- 売上高: 15,206.47億円
- 営業利益: 8,729.43億円
- 当期純利益: 3,145.17億円
- 1株当たり当期純利益: 245.37円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 15,206.47億円 | 17,475.57億円 | -13.0% |
| 売上原価 | 7,017.43億円 | - | - |
| 売上総利益 | 10,458.14億円 | - | - |
| 販管費 | 996.68億円 | - | - |
| 営業利益 | 8,729.43億円 | 10,180.79億円 | -14.3% |
| 持分法投資損益 | 944.32億円 | - | - |
| 税引前利益 | 9,118.43億円 | 10,484.12億円 | -13.0% |
| 法人税等 | 7,448.16億円 | - | - |
| 当期純利益 | 3,145.17億円 | 3,035.96億円 | +3.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,934.10億円 | 2,894.22億円 | +1.4% |
| 包括利益 | -1,830.70億円 | 3,017.83億円 | -160.7% |
| 1株当たり当期純利益 | 245.37円 | 231.91円 | +5.8% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 245.18円 | 231.75円 | +5.8% |
| 1株当たり配当金 | 43.00円 | 43.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 8,702.06億円 | - | - |
| 売掛金 | 2,674.76億円 | - | - |
| 棚卸資産 | 672.41億円 | - | - |
| 固定資産 | 65,106.56億円 | - | - |
| 有形固定資産 | 288.64億円 | - | - |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 現金及び現金同等物 | 2,416.75億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 19.3% |
| 粗利益率 | 68.8% |
| 負債資本倍率 | 0.47倍 |
| 実効税率 | 81.7% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -13.0% |
| 営業利益前年同期比 | -14.3% |
| 税引前利益前年同期比 | -13.0% |
| 当期純利益前年同期比 | +3.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +1.4% |
| 包括利益前年同期比 | -62.3% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 1.26十億株 |
| 自己株式数 | 73.12百万株 |
| 期中平均株式数 | 1.20十億株 |
| 1株当たり純資産 | 3,991.85円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 43.00円 |
| 期末配当 | 43.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 20,000.00億円 |
| 営業利益予想 | 11,200.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 3,900.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 327.97円 |
| 1株当たり配当金予想 | 50.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
INPEXの2025年度Q3(累計)実績は、売上高15,206.47億円(前年同期比-13.0%)、営業利益8,729.43億円(-14.3%)と、コモディティ価格の軟化や販売数量・ミックスの影響を映す減収減益となりました。一方、当期純利益は2,934.10億円(+1.4%)と微増で、営業外損益や持分法投資利益(944.32億円)の寄与により底堅さを示しました。粗利益率は68.8%と非常に高水準で、上流E&P中心の高採算構造が継続しています(売上総利益10,458.14億円)。営業利益率は約57.4%(=8,729.43/15,206.47)で、販管費996.68億円を十分に吸収しました。税引前利益は9,118.43億円に対し法人税等7,448.16億円で、実効税率は81.7%と極めて高く、資源国税制、特別項目、地域別ミックス等の影響が示唆されます。包括利益は-1,830.70億円と赤字で、為替換算差額やFVOCI等のOCIが大きくマイナスに振れ、純資産のボラティリティ要因となっています。総資産は72,032.21億円、純資産は47,344.11億円で自己資本比率は62.3%と堅固なバランスシートを維持しています。総資産回転率0.211、財務レバレッジ1.52倍、純利益率19.3%のデュポン分解からROEは6.2%で、東証の資本効率要請(8%超)には届いていません。売上・営業利益の前年割れに対し、純利益が増益を維持したのは、非営業項目と持分法利益の寄与が示唆される一方、税率上振れが純利益の伸びを抑制しています。キャッシュの期末残高は2,416.75億円で、流動性は一定程度確保されているものの、営業CF・FCFの開示がなくキャッシュ創出力の精緻な評価は困難です。運転資本は8,702.06億円(流動資産ベース)で、売掛金2,674.76億円・棚卸資産672.41億円の水準は、価格調整の進行局面における運転資本の増減感応度に注意が必要です。負債資本倍率は0.47倍と低く、レバレッジリスクは限定的です。配当性向の計算値は36.9%と見られ、利益平準化を志向する配当方針の継続余地はありますが、FCFカバレッジが不明な点は留意点です。持分法投資利益(944.32億円)の比重が高く、持分先の操業・価格・税制の変動がINPEXの利益変動へ波及しやすい構造です。まとめると、2025年Q3は高採算・低レバレッジという強みを維持しつつ、コモディティ価格低下・税率上振れ・OCI悪化が資本効率と包括利益を圧迫した決算です。データ未記載項目(営業CF、FCF、流動負債、減価償却費など)が多く、キャッシュ創出力や短期流動性の定量評価には制約がある点を明示します。
