が現金化へ円滑に転換するかが重要となる。

財務健全性

財務基盤は総資産781.68億円に対し純資産523.86億円、自己資本比率67.0%であり、資本充実度は高い。有利子負債は46.15億円で、Debt/Capital比率は8.1%、負債資本倍率は0.49倍にとどまり、過度なレバレッジは確認されない。流動比率および当座比率はいずれも288.4%であり、流動負債190.74億円に対して流動資産550.14億円、運転資本359.40億円を有する。現金預金135.49億円は短期借入金20.80億円の6.51倍で、短期債務の返済余力は十分である。品質アラートである短期負債比率45.1%は、有利子負債46.15億円のうち短期借入金が20.80億円を占めることを示し、借換条件や金利水準の変化に対するリファイナンスリスクとして監視が必要である。ただし、現金預金と低いDebt/Capital比率がこのリスクを大きく緩和しており、現時点で流動性逼迫を示す水準ではない。前年同期比で現金預金は202.06億円から135.49億円へ66.57億円、32.9%減少した。一方、自己株式は11.97億円の控除から21.65億円の控除へ9.68億円増加しており、自己株式取得を含む資本配分が現金減少の一因となった可能性がある。完成工事未収入金は294.97億円から360.06億円へ65.09億円、21.9%増加しており、流動資産の回収可能性と工事代金の請求・回収タイミングを注視する必要がある。工事未払金は93.70億円であり、未収入金との差額は大きいものの、建設業では工事進捗および出来高請求に伴う運転資本の季節性を考慮する必要がある。のれん31.37億円は純資産の6.0%、総資産の4.0%で、M&A価値への依存度は低い。無形固定資産は総資産の4.4%であり、資産構成上の集中リスクは限定的である。退職給付に係る負債22.05億円、工事損失引当金3.31億円は、長期人件費債務および不採算工事リスクを反映する負債として継続的な監視対象となる。

B/S変動のポイント

自己株式: 控除額が11.97億円から21.65億円へ9.68億円増加(80.9%)- 自己株式取得を含む資本配分の拡大を示す。株主還元の評価では配当性向と総還元性向を区別して監視する必要がある。現金預金: 202.06億円から135.49億円へ66.57億円減少(32.9%)- 流動性はなお強いが、運転資本・資本還元・投資の資金需要を踏まえた推移の確認が必要。完成工事未収入金: 294.97億円から360.06億円へ65.09億円増加(21.9%)- 売上増加を上回る債権拡大であり、出来高請求および回収の進捗がキャッシュ創出力を左右する。有形固定資産: 127.15億円から137.65億円へ10.50億円増加(8.3%)- 建物及び構築物の増加を含み、施工・事業基盤への投資拡大を示す。退職給付に係る負債: 26.07億円から22.05億円へ4.02億円減少(15.4%)- 長期従業員債務は縮小したが、割引率・年金資産運用の変動影響は継続して監視対象となる。

キャッシュフロー品質

完成工事未収入金が前年同期比65.09億円増加し、売上高の68.3%に相当する360.06億円となっているため、利益の現金化と請求回収の進捗が重要な評価点である。年換算売上高を用いた完成工事未収入金の回収日数の参考値は約170日であり、建設業固有の出来高請求、保留金、検収時期の影響を受けやすい。未成工事支出金17.27億円に対し未成工事受入金は18.39億円で、未成工事段階では前受けが支出を1.12億円上回っている。これは進行中工事について一定の資金先行を抑える構造を示す。一方、完成工事未収入金の増加幅は未成工事関連の純前受けを大きく上回るため、回収サイトの長期化が続く場合には運転資本がキャッシュフローを圧迫し得る。現金預金は135.49億円を維持し、短期借入金20.80億円を大幅に上回るため、短期的な資金繰り耐性は高い。自己株式の控除額が9.68億円増加していることから、株主還元と成長投資の両立を判断する際には、工事債権の回収動向と手元流動性の推移を併せて確認することが重要である。

