- 売上高: 211.46億円
- 営業利益: 1.91億円
- 当期純利益: 18.88億円
- 1株当たり当期純利益: 14.89円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 211.46億円 | 202.76億円 | +4.3% |
| 売上原価 | 146.14億円 | - | - |
| 売上総利益 | 56.62億円 | - | - |
| 販管費 | 51.11億円 | - | - |
| 営業利益 | 1.91億円 | 5.50億円 | -65.3% |
| 営業外収益 | 43百万円 | - | - |
| 営業外費用 | 46百万円 | - | - |
| 経常利益 | 1.86億円 | 5.48億円 | -66.1% |
| 法人税等 | 27百万円 | - | - |
| 当期純利益 | 18.88億円 | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.03億円 | 18.88億円 | -94.5% |
| 包括利益 | 1.05億円 | 18.71億円 | -94.4% |
| 支払利息 | 17百万円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 14.89円 | 272.76円 | -94.5% |
| 1株当たり配当金 | 0.00円 | 0.00円 | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 81.31億円 | - | - |
| 現金預金 | 39.56億円 | - | - |
| 売掛金 | 34.93億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 1.01億円 | - | - |
| 固定資産 | 76.50億円 | - | - |
| 有形固定資産 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 0.5% |
| 粗利益率 | 26.8% |
| 流動比率 | 182.5% |
| 当座比率 | 180.2% |
| 負債資本倍率 | 0.95倍 |
| インタレストカバレッジ | 11.24倍 |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +4.3% |
| 営業利益前年同期比 | -65.3% |
| 経常利益前年同期比 | -66.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -94.5% |
| 包括利益前年同期比 | -94.4% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 6.93百万株 |
| 自己株式数 | 6千株 |
| 期中平均株式数 | 6.92百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,178.61円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 0.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 291.00億円 |
| 営業利益予想 | 6.60億円 |
| 経常利益予想 | 6.30億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 4.50億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 65.00円 |
| 1株当たり配当金予想 | 0.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
第一屋製パン(2215)の2025年度Q3は、売上高が211.46億円(前年比+4.3%)と増収ながら、営業利益1.91億円(同-65.3%)、当期純利益1.03億円(同-94.5%)と大幅減益となり、価格転嫁の遅れやコスト上昇、固定費負担の重さがにじむ決算である。粗利益は56.62億円で、粗利益率は26.8%と一定の確保は見られるが、販売費及び一般管理費(推計)は54.71億円に達し、SG&A比率は25.9%と高水準で、粗利の大半が固定・半固定費に吸収されている。営業利益率は0.90%、経常利益率は0.88%、純利益率は0.49%と、各段階で薄利構造が鮮明。デュポン分解では、純利益率0.49%×総資産回転率1.426回×財務レバレッジ1.82倍=ROE約1.26%と、資本効率は低位にとどまる。総資産は148.33億円、純資産は81.60億円で、自己資本比率は概算で約55.0%(公表指標は不記載)と財務体質は堅実。負債資本倍率(D/E)は0.95倍、流動比率182.5%、当座比率180.2%と流動性は良好で、短期的な支払余力に懸念は小さい。支払利息は1.7億円、インタレストカバレッジは11.2倍と金利耐性も現状十分。税金等は0.27億円で、経常段階(186百万円)対比の実効税率は概算約14.5%とみられる(公表指標は不記載)。一方、キャッシュフロー計算書や減価償却費は不記載のため、EBITDAやFCFの実力把握に制約があり、利益のキャッシュ化や投資負担の実態評価には注意が必要。棚卸資産は1.01億円と開示値が小さく見えるが、製パンビジネスの特性(鮮度・回転の速さ)に加え、勘定科目の区分差異の可能性もあり、在庫日数等の精緻な分析には追加開示が必要。年間配当は0円、配当性向0%と無配で、分配よりも財務健全性維持と業績回復を優先する姿勢がうかがえる。売上は増勢である一方、営業レバレッジの負の効果により利益が大きく圧縮されており、今後は価格改定の浸透、商品ミックスの改善、製造・物流の効率化が鍵となる。素材(小麦・油脂)、エネルギー、人件費の上昇が続く中、私的ブランド(PB)競争や需要弾力性の制約も逆風。総じて、財務体質は良いが収益性が脆弱で、利益の質と持続性に課題が残る四半期となった。データ面ではキャッシュフロー、減価償却、株式数等の不記載があり、定量評価の一部は概算・推定に依存する点を明示しておく。
