クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥2395.6億 | ¥1967.8億 | +21.7% |
| 営業利益 | ¥103.3億 | ¥31.8億 | +225.0% |
| 経常利益 | ¥112.6億 | ¥35.8億 | +214.4% |
| 純利益 | ¥80.7億 | ¥29.3億 | +175.7% |
| ROE | 7.6% | 2.9% | - |
Executive Summary
2026年度第3四半期累計決算は、売上高2,395.6億円(前年比+427.8億円 +21.7%)、営業利益103.3億円(同+71.5億円 +225.0%)、経常利益112.6億円(同+76.8億円 +214.4%)、純利益80.7億円(同+51.4億円 +175.7%)と大幅な増収増益を達成。建設事業の拡大が売上を牽引し、営業利益率は4.3%へ改善。経常利益率は4.7%となり、純利益率は3.4%へ上昇。
業績変動要因
【売上高】2,395.6億円(前年比+21.7%)は建設事業の両セグメントで拡大。建設事業(建築)が1,844.6億円(前年1,485.7億円から+24.2%)、建設事業(土木)が521.8億円(前年455.4億円から+14.6%)と、いずれも2桁増収。不動産事業等は29.4億円(前年26.7億円から+9.9%)と小幅増。建設市場の旺盛な需要と手持ち工事の順調な進捗が売上拡大の主因。売上原価は2,137.6億円(前年1,780.9億円から+20.0%)で、売上原価率は89.2%(前年90.5%から1.3pt改善)。売上総利益は258.0億円(同+38.0%)となり、粗利率は10.8%へ改善。 【損益】営業利益103.3億円(前年比+225.0%)は売上総利益の拡大と販管費の相対的抑制が寄与。販管費は154.7億円(前年154.9億円から-0.1%)とほぼ横ばいで推移し、売上高販管費率は6.5%(前年7.9%から1.4pt改善)。全社費用71.3億円(前年61.4億円)の増加があるものの、セグメント利益合計は174.5億円(前年93.1億円から+87.3%)と大幅拡大。営業利益率は4.3%(前年1.6%から2.7pt改善)へ上昇。経常利益112.6億円は営業利益比+9.3億円で、営業外収益が11.7億円(受取利息・配当金6.9億円含む)、営業外費用が2.4億円(支払利息2.7億円含む)。純営業外収益は9.3億円のプラス寄与。特別利益として投資有価証券売却益8.5億円、固定資産売却益2.1億円の合計10.6億円が計上され、一時的要因が当期純利益を押し上げ。税引前利益は123.0億円となり、法人税等43.2億円(実効税率35.1%)を差し引き、純利益は80.7億円に着地。特別利益10.6億円を除外すると経常ベースの当期純利益は約70億円相当と推定され、営業増益が利益拡大の主因であることが確認できる。結論として、建設事業の受注拡大による増収と、原価率改善・販管費抑制による営業利益の大幅改善により、増収増益を実現。
セグメント別分析
建設事業(建築)は売上高1,844.6億円(全体の77.0%)、営業利益119.4億円で営業利益率6.5%。前年比で売上+24.2%、営業利益+76.4%と大幅増益。建設事業(土木)は売上高521.8億円(全体の21.8%)、営業利益51.9億円で営業利益率9.9%。前年比で売上+14.6%、営業利益+241.9%と利益率が顕著に改善。建築が主力事業だが、土木の利益率は建築を上回り、セグメント間で3.4ptの利益率差異が存在。不動産事業等は売上高29.4億円(全体の1.2%)、営業利益3.3億円で営業利益率11.2%と高水準だが、規模は限定的。全社費用71.3億円を控除後の連結営業利益は103.3億円となり、全社費用の配賦影響がセグメント利益合計174.5億円から約40.8%を減少させている。
主要財務指標
【収益性】ROE 7.5%(前年5.8%から1.7pt改善)、営業利益率4.3%(前年1.6%から2.7pt改善)、純利益率3.4%(前年1.5%から1.9pt改善)。デュポン分解では純利益率3.3%、総資産回転率0.80倍、財務レバレッジ2.84倍の構成。【キャッシュ品質】現金預金394.2億円、短期借入金445.8億円に対する現金カバレッジ0.88倍。完成工事未収入金1,639.2億円と運転資本519.6億円が大きく、工事進行基準に伴う債権回収管理が資金動向の鍵。【投資効率】総資産回転率0.80倍(前年0.72倍から改善)。【財務健全性】自己資本比率34.9%(前年37.4%から2.5pt低下)、流動比率127.5%、短期有利子負債445.8億円・長期有利子負債9.9億円で有利子負債合計455.7億円。ネット有利子負債61.5億円、負債資本倍率1.84倍。短期借入金が前年55.8億円から445.8億円へ+698.9%増加し、長期借入金は前年211.3億円から9.9億円へ-95.3%減少。負債の満期構成が短期化しており、短期負債比率97.8%はリファイナンスリスクに要注意。