配当持続性

第2四半期配当は1株当たり7.00円であり、提示されたQ3累計ベースの配当性向は29.0%である。会社の通期予想配当は1株当たり14.50円で、通期予想EPS25.13円に対する配当性向は約57.7%となる。これは配当のみを純利益で除した配当性向であり、自社株買いを含む総還元性向とは区別される。57.7%は提示ベンチマークの60%以下に収まり、予想利益が達成される前提では配当水準は概ね持続可能な範囲にある。親会社株主帰属利益のQ3累計は33.49億円で通期予想32.50億円を既に上回っており、現時点の利益進捗は配当原資に余力を与える。純資産523.86億円、現金預金135.49億円、有利子負債46.15億円という資本構成も配当支払いの安定性を支える。もっとも、現金預金は前年同期比32.9%減少し、完成工事未収入金は増加しているため、配当の継続余力は会計利益だけでなく工事代金の回収および運転資本の管理に依存する。自己株式の増加を伴う資本配分を継続する場合には、配当性向に加えて配当と自己株式取得を合算した総還元性向を確認することが重要である。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度:建設事業は連結売上高の82.3%を占める主力である一方、売上高4.0%増に対してセグメント利益は16.5%減少した。資材費、外注費、人件費の上昇を固定価格案件で十分に転嫁できない場合、利益率低下が継続するリスクがある。、高優先度:完成工事未収入金は360.06億円、前年同期比65.09億円増であり、大型案件の検収遅延、出来高請求の回収遅延、発注者の信用悪化がキャッシュ回収を悪化させるリスクがある。、中優先度:工事損失引当金3.31億円は不採算工事の存在を示す。設計変更、工期遅延、資材価格変動、施工条件の変化が追加損失を生む可能性がある。、中優先度:建設業固有の技能労働者不足・高齢化、鉄鋼・セメント等の資材価格変動、天候・自然災害による工程遅延は、原価と工期の双方に影響する。、中優先度:港湾事業は黒字転換したが利益率4.5%にとどまる。公共投資予算サイクル、港湾案件の発注時期、案件規模の変動が事業利益を左右する。が挙げられます。

財務リスクとしては、中優先度:短期負債比率45.1%は40%の警戒目安を上回る。短期借入金20.80億円の借換条件や金利上昇は監視対象であるが、現金預金135.49億円および現金/短期負債6.51倍が緩衝材となる。、中優先度:現金預金は前年同期比66.57億円減少した。自己株式の控除額増加と運転資本の拡大が続く場合、資本配分の柔軟性が低下する可能性がある。、低優先度:投資有価証券42.90億円に対する評価差額は16.73億円であり、市場価格変動はOCIおよび純資産に影響する。、低優先度:退職給付に係る負債22.05億円は、割引率や年金資産の運用環境の変動によって再測定の影響を受ける。が挙げられます。

主な懸念事項としては、最重要監視点は、増収局面にもかかわらず営業利益率が186bp低下し、販管費率が138bp上昇した点である。、完成工事未収入金の増加が一時的な工事進捗・請求時期によるものか、恒常的な回収サイト長期化によるものかを確認する必要がある。、通期営業利益予想への進捗率は95.3%、純利益予想への進捗率は103.0%であるため、Q4の採算、工事損失引当金、案件完成時の原価精査が予想達成の主要変数となる。、のれんは純資産の6.0%にとどまり、現時点でM&Aに起因する大きな減損リスクは見られない。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、売上高は前年同期比5.3%増であり、建設・鋼構造物・港湾の各事業で増収を確保した。、営業利益率は8.9%と良好圏を維持する一方、前年同期比186bpの低下と販管費の21.7%増は利益率改善の阻害要因である。、Q3累計の営業利益進捗率95.3%、親会社株主帰属利益進捗率103.0%は、会社通期計画に対する上振れ余地を示すが、Q4の工事採算の不確実性を考慮する必要がある。、自己資本比率67.0%、Debt/Capital比率8.1%、インタレストカバレッジ203.0倍は、堅固な財務耐性を示す。、完成工事未収入金の増加と現金預金の減少は、利益成長を実際のキャッシュ創出へ転換できるかを判断するうえでの中心論点である。、通期予想配当性向約57.7%は持続可能な範囲にあるが、自己株式取得を含めた資本還元の規模は別途確認が必要である。が挙げられます。

注視すべき指標は、建設事業のセグメント利益率および連結営業利益率、販管費の増減率と販管費率、完成工事未収入金、回収日数、および貸倒関連コスト、工事損失引当金の増減と大型案件の採算、現金預金、有利子負債、短期借入金の借換条件、通期営業利益49.00億円および親会社株主帰属利益32.50億円に対するQ4実績、通期配当14.50円に対する配当性向および総還元性向です。

セクター内ポジションについては、営業利益率8.9%、純利益率6.3%は提示ベンチマーク上で良好な水準にあり、自己資本比率67.0%と低いDebt/Capital比率8.1%は保守的な財務ポジションを示す。一方で、年換算ROE 8.5%は高収益企業の目安である10%超には届かず、主力建設事業の採算低下と運転資本の拡大を改善できるかが相対的な評価向上の条件となる。