- 売上高: 5,366.97億円
- 営業利益: 187.40億円
- 当期純利益: 159.84億円
- 1株当たり当期純利益: 247.23円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 5,366.97億円 | 5,321.34億円 | +0.9% |
| 売上原価 | 4,587.45億円 | 4,588.01億円 | -0.0% |
| 売上総利益 | 779.52億円 | 733.32億円 | +6.3% |
| 販管費 | 592.12億円 | 572.61億円 | +3.4% |
| 営業利益 | 187.40億円 | 160.70億円 | +16.6% |
| 営業外収益 | 30.84億円 | 29.90億円 | +3.1% |
| 営業外費用 | 34.92億円 | 33.71億円 | +3.6% |
| 経常利益 | 183.32億円 | 156.89億円 | +16.8% |
| 税引前利益 | 222.18億円 | 231.41億円 | -4.0% |
| 法人税等 | 62.34億円 | 62.04億円 | +0.5% |
| 当期純利益 | 159.84億円 | 169.36億円 | -5.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 124.55億円 | 138.10億円 | -9.8% |
| 包括利益 | 120.40億円 | 242.74億円 | -50.4% |
| 支払利息 | 20.60億円 | 20.44億円 | +0.8% |
| 1株当たり当期純利益 | 247.23円 | 274.21円 | -9.8% |
| 1株当たり配当金 | 50.00円 | 50.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 4,368.93億円 | 4,145.76億円 | +223.17億円 |
| 現金預金 | 506.48億円 | 492.40億円 | +14.08億円 |
| 売掛金 | 1,417.44億円 | 1,332.59億円 | +84.85億円 |
| 棚卸資産 | 2,293.90億円 | 2,180.05億円 | +113.85億円 |
| 固定資産 | 2,773.08億円 | 2,666.35億円 | +106.73億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 2.3% |
| 粗利益率 | 14.5% |
| 流動比率 | 167.9% |
| 当座比率 | 79.7% |
| 負債資本倍率 | 1.60倍 |
| インタレストカバレッジ | 9.10倍 |
| 実効税率 | 28.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +0.9% |
| 営業利益前年同期比 | +16.6% |
| 経常利益前年同期比 | +16.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -9.8% |
| 包括利益前年同期比 | -50.4% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 50.58百万株 |
| 自己株式数 | 186千株 |
| 期中平均株式数 | 50.38百万株 |
| 1株当たり純資産 | 5,441.05円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 50.00円 |
| 期末配当 | 60.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| FoodstuffDistribution | 80.85億円 | 92.13億円 |
| MarineProducts | 157.50億円 | 10.11億円 |
| ProcessedFoods | 82.98億円 | 74.55億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 10,800.00億円 |
| 営業利益予想 | 300.00億円 |
| 経常利益予想 | 290.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 175.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 115.81円 |