キャッシュフロー分析
キャッシュフロー計算書の開示がないため、貸借対照表の推移から資金動向を分析する。現金預金は前年309.9億円から394.2億円へ+84.3億円増加し、資金水準は改善。短期借入金の+390.0億円増加が最大の資金調達源であり、長期借入金の-201.4億円減少と合わせて有利子負債全体では+188.6億円の純増。これは長期借入の返済・借換えに伴う短期調達へのシフトを示す。資産サイドでは完成工事未収入金が+232.0億円、未成工事支出金が+49.4億円増加し、工事進行に伴う運転資本が拡大。負債サイドでは電子記録債務が+31.6億円、前受金が+42.2億円増加し、工事代金の前受や下請支払の電子化が進捗。純資産は+34.6億円増加し、利益積み上げが資本を拡充。短期借入依存度の上昇により流動性プレッシャーは高まっているが、現金預金の積み上げで短期負債に対する現金カバレッジは0.88倍を確保。完成工事未収入金の回収と前受金管理が今後のキャッシュ創出力を左右する。
収益の質
経常利益112.6億円に対し営業利益103.3億円で、非営業純増は約9.3億円。内訳は営業外収益11.7億円(受取利息・配当金6.9億円が主体)から営業外費用2.4億円(支払利息2.7億円含む)を差し引いた純額。営業外収益が売上高の0.5%を占め、主に金融収益で構成。特別利益10.6億円(投資有価証券売却益8.5億円、固定資産売却益2.1億円)が計上され、当期純利益80.7億円を押し上げる一時的要因となっている。特別利益を除外した経常ベースの当期純利益は約70億円相当と推定され、営業ベースの収益力が利益の中核。営業CFの開示がないため利益の現金裏付けは確認できないが、工事進行基準に伴う運転資本の増加(完成工事未収入金+232.0億円)が営業CFを圧迫する可能性に留意。特別利益は一過性であり、継続的な収益の質は営業利益の水準に依存する。
業績予想・ガイダンス
通期予想は売上高3,360.0億円、営業利益137.0億円、経常利益148.0億円、純利益103.0億円。第3四半期累計の進捗率は売上高71.3%、営業利益75.4%、経常利益76.1%、純利益78.4%となり、いずれも標準進捗75%を概ね達成。営業利益以下の進捗率がやや上回るのは特別利益10.6億円の押し上げ効果。通期予想に対する第4四半期の期待値は売上高964.4億円、営業利益33.7億円、経常利益35.4億円、純利益22.3億円。第3四半期累計の営業利益率4.3%に対し、通期予想の営業利益率は4.1%でほぼ整合。前年比では通期予想は売上+14.6%、営業利益+55.0%、経常利益+52.6%、純利益+40.5%の計画で、通期でも増収増益を見込む。期初予想からの修正情報は開示されていないが、第3四半期累計の進捗は予想に沿った水準。第4四半期は例年の季節性(建設業の第4四半期は工事完成・検収集中による売上・利益の期ズレリスク)に留意が必要だが、現時点では通期予想達成の蓋然性は高い。
株主還元
年間配当は期末予想20円で、前年18円から+2円増配。第2四半期時点で中間配当19円を実施済み。通期配当20円に対する配当性向は、通期予想純利益103.0億円ベースで約19.4%(1株当たり配当20円÷1株当たり利益103.0円相当)と推定される。第3四半期累計実績ベースでは純利益80.7億円に対し配当19円で配当性向は約23.5%相当。いずれも配当性向は低水準であり、配当余力は十分。自社株買いに関する開示はなく、総還元性向は配当性向と同水準。配当方針は安定配当の維持姿勢を示しており、増益基調を踏まえた増配が実施されている。現金預金394.2億円と営業増益により配当原資は確保されており、配当の持続性は高い。ただし営業CFの開示がないため、FCFベースでの配当カバレッジは確認できず、今後のキャッシュ創出力のモニタリングが必要。
リスク要因
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リファイナンスリスク: 短期借入金445.8億円(有利子負債の97.8%)への集中により、借換え・返済リスクが高まる。現金預金394.2億円では短期借入をカバーできず(カバレッジ0.88倍)、金融機関のコミットメント継続やリファイナンス計画の確実性が経営の前提条件。
