- 売上高: 10,143.16億円
- 営業利益: -74.47億円
- 当期純利益: -555.55億円
- 1株当たり当期純利益: -237.04円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 10,143.16億円 | 10,261.42億円 | -1.2% |
| 売上原価 | 1,600.84億円 | - | - |
| 売上総利益 | 8,660.57億円 | - | - |
| 販管費 | 7,934.50億円 | - | - |
| 営業利益 | -74.47億円 | 289.00億円 | -125.8% |
| 持分法投資損益 | 19.92億円 | - | - |
| 税引前利益 | -190.35億円 | 178.59億円 | -206.6% |
| 法人税等 | 100.48億円 | - | - |
| 当期純利益 | -555.55億円 | 78.11億円 | -811.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -615.31億円 | 15.10億円 | -4174.9% |
| 包括利益 | -737.11億円 | 592.23億円 | -224.5% |
| 減価償却費 | 601.71億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | -237.04円 | 5.76円 | -4215.3% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | -237.04円 | 5.75円 | -4222.4% |
| 1株当たり配当金 | 69.75円 | 69.75円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 21,773.55億円 | - | - |
| 売掛金 | 16,781.46億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 60.95億円 | - | - |
| 固定資産 | 13,299.04億円 | - | - |
| 有形固定資産 | 261.59億円 | - | - |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | -1,009.41億円 | - | - |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -241.37億円 | - | - |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -305.38億円 | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 3,719.89億円 | - | - |
| フリーキャッシュフロー | -1,250.78億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 1株当たり純資産 | 2,289.05円 |
| 純利益率 | -6.1% |
| 粗利益率 | 85.4% |
| 負債資本倍率 | 4.12倍 |
| EBITDAマージン | 5.2% |
| 実効税率 | -52.8% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -1.2% |
| 営業利益前年同期比 | -40.2% |
| 税引前利益前年同期比 | -61.1% |
| 当期純利益前年同期比 | -71.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -93.1% |
| 包括利益前年同期比 | -19.5% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 265.80百万株 |
| 自己株式数 | 6.21百万株 |
| 期中平均株式数 | 259.58百万株 |
| 1株当たり純資産 | 2,561.92円 |
| EBITDA | 527.24億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 69.75円 |
| 期末配当 | 69.75円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 14,210.00億円 |
| 営業利益予想 | 176.00億円 |
| 当期純利益予想 | -443.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | -529.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | -203.79円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
電通グループの2025年度Q3(IFRS・連結)は、売上高10,143.16億円(前年同期比-1.2%)とわずかに減収、営業利益は-74.47億円(同-40.2%)と赤字継続、当期純利益は-615.31億円(同-93.1%)の大幅赤字となりました。粗利益率は85.4%と高水準で、ネットレベニュー型の収益認識が反映されていますが、販管費率が粗利比91.6%と重く、営業段階で赤字に転落しています。EBITDAは527.24億円、EBITDAマージンは5.2%と、利益創出力は限定的です。税引前損失-190.35億円に対し法人税等が100.48億円計上され、実効税率は-52.8%(損失下の税費計上)と異常値を示し、税効果や海外税負担が赤字を拡大させています。デュポン分解では、純利益率-6.1%、総資産回転率0.326、財務レバレッジ4.69倍の積でROEは-9.2%と、損失と高レバレッジが自己資本収益性を圧迫しました。営業キャッシュフローは-1,009.41億円、投資CF-241.37億円によりフリーキャッシュフローは-1,250.78億円と大幅マイナスで、利益のキャッシュ転換は弱い状況です。財務CFも-305.38億円(うち配当-343.23億円、自社株買い-200.04億円)と株主還元が継続され、期中の現金等は3,719.89億円まで減少しました(期首から約-1,556億円)。貸借対照表では総資産31,160.08億円、純資産6,650.40億円、自己資本比率19.1%と財務安全性は相対的に低めです。売掛金16,781.46億円(資産の53.8%)と買掛金15,669.79億円(同50.3%)に偏重した業態特性により、運転資本の季節性・ボラティリティがキャッシュフローに強く影響しています。営業外科目や有利子負債の内訳、流動負債明細、のれん・無形資産の残高は未記載で、金利負担や減損リスクの精緻評価に制約があります。配当のFCFカバレッジは-3.37倍と未充足で、短期的には内部資金および既存流動性で賄っている状態です。現金等は総資産の約11.9%を占め流動性は一定程度確保も、自己資本比率の低さとマイナスFCFの継続は留意点です。売上は軽微な減少に留まる一方、販管費の伸長や再編コスト等の影響が収益性を低下させている可能性があります。Q3時点の損益・キャッシュの弱さを踏まえると、下期の案件回復やコスト最適化の実行度、税コストの平準化が重要な改善ドライバーです。総じて、収益性低下とキャッシュ消費が際立つ決算であり、運転資本の正常化、販管費コントロール、非オーガニック投資の抑制・選別が喫緊の課題です。データの未記載項目が多く(営業外、負債内訳、無形資産等)、分析の信頼区間は中程度である点にご留意ください。