ROE(約1.26%)はデュポン分解で、純利益率0.49%×総資産回転率1.426×財務レバレッジ1.82で説明され、主因は極めて薄い利益率にある。営業利益率0.90%に対し、粗利益率は26.8%と一定だが、SG&A比率25.9%が重く、粗利の大半が固定費で消化されている構図。経常利益率0.88%と営業段階からの乖離が小さいのは、支払利息1.7億円が営業利益1.91億円に対し相対的に小さく、金融費用の負担感が軽いことを示す。税負担は実効約14.5%(税金等0.27億円/経常186百万円想定)で、税引後の利益圧縮は限定的。営業レバレッジの観点では、売上+4.3%にもかかわらず営業利益-65.3%と、原材料・エネルギー・人件費等のコスト上振れや販促費の増加、価格転嫁の時差により限界利益率が悪化した可能性が高い。四半期を通じた費用硬直性が高く、販売数量の微減やミックス悪化があった場合、利益感応度が大きい点が示唆される。EBITDAは不記載(減価償却費不記載のため算定不可)で、減価償却負担や設備稼働の寄与度評価には限界がある。総資産回転率1.426回は、同業平均と比べ概ね標準〜良好な効率性を示すが、薄利を相殺するほどの効率改善には至っていない。
売上高は+4.3%と着実な伸長を示し、価格改定や新製品導入、チャネル拡大の効果が表れている可能性。もっとも、利益の落ち込みが大きく、売上成長の質(収益寄与)は低下。営業利益率が0.90%にとどまったことから、現行の価格・ミックス施策はコスト上振れを相殺し切れていない。短期見通しでは、原材料・エネルギーコストの落ち着きと追加的な価格改定・ミックス改善が浸透すれば、限界利益率の回復余地はあるが、需要弾力性と競争環境(PB・大手ブランド競合)により実現速度は不確実。販管費の抑制(物流費の最適化、製造の自動化・稼働率改善、広告販促の選択と集中)が利益回復の前提。中期的には総資産回転率が1.426回と一定水準にあるため、在庫・リードタイム短縮や不採算SKUの整理による運転資本効率化が成長余力を支える可能性。FCFや投資計画が不明のため、積極的な増産投資・DX投資のタイムラインは評価困難で、成長の持続可能性の定量判断には今後の開示待ちとなる。
総資産148.33億円、純資産81.60億円から算出される自己資本比率は約55.0%(公表指標は不記載)で、資本構成は堅健。負債合計77.27億円に対し、D/Eは0.95倍と過度なレバレッジではない。流動資産81.31億円、流動負債44.55億円で、流動比率182.5%、当座比率180.2%と短期流動性は良好。運転資本は36.76億円と厚みがあり、季節変動・原料仕入の変動に耐性。支払利息1.7億円に対し、営業利益1.91億円でインタレストカバレッジ11.2倍と金利耐性は十分だが、営業利益が薄いため景気・コストショック時の余裕は大手に比べ限定的。純資産81.60億円に対し総資産回転率1.426回で、資産効率は標準的。金利上昇局面でも即時の財務制約は軽微とみられるが、利益薄に起因する内部留保の積み上がりは鈍化している。
営業CF・投資CF・財務CFはいずれも不記載のため、利益とキャッシュの乖離、運転資本の増減、投資回収の質について定量評価はできない。純利益1.03億円に対し減価償却費が不記載で、EBITDAやNOPATベースのキャッシュ創出力の推定も不可。運転資本は36.76億円と厚いが、棚卸資産1.01億円は勘定区分の影響や期間末の特殊要因がある可能性が高く、在庫日数等の計算には適さない。営業CF/純利益比率は不記載(指標上0.00は不開示を意味)で、FCFも算出不能。結果として、利益の質(キャッシュ化の度合い)評価は保留とする。次期決算で営業CFのトレンド(在庫・売掛・買掛の回転)、設備投資の水準(維持更新 vs 成長投資)を確認する必要がある。
年間配当0円、配当性向0%と無配継続。今期Q3時点の純利益1.03億円、営業利益1.91億円という薄利を踏まえると、内部留保の積み増しと財務健全性維持が優先されている。FCFが不明なため、配当のキャッシュカバレッジは評価不能だが、現状の利益水準では実効的なキャッシュ余力は限定的とみるのが妥当。復配の条件としては、(1)営業利益率の持続的な1〜2%台への回復、(2)運転資本の安定化による正の営業CFの継続、(3)過大な成長投資の抑制・ROIの可視化、が必要。配当方針は保守的で、短期の復配よりも収益性回復と財務安定を優先する可能性が高い。
ビジネスリスク:
- 小麦・油脂・砂糖など原材料価格の変動と為替影響による限界利益の圧迫
- エネルギー・物流コスト上昇と人手不足による固定費の上振れ
- 価格転嫁の遅れや需要弾力性による販売数量の変動、ミックス悪化
- 大手製パン・PBとの競争激化による価格・販促圧力
- 食品安全・品質問題発生時の風評・リコールリスク
- 主要販路(量販店・コンビニ等)への依存度と取引条件の変化
財務リスク:
- 営業利益の薄さに起因するショック耐性の脆弱さ(利益ボラティリティ)
- 金利上昇時の利払い負担増(現状は耐性あるが、利益水準が低い)
- 運転資本の膨張による営業CFの変動(CF不開示につき現状把握困難)
- 投資回収の不確実性(減価償却・投資CF不開示でROI評価が難しい)
主な懸念事項:
- 売上増に対し営業利益が大幅減の営業レバレッジの悪化
- SG&A比率25.9%と高止まりし、粗利を圧迫
- キャッシュフローと減価償却の不開示により利益の質・持続性評価が困難
重要ポイント:
- 増収(+4.3%)にもかかわらず営業利益-65.3%、純利益-94.5%と大幅減益で、価格転嫁とコスト管理が最重要課題
- ROE約1.26%と資本効率は低位、主因は純利益率0.49%の薄利構造
- 財務は堅健(自己資本比率約55%、流動比率182%)で短期耐性は十分
- インタレストカバレッジ11.2倍で金利耐性はあるが、利益薄のため余裕は限定的
- CF・減価償却不開示により、EBITDA・FCF評価は次期以降の開示待ち
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率(四半期推移、価格改定の浸透度)
- SG&A比率(物流費・人件費・販促費の抑制進捗)
- 原材料・エネルギー指数(小麦国際価格、電力・燃料費)と価格転嫁ラグ
- 総資産回転率と運転資本回転(売掛・買掛・在庫の回転日数)
- 営業CF・CAPEXの水準とFCF創出力
- 製品ミックス(高付加価値比率)と数量動向
セクター内ポジション:
大手同業(例:山崎製パン、敷島製パン系)と比べ規模の経済が限定的で、固定費負担・販路交渉力で劣後しやすい一方、財務基盤は堅実。現局面では収益性と価格転嫁の遅れがネガティブに作用し、同業大手に対し利益率・安定性で劣位にある可能性が高い。
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