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原価変動リスク: 粗利率10.8%は建設業として低水準であり、資材価格高騰・労務費上昇・受注競争激化が利益率を圧迫。工事損失引当金53.5億円の存在は案件別の採算リスクを示唆し、受注案件の選別・マージン管理が不十分な場合、利益率のさらなる低下リスクがある。
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運転資本管理リスク: 完成工事未収入金1,639.2億円(売上高の68.4%)と運転資本519.6億円の大きさは、工事代金回収遅延や前受金管理の失敗が資金繰りを圧迫するリスクを示す。営業CFの確認ができない中、債権回収サイクルの長期化はキャッシュフロー悪化につながる可能性。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 建設業(2025年第3四半期、4社比較)において、自社の財務指標は以下の位置づけ。収益性: 営業利益率4.3%は業種中央値4.1%(IQR: 1.9-5.8%)に対し中央値並み。純利益率3.4%は業種中央値2.8%(IQR: 1.3-4.0%)を上回り上位水準。ROE 7.5%は業種中央値3.7%(IQR: 1.7-6.6%)を大きく上回り、業種内で相対的に高い収益性を示す。効率性: 総資産回転率0.80倍から算出されるROA 2.7%(純利益率3.4%×総資産回転率0.80)は業種中央値2.2%(IQR: 1.0-3.6%)をやや上回る。成長性: 売上高成長率+21.7%は業種中央値-3.5%(IQR: -13.7-+6.2%)を大幅に上回り、業種内で最も高い成長を達成。健全性: 自己資本比率34.9%は業種中央値60.5%(IQR: 56.2-67.8%)を大きく下回り、レバレッジ活用度が高い。流動比率127.5%は業種中央値207.0%(IQR: 190.0-318.0%)を下回り、流動性は業種内で相対的に低い。ネットデット/EBITDA比率は推定で約0.5倍相当(ネット有利子負債61.5億円÷営業利益ベースEBITDA推定120億円程度)であり、業種中央値2.31倍(IQR: 0.06-11.12)を下回り、負債負担は軽微。総合評価として、成長性と収益性は業種内で優位だが、財務健全性(自己資本比率・流動比率)は業種平均を下回り、資本効率重視の経営スタンスがうかがえる。(業種: 建設業4社、比較対象: 2025年第3四半期、出所: 当社集計)
決算上の注目ポイント
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建設需要の拡大と原価率改善により、営業利益率が前年1.6%から4.3%へ大幅改善。利益率の構造的改善が持続するか、原価管理と受注選別の実効性が今後の焦点。
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短期借入金が前年比+698.9%急増し、有利子負債の97.8%を占める構成は、資金調達の期間構成が短期化したことを示す。借換えリスクへの対応とリファイナンス計画の明示が、投資家の信頼確保に不可欠。
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特別利益10.6億円が純利益を押し上げており、経常ベースの収益力は約70億円相当。一過性要因を除いた継続的な利益水準の評価が重要であり、営業CFの開示による利益の現金裏付け確認が求められる。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
AI財務分析
総括
2026年度第3四半期累計は、完成工事高の増加と建築・土木の採算改善を主因に、大幅な増収増益となった。売上高は前年同期比21.7%増の2,395.60億円であり、完成工事高は同21.9%増の2,366.29億円となった。営業利益は同225.0%増の103.28億円、経常利益は同214.4%増の112.62億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同183.2%増の79.69億円である。営業利益率は前年同期の1.6%から4.3%へ269bp上昇した。粗利益率も前年同期の8.8%から10.8%へ197bp改善しており、工事採算の回復が利益拡大の中心である。純利益率は1.4%から3.3%へ190bp上昇した。売上原価は前年同期比19.2%増にとどまり、売上高の21.7%増を下回ったことが粗利率改善に寄与した。