デュポン分解:ROE -9.2% = 純利益率-6.1% × 総資産回転率0.326 × 財務レバレッジ4.69倍。純利益率の悪化が主因で、レバレッジはROEの下押しを増幅。営業利益率は-0.73%(-74.47/10,143.16)と低水準。粗利率85.4%に対し販管費/粗利91.6%(7,934.50/8,660.57)で、営業損失を招くコスト構造。EBITDAマージン5.2%と低く、減価償却費601.71億円を賄う創出力は限定的。税引前損益-190.35億円に対する税費100.48億円で実効税率-52.8%、当期純損失を拡大。営業レバレッジは高く、売上-1.2%にも関わらず利益は大幅悪化しており、固定費比率の高さや一時費用の存在が示唆される。総資産回転率0.326は業界水準としては低めで、売掛金の滞留が回転効率を抑制。持分法投資利益は19.92億円と限定的で、全社収益性への寄与は小さい。
売上高は-1.2%と小幅減で、クライアント需要は弱含みか横ばい圏。粗利水準は維持される一方、販管費の伸び(絶対額7,934.50億円)が粗利吸収力を上回り、オペレーティブな成長は停滞。利益の質は営業赤字・税負担逆転・包括利益-737.11億円と総じて弱い。EBITDAは527.24億円に留まり、増益余地はコスト最適化と運転資本正常化に依存。Q4以降の見通しは、案件需要の季節性回復と費用抑制の進捗が鍵だが、現時点データでは確度は限定的。マイナスFCFが続く場合、成長投資の選別・規模調整が必要。M&Aや無形投資の成長寄与は投資CF-241.37億円からは限定的と推察される。短期的には売上の底堅さよりも利益率の回復が成長ドライバーとなる。
総資産31,160.08億円に対し純資産6,650.40億円、自己資本比率19.1%と資本緩衝は薄め。負債資本倍率4.12倍とレバレッジは高い。現金等3,719.89億円は資産の約11.9%で、短期流動性の一助。ただし流動負債・有利子負債内訳が未記載のため、正確な流動比率・当座比率は算出不可。売掛金16,781.46億円と買掛金15,669.79億円が大きく、運転資本構造は広告代理店特有の仲介型。棚卸資産60.95億円は軽量。インタレストカバレッジは金利情報未記載で評価困難。包括利益-737.11億円は自己資本を毀損しており、下期の損益改善が求められる。のれん・無形資産未記載のため、潜在的な減損リスク評価に制約。
営業CF-1,009.41億円と大幅なキャッシュアウト。EBITDA 527.24億円に対しOCF/EBITDAは-1.91倍と、利益のキャッシュ転換が著しく弱い。運転資本では売掛・買掛の規模が大きく、回収・支払タイミングのずれがマイナスに作用した可能性が高い。投資CF-241.37億円で、大型M&Aや巨額設備投資は示唆されずも、無形投資やPMI関連支出の可能性。FCFは-1,250.78億円と未充足で、配当・自社株買いを含む財務CF-305.38億円が資金流出に拍車。期末現金等3,719.89億円と潤沢だが、期首比で約-1,556億円減。今後の焦点は運転資本の正常化(DSO/DPO改善)とコスト削減によるOCFの黒字化。
期中配当金支払額は-343.23億円、自社株買い-200.04億円と株主還元を継続。純損失により配当性向(計算値)は-60.3%と意味解釈が難しく、利益ベースの持続可能性は低い。FCFカバレッジは-3.37倍で、キャッシュ創出で配当を賄えていない。現金等残高により短期的な支払いは可能だが、中期的には配当方針の柔軟化(連結配当性向からキャッシュフロー重視、もしくは通期業績連動)や自社株買いペースの調整余地がある。還元継続の前提は、OCFの黒字化とEBITDAマージンの持続的改善に依存。
ビジネスリスク:
- クライアントの広告出稿抑制・予算シフトによる売上減少
- メディア価格・制作コスト上昇に伴う粗利圧迫
- 大型案件の季節性・集中による売上・CFの変動
- 海外事業の為替影響および地政学リスク
- デジタルプラットフォーム依存度上昇に伴う手数料・規約変更リスク
- 人件費・外注費の硬直性による営業レバレッジ拡大
- ブランド毀損・法規制対応(個人情報・広告規制)
財務リスク:
- 自己資本比率19.1%とレバレッジ高止まり
- マイナスFCFの継続による現金残高の取り崩し
- 売掛金の滞留・回収遅延による運転資本悪化
- 金利負担・財務制限条項の不確実性(有利子負債内訳未記載)
- のれん・無形資産の潜在的減損リスク(残高未記載)
- 税負担の不確実性(赤字下でも税費計上)
主な懸念事項:
- 営業赤字とEBITDA創出力の低さ(5.2%)
- OCF大幅マイナス(-1,009.41億円)とFCF未充足(-1,250.78億円)
- 配当・自社株買いがキャッシュフローで賄えていない(FCFカバレッジ-3.37倍)
- 自己資本比率19.1%と包括損失による資本毀損
- 売掛・買掛の大規模バランスによるCFボラティリティ
重要ポイント:
- 売上は小幅減に留まるも、販管費負担増で営業赤字に転落
- ROE-9.2%は純利益率悪化と高レバレッジが主因
- OCF/EBITDAが-1.91倍と利益のキャッシュ化が弱い
- FCFマイナス下で配当・自社株買いを実施し流動性消費が進行
- 自己資本比率19.1%で資本緩衝は限定的
注視すべき指標:
- 粗利成長率と販管費率(粗利比・売上比)のトレンド
- EBITDAマージンの改善幅(目安: 7-10%台への回復)
- 営業CFと運転資本(売掛・買掛・回収/支払サイト)の正常化
- 税前利益と実効税率の平準化(特殊要因の剥落)
- 株主還元(配当/自社株買い)のFCFカバレッジ
- 自己資本比率と包括利益の推移(資本健全性)
セクター内ポジション:
国内大手広告代理店の中でスケールは最大級ながら、現局面では利益率・キャッシュ創出で相対的に見劣り。売上安定性はあるが、固定費負担と運転資本のボラティリティが収益・CFに重し。コスト最適化と運転資本改善の実行度が、同業他社(例:販管費効率・案件のデジタル比率が高い企業)との格差縮小の鍵。
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