デュポン分解では、ROE6.2% = 純利益率19.3% × 総資産回転率0.211 × 財務レバレッジ1.52倍。純利益率19.3%は上流E&Pとして堅調だが、実効税率81.7%がなければ純利益率は理論上さらに高位となり得た。営業利益率は57.4%と高水準で、販管費率は6.6%(=996.68/15,206.47)と低く、固定費負担は抑制されている。粗利率68.8%(売上総利益10,458.14億円)からみると、原価サイドの改善・高価格契約比率の高さが示唆される一方、提出値の売上原価7,017.43億円とは齟齬があるため、粗利率(68.8%)と売上総利益の整合を優先して原価水準を把握する。営業レバレッジは引き続き高く、売上の-13.0%に対し営業利益が-14.3%とやや大きく振れており、価格下落局面では利益変動が増幅されやすい。税引前利益は9,118.43億円で営業利益を上回っており、営業外の純益寄与(持分法投資利益944.32億円など)が確認できる。希薄化後EPSは245.18円で希薄化影響は僅少。総じて、資源価格のボラティリティに対する高い利益感応度と、税率・非営業要因による純利益の振れが収益性の評価軸となる。
売上高は15,206.47億円(-13.0%)で、主にコモディティ価格の下落を反映したとみられる。営業利益は8,729.43億円(-14.3%)と減益だが、粗利率68.8%の維持から、コスト構造の弾力性は確保されている。当期純利益は2,934.10億円(+1.4%)で、持分法利益944.32億円などの寄与が成長を下支え。売上の持続可能性は、原油(Brent)・LNG(JKM/契約リンク)価格、および生産量(主要プロジェクト:例えばIchthys、アブダビ権益)の稼働率に依存。利益の質は営業利益・税引前利益の高水準で良好だが、実効税率の上振れが純利益ボラティリティの源泉。包括利益が-1,830.70億円と悪化しており、為替換算差額や評価差額の逆風が継続する場合、純資産成長を抑制しうる。見通しとしては、2025年の価格レンジ、操業安定性、税制動向(超過利得課税・PSC会計影響含む)次第で、上期以降の利益トレンドが決定される。
総資産72,032.21億円、純資産47,344.11億円で自己資本比率62.3%と堅固。負債資本倍率0.47倍は保守的なレバレッジ水準で、金利上昇局面でも耐性が高い。流動資産は8,702.06億円(うち売掛金2,674.76億円、棚卸資産672.41億円)だが、流動負債未記載のため流動比率・当座比率は算定不可。買掛金1,925.76億円から、サプライヤー与信活用は適度。長短借入・有利子負債の詳細未記載のため、利払い負担や満期プロファイルの評価は限定的。包括利益のマイナスにより純資産のボラティリティが示唆されるが、期末自己資本比率はなお高水準。現金同等物は2,416.75億円で、短期支払い能力は一定の余力があるとみられる。
営業CF・投資CF・財務CF、設備投資額、配当支払額が未記載のため、CF品質の定量評価は困難。営業利益8,729.43億円に対して減価償却費未記載でEBITDAは算出不可。営業CF/純利益比率は算定不可、FCFも不明であるため、利益のキャッシュ化度や配当のCFカバレッジ評価に制約がある。運転資本では売掛金2,674.76億円、棚卸資産672.41億円が主要構成で、価格変動・販売条件の変化に伴う運転資金需要の増減に注意。現金及び同等物2,416.75億円は短期的な変動吸収のバッファとなるが、今後の大型投資(開発・増産投資)有無によりFCFの振れ幅が増す可能性がある。
配当データは未記載だが、計算上の配当性向は36.9%とされ、利益基盤からみた持続可能性は概ね良好と評価できる。もっとも、FCFカバレッジは算出不可で、キャッシュ創出力と投資需要(CAPEX)のバランス確認が不可欠。自己資本比率62.3%、負債資本倍率0.47倍と財務余力はあるため、資源価格が現行レンジで推移する限り、配当方針の安定性は相対的に高いとみる。実効税率の高止まりやOCIマイナス継続は資本配分余地を圧迫し得るため、税率の平準化と為替・評価差損の緩和が配当余力の鍵となる。
ビジネスリスク:
- 原油・LNG等コモディティ価格のボラティリティ
- 主要プロジェクト(Ichthys、アブダビ権益等)の生産量・稼働率変動
- 権益更新・生産分与契約(PSC)条件の変更リスク
- 開発遅延・CAPEX超過
- 埋蔵量・リザーブリプレースメントの不確実性
- カーボンプライシング・脱炭素政策強化による費用増
- 持分法投資先の業績変動・ガバナンスリスク
- 為替(USD/JPY)変動による収益・OCIへの影響
財務リスク:
- 実効税率の高止まり(資源国税制・一過性税効果の影響)
- OCI悪化(為替換算差額・評価差額)による純資産変動
- 流動負債・有利子負債の詳細未開示による短期流動性評価の不確実性
- 金利上昇局面での資本コスト上昇(ただしレバレッジは低位)
主な懸念事項:
- 包括利益が-1,830.70億円と大幅マイナスで、自己資本のボラティリティ懸念
- 実効税率81.7%が純利益・ROEを大きく圧迫
- 売上・営業利益が二桁減で、価格下落局面の感応度が高い
重要ポイント:
- 高粗利率・高営業利益率により基礎収益力は強固
- ROEは6.2%と資本効率はなお改善余地あり(税率・資産回転率が鍵)
- 負債資本倍率0.47倍、自己資本比率62.3%で財務耐性は良好
- 持分法利益944.32億円の寄与が大きく、持分先の動向が重要
- 包括利益マイナスと高税率が株主価値創出の阻害要因
注視すべき指標:
- Brent/JKM価格と実現販売価格、ヘッジ状況
- 生産量・稼働率(主要プロジェクト別)
- 実効税率の推移と一過性要因の有無
- 営業CF・FCF、CAPEX計画と実行額
- OCI内訳(為替換算差額・評価差額)
- 総資産回転率の改善(不要資産圧縮・運転資本効率化)
- 配当総額・自己株買いの実施有無と原資
セクター内ポジション:
国内E&Pで最大級の規模と権益ポートフォリオ、低レバレッジ・高採算という強みを有する一方、ROE6.2%は市場平均・資本効率要請を下回り、コモディティ価格・税率・OCIへの感応度が高いという点で相対的なボラティリティは中程度。
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