販管費は同8.9%増の154.74億円で、売上成長率を下回っており、営業レバレッジも利益率改善を支えた。主力の建設事業(建築)は売上高1,844.52億円、セグメント利益119.37億円となり、セグメント利益全体の68.4%を占めた。建設事業(土木)も売上高521.76億円、セグメント利益51.87億円と大きく伸長し、土木のセグメント利益率は9.9%と建築の6.5%を上回った。不動産事業等は売上高29.31億円へ増収となった一方、セグメント利益は3.30億円へ前年同期の10.30億円から減少した。営業外では持分法投資利益9.03億円が経常利益を補完した一方、経常利益の拡大は本業の営業利益改善が主導している。税引前利益には投資有価証券売却益4.93億円および固定資産売却益5.64億円を含む特別利益10.64億円が計上されており、純利益には一定の非経常要因が含まれる。通期計画に対する進捗率は売上高71.3%、営業利益75.4%、経常利益76.1%、親会社株主利益77.4%であり、営業・経常・最終利益は第3四半期の標準進捗率75%を上回る。もっとも、通期営業利益計画の達成には第4四半期に33.72億円の営業利益が必要であり、その必要営業利益率は3.5%と第3四半期累計の4.3%を下回る。財務面では流動比率127.5%、インタレストカバレッジ38.39倍、Debt/Capital30.0%が安全性を支える。一方で、有利子負債の97.8%が短期借入金であり、借入金の短期化に伴う借換え管理が重要である。営業キャッシュフローおよび投資キャッシュフローの累計値は開示データに含まれないため、営業CF対純利益およびFCFによる利益・配当の現金裏付けは本分析では数値評価していない。
収益性分析
年換算ROEは10.0%であり、デュポン3因子では純利益率3.3%×総資産回転率1.061倍×財務レバレッジ2.84倍に分解される。ROEを支える最大の改善要因は、売上拡大と原価率低下による純利益率の上昇である。営業利益率は前年同期比269bp改善した一方、純利益率の改善幅は190bpにとどまり、実効税率34.4%と非経常損益の影響が最終利益への転化を抑制した。CFA5因子ではEBITマージン4.3%、金利負担係数1.191、税負担係数0.648である。金利負担係数が1を超えるのは、営業外収益が営業外費用を上回るためであり、支払利息2.69億円に対してインタレストカバレッジは38.39倍と十分高い。粗利益率は10.8%へ改善したが、品質アラートの通り20%未満であり、建設業の個別案件採算、資材費および外注費の変動に利益が左右されやすい構造は残る。EBITマージン4.3%も5%未満であり、売上増が続いても不採算案件の発生や原価上振れによる利益率低下への感応度は高い。販管費は8.9%増と売上高の21.7%増を大きく下回り、販管費率は前年同期の7.2%から6.5%へ約75bp低下した。したがって、当期の収益性改善には工事粗利の回復に加え、固定的な本社費用の吸収という営業レバレッジが寄与している。セグメント別では、建築のセグメント利益率が前年同期の4.6%から6.5%へ改善し、土木も3.3%から9.9%へ大幅に上昇した。これに対し不動産事業等のセグメント利益率は38.6%から11.3%へ低下しており、同事業の前年同期利益の再現性は限定的とみられる。収益性改善の持続性は、今後の完成工事高に対する工事採算、工事損失引当金53.52億円の推移、および短期借入金の借換え条件に依存する。
成長性評価
売上成長は建築事業が前年同期比24.2%増の1,844.52億円、土木事業が同14.6%増の521.76億円となったことにより牽引された。建築・土木の両事業が増収かつ増益であり、単一セグメントへの依存ではない点は業績拡大の質を高める。建築セグメント利益は前年同期比76.4%増、土木セグメント利益は同241.9%増であり、とりわけ土木の採算改善が顕著である。不動産事業等は売上高が9.9%増である一方、セグメント利益は68.0%減であり、利益構成の安定性には注意を要する。完成工事未収入金は前年同期比11.1%増の1,639.20億円であり、売上増に比べ伸びが抑制されている。年換算完成工事高3,155.05億円に対する完成工事未収入金は約0.52倍であり、年換算換算の回収日数は約190日となる。建設業では出来高請求や期末工事進捗の影響を受けるが、売上成長の現金化を確認するうえで未収入金の回収推移は重要である。未成工事受入金304.76億円は未成工事支出金100.40億円を204.36億円上回っており、進行中工事における前受金が運転資金を支える構図である。通期売上高計画3,360億円に対する進捗は71.3%で、標準進捗率75%を3.7pt下回るが、10pt以上の乖離には至らない。営業利益以下の進捗は標準を上回っているため、計画達成は売上数量よりも第4四半期の採算維持が主要な変数となる。受注高・受注残高、官公庁・民間別の構成および大型案件別の採算情報は提供数値に含まれず、建設事業の中期的な売上可視性は受注残の開示で確認する必要がある。