| 1株当たり配当金予想 | 20.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度第2四半期のマルハニチロは、売上が小幅増に留まる一方で営業利益が2桁増となり、営業段階の収益性が明確に改善しました。売上高は5,366.97億円で前年同期比+0.9%、営業利益は187.40億円で+16.6%と大幅増、経常利益は183.32億円で+16.8%でした。営業利益率は3.49%(=187.40/5,366.97)と推計され、前年同期の約3.02%から約+47bp改善しています。粗利益率は14.5%と堅調で、売上総利益の増加が販管費を十分に吸収したことが営業増益に寄与しました。一方、税引前利益は222.18億円と経常利益を上回り特別損益は純増とみられるものの、当期純利益は124.55億円で-9.8%と減益となり、ボトムラインでは減速しました。純利益率は2.3%で、前年約2.59%から約-27bp低下したと推計され、営業段階の改善が非営業・特別・税効果で相殺された形です。営業外損益は収益30.84億円、費用34.92億円でネットマイナス4.08億円、支払利息20.60億円の負担が残りました。インタレストカバレッジは9.10倍(=EBIT/支払利息)で健全域ですが、財務費用が経常段階の伸びを一部抑制しています。総資産は7,142.02億円、流動資産4,368.93億円、棚卸資産2,293.90億円と在庫依存が高く、当座比率79.7%は100%を下回り、在庫回転の鈍化リスクに留意が必要です。流動比率は167.9%と健全で、運転資本は1,766.73億円と潤沢です。負債資本倍率は1.60倍とやや高めで、短期借入金1,359.04億円・長期借入金927.49億円、ネット有利子負債は概算で1,780億円と見積もられ、資本効率(ROIC 3.0%)の弱さが課題です。デュポン分解のROEは4.5%で、総資産回転率0.751、財務レバレッジ2.60倍、純利益率2.3%の積で整合します。キャッシュフローは未開示のため営業CF対純利益の評価はできず、利益の質(キャッシュ創出力)に不確実性が残ります。配当性向は計算値で44.7%と適正レンジにある一方、FCFカバレッジは不明で持続可能性判断は限定的です。総じて、価格転嫁やミックス改善を反映した営業段階の回復は評価できるものの、非営業・特別要因や財務費用、税率の影響で最終利益が縮小し、資本効率の低さ(ROIC 3%)と在庫・短期負債依存の構造課題が残る決算です。今後は在庫回転の改善、利払い負担の軽減(デレバレッジ)、および非営業影響の抑制がROE・ROICの引き上げに鍵となります。短期的には営業増益トレンドの継続可否、原材料・為替動向と販売価格のバランス、ならびに棚卸資産の適正化が注目点です。中期的には収益性改善をFCFに結びつけ、ネットデットを圧縮できるかが配当の持続余力を左右します。
ROEはデュポン分解で、純利益率(2.3%)×総資産回転率(0.751)×財務レバレッジ(2.60)= 約4.5%と整合しています。営業利益が+16.6%と大幅増で、売上+0.9%に比べ伸びが大きいことから営業利益率は前年約3.02%→今期3.49%へ約+47bp改善したと推計され、コストコントロールおよび価格転嫁の進展が示唆されます。一方、純利益は-9.8%で、純利益率は約2.59%→2.30%へ約-27bp低下し、非営業損益(ネット▲4.08億円)、特別損益の前年反動、税率の平準化などがボトムラインを圧迫したと考えられます。総資産回転率0.751は在庫依存の高いビジネス特性を反映し、短期には大幅な改善余地は限定的です。財務レバレッジ2.60倍はROEの押し上げ要因ですが、利払い負担を通じて純利益率を下押しする両刃の剣となっています。変動が最も顕著なのは純利益率で、営業段階の改善が非営業・特別・税で逆方向に作用しROEを抑制しています。ビジネス上の背景としては原材料価格の落ち着きや価格政策の浸透で粗利が改善する一方、金利上昇環境や為替影響、前年の一過性益の反動が考えられます。営業段階の改善は持続可能性が相対的に高い一方、特別損益や為替は変動性が高く一時性が強いと評価します。販管費の伸びは詳細内訳が未記載ですが、売上の伸びを下回った可能性が高く、営業レバレッジが寄与したとみられます。留意点として、在庫や売掛の積み上がりに伴う運転資本負担が総資産回転率を抑制しており、収益性改善のフル効果を相殺するリスクが残ります。
売上は+0.9%と緩やかな伸長に留まり、数量よりも価格やミックスの寄与が中心とみられます。営業利益は+16.6%と大幅増で、原材料コストの落ち着きと販売価格の維持・見直しが奏功した可能性が高いです。経常利益も+16.8%と強含みですが、非営業費用(特に利息)により営業超過の伸びは抑制されています。純利益は-9.8%で、前年の特別利益や税率の一時的低水準からの反動が示唆されます。粗利益率14.5%は安定的で、価格転嫁の定着度がうかがえます。短期的な成長の持続可能性は、原材料市況(漁獲量、輸入水産物価格、穀物・飼料、エネルギー)と為替(円安局面での調達コスト増)に左右されます。運転資本の膨張(棚卸資産2,293.90億円)は売上の伸びに比して大きく、今後の在庫圧縮が成長の資金制約緩和に重要です。海外事業や加工食品の付加価値強化が中期トレンドとしてROIC改善に寄与する余地があります。非営業収入比率24.8%は非コア要素への感応度を示唆し、持続的成長評価では営業利益の増勢維持がより重要です。EPSは247.23円で、自己株式の影響は軽微(自己株式18.6万株)とみられ、EPS変動の大半は純利益動向に依存します。データ制約(CF未開示、減価償却未記載)により、成長がキャッシュ創出に結びついているかの検証は現時点で限定的です。
