記事一覧に戻る
17162026 第2四半期スタンダードJGAAP

第一カッター興業(1716) 2026年度第2四半期決算

2026年度第2四半期の売上高は108.9億円(前年同期比+1.1%)、営業利益は13.9億円(同+16.1%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

建設・資材/建設業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥108.9億¥107.7億+1.1%
営業利益¥13.9億¥12.0億+16.1%
経常利益¥14.8億¥12.7億+15.9%
純利益¥12.1億¥8.3億+45.6%
ROE(年換算)12.2%8.6%-

Executive Summary

2026年度上期は、増収率を大きく上回る増益を実現し、工事採算改善が利益成長を牽引した決算である。売上高は108.9億円(前年比+1.1%)、営業利益は13.9億円(同+16.1%)、経常利益は14.8億円(同+15.9%)、純利益は12.1億円(同+45.6%)となった。純利益の大幅増は投資有価証券売却益3.4億円という一時的要因を含み、本業の改善は営業利益段階の伸びがより実態を反映している。

業績変動要因

【売上高】売上高は108.9億円で前年同期比+1.1%増収となった。主力の切断・穿孔工事事業は105.7億円(同+1.0%)、ビルメンテナンス事業は3.2億円(同+6.6%)と両事業とも増収を確保したが、全社成長率は建設業界の中央値8.0%を下回る。

【損益】営業利益は13.9億円(同+16.1%)、経常利益14.8億円(同+15.9%)と増収率を大きく上回る増益となった。完成工事総利益率は32.7%と前年同期の30.1%から266bp改善し、全社費用も5.8億円(同-4.0%)に抑制されたことが増益の主因である。切断・穿孔工事事業のセグメント利益率は18.4%と147bp改善し全社利益の98.8%を占める一方、ビルメンテナンス事業は増収ながらセグメント利益が14.0%減少し利益率は7.4%へ低下した。純利益は12.1億円(同+45.6%)で、投資有価証券売却益3.4億円を含む特別利益3.4億円が上乗せに寄与した。総括すると、本業の採算改善に支えられた増収増益であり、純利益の伸び幅は一時的要因により上振れしている。

セグメント別分析

切断・穿孔工事事業は売上高105.7億円(前年比+1.0%)、セグメント利益19.5億円(同+9.7%)、利益率18.4%(前年同期比+147bp)と、全社利益の98.8%を占める中核事業として増収増益を実現した。ビルメンテナンス事業は売上高3.2億円(同+6.6%)と増収したものの、セグメント利益は0.24億円(同-14.0%)に減少し、利益率は7.4%(同-179bp)へ低下した。両事業間の利益率格差は約11.0ptに達し、ビルメンテナンス事業の採算改善が今後の全社収益性向上の余地として残る。

主要財務指標

【収益性】営業利益率12.8%(前年同期11.2%から+165bp)、純利益率11.1%(前年同期7.7%から+343bp)、経常利益率13.5%と、いずれも前年同期から改善した。【キャッシュ品質】営業CFは11.7億円で純利益比0.96倍と概ね健全だが、EBITDA17.8億円に対する現金転換率は0.66倍で、売上債権の5.2億円増加が主因となり運転資本がキャッシュ創出を抑制した。【投資効率】年換算ROE12.2%はデュポン分解で純利益率11.1%×総資産回転率0.94倍×財務レバレッジ1.16倍に分解され、高い利益率が収益効率の中心である。設備投資11.7億円は減価償却費3.9億円の3.0倍に達し、成長投資局面にある。【財務健全性】自己資本比率86.0%、有利子負債1.4億円、現金及び預金97.3億円とネットキャッシュ基調を維持し、流動比率は555%超と高水準の財務柔軟性を有する。

キャッシュフロー分析

営業CFは11.7億円で前年同期比+5.1%となり、純利益12.1億円に対する比率は0.96倍とアクルーアル品質に大きな懸念はない。ただし売上債権が5.2億円増加、仕入債務が1.3億円減少したことが運転資本の資金流出要因となり、EBITDA17.8億円に対する現金転換率は0.66倍にとどまった。投資CFはマイナス8.6億円で、うち設備投資が11.7億円と減価償却費3.9億円の3.0倍に達しており、投資有価証券売却収入3.4億円が一部を補完した。財務CFはマイナス5.0億円で、主に配当支払4.6億円が要因である。営業CFと投資CFを合算したフリーキャッシュフローは3.1億円の黒字を維持し、期末現金及び預金97.3億円は十分な流動性を確保している。