財務健全性
流動比率は127.5%、当座比率も127.5%であり、流動資産2,411.32億円が流動負債1,891.74億円を519.58億円上回る。流動比率は100%を上回るものの、一般的な150%超の水準には達しておらず、工事代金の回収遅延や資金需要の季節変動には留意を要する。総負債は1,948.38億円、純資産は1,061.27億円で、負債資本倍率は1.84倍であり、警戒水準の2.0倍は下回る。Debt/Capital比率は30.0%で、資本構成はコベナンツ上の40%未満に収まっている。インタレストカバレッジ38.39倍は、支払利息負担に対する利益余力が大きいことを示す。有利子負債455.66億円のうち短期借入金は445.81億円、長期借入金は9.85億円であり、短期負債比率97.8%は品質アラートの通り高い。前年同期比では短期借入金が390.01億円増加する一方、長期借入金は201.45億円減少しており、借入期間の短期化が進んだ。現金預金394.21億円は短期借入金の0.88倍に相当し、短期借入金を手元現金のみで全額返済する水準ではない。ただし、流動資産全体は流動負債を上回り、完成工事未収入金1,639.20億円および未成工事受入金304.76億円を含む建設業固有の運転資本循環が短期債務の返済原資となる。借換えリスクの根本原因は短期借入金への資金調達集中であり、金融環境の引締めや工事代金の回収遅延時には資金コストおよび流動性余力に影響する。無形固定資産は16.44億円で総資産の0.5%にとどまり、のれんを伴う大型M&Aへの資本依存は確認されない。
B/S変動のポイント
短期借入金: +390.01億円(+698.9%)- 長期借入金の返済・短期化を伴う資金調達構成の変化。有利子負債の短期負債比率は97.8%となり、借換え条件と流動性を監視する必要がある。長期借入金: -201.45億円(-95.3%)- 短期借入金増加と対をなす負債期間構成の短期化。総有利子負債の増加よりも満期ミスマッチの拡大が重要である。流動資産: +244.09億円(+11.3%)- 完成工事未収入金の増加等を含む運転資本の拡大。流動負債を上回るが、回収管理が資金繰りの鍵となる。完成工事未収入金: +164.28億円(+11.1%)- 売上拡大に伴う増加だが、金額は総資産の54.5%と大きく、発注者からの回収時期が流動性に重要である。販売用不動産: +61.74億円(+79.9%)- 不動産事業等における在庫・開発資金の増加。セグメント利益が減少しているため、回転と採算を確認する必要がある。未成工事受入金: +58.81億円(+23.9%)- 進行中工事の前受金増加であり、未成工事支出金を上回る受入超過が運転資金を支える。無形固定資産: +4.23億円(+34.6%)- 増加率は大きいが総資産比0.5%にとどまり、現時点で資産構成・減損リスクへの影響は限定的である。自己株式: +1.84億円(簿価のマイナス幅縮小37.4%)- 自己株式残高の減少を示すが、総資産比はマイナス0.1%で資本構成への影響は軽微である。
キャッシュフロー品質
完成工事未収入金は1,639.20億円と総資産の54.5%を占め、建設工事の請求・回収サイクルが流動性とキャッシュフローを左右する。前年同期比の未収入金増加率は11.1%で、完成工事高の21.9%増を下回っており、売上成長に対して回収資産の膨張が加速している状況ではない。未成工事受入金304.76億円は前年同期比23.9%増、未成工事支出金100.40億円は同10.8%増であり、受入金の増加が進行中案件の資金負担を緩和している。電子記録債務は250.61億円で前年同期比24.0%増であり、仕入・外注関連の支払債務も運転資金の一部を支えている。工事損失引当金は53.52億円で前年同期の60.35億円から11.3%減少しており、損失見込み案件に対する引当負担は縮小した。もっとも、引当金の減少が工事採算改善の結果であるか、見積原価や工事進捗の変動によるかは案件別情報で継続確認を要する。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、設備投資およびフリーキャッシュフローの累計額が提示されていないため、営業CF/純利益、FCFの配当・設備投資カバーおよびアクルーアル比率は算定していない。
配当持続性