流動比率167.9%はベンチマーク>150%を上回り健全です。当座比率79.7%は100%を下回り、棚卸資産依存が高い構造で短期的な流動性クッションは限定的です。運転資本1,766.73億円と流動資産は潤沢で、短期負債2,602.20億円に対する満期ミスマッチは在庫の換金性に依存します。短期借入金1,359.04億円が大きく、在庫の回転が鈍化するとリファイナンス・金利コスト増の影響が顕在化しやすい点に留意が必要です。負債資本倍率1.60倍は目安<1.5倍をやや上回りレバレッジは高めです。長期借入金927.49億円を含む総有利子負債は概算2,286.53億円、現金預金506.48億円でネット有利子負債は約1,780億円と見積もられます。インタレストカバレッジ9.10倍は強固域(>5倍)ですが、金利局面次第で低下余地があるため、デレバレッジ進捗が重要です。自己資本は2,741.88億円と厚みがあり、財務弾力性は一定程度確保されています。オフバランス債務は開示情報からは把握できず、リースや保証債務の潜在的影響は不明です。満期ミスマッチのリスクは、短期借入金の大きさと当座比率の低さの組み合わせから中程度と評価します。
営業キャッシュフローが未開示のため、営業CF/純利益比率やFCFは算定不可で、利益のキャッシュ裏付けを検証できません。販管費や減価償却費の未記載により、EBITDAや維持投資水準を用いたキャッシュ創出力の評価も制約があります。運転資本の内訳では棚卸資産2,293.90億円、売掛金1,417.44億円、買掛金504.09億円と資金が在庫・債権に滞留しやすい構造で、在庫圧縮や回収条件の改善がキャッシュ化に重要です。非営業損益がネットでマイナス(▲4.08億円)であり、利払いはキャッシュアウトフローとしてFCFを圧迫します。短期借入金が大きいことから、営業CFが弱含む場合には外部調達依存度が上昇する可能性があります。総じて、キャッシュフロー品質の評価は保留(データ不足)ですが、運転資本効率と金利負担管理が鍵になります。
配当性向は計算値で44.7%と目安<60%の範囲内で、利益水準に対しては適正です。もっとも、FCFカバレッジは未算定で、配当原資が営業CFから安定的に賄われているかは判断できません。ネット有利子負債が約1,780億円、ROICが3.0%と低位にあるため、デレバレッジや投下資本効率の改善が配当の持続余力を左右します。将来の配当方針は、在庫圧縮による運転資本解放と、金利環境の影響(利払い負担)を踏まえたバランスシート健全化の進展次第と見ます。自社株買いの開示はなく、株主還元は配当中心と推定されます。短期的には、営業増益の継続と特別要因の平準化が配当維持にプラスです。
ビジネスリスク:
- 原材料市況・漁獲量・為替の変動による粗利益率の変動
- 在庫依存が高い事業構造による在庫評価損・回転悪化リスク
- 価格転嫁の遅れや需要弾力性による販売数量の下振れ
- 海外事業・原料調達におけるサプライチェーン混乱
財務リスク:
- 短期借入金依存(1,359.04億円)に伴うリファイナンス・金利上昇リスク
- 当座比率79.7%による流動性クッションの薄さ
- ROIC 3.0%の低水準がもたらす資本効率低下と資本コスト未達
- 非営業損益の変動(利息・為替)による純利益のボラティリティ
主な懸念事項:
- 営業段階の改善にもかかわらず純利益率が約-27bp悪化した点
- キャッシュフロー情報未開示で利益の質検証ができない点
- 棚卸資産2,293.90億円の水準と回転の継続性
- ネット有利子負債約1,780億円に対する金利感応度
重要ポイント:
- 売上+0.9%に対し営業利益+16.6%で営業利益率は約+47bp改善
- 純利益は-9.8%で純利益率は約-27bp悪化、非営業・特別・税の影響が示唆
- ROE 4.5%、ROIC 3.0%と資本効率は低位で改善余地大
- 流動比率は健全だが当座比率<100%かつ短期借入金が大きい
- CF未開示で利益のキャッシュ裏付けが不明、在庫圧縮が鍵
注視すべき指標:
- 在庫回転日数・在庫水準の推移(棚卸資産2,293.90億円の圧縮度合い)
- 営業CFおよび営業CF/純利益比率(>1.0倍の回復)
- 価格転嫁状況と粗利益率(14.5%の維持・拡大)
- 金利負担・インタレストカバレッジ(9.10倍の維持)
- ネットデット推移とD/E(1.60倍の低下)
- 特別損益・有価証券関連損益の一過性影響の縮小
セクター内ポジション:
国内食品・水産大手の中で、価格転嫁浸透により営業段階は回復基調にあるが、資本効率(ROIC)と運転資本効率が同業上位に比べ見劣りし、金利環境に対する感応度も相対的に高い。改善余地は大きい一方、在庫とレバレッジのマネジメントが相対評価のカギ。
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