収益の質

経常利益14.8億円は本業の収益力を概ね反映する一方、純利益12.1億円には投資有価証券売却益3.4億円を含む特別利益3.4億円が上乗せされており、税引前利益18.1億円と経常利益との間には一時的要因による約3.3億円の乖離が存在する。営業外収益0.9億円は受取配当金等の小規模項目が中心で、営業外損益の構成に特殊要因は見られない。包括利益は9.9億円で純利益12.1億円を下回り、有価証券評価差額金のマイナス2.5億円が主因である。アクルーアル比率は低水準で利益とキャッシュの乖離は限定的だが、純利益の伸び率45.6%を将来の経常的な収益力の指標として外挿するには留意が必要である。

業績予想・ガイダンス

通期業績予想は売上高205.0億円(前年比+1.3%)、営業利益19.25億円(同+16.9%)、経常利益20.55億円(同+14.7%)である。上期実績に基づく進捗率は売上高53.1%、営業利益72.5%、経常利益71.8%となり、いずれも上期基準の50%を上回る高進捗である。特に営業利益・経常利益の進捗率の高さは、上期の工事採算改善が想定以上に進んだことを示す一方、通期予想の営業利益率は9.4%と上期実績12.8%を下回る構成であり、会社計画は下期の利益率低下を前提とした保守的な内容となっている。当四半期において業績予想の修正が行われている。

株主還元

第2四半期末配当は1株当たり0円で、通期会社予想の年間配当は1株当たり40円である。予想EPS146.07円に基づく予想配当性向は約27.4%であり、一般的な持続可能性の目安である60%を下回る。上期のキャッシュ配当支払額は4.6億円で、上期フリーキャッシュフロー3.1億円を上回ったが、現金及び預金97.3億円と低い有利子負債水準を踏まえると、短期的な支払余力に問題は見られない。配当予想の修正は行われていない。自社株買いの実行状況については当期データに明記がなく、配当性向のみでの評価となる。

リスク要因

  1. 主力事業への依存: 切断・穿孔工事事業がセグメント利益の98.8%を占めており、当該事業の受注・稼働率・工事採算の変動が連結利益に直接影響する構造である。

  2. 運転資本の悪化: 売上債権が5.2億円増加し仕入債務が1.3億円減少した結果、EBITDAに対する営業CFの転換率は0.66倍にとどまった。回収サイトの継続的な悪化は営業CFを圧迫しうる。

  3. ビルメンテナンス事業の採算低下: 同事業は売上高が6.6%増加した一方でセグメント利益は14.0%減少し、利益率は7.4%へ低下した。低採算化が継続すれば成長分野としての収益寄与が限定される。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(construction)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率12.8%3.7% (3.3%–3.8%)+9.2pt
純利益率11.2%3.6% (2.4%–4.7%)+7.5pt

収益性は業種中央値を大幅に上回り、建設業界の中でも高採算のポジションにある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)1.1%8.0% (-1.8%–18.3%)−6.9pt

売上高成長率は業種中央値を下回り、トップラインの伸びは業界平均より緩やかである。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 売上高成長率1.1%に対し営業利益は+16.1%増となり、完成工事総利益率の266bp改善に支えられた増益の質の高さが確認できる。ただし純利益の+45.6%増には投資有価証券売却益3.4億円が含まれ、経常的な収益力とは区別して捉える必要がある。

  2. 通期営業利益予想への進捗率は72.5%と高水準だが、会社計画は通期営業利益率9.4%を前提とし上期実績12.8%からの低下を織り込んでいる。下期の採算維持が計画達成の焦点となる。

  3. 現金転換率0.66倍という運転資本管理上のシグナルがある一方、自己資本比率86.0%、有利子負債1.4億円というネットキャッシュ基調が、設備投資11.7億円(減価償却費の3.0倍)を伴う投資局面を支えている。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,710円
base(基準)1,758円
bull(強気)1,793円
算出前提
1株純資産(BPS)1,768円
調整後予想EPS169.4円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向27.4%
予想EPSの信頼度調整×1.117(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.99倍 / 10.4倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,709円〜1,810円、ω±0.1で 1,758円〜1,759円。

注記:

  • のれん償却 6.3円/株 を利益に足し戻しています(非資金費用・IFRS企業との比較可能性のため)。
  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。