第2四半期配当は1株当たり19.00円であり、親会社株主に帰属する四半期純利益79.69億円に対する累計ベースの配当性向は約25.5%である。通期会社予想の年間配当39.00円と親会社株主利益103.00億円を前提とすると、予想配当性向は約40.2%となる。これは配当のみを分子とする配当性向であり、自社株買いを含む総還元性向ではない。予想配当性向は60%未満であり、利益水準だけを基準とすれば配当余力はある。年間配当39.00円は中間配当19.00円を踏まえると、期末配当は20.00円を想定する水準である。利益剰余金は800.75億円、親会社所有者帰属の純資産は1,049.88億円であり、資本蓄積の面でも配当支払いの基盤はある。配当の現金面での持続性は、完成工事未収入金の回収、短期借入金の借換え、および今後の営業キャッシュフローの水準に左右される。
リスク評価
ビジネスリスクとして、高優先度:建築・土木工事の資材価格、労務費、外注費の上昇。EBITマージン4.3%および粗利益率10.8%は低く、固定価格契約での原価上振れが利益率を直接圧迫しうる。、高優先度:工事採算・不採算案件リスク。工事損失引当金53.52億円を計上しており、設計変更、工程遅延、協力会社確保の難航などにより追加損失が発生する可能性がある。、中優先度:建設需要と工期の変動。人手不足・技能労働者の高齢化、天候・自然災害、資材供給制約および公共投資予算サイクルは、完成工事高の計上時期と採算に影響する建設業固有のリスクである。、中優先度:不動産事業等の利益変動。不動産事業等のセグメント利益は前年同期比68.0%減であり、少額売上ながら利益率の変動が大きい。、中優先度:完成工事未収入金1,639.20億円の回収リスク。発注者の支払い遅延や工事精算の長期化は運転資金を圧迫する。が挙げられます。
財務リスクとしては、高優先度:リファイナンスリスク。有利子負債455.66億円の97.8%が短期借入金であり、前年同期比390.01億円増の445.81億円へ急増している。これは資金調達の短期化を示し、金利上昇または金融機関の与信姿勢変化の影響を受けやすい。、中優先度:流動性リスク。流動比率127.5%は100%超を確保する一方、現金預金394.21億円は短期借入金445.81億円を下回る。、低優先度:金利負担リスク。現時点の支払利息2.69億円とインタレストカバレッジ38.39倍から直近の利払い余力は高いが、短期借入依存により借換え時の金利条件悪化には感応的である。が挙げられます。
主な懸念事項としては、利益率は前年同期から顕著に改善したが、粗利益率10.8%およびEBITマージン4.3%は品質アラートの閾値を下回る。改善の持続性は、受注段階の採算管理と施工局面での原価統制に依存する。、税引前利益には特別利益10.64億円が含まれ、うち投資有価証券売却益4.93億円、固定資産売却益5.64億円は継続的な本業収益ではない。、受注高・受注残高、案件別採算、営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローが提示されていないため、将来売上の可視性、案件集中度、利益の現金回収度および配当の現金カバーには追加確認が必要である。が挙げられます。
投資示唆
重要ポイントとして、売上高21.7%増に対し営業利益225.0%増となり、建築・土木の工事採算改善と販管費率低下が収益回復を主導した。、年換算ROEは10.0%へ到達し、純利益率改善を中心に収益性は向上した。、通期計画に対する営業利益進捗率は75.4%、親会社株主利益進捗率は77.4%であり、利益計画は第3四半期時点で標準進捗を上回る。、短期借入金への資金調達集中と低い利益率水準は、工事代金回収・借換え環境・原価管理を重視すべき要因である。、特別利益10.64億円を控除して本業ベースの収益力をみる必要がある。が挙げられます。
注視すべき指標は、受注高、受注残高、および受注残高/年換算売上高比率、建築・土木別の完成工事総利益率と工事損失引当金、完成工事未収入金の回収日数および貸倒・回収遅延の状況、短期借入金445.81億円の借換え条件、借入期間構成、支払利息、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、営業CF/純利益、不動産事業等の利益率回復の有無です。
セクター内ポジションについては、収益性は前年同期から大きく改善し、年換算ROE10.0%は一般的な「良好」水準の下限に位置する。一方、建設業は低マージンかつ運転資本負荷の大きい業態であり、EBITマージン4.3%、粗利益率10.8%、短期借入金依存の高さを踏まえると、評価上は成長率だけでなく受注採算、現金回収、借換え耐性の確認